全国のみなさまへ
認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)の理事として、大阪で起こった拳銃強奪事件について全国のみなさまにお手紙を書きました。
(2019年6月19日)
大阪で起きた拳銃強奪事件で、戸惑いやストレスを感じている皆さまへ
6月16日に大阪の交番で、警察官の方が襲撃され、拳銃を奪われる事件が起こりました。
襲撃されて大きな怪我を負ってしまった警察官の方が一日も早く回復されることをお祈りいたします。
16日には、容疑者の写真が公開されました。17日には、容疑者の所持品には、精神保健福祉手帳2級や、精神科への診察券をもっているとの報道がありました。
17日には、どの時間帯のどの報道番組を見ても、同じ内容を出しているので、精神障がいを持つものとして、とても辛いと感じています。
これから、また私たちが地域で生きづらくなったらどうしよう。
今、外に出たら、何か言われるのかもしれない。
精神科の病院やクリニックに行かなければならないけど、交通機関で何か言われたり、ジッと見られたりしないだろうか。
仕事に行くのに、何か言われたりしないだろうか。
などと、そんなことをつい考えてしまう程に私たちは、世の中が怖いと思ってしまいます。
他の当事者、その家族の皆さんも、同じように辛い思いをなさっているのではないでしょうか。
私たち精神障がいをもつものは、いっぺんに大量の否定的な情報を浴びると、それに影響をうけ、強いストレスを感じ、こころが傷つきます。
傷つくことに、慣れるとか、影響を受けないようにするということはとても難しく、「ぞっ」として頭の回転が固まってしまうほどです。
そして、そのあとの行動や日々の生活に影響が出てしまいます。
家から出づらくなったりしている人も多いのではないでしょうか。施設などに通うのもためらったりしている人もいるのではないでしょうか。
精神障がいをオープンにして働いている人たちも、職場では周囲の人に理解があったとしても、辛い、傷ついた、自分は大丈夫だろうか、と感じている人もいると思います。
また職場によっては、上司だけが障がいのことを知っていて、周りの人は知らないこともあり、その中で今回の事件のあと、肩身の狭い思いをしているのではないかと心配しています。
私たちは、「ぞっ」として、驚き、そして戸惑って頭の回転が止まってしまっているのかもしれません。
周りの人はそれほど私やあなたに注目しているわけではないかもしれません。私たちは、こういう時こそ、「しなやか」に考えることが必要なのではないでしょうか。
頭の中身を書き出したりして、いっぺん否定的な考えを脳から外に出して、自分に関係ないこと、自分に関係するかもしれないことを、整理整頓をして、戻すことをすることで、すこし楽になることもあるかもしれません。
私たちはストレスで、傷ついてもそこから回復することがあるということを体験から、知っています。それには時間がかかることがあることも知っています。
色々な立場の人が世の中にはいるのはわかっています。でも、今辛い思いをしている私たちの思いは知ってほしいと考えています。
認定NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ
共同代表 宇田川 健
理事 増川 信浩
理事 藤野 英明
理事 佐々木 理恵
どうかひとりでも多くの方々に僕たちの想いが届きますように。
後日追記:毎日新聞が報じてくれました
翌日、毎日新聞の塩田彩記者がこのお手紙について取材をして、報じてくれました。
ぜひ記事もご覧ください。