自治体による感染者情報の公表がアウティングになっている現状があります
毎日、新型コロナウイルス感染症の感染者情報について自治体があらゆる情報を公表しています。
厚生労働省は2月に「2019年に作成した基準に基づいて公表せよ」という通知を出しました。
しかしこれは単なる参考でしかないので、全国の自治体はそれぞれに判断して、自治体ごとにバラバラな項目を公表しています。
ちなみに横須賀市では10項目(性別、年齢、職業、同居人、症状・経過、渡航歴、感染経路、行動歴、居所、その他)を公表しています。
すでに過去のブログに記したとおり、性別を公表することがアウティングになることから『LGBT法連合会』をはじめ多くの方々やメディアが個人情報の公表のあり方を疑問視しています。
上地市長から「今後は本人の意向に沿って発表する」と答弁がありました!
そこで今日の本会議でフジノは上地市長に改めて改善を求めました。
質問は2つです(全文をご覧になりたい方はこちらをご覧ください)。
- 性別の公表が感染予防に資するとは考えがたいにもかかわらず、何故、横須賀市は感染者情報として性別を公表することにしたのか?
- 今後は性別の公表をとりやめるべき。公表するならば本人同意に基づいた内容で公表すべきではないか?
これに対して、上地市長は次のように答弁しました。
上地市長の答弁
【質問1への答弁】
次に、新型コロナウイルス感染症情報として、性別の公表を決めた理由についてです。
議員のおっしゃるとおり、感染者情報の公表により性自認や性的指向がアウティングされてしまうことは決してあってはならないと思います。
本市としても、いわゆる性的マイノリティとされる方々に限らず、新型コロナウイルス感染症にかかられた全ての方の個人情報について個人が特定されないよう議論した上で、市民への注意喚起など、感染症の拡大防止の観点から、国の方針に基づき、性別の公表を決めました。
【質問2への答弁】
次に、性別の公表のあり方についてです。
現状では、ご本人の同意を得た上で性別などの公表を行なっております。
今後については、先ほどの理由から性別の公表はやむを得ないと考えていますが、議員がおっしゃるとおり、ご本人の思いに添った内容で公表したいと考えます。
動きました!
「現状も本人同意に基づいて公表をしている」との答弁を受けましたが、実際は毎日必ず横須賀市は性別を公表してきました。
担当課への事前のヒアリングでは、かつておひとりの方だけ非公表としたのみで、その方以外は200数十件全ての方の性別が公表としてきました。
けれども、横須賀市には
『横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例』があり、
その第3条第6項では
「性的指向、性自認等に関する公表の自由が個人の権利として保障されること」
とアウティングの禁止を明文化しています。
感染症法でもそもそも感染予防に資する情報の公開の義務付けと同時に、個人情報保護に留意することを明記しています。
こうした指摘を受けて、上地市長は今後の公表のあり方はあくまでも本人の意向に沿う形で公表することと答弁してくれました。
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横須賀市が新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全国的に見ても積極的に取り組んできたことはまちがいありません。
横須賀PCRセンターの開設や、市内15医療機関でのPCR検査を可能としたことなど、いくつもの先進的な取り組みを挙げることができます。
さらに、感染者・家族・医療従事者に対する偏見・差別・誹謗中傷などに対して、横須賀市は早期から繰り返し市民のみなさまに強く人権に配慮していただきたいと訴えてきました。
今回の性別公表は本人の意向に沿うという改善も、そうした取り組みの延長線上にある判断だと高く評価したいです。
どうか当事者のみなさまのご不安が少しでも減りますように、心から祈っています。