アイクルで「電力の地産地消」が2022年2月からスタート
今日は、横須賀市による『電力の地産地消』についてお話ししたいと思います。
あなたはリサイクルプラザ「アイクル」を知っていますか?
市民のみなさまが分別して下さったごみを再利用する為のリサイクル施設です。
市内の小学生は4年生になると必ずここを訪れてリサイクルについて学ぶ、大切な学びの場でもあります。また、市民のみなさまの見学もふだんから受け入れていて、ごみを減らして資源を大切にすることを教えてくれる場所なんです。
さて、そんなリサイクルプラザ「アイクル」で使われている電気は、どこから来ていると思いますか?
「アイクル」では1年間に約247万kWhの電気が必要です。
実はこの電気、同じく市内にあるごみ処理施設「エコミル」で作られているんです。
「エコミル」では、ごみを高温で焼却しています。その時に出る熱を利用して、発電機を回して電気を作っています。
発電される電気は1年間に約3,239万kWhにものぼります。この電気を2022年2月から「アイクル」で使うことになりました。
(*より正確に説明すると、「エコミル」で発電した電気を送電線で直接「アイクル」に送っているのではなくて、小売電気事業者(日立造船株式会社)に売却しています。「アイクル」はこの小売電気事業者から電気を購入しています。この仕組みを「電力の地産地消」と一般的に呼んでいます)
税金を節約できるようになります
これまでは電力会社から「アイクル」に必要な電気を市民のみなさまの税金で買っていました。
けれども、これからは市民のみなさまが排出したごみをもとに電気を作るので、電力会社から電気を買う必要がありませんので税金を大きく節約できるようになりました。
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さらにメリット(良いこと)があります。
『電力の地産地消』とは、自分たちの住んでいる地域で作ったものを自分たちで消費することです。例えば、あなたのうちの屋根につけてあるソーラー発電もそのひとつです。
そうすると、遠くの原子力発電所からわざわざ電気を送る必要がなくなります。遠くから電気を送ると途中でロスをしてしまったり、とても長い送電線は壊れたりするリスクがありますが、電力の地産地消によってそうしたリスクも減らすことができます。
東日本大震災の時には計画停電など日本中が電力の不足に苦しみました。電力の地産地消が進むと、ある地域で大きな災害が起こっても別の地域が停電するというようなことは起こりにくくなります。
また、地域で停電が起こっても、ソーラー発電や電気自動車などの蓄電池があるとおうちではそのまま電気を使うことができることもあります。
「アイクル」はこうした『電力の地産地消』への大切な第一歩なのです。ぜひ注目していて下さいね。
二酸化炭素を年間964トン削減できる見込み
さらに「エコミル」で作った電気には、もう1つ大きなメリットがあります。
それは、二酸化炭素排出ゼロという扱いになっていることです。二酸化炭素というのは、石油や石炭などの化石燃料を燃やすときに出るガスです。このガスが大量に空気中に増えると、温暖化の原因になります。
しかし、廃棄物を燃やして作った電気はバイオマス発電という『再生可能エネルギー』に分類されており、二酸化炭素の排出はゼロ、という扱いになっています。
その為、「エコミル」で発電した二酸化炭素ゼロの電気を使うと「アイクル」では1年間に約964トンの二酸化炭素を削減できる見込みです。
つまり、環境にも優しい電気を「アイクル」は使っているんです。
リサイクルプラザ「アイクル」は、ごみを減らして資源を大切にするだけでなく、ごみから作った電力の地産地消をすることで、二酸化炭素を減らす取り組みもしているのです。
どうかあなたもぜひお時間のある時に「アイクル」に見学に行ってみて下さい。
リサイクルの大切さをぜひ感じていただけたらと願っています。
横須賀市の公共施設全てでの「電力の地産地消」をめざします
上にも記しましたが、『電力の地産地消』が全国で進むことで良いことがたくさん起こります。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を体験したフジノは、『電力の地産地消』が日本全国に進んでほしいと強く願っています。
その為にはまず横須賀市が完全に『電力の地産地消』を実現しなければなりません。
「アイクル」への「エコミル」で発電した電力の導入はその大切な第一歩ですが、さらに横須賀市内の公共施設全てへの導入が不可欠です。
そんな立場から、下のような質疑を行ないました。
さらに『エコミル』のような大規模なごみ焼却施設での発電だけでなくて、全ての公共施設の屋根や市民のみなさまのおうちの屋根にソーラー発電が設置されるようになることを強く期待しています。
2022年3月8日・生活環境常任委員会での質疑
フジノの質問
続いて、ゼロカーボンシティと資源循環部の取組の観点から伺います。
横須賀ごみ処理施設余剰電力売却収入に関連して伺います。(中略)
『横須賀再興プラン2022~2025』素案を見ると『未来につなぐ環境の保全・創出』という柱の中で、施策として『市役所の脱炭素化の推進』が掲げられています。
具体的な取り組みとして、「横須賀ごみ処理施設(エコミル)でのごみ焼却時に発電した電気は、施設内で自家消費後、余剰分を売却していましたが」、この予算に出ている金額です、それを「今後エネルギーの地産地消に向けて他の公共施設へ供給するなど、公共施設の温室効果ガス排出量の削減を図ります」と明記されています。
昨年9月定例議会の決算審査でも「まずは試行的にエコミルで発電した電気を同じ資源循環部内のアイクルで使ってみたい」という御答弁がありました。
新年度予算案に計上されているこのエコミルでの売却収入というのは、電気の地産地消を実施した上での予算計上となっているのでしょうか。
逆に言うと、新年度、本市内の公共施設にエコミルの電気を使うのかどうか、お聞かせください。
広域処理センター所長の答弁
今、言っていただきましたように、今度は地産地消という側面で努力していく所存でございます。
まず部内のアイクルにということでございますが、こちらはエコミルで発電した電力をそのままアイクルに使わせるということではございませんで、いったん従前と同じように業者に売って、それをその後アイクルに回してもらうということで、結果的にはエコミルで発電したものをアイクルで使うというところの地産地消の構図でございます。
ですから、令和4年度予算につきましては、変化が無いものでございます。
フジノの質問
エコミルで発電をした電気を売って、その収入をもってアイクルは電気を購入するという答弁がありました。
そこで確認をしたいのですが、アイクルが購入することになる電力というのは、いわゆるPPS、また原子力発電所や石炭火力発電所が発電したものではないクリーンな電力ということでよろしいのでしょうか。
お聞かせください。
広域処理センター所長の答弁
私どもがエコミルで発電し、売った電気がアイクルのほうに回ると聞いております。
フジノの質問
市民の方にも、そして僕の為にも、いったん分かりやすくご説明していただきたいのですが、
厳密にはエコミルで発電した電気が買取りされて、その電気そのものがアイクルで使われるわけではなくて、その収入をもって、資源循環部の予算をもってアイクルで電気を購入することになると思うのですけれども、
それはいわゆるクリーンエネルギー、バイオマスなどの発電によって発電されたと特定される電気を電力会社から購入するということでよろしいのでしょうか。
広域処理センター所長の答弁
優先権と申しますか、私どもがお売りした業者がその電気をアイクルのほうに優先的に供給するというルールになっているそうでございます。
フジノの質問
ということは『電気の地産地消』ということが実現するのかと思います。
これを全市的に広げていくに当たってのまずスタートが資源循環部内での取組と伺っておりますが、2022年度はアイクルのみでのスタートになるのでしょうか。
それとも一定程度取組を行っているので、全市的に広げていくという方向なのでしょうか。
お聞かせ下さい。
広域処理センター所長の答弁
今のところは、アイクルのみと聞いております。
フジノの質問
これから全市的に広げていく上での大変重要な試行的取り組みとなると思いますので、その取り組みの成果を、全市に導入が実現できるように周知をぜひしていっていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。