母乳バンクを見学しました
日本には母乳バンクがわずか2か所しか存在しません。
その1つが今年4月にオープンした『日本財団母乳バンク』です。
一般質問前日のフジノは、こちらの『日本財団母乳バンク』を見学してきました。
母乳バンクについては何年も前から学んできましたのでどんな取り組みがなされているかは把握していました。
けれども本会議で市長へ質問するにあたって、やっぱり現地で現場の空気を体感していなければ説得力のある質問ができないと感じました。
そこで、横須賀にも訪問して下さった神奈川リトルベビーサークル『pena』代表の坂上彩さんにお願いをして、日本財団母乳バンクにつないでいただきました。
日本財団母乳バンクでは田中麻里常務理事に無理を聞いていただいて、お忙しい中、一般質問の前に訪問したいというフジノのお願いを叶えていただきました。
本当におふたりには心から感謝しています。ありがとうございました。
最低でも47都道府県に1か所、本来は全市町村に1か所必要!
明日の一般質問の準備がまだ終わっていないので、このブログでの母乳バンクの役割などの詳しい説明は割愛して、公式サイトにお任せしてしまいます。
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それでもどうしても書いておきたいことが2つあります。
それは今回の一般質問の内容を大きく超えた願望、言うならば『フジノの夢』についてです。
1.母乳バンクが全く足りない。最低でも47都道府県に1か所、本来は2次医療圏ごとに1か所、理想をいえば各市町村に1か所体制を作りたい!
現在は、母乳バンクは全国にわずか2か所しかありません。どちらも東京・日本橋にあります。
これでは全国の必要な赤ちゃんに届けることが難しいです。例えば、首都直下型地震が起こったら、ドナーミルクを提供できなくなります。
余った母乳を提供してくださるママたち(ドナー)の登録をする為には問診と検査が必要なのですが、その為の施設(登録施設)があまりにも足りていません。
そのせいでドナー登録をしたいのに、数少ない登録施設の順番待ちをしている間に母乳が出なくなってしまうこともしばしば起こります。本来は届けられるはずのドナーミルクが届けられなくなります。
だからフジノは言いたいのです。
国が責任をもって母乳バンクを全ての都道府県に最低1か所は設置すべきです。本来ならば、2次医療圏に1か所は作るべき。理想を言うならば、各市町村に1か所設置してほしいです。
しかも可能な限り早く!
日本にはびこる呪い=「自母乳神話」を終わらせたい
2.「自分の赤ちゃんは自分の母乳じゃなきゃダメ」という呪いからママを解放する為にも母乳バンクを圧倒的に普及させたい!
フジノが母乳バンクを知ったのは、2009年くらいだったでしょうか。
HTLV-1という治療法が今も未解明の感染症があります。このHTLV-1を撲滅することは、フジノのライフワークの1つなのです。
感染ルートの研究は進んでいて、赤ちゃんが母乳をのむことで感染をする『母子感染』、性行為による『水平感染』の2つがあるのですが、HTLV-1の場合は『母子感染』の多さが知られています。
そこで赤ちゃんには母乳をのませずに、人工栄養(人工乳)によって育てることで感染を防止するのです。
人工乳だけ与えろ、と言うのはカンタンです。
けれどもキャリアママはとても深く傷ついておられます。自らの母乳で育てたいのです。もちろん母親としての本能から。
でも、本能以上に強烈にママを苦しめているのは、まわりの心無い言葉です。
「赤ちゃんは母乳で育てなきゃダメ」
という呪いの言葉がメディアにも家族にも地域にもあふれているからです。
それができない事情のあるママのことを、事情を知らないまわりの人間(家族も含む)は笑顔を浮かべながら心をえぐる言葉で責めて傷つけているのです。
「赤ちゃんは母乳で育てなきゃ」と。
キャリアママにアンケートを取ると多くの方々が人工栄養に違和感を抱いておられる。でも自母乳では母子感染を起こしてしまう。
フジノは「自母乳でもなく、人工栄養でもない、なにか別の方法は無いのだろうか」と文献をあたりました。
そんな時に、海外では母乳バンクが100年も前から設立されていることを知りました(当時、日本には母乳バンクは1か所もありませんでした)。
きちんと管理された、ドナーミルク。
さらに調べていくと、昔から日本には『もらい乳』という文化があることが分かりました。これは文献にもハッキリと記録が残っていて、赤ちゃんを地域社会全体で育てるもの、出産後に母乳が出ない産婦のかわりに母乳が出る人がお乳をあげてきたのです。
そもそも『乳母』という単語が日本にはありますよね。
そんなわが国なのに、いつからか、自母乳以外はダメな母親みたいな烙印を押す、まちがった方向に進んでしまいました。
当時、母乳バンクを初めて知った時の僕は、
「もしも日本に母乳バンクが設立されたらHTLV-1のように母子感染してしまうから自母乳を与えられずに悩み苦しんでいるお母さんを少しラクな気持ちにできないだろうか」
と思うようになりました。
さらに、フジノが人生をかけて取り組んでいる自殺対策の中で、産後うつが非常に重要であることが知られるようになりました。
その時も、母乳がうまく出ないことで苦しむお母さんが本当にたくさん居ること、そしてまわりの心無い言葉によって深く傷つけられて産後うつに追い込まれている原因の1つとなっていることを知りました。
その時もやはり「母乳バンクが当たり前のものになれば、かつてのわが国の文化=赤ちゃんは地域社会みんなの力で育てていく、自母乳の呪いを終わりにできるのではないか」と強く感じるようになりました。
2022年現在のわが国では、母乳バンクは2か所しかなく、年間5000人のニーズがあるもののドナーミルクは足りていない、というのが現状です。
この年間5000人のニーズとは、早産で生まれた赤ちゃん、極低出生体重児とされる小さく生まれた赤ちゃんのみの人数です。
いつか、母乳バンクが全ての市町村に設置されて、豊富なドナーミルクが集まる時代が来たならば、早産・極低出生体重児ではなくて正期産の赤ちゃんにもドナーミルクをふつうのこととして提供できるようになるかもしれません。
だからこそ、改めて強く願います。
母乳バンクを圧倒的なスピードで全国に普及させて、ドナーミルクを赤ちゃんにのませてあげることに罪悪感など一切感じない当たり前の行為に変えていきたい!
そんなフジノの夢を実現する為にも、まずは目の前の現実を一歩でも前に進めていかねば、と思います。
まずは明日の市長への一般質問、全力を尽くしてきます。