新型コロナウイルス感染症の抗体検査を受けました
横須賀市の第2回新型コロナウイルス感染症抗体検査を受けてきました。
定員960人の募集に対して5941人の申込みと約6倍もの倍率になってしまいましたが、フジノは当選してしまいました。
抗体検査のイメージを知っていただきたいので、フジノが体験した様子を記してみたいと思います。
クリニックで採血をして10分で結果が分かります
朝、指定された横須賀中央地区の某クリニックへ。
フジノにとってそのクリニックは初診だったので、指定された時間の20分ほど前に伺いました。
今回の横須賀市の抗体検査はクリニックの通常の診療時間内に行われますので、医療機関ごとに待ち時間などは異なると思います。
受付に、横須賀市の決定通知書、問診票、同意書、身分証(フジノは健康保険証を使いました)を提出して、新たに診察券を作っていただきました。
定刻に診察室に呼ばれて、ドクターからとても丁寧な説明を受けました。
- 抗体検査で分かること、抗体検査とPCR検査の違い
- 抗体の種類(IgMとIgGについて)とそれぞれの意味
- 今回の抗体検査ではIgGのみを調べることと、その理由
- 検査キットの感度(病気を正しく『陽性』と判定できる能力)と特異度(病気がない場合に正しく『陰性』と判定できる能力について
- 採血をすること、10分ほどで結果が判明すること
- 結果は口頭での説明のみで証明書の発行は無いこと
- 保健所への報告などは不要であること
などです。
全て横須賀市から郵送されてきた説明資料に書かれている内容ではありますが、改めてドクターから詳しくお話を伺うことでみなさん安心感を得られるのではないかと思いました。
ドクターからの説明が終わると、さっそく採血です。
「10分で結果が分かりますから、10分後にお呼びしますね」
と看護師さんに言われて、待合室で新聞を読んで過ごしました。
そして10分が経つと、診察室に呼ばれました。
「フジノさん、陰性ですね。これまでの感染防護がうまくいっているのだと思います。ぜひこれからも引き続き取り組んで下さいね」
と笑顔でドクターに言われました。
フジノの体内には新型コロナウイルス感染症に対する抗体が存在していない、つまり、これまでは1度も感染していない可能性が明らかになりました。
(フジノがあえて遠回りな言い方をしているのは、後ほどご説明します)
ドクターに数点質問させていただいて、検査は終わりました。
再び受付に向かいましたが、検査費用は横須賀市がすでに全額を負担する補正予算を可決していますので自己負担はゼロで、会計はありません。
指定された時刻からクリニックを出るまでちょうど30分でした。
本当にあっけなく終わりました。
横須賀市の抗体検査の目的
ここからは長くなりますが、検査の目的などをご説明したいと思います。
以下に、横須賀市が郵送している説明書類からそのまま引用します。
この度、横須賀市では、市内における感染状況及び傾向等を改めて把握するため、 2回目の新型コロナウイルス抗体検査を実施します。
これは、今後の感染拡大に備えることや本市の新型コロナウイルス感染症対策に活用することを目的としています。
新型コロナウイルス感染症は、 2019年12月に中国湖北省武漢で集団感染が発生したことに始まり、全世界に広がっています。
日本でも2020年1月に新型コロナウイルスに感染した患者さんが初めて確認され、感染者数は日に日に増加しています。
新型コロナウイルスに感染した人の約8割は、無症状や軽症で経過すると報告されていますが、その一方、重症化し残念ながら死亡に至る患者さんも報告されています。
新型コロナウイルス感染症の検査法の1つに、気道から採取した検体や唾液の中にこのウイルスの遺伝子が含まれているかどうかを調べる『PCR』という精密検査があります。
日本では、この検査が、最近の海外渡航歴のある人や既に新型コロナウイルス感染症と診断された人に濃厚接触した人、入院が必要なほど重症化した人、医師が特に検査が必要と判断した人に主に行われているために、無症状者や軽症者がどの程度、存在するかは不明です。
ここで、『抗体』検査について説明します。
病原ウイルスが体に侵入すると、体内で病原ウイルスを排除しようと免疫反応が起こります。
発熱や喉の痛みなどの風邪症状は、この免疫反応をきっかけに発生する現象です。
病原ウイルスを排除するために、抗体(病原ウイルスを捕まえるタンパク質) が作られます。
このような免疫反応の過程で現れる抗体を測定することで、病気に罹っているかどうかを推測するのが抗体検査です。
抗体には様々な種類があり、ウイルス感染症の場合、主に
・感染早期に現れる『IgM』
・IgMから遅れて現れ、その後、長期間出現し続ける『IgG』
の2種類の抗体が出現します。
今回の検査では、『IgG』を調べます。
今回使用を予定している簡易検査キットは、『IgG』と『IgM』の両方を検査できるものです。
しかし、現状、『IgM』は検査の精度が不十分である可能性が指摘されており、今回は『IgG』のみを検査対 象とします (『IgM』に関しては、結果をお知らせしません)。
抗体検査の利点と限界
抗体検査のメリットと限界についても、横須賀市の説明資料を使ってご説明します。
抗体検査によって、過去に新型コロナウイルス感染症に罹患したかどうかの参考情報となる可能性があります。
ご注意いただきたい点を説明いたします。
今回、使用する検査キットは、中国で570人が参加した臨床試験では、感度(病気を正しく「陽性」と判定できる能力)91.5%、特異度 (病気がない場合に正しく「陰性」と判定できる能力)97.0%と報告されています。
従って、実際は新型コロナウイルスに感染しているのに、抗体検査の結果は「陰性」と判定されることがあります。
また、構造がよく似た他のウイルスに対する抗体を誤って検出したり、なんらかの体の状態に反応したりして、本当は新型コロナウイルスに感染していないのに「陽性Jと判定されることもあります。
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症に“現在”罹患しているかどうかの診断目的に抗体検査を実施することを推奨していません。
従って、現在、新型コロナウイルス感染症に羅っているか診断するには、症状の経過を含めて総合的に判断する必要がありますので、必要と恩われる場合には、医師の診察を受けて下さい。
フジノの抗体検査の結果が陰性だったからといって新型コロナウイルス感染症にかかったことが無いと断言しないのは、以上の理由からなのです。
あくまでも参考情報と受け止めています。
*それでも実施しないよりは絶対に良い調査ではあります。
検査の結果をどのように利用するか
こうして横須賀市は2回合計約2000名の抗体検査を行なう訳ですが、その結果の扱い方などについても横須賀市は説明資料で記しています。
新型コロナウイルス感染症は診断や治療法など十分に確立されておらず、そのため社会一般に大きな影響を与えています。
新型コロナウイルス感染症の罹患の有無に関わらず、ひとりひとりの臨床経過が医学的に大変貴重であり、すでに多くの臨床研究が学術誌に報告されております。
横須賀市での検査結果につきましても個人情報保護を遵守し、個人が識別されない形式で集積し横須賀市の新型コロナウイルス対策に生かしていく予定です。
また、今回のデータ(匿名化され個人情報が特定されない形に加工されたもの)は、横須賀市医師会や医師会が提携する機関(匿名化されたデータの解析については福島県立医科大学等)など、横須賀市が適当と判断した機関が行う新型コロナウイルスに関する研究に使用する予定です。
ご理解賜りますようお願い申し上げます。
ご質問がございましたら、ご遠慮なく担当医にお申し出ください。
もしこの解析にご自身のデータを使用してほしくないという場合は、下記にお問い合わせください。
解析が終了していないものについては、データを取り除ける可能性があります。
データを使用しない場合でも、申請された皆さまに不利益になることは一切ありません。
ということで、横須賀市医師会による研究、また福島県立医科大学などによる研究に使用されることになります。
横須賀市では65歳未満は自費で、65歳以上は1万円で、PCR検査を受けられます
『抗体検査』は現時点での感染の有無が分かる検査ではありません。
無症状だけれどもPCR検査を受けたい、という方は多いと思います。
そこで横須賀市ではPCR検査を自費で受けられる仕組みを行なっています。
他のまちではなかなかPCR検査を受けたい時に受けられる医療機関がありませんが、横須賀市では医師会のご協力のおかげで8月から『無症状の方を対象とした自由診療によるPCR検査を実施する医療機関』がスタートしました。
さらに11月臨時議会での第8次補正予算が可決されて、65歳以上の方は『PCR検査』を自己負担1万円で、『抗原定量検査』は自己負担1500円で受けられるようになりました。
(生活保護世帯の方はどちらも無料です)
検査費用が高いのでなかなか気軽には受けられませんが、コロナ禍においてご高齢の方の外出控えがとても増えています。
要支援だった方が要介護へ、要介護だった方の介護度がより重くなり、認知症が進んでしまった方もたくさんいらっしゃいます。
コロナには感染しなかったけれども、心身の具合がとても悪くなってしまった、ということが起こりつつあります。
だからどうかうまく検査を活用していただいて、現在はしっかり感染防護がなされるようになった介護予防教室やデイサービスなどに以前のように通っていただけたらと願っています。
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とは言いつつも、感染者数は全国で増えています。
どうかみなさま、引き続き、マスク・手洗い・こまめな換気などの感染防護の取り組みを続けて下さいね。
みんなでコロナ禍を乗り越えられますように心から祈っています。