1週間の選挙を終えて
フジノは選挙が始まる前、こんな風に感じていました。
3.11直後の選挙の時と同じく
「選挙をやっている時間そのものがもったいない。今この瞬間も苦しんでいる人がいるのに」
というもどかしい想いでした。
けれども3日目くらいからハッキリと考え方が変わりました。
選挙カーを使わずにひとりきりで歩いているのが哀れな感じにみえるのか、かなり多くの市民の方からこんな風に話しかけられることが増えたのです。
「ひとりで重たいメガフォンをもって市内をずっと歩いていてつらくないですか?」
そのたびに僕は笑顔でこんなお返事を繰り返しました。
「いいえ、ふだんの議会のほうが忙しくて大変なのです。
委員会や協議会とか合計7つくらいの役職に就いていてものすごく忙しいのに加えて、市民の方々からのご相談を伺って対応するので24時間365日休み無しなので・・・
だから、選挙の1週間のほうがカラダが全然ラクに感じます」
このやりとりを繰り返していくうちに、自分の中でこの1週間の位置づけが変わっていきました。
日頃のフジノは24時間いつも
「自分が今この瞬間に対応しなければご相談者は死んでしまうかもしれない」
というピリピリした緊張感の中にいます。
でもこの1週間、午前中(だいたい14時まで)は一切マイクを握らないと決めてひたすらたくさんの市民の方々のお話を聴かせていただきました。
ふだんのフジノがお聴きしないタイプのたくさんのお話を伺うことができました。
例えば、農家の方で若い方々が一生懸命新しいテクノロジーを使ってより安全でおいしい農作物を作ろうとしていること。
例えば、漁師さんが感じておられる後継者がいないこと、それでも漁業は本当に素晴らしい魅力ある仕事だということ。
心がどんどん新しい言葉で満たされていくのを感じました。
また、お礼を言われることが何度もあって驚きました。
例えば、会社づとめをしておられる方がフジノのツイッターを毎日見て下さっていて
「コメントなどは一切しないけれどけっこうフジノさんの影響うけてるんですよ。自分もがんばろうと思ったり」
と話してくれたり。
例えば、保育士の方から
「フジノさんの保育士の勤務実態調査のおかげで今年から4万円の加算が出ることに決まってありがたいです」
とお礼を言われたり。
僕は仕事をするのが当たり前だと思っているので市民の方からお礼を言われる機会はまずありません。何か課題が解決したらそれでおしまい、もう2度と関わることが無いままにお別れをします。
こんなふうにおっしゃっていただく機会はまずありませんでした。
選挙がなければこんなお話を伺うことは絶対にできませんでした。
フジノはふだんバイクで移動しています。
けれども選挙期間中は毎日毎日15~25kmくらい市内を歩いて回ってきたのですが、横須賀の美しさを改めて体験することができました。
浦賀の海の穏やかな波のきらめき、幼い頃から大好きな野比海岸、観音崎からみるたくさんの外国船の往来、浦郷のボードウォーク・・・。
昨年2018年は1日もお休みを取ることができなかったので、こんなに長い時間、海を見ることができたのは久しぶりでした。
選挙の為に歩いては演説をし歩いては演説をしてきたのですが、フジノは海が大好きなので、本当にリフレッシュすることができました。
他の候補者のみなさんは選挙カーで必死に名前を繰り返し叫んでいるのに、フジノはずっと穏やかな気持ちで自分の暮らすまちの美しさや人々の優しさに感動する毎日を送っていました。
「この1週間は神様が特別に与えてくれた7日間なのだ」
と3日目くらいから考えるようになりました。
- あらゆる立場のもっとたくさんの人々の声をもっともっとたくさん聴きなさい。
- 毎日仕事に没頭するだけではダメ、もっとこのまちの美しさの中に身を浸しなさい。
働きづくしで2ヶ月もの長期休養に追い込まれたフジノに対して、神様が特別な7日間をプレゼントしてくれたのだと感じるようになりました。
率直にカラダはきつかったです。
でも、こんなにも穏やかな気持ちで毎日を過ごせた選挙は5回目にして初めての体験でした。
そして、ふつふつと沸き起こってくるモチベーションをハッキリと感じました。
「僕は今すぐ議会に戻って働きたいんだ」
という強い想いが自分の心の中にあるのをハッキリと感じるようになりました。
今までの僕は16年間ずっと弔い合戦で働いてきました。
本来ならば政治が全力を尽くせば失われなかったはずのたくさんの命に対して、命を守ることができなかった政治の無力さと無能さに対する責任をいつも感じていました。
僕の命を捨てて、ひとりでも多くの人々の命と暮らしを守るのだと信じて働いてきました。
でもそんな悲壮感とは異なる、もっとポジティブな気持ちが生まれてきたのです。
「僕は今すぐ議会に戻って働きたいんだ」
言葉にするとこのブログのはじめに記した選挙前の気持ちと変わらないのですが、大きくニュアンスが変わった1週間でした。
明日どんな結果が出ても、僕には全く悔いのない選挙でした。
そして16年間の仕事の日々をふりかえっても1つも後悔はありません。
あとは市民のみなさまの判断、市民のみなさまがお決めになることです。
まだフジノが必要だという結果が出れば、生まれ変わったフジノは今までとは少し違う(たぶん悲壮感と使命感だけではない)働き方で全身全霊をかけて働いていくと思います。
もうフジノが必要でないという結果が出れば、政治の世界からは引退して一生戻ることはなく、NPOや市民団体の立場から取り組みたいことがたくさんあるのでがんばっていきたいと思います。
どんな結果が出ても、穏やかな気持ちで受け止められると感じています。
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16年前、どこの馬の骨とも分からない茶髪のあんちゃんがメガフォンで怒りにまかせて叫んでいたのに市民の多くの方々は投票して下さり当選をすることができました。
この世界の片隅で、僕は誰からも理解されないと感じていたのに、僕のことをこんなにもたくさんの人々が見つけてくれて本当にありがたかったです。
その感謝の気持ちはひたすら仕事で成果を出すことで恩返しするのだと考えて過労死寸前まで働いてきました。
そして16年間が過ぎました。
もう若さもなくなり、茶髪も珍しくなくなり、フジノは単なる政策オタクで、いわゆるオワコンになりました。
でも今、心の中はふつふつと沸き起こってくるモチベーションであふれています。
「僕は今すぐ議会に戻って働きたいんだ」
この気持ちでいっぱいのフジノがもしも再び当選できたならば、これまでよりもパワーアップしたフジノはもっとたくさんの成果を出せる気がします。
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いずれにしてもこの1週間(フジノを除く)49人の選挙カーがまちなかを走り回り、騒音でご迷惑をおかけいたしました。
民主主義の大切な根っこが選挙であるとはいえ、みなさまにとっては騒々しい1週間だったと思います。心からお詫びを申し上げます。ごめんなさい。
そして、1週間、選挙におつきあいいただきまして、本当にありがとうございました。
ようやく静かな日常が明日からは戻ってきます。
どうかあなたにとって明日が良い日でありますように心から祈っています。
オマケ
今夜の街頭演説の最後のひとことを動画でご紹介します。
「おれを、こきつかえ!」