LGBTに対する十分な配慮を「横須賀市国土強靭化地域計画」に盛り込みました!
本日4月2日、完成した『横須賀市国土強靭化地域計画』が全議員宛に配られました。
国土強靭化地域計画は、自然災害の最悪の事態を想定して、命を守り被害を最小化する為の計画です。
- 社会経済システムの強靭化
- 災害予防
- 迅速な復旧・復興体制の整備
- 応急体制整備
これまで長い議論を経て、国の計画・県の計画が策定されて、横須賀市では2020年度の1年間をかけて策定しました。
さっそくページをめくると、フジノの提案が盛り込まれていました。
『国土強靭化地域計画』の基本的な方針にセクシュアルマイノリティへの視点を盛り込むべき、という提案がしっかり盛り込まれていました。
その部分を書き出してみますね。
(4)地域の特性に応じた施策の推進
・各地域において強靱化を推進する担い手が適切に活動できる環境整備に努める。
・女性、子ども、高齢者、障害者、外国人、LGBT等に十分配慮した施策を講ずる。
・地域の特性に応じて、環境との調和及び景観の維持に配慮するとともに、自然環境の有する多様な機能を活用するなど、自然との共生を図った施策を推進する。
※LGBTとは
本計画では、性的マイノリティの呼称として認知度が高いとされる「LGBT」を使用しています。
L=レズビアン(女性同性愛者)、G=ゲイ(男性同性愛者)、B=バイセクシュアル(両性愛者)、T=トランスジェンダー(体の性別と心の性別が異なる人やそのことに違和感がある人)
フジノが提案する前の、パブリックコメント手続きによる市民のみなさまからの意見募集に使われた計画案は下のようになっていました。
単語が1つ加えられただけ、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、行政側にも、いわゆる性的マイノリティ当事者のみなさまの側にも、『十分に配慮しなければならない視点』として明確化されたはずです。
逆に、この単語1つが無かったとして、行政側も当事者のみなさまの側も「性的マイノリティに対する十分な配慮が国土強靭化地域計画には必要だ」と意識できたでしょうか?
この単語が無かったら、明確に意識することはできたでしょうか?
対象が明確に記されるということは大切です。
よく言われるような「この『等』に含まれているから良い」では全く足りないのです。
そして『国土強靭化地域計画』は横須賀市の未来にとって重要な計画です。
性的な多様性の視点が盛り込まれるか否かは、将来の当事者のみなさまにも大きく影響を及ぼします。
また、ジェンダー・セクシュアリティは一部の方々の問題などではなく、全ての人々に関わりのある事柄です。
だからこそ、全ての人々を守る為には、この取り組みに性的な多様性の観点が盛り込まれなければならないのです。
2021年の現在を生きるフジノは「このまちで将来を生きるみなさまに対する責任を果たさねばならない」と強く意識してこの計画づくりに臨んできました。
今回の提案に限らず、計画づくりの中では、いわゆる性的マイノリティ当事者のみなさまだけでなく、全ての人々にとって意味のある提案をしてきたつもりです。
たった1つの単語を加えただけ、に見えるこの提案は、実は、将来にわたって全ての人々にとってポジティブな影響をもたらすはずだとフジノは自負しています。
2020年12月4日の生活環境常任委員会でのフジノの提案
これまでの経緯を少しだけご紹介します。
1年間かけて原案を策定した『横須賀市防災会議』の場では、性的な多様性についての議論はありませんでした。
また昨年12月1日、『横須賀市国土強靭化地域計画』について市民のみなさまからご意見を頂くパブリックコメント手続きが終わりました。
その結果、2件のご意見をいただきました。
しかし、性的な多様性についてのご意見はありませんでした。
そこでフジノは、12月4日に開かれた生活環境常任委員会の場で提案をすることにしたのです。
下に質疑応答を掲載します。
Q.フジノの質問
『横須賀市国土強靭化地域計画(案)』について1点伺います。
まず「計画づくりは国庫補助獲得に欠かせないものなのでぜひがんばってほしい」と申し上げてきたこともありますが、タイトなスケジュールの中、コロナ禍での本来業務に追われつつ、あらゆる部局のみなさんとともに、危機管理課を中心に策定作業に御尽力いただいたことにまず心から感謝申し上げます。
1点、提案があります。
具体的な内容は『地域の特性に応じた施策の推進』の2項目になります。
こちらに「女性、高齢者、子ども、障害者、外国人等に十分配慮した施策を講ずる。」とあります。
これはかねてから防災部局である危機管理課の表現として、よく一般的に見られるものなのですが、ぜひここにセクシュアルマイノリティを含めていただけないかという提案です。
国土強靭化にせっかく取り組むのであれば、今後はあらゆるインフラの長寿命化などを、ジェンダー・セクシュアリティの観点をはじめから組み込んで、対応を行なっていただくことが有効かと思います。
加えて、ここ数年間繰り返し質疑をしてまいりましたが、当事者のみなさんは、この『等』に自分たちが含まれているという気がしないという主張もされてこられました。
自らが忘れ去られているのではないかとおっしゃっています。
実際のところは、当事者のみなさんとの意見交換会を来年1月にも危機管理課も含めて行なっていただくので、決して忘れているということはないのですが、やはり文字として明記されているのとそうでないのとでは当事者のみなさんに与える影響、受け止め方というのは大きく違うと思います。
この点について要望するものですが、御所見をいただけたらと思います。
A.市民部長の答弁
前段、藤野委員が御説明いただいたように、防災部局だけ、旧市長室とか旧市民安全部だったら、そういう御意見を承って「検討します」というお答えで終わっただろうと思うのですが、今年から市民部が防災部局になりましたのでしっかり受け止めたいと思います。
具体的にどこまで記述するかは、少し考えさせていただきますが、我々、先日の決算審査でもお伝えしたとおり、市民部は大きく役割が3つある。
そのうちに援護系、困っている人を助ける。
それが防災も防犯も、人権も全て援護というところに集約されるのだというお話をしたかと思いますが、援護を標榜する役所の中の唯一の部としてふさわしい記載にしたいと思います。
どのような記載になるかは少し、最終形で防災会議に諮る際までに考えさせていただきますが、本日は御意見しっかり受け止めます。
答弁をしてくれた市民部長は、4月1日付けで異動により市民部を離れました。
また、国土強靭化地域計画の担当部署である危機管理課の課長も異動となりました。
前・市民部長も、前・危機管理課長も、激甚化する災害対策(特に昨年来はコロナ禍での複合災害対策)に対してともに闘った仲間という想いをフジノは抱いており、異動は本当に残念でなりません。
その為、フジノにとって国土強靭化地域計画のキーパーソンのおふたりからの(異動前の)最後のプレゼントだったように感じました。
(参考)国土強靭化地域計画とは
【趣旨】
2011年に発生した東日本大震災を踏まえ、いかなる災害が発生しようとも、最悪の事態にならないよう災害に強い社会を平時から作ることを目的に、2014年に国は「国土強靱化基本計画」を閣議決定しました。
神奈川県が国の動きに合わせ、2017年に神奈川県国土強靱化地域計画(以下「県地域計画」という)を策定したことを受け、本市は2020年度、横須賀市国土強靱化地域計画(以下「市地域計画」という)を策定しました。
【概要】
(1)構成
市地域計画が調和を図るべき県地域計画には、4つの「基本目標」と8つの「事前に備えるべき目標」が設定されています。
そして、この目標を実現する為に、40 の「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)が設定され、シナリオごとに現在の施策の状況を評価しています。
これを「脆弱性評価」と呼び、脆弱性評価の結果に基づいて、今後の施策の方針を決定していくという構成になっています。
基本的に、市地域計画も同様の構成です。
(2)市地域計画の目標とリスクシナリオ
目標については、県地域計画と同様とし、リスクシナリオについては本市では考慮する必要がないものを除いた32項目とし、施策を検討してきました。