保育中の命を守る補助具としてICTを活用します
本日、福祉こども部長から全議員宛に下の報告がなされました。
横須賀市立保育園・こども園での ICT 導入について
令和4年10月より、横須賀市立保育園・こども園8施設で、「午睡見守りシステム」と「事務補助ツール」が導入されます。
「午睡見守りシステム」では、低年齢児のお子様の午睡時に、センサーを衣服などに取り付けることで、5分~10分間隔で体動や呼吸の有無、体の向きなどをチェックし、危険アラートが鳴ることで、突然死などの危険を防止します。
必ず保育士も同じ間隔で触診などの確認もしていますが、センサーとタブレットでサポートすることで、その確認の強化と安全性の向上を図ります。
(以下、省略)
今年2月、2021年度補正予算として可決されたものが、実際に導入される運びとなりました。
具体的なしくみは下の画像のとおりです(補正予算の説明資料です)。
センサーを赤ちゃんの肌着にとりつけます。
うつぶせ寝になったり、体の動きが停止してしまったりすると、保育士さんの手元にあるiPadに警報と光で通知される、という仕組みです。
全国的に保育の人材確保が極めて困難な中で、保育士のみなさんの力だけでなく、ICTの力を使って、安全確保のサポートをしてもらうのはとても有効だとフジノは考えています。
これによって、保育園・こども園に通うお子さんたちには安全を、お子さんの保護者のみなさんには安心を、そして保育士のみなさんにはより良い保育を、それぞれに提供できることになればと願っています。
公立だけでなく、保育ママや私立保育園・こども園にも導入すべき
今回の導入そのものはとても良いことだと評価しています。
しかしその一方で市立保育園・こども園の合計8園のみの導入に過ぎません。
保育ママには導入されず、また私立保育園・こども園などにも補助が無く対応しておらず、フジノとしては極めて不十分だと考えています。
2010年、保育ママ利用中にわずか4ヶ月の須田颯生ちゃんが亡くなる事件が起こりました。
喪われた命は決して戻ることはありません。
しかし、その死をもとに、政治・行政は絶対に同じ悲劇を繰り返さない努力を続けていかねばなりません。
そしてフジノは『保育の質』を高める為の提案を繰り返し行なってきました。
保育の人材確保が極めて難しい中で、新たな手段としてICTを活用することが全国で行われるようになっており、それはとても有効だとフジノは考えています。
本来であれば、保育に関わる全ての施設に対して国が午睡見守りシステムなどの導入を義務化するとともに費用負担も全額補助するなどの劇的な取り組みを行えば良いのに、とずっと願ってきました。
こうした国の義務化の動きは無い中で、財政の厳しい横須賀市としては少しずつ取り組みを進めてくるしかありませんでした。
今回の8園への導入費用は570万円だったのですが、国の補助があって初めて実現しています(ランニングコストについては補助はありません)。
先に記したとおり、2010年に横須賀市では保育ママ利用中の4ヶ月の須田颯生ちゃんが亡くなるという、とても悲しい事件がありました。
10年を経て、ようやく裁判は和解となりました。
その和解条項を横須賀市に果たしてもらうべく、昨年3月の本会議でフジノは上地市長に、亡くなった4ヶ月の赤ちゃんのご遺族に対して遺憾の意を表してもらいました。
また、和解条項の2番目である「今後の保育事業において、保育する乳幼児の安全に最大限の注意義務を尽くすよう努力すること」についても具体的な対応を求めたところ、上地市長からは
「本市においては今後も保育の安全の向上に向け、これまで取り組んできた事項については改善すべきことは改善した上で、継続して取り組みつつ、ハード面・ソフト面での両面からさらなる保育の安全の向上に努めていきたいと思います」
との答弁を受けました。
来月からスタートするこの『午睡見守りシステム』の導入は、まさに上地市長が答弁を実現させてくれたものです。
上地市長はフジノと当選同期の市議会議員でしたから、須田颯生ちゃんが亡くなったと知らされた時にともにショックを受けたことを憶えています。
そして、赤ちゃんを失ったお母さんの悲しみも深く理解しようと努めています(他者の痛みを完全に理解することはできませんが、少なくとも理解しようと努力し続けています)。
上地市長と、いや、個人としての上地さんと僕とはよくこんな話をしたものです。
「政治は、犠牲が出て初めて動く。本当に残念だ。おれたちは犠牲が出る前に動く政治家であろうな」と。
しかしこの事件に関しては、残念ながら起こってしまった。
あれから12年が経って、市職員も市議会議員も大幅に入れ替わり、その悲劇を目の当たりにした人は減りました。
けれども上地さんも僕も、あの衝撃を憶えているし、こんな悲しさや苦しさを2度と誰にも体験させてはならないと強く感じているし、絶対に風化させません。
その為にやれることを全てやっていく、それが僕たちの使命だと自覚しています。