「ベイビーロスアウェアネスウィークを市の公的な啓発週間とすべき」と市長に本会議で提案しました
先日のブログで発言通告書を紹介しましたが、ついに本日(2020年9月16日)の本会議で
「ベイビーロスアウェアネスウィークを横須賀市の公的な啓発週間とすべきだ」
と上地市長へ提案しました。
上地市長との質疑応答を報告します。
Q.フジノの質問
1.「ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~」を本市が公的な啓発週間として積極的に周知することで、流産・死産・中絶・新生児死亡等によって赤ちゃんを亡くしたご遺族の存在とグリーフケアや支援の必要性を広く世間に啓発し、亡くした赤ちゃんについて他者に語ることができるきっかけとする取り組みの必要性について
これまで僕は、流産・死産・中絶・新生児死亡などによって赤ちゃんを亡くした方々が受けている心身のダメージの深さ、社会的な理解の絶望的な欠如、そしてグリーフケアとあらゆる支援の必要性と社会に対する啓発の重要性を繰り返し訴えてきました。
世間が知らないだけで、本当にたくさんの命が失われています。
例えば、妊娠を経験したことがある女性の約4割が流産を経験しており、50人に1人が死産を経験しています。
妊娠すれば誰もが健康な出産をするものという誤った神話のせいで、家族や友人にも話せず、周囲の無知からくる言動によって、妻も夫も孤立して苦しんでおり、自責感や悲しみは何年も続きます。
グリーフケアを受けられる仕組みとともに世間の誤解と無理解と偏見を解消する必要があります。
こうした問題提起を上地市長は強い共感をもって受け止め、
新たな取り組みをスタートしてくれました。かねてから本市は『天使ママの会』の会場提供や広報協力を行なってきましたが、新たに、
赤ちゃんの亡骸とお別れする中央斎場に相談窓口一覧を掲載したリーフレットの配架、赤ちゃんを亡くしたご家族のお気持ちを心理相談員が聞かせていただくエンジェルサポート、さらにこの9月議会の委員会質疑を通して、死産届を提出する市役所の戸籍窓口にエンジェルサポートのチラシを配架するようになりました。
ようやく国も流産や死産を経験した女性の支援に初めて着手します。
厚生労働省は、実態をつかむ為に今年度中に全ての都道府県と市町村に対して調査を行ない、経験者の心理的な影響やケアの状況を把握し、助産学などの専門家や自治体の妊娠相談窓口の担当者らを交えた研究会を立ち上げ、自治体が支援体制を整備する際の指針を今年度中に示すとのことです。
まさに当事者の方々の活動や、本市のような先進自治体の取り組みが国を動かしたと言えるでしょう。
けれども本市にも厚生労働省にも、残念ながら欠けている取り組みがあります。
それは、社会の無理解を変える為の取り組みです。
メディアが「妊娠すれば必ず健康な赤ちゃんが生まれる」という誤った神話を垂れ流し続ければ、世間の正確な理解は進まず、ご遺族は周囲から呪いの言葉をかけ続けられるでしょう。
いくらグリーフケアがなされても社会の理解が無く誤解と偏見が解消されなければ苦しみは再生産され続けます。
だからこそ本市は、社会の理解を目指す為の新たな取り組みを行なうべきです。
僕は『ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~』の取り組みを提案します。
諸外国では国際的な啓発週間として毎年10月9日から15日を『ベイビーロスアウェアネスウィーク』と定めて、たくさんの赤ちゃんが亡くなっている現実への理解を一般に広め、ご遺族への支援の必要性について人々の意識を高め、亡くなった赤ちゃんを想い讃えるとともに、今まで誰にも語ることができなかった赤ちゃんの死についてご遺族が他者に話せるきっかけにしてほしい、という活動を行なっています。
最終日10月15日の夜7時からは亡くなった赤ちゃんを想いキャンドルを灯すイベントが行なわれていますが、その様子はSNSで発信され、世界中の人々がつながる機会となっています。
残念ながら我が国では『ベイビーロスアウェアネスウィーク』をまだ公的な啓発週間としていません。
僕自身、数年前からこのアクションを知りながらも動きを取れずに来ました。
しかし昨年、複数の当事者団体の代表らが集まって結成された市民団体『アンジー』が、日本にも『ベイビーロスアウェアネスウィーク』を定着させる活動を開始しました。
今年はシンボルマークであるピンクアンドブルーリボンのピンバッジ作成のクラウドファンディングを実施、予想を大幅に上回る形で成功させ、改めて高いニーズを痛感させられました。
他の様々な啓発週間などと同様に、本市はこの取り組みを公的な啓発週間と位置づけるべきだと提案します。
グリーフケアと社会への啓発活動は車の両輪です。
これまでの本市の実践はあくまでもご遺族のみを対象としてきました。
しかし社会の側が変わらなければご遺族の苦しみは決して癒えることはありません。
【質問】
本市は、『ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~』を公的な啓発週間と位置づけて積極的に周知することで、流産・死産・中絶・新生児死亡等によって赤ちゃんを亡くしたご遺族の存在とグリーフケアや支援の必要性を広く世間に啓発し、亡くした赤ちゃんについて他者に語ることができるきっかけとする取り組みとすべきではないでしょうか。
A.市長の答弁
いつもながら、想いのこもったご質問、ありがとうございます。
まず、公的な啓発週間の位置づけについてです。
私は「あらゆる差別はこれを許さない」というスタンスで、政治・行政に取り組んで来ています。
不幸にもお子さんを亡くされた方々がいわれのない差別を受けることは大きな社会問題であり、大変悲しいことだというふうに思います。
本市のこれまでの取り組みは、お子さんを亡くされたご遺族へのグリーフケアが中心でした。
周囲の無配慮な励ましや理解不足によりご遺族の苦しみが長引くことの無いよう、支援の必要性について人々の意識を高めていくことも必要である、と考えています。
一方で、啓発の仕方によってはフラッシュバックが起こり、かえって不調を訴える方々もいらっしゃることが懸念されますので、
どのようなやり方で啓発していくのが良いのか、関係する諸団体の方々にお話をお伺いした上で考えていきたい、と思っています。
Q.フジノの再質問
ベイビーロスアウェアネスウィークについて改めて提案します。
この原点は、1988年に、早産で新生児死亡で赤ちゃんを亡くしたレーガン大統領が10月を『National Pregnancy and Infant Loss Awareness Month』と定めたことでした。
やはり時の権力者にとっても大切な赤ちゃんを失うということは本当に悲しい出来事であって、そしてそれが語る事ができない悲しみである。
これを、ひとりでも多くの人が語る事ができる死にしたい。
そういう想いというものが、レーガン大統領にはあったんだと思います。
先ほど市長の答弁では、
「フラッシュバックを起こされる方もおられる。どういう方法がいいか分からない」
というお話がありました。
(中略)
僕は当事者の方の声を多く聞いてまいりました。
フラッシュバックを起こす方もおられるかもしれません。
けれども、それ以上に圧倒的多数の方々が、自らの想いを語ることができない。
誰にも語ることができない。夫にも話せない。妻にも話せない。
本当に困惑しているんです。
そんな中で、本市のグリーフケア事業、エンジェルサポート事業。本当にすごく全国から評価されているんです。
そして「グリーフケアと社会の啓発は車の両輪である」という質問を行なうというふうに表明した時に、本当に称賛をされました。
まだ答弁がでていないのに称賛をされてしまいました。
車の両輪としての、社会への啓発。
無理解への・偏見への啓発というのは絶対に必要だと思っています。
ぜひ今年は横須賀市の公式ツイッターなどのSNSで、10月15日の最終日の夜にはキャンドルの灯りの写真を横須賀市の公式アカウントで『#BLAW2020』をつけて発信していただきたい。
(『Wave of light』を指しています)
これぐらいはできると思うんです。ぜひやっていただけないでしょうか。
A.市長の答弁
議員が今言ったことはぜひ進めたいというふうに思います。
「天使ママの会よこすか」へのヒアリングと、ベイビーロスアウェアネスウィークに横須賀市公式ツイッターでメッセージを発信します
上地市長からは3つの答弁がありました。
- これまでのグリーフケア中心の取り組みに加えて、今後は『人々の意識を高めていく啓発活動』も行なっていきたい
- 啓発の在り方について、関係する諸団体の方々にお話を伺った上で取り組みを進めたい
- ベイビーロスアウェアネスウィークの最終日には横須賀市の公式SNSでメッセージを発信したい
本会議が終わった後、実際の具体的な取り組みについて担当課にヒアリングしました。
関係する諸団体の方々にお話を伺う、という点は「なるべく早い時期に『天使ママの会よこすか』の方と意見交換をさせていただきたい」とのことでした。
とてもありがたいです。
決算審査で担当課も多忙を極める時期ではありますが、なんとかベイビーロスアウェアネスウィークが始まる前に意見交換を実現させていただけないかとフジノから改めてお願いしました。
もう1つ、最終日の夜に『#BLAW2020』をつけて横須賀市ツイッターなどの公式SNS発信でキャンドルの灯りの写真を発信してほしいという点については
メッセージの具体的な文言をどのようにするか、キャンドルの灯りの写真はどのようなものが良いかなどを担当部内で検討して、当日には発信したい、とのことでした。
今回の一般質問は最初の一歩、これからも提案を続けていきます
横須賀市による社会への啓発の取り組みは、今日の市長答弁をきっかけに、これからスタートしていきます。
キャンドルの灯りとメッセージの発信はささやかな一歩にみえるかもしれません。
けれども今、確かに一歩、横須賀市は踏み出したのです。
フジノはこれからもずっと提案を続けていきます。
どうか全国のみなさま、力を貸して下さいね。
そしてこの動きを全国に広めていって、亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せられる社会へと変えていく為に一緒にがんばっていって下さいませんか。
どうかよろしくお願いします。
m(_ _)m