ゲートキーパー登録をしているみなさまに横須賀市からお手紙を送りました
横須賀市の自殺対策のゲートキーパー養成研修を終えて、登録をして下さっている約2000名のみなさま。
本日2020年9月17日付で、横須賀市からお手紙と冊子『よこすか心のホットライン』を郵送いたしました。
どうかお読みいただいて、その趣旨をご理解いただければと思います。
コロナ禍で自殺リスクが急増している今、ゲートキーパーのみなさまの力が必要です
送ったお手紙の全文を以下に紹介します。
ゲートキーパー登録者各位
横須賀市保健所長
悩んでいる方への相談強化について(依頼)
初秋の候、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
日頃より本市の精神保健福祉事業にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。
さて厚生労働省より自殺者統計(速報値)が公表され、令和2年8月の自殺者数は1849人となり、昨年同月比で246人の増加となっております。
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、感染の不安経済的影響など自殺リスクが高まることもありうる状況と認識しています。
つきましては、ゲートキーパーの皆様にはより一層、悩んでいる方々に寄り添って声をかけ、相談につなげてくださいますよう、お願いいたします。
なお、相談機関紹介冊子『よこすか心のホットライン』を同封しましたのでご活用ください。
同冊子は行政センターなどの窓口にもあり、市ホームページまたは下記 QR コードからご覧いただくこともできます
コロナ禍でとても高まっている自殺リスクから人々の命を守る為に、ゲートキーパーのみなさまの力が必要だとフジノは考えました。
どうかゲートキーパーのみなさま、あなたの力を貸して下さい。
どうかよろしくお願いします!
昨日の一般質問を終えてすぐに市長が動いてくれました
この手紙を送ることになった理由は、昨日行なった上地市長との一般質問です。
質問から該当部分を引用します。
Q.フジノの質問
コロナ禍では国民全てが被災者であり、心身のバランスを崩して助けを求める声が圧倒的に増えています。
これは世界的に問題となっており、国連は5月に各国に対策強化を要請しました。
我が国でも多くの人々が『コロナうつ』に追い込まれていることから、厚生労働省も8月にメンタルヘルス全国調査を行ないました。
さらに、コロナ禍の前からハイリスクな立場に追い込まれていた方々はより深刻な状況へと追い込まれています。
しかし圧倒的な数のストレスフルな方々の出現によって、その声はかつてないほどに聞こえづらくなってしまいました。
埋没してしまいかねないハイリスクな方々を絶対に見過ごしてはなりません。
しかし外出や他人との関わりが可能な他の災害とは異なって、コロナ禍では、訪問型の支援をはじめ、街頭での啓発活動や人々を集めての研修など、本市が積み上げてきた取り組みが実践できない難しさがあります。
それでも、だからこそ、パンデミック下でも行なうことができる自殺対策をみんなで知恵をしぼっていくべきです。
(略)
第2に、ゲートキーパーに協力を求めるべきです。
本市には養成研修を受けて多くの方々が登録して下さっていますが、先の質問で述べた「身近な信頼できる人」になっていただけるはずです。今こそ力を貸していただくべきです。
【質問】
自殺予防の貴重な人材であるゲートキーパー登録をして頂いているみなさんに協力を求めるべきではないでしょうか。
例えば自殺予防週間をきっかけに、ゲートキーパーの基本である『TALKの原則(言葉に出して心配していることを伝える、「死にたい」という気持ちについて率直に尋ねる、絶望的な気持ちを傾聴する、専門家につなぐ)』を特に意識して周囲の方々と接していただきたい、と本市は改めて呼びかけるべきではないでしょうか。
A.市長の答弁
ゲートキーパーへの協力の呼びかけについてです。
ゲートキーパーに登録いただいている市民の皆さんには、日頃から、悩みを抱えている方々のサポートを担っていただいているところです。
コロナ禍において、ゲートキーパーの皆さんにはより一層協力を仰ぎたいと考えていますので、改めて、身近な方への声かけなど協力を呼び掛けてまいりたいと思います。
この質問に対する上地市長の答弁を受けて、横須賀市はさっそくゲートキーパーのみなさまに今日お手紙を送ってくれたのです。
「あまりにも早い、すごいスピード感だ」
と一瞬驚いてしまったのですが
実際には、一般質問の原稿全文と発言通告書は9月10日に提出済で、市長は答弁を作成する時点ですでに「これはやろう」と決心をして下さったのだと思います。
そして印刷と郵送の準備はすでに終えており、昨日の議会質疑が終わったタイミングですぐに郵送して下さったのだと思います。
いずれにしても上地市長が危機感を共有して下さっていることに感謝です。
特に「女性の自殺」が急増しています
ゲートキーパー登録をして下さっている方もそうでない方も、あなたのまわりでストレスフルな表情をみせる方が居られたら、どうかお声がけをお願いしたいのです。
このコロナ禍では特に、いつも以上に『女性』に注意を向けていただけないでしょうか。
これまでの精神保健医療福祉の世界では、実際に亡くなってしまう既遂は男性が多く、自殺未遂は女性が多く、その割合は7:3と圧倒的に男性の方が多かったのです。
しかし、この常識は崩れ去りました。データをお示しします。
6月 | 7月 | 8月 | |
---|---|---|---|
男性 (前年比) | 1043 (▲8.2%) | 1150 (▲6%) | 1199 (▲7.1%) |
女性 (前年比) | 501 (+1.2%) | 645 (+15.8%) | 650 (+42.2%) |
総数 (前年比) | 1544 (▲5.6%) | 1795 (+0.8%) | 1849 (+17.2) |
今年に入ってから4月・5月と低く推移していた自殺の犠牲者数ですが、女性の傾向は例年と全く異なります。
すでに6月から前年2019年を超えていましたが、7月と8月の急増ぶりは過去に前例がありません。
特に8月の前年比42%増は、非常に女性が追い詰められている現状を映し出しています。
どうかゲートキーパーのみなさま、こうしたデータを知っていて下さいね。
ぜひ「TALKの原則」を活用してほしいのです
そして、ゲートキーパーの基本中の基本である『TALKの原則』をぜひ実践していただけませんか。
- Tell=言葉に出して心配していることを伝える
- Ask=「死にたい」という気持ちについて率直に尋ねる
- Listen=絶望的な気持ちを傾聴する
- Keep safe=専門家につなぐ
人は自殺に追い込まれているその時、スイッチが入ってしまっています。
そのスイッチをオフにする為に必要なのは決して特別な技術ではなく、信頼できるあなたのお声がけや否定せずに聞いて下さることなのです。
そしていったんそのスイッチをオフにできたら、すぐに保健所やメンタルクリニックなどの専門家につないで下さい。
どうかあなたの力を貸して下さい。お願いします!