開催回数が少なすぎる、ひきこもり支援連携協議会
本日『ひきこもり支援連携協議会』が開かれました。
医療・福祉・教育など、ひきこもり支援に関連する分野の関係機関が連携を強化し、ひきこもりの要因・年齢層等に応じたひきこもりの支援を検討する為に、2022年度から設置されました。
(昨年度の議事録はこちら)。
いわゆる『ひきこもり』の状態にあるとされる横須賀市内にお住まいの方は、このように推計されています。
- 15〜39歳1,414人
- 40〜64歳1,906人
一刻も早くあらゆる支援策にのりだすべき重要な課題です。
しかし、その司令塔的存在であるこの協議会はわずか年1回の開催なので、2023年度は今回限りとなります。
年1回では何の議論も意思決定もできません。
開催回数を圧倒的に増やすべきです。
担当課によると来年度から2回に増やすべく予算要求をしているとのことでしたが、フジノは「2回でも少ない」と考えています。
下にも書きますが、全体会(=現在の協議会)は年2回でも構いませんが、年齢や属性に応じた分科会や部会を設置すべきだと考えており、分科会や部会は必要に応じて何度でも開催して議論すべきだと強く訴えたいです。
年齢や属性ごとの「分科会」を設置し深い議論をすべきだ
事前の開催告知で、会議の時間がわずか1時間半と短いことに驚かされました。
しかし実際に傍聴してみると議論も低調で、予定の1時間半で十分だったと率直に感じてしまいました。
その一番の原因は、それぞれの委員ごとに支援している相手が全く異なるのに『ひきこもり』という単語で議論をしてしまっていることだとフジノは受け止めました。
『ひきこもり』とされる状態は、年齢や属性によって全く異なります。
委員によって支援している対象は異なり、こどもであったり、大人であったり、また、支援の方法も居場所づくりであったり就労支援であったりと様々です。
対象を厳密に表明しないまま、それぞれが頭に思い描いている対象がみんな異なっているのにバラバラなまま発言されるので、一体どの年齢層や属性の方々について話しているのか、意見がとっちらかっていました。
とても残念でした。
(例えば情報発信力を高めることが話題になりました。ある委員はホームページで積極的に発信する必要性を力説し、別の委員は高齢の方は紙媒体こそ不可欠なので紙媒体でこそ発信すべきだと述べました。学齢期〜中高年にはネットやSNSで、中高年〜高齢者には紙媒体で、というようにターゲットによって発信媒体を使い分けるのは当然で、紙もネットもどちらも大切なのははじめから言うまでもありません)
だからこそフジノは昨年6月議会の本会議で「協議会の中に年齢層や属性で分科会や部会を設置して議論を進めるべきだ」と提案をしてきたのです。
少なくとも3つの分科会や部会を設置すべきです。
(1)こどもたち
→横須賀市の小中学生の不登校ひきこもりは1,000人を超えており、極めて深刻な状態。
(2)中高年の方々
→中高年でひきこもりの状態にある方々は約2,000人と非常に多く、支援にはこども以上に年単位の時間が必要なことから、喫緊の課題。8050問題としての側面もあり、家族支援も重要。
(3)ひきこもり状態にある主婦
→ひきこもり状態にある主婦が増えているとの調査結果があり国も支援に乗り出すと表明している。しかし上の2つとは別の観点から独自の施策を打つ必要がある。
3つに共通した対応策や支援策もあるとは思いますが、それ以上にそれぞれの年齢層や属性に応じた対応策や支援策があるとフジノは考えています。
例えば、ピア(いわゆる当事者仲間)や安心できる居場所の存在や家族への支援は年齢や属性を問わず全ての方に必要だと思いますが、ファイナンシャル・プランナーによる支援は中高年ひきこもりの方に特化したものでこどもには不要です。
それぞれの年齢層や属性に応じた支援策を考えなければ、全く届かないと思います。
本来この協議会を設置した目的は「ひきこもりの要因・年齢層等に応じたひきこもりの支援を検討する為」だったはずなのに、全く目的とずれた議論が続いてしまっていることが残念でなりません。
(そもそもフジノは「いわゆる『ひきこもり』とされる状態の方々への支援は個人個人で全く異なるオーダーメイドでなければならない」と考えています。おひとりおひとり人生は全く異なる以上、その背景も全く異なるからです。ただ、オーダーメイドのサポートの前提として、年齢層や属性で大きな取り組みを打つことが必要だとも考えています)
唯一良かったことは「ケアマネージャーの参加」が実現したこと
ここまで厳しく批判してきましたが、良かったことも1つだけありました!
フジノは6期目の選挙で8050問題に積極的に取り組むことを市民のみなさまとお約束しました。
すでにこどもたちの不登校ひきこもりに取り組んでいる議員はたくさんいます。だから、誰も取り組もうとしない、中高年ひきこもりの方々の支援にフジノは取り組むのです。
再選されて最初の本会議(2023年6月議会)で、中高年ひきこもりについて取り上げました。
そして「ファイナンシャルプランナーやケアマネージャーをひきこもり支援連携協議会のメンバーに加えるべき」などいくつもの提案をしました。
その結果、今日の協議会ではオブザーバーという形で新たにケアマネージャーの方に参加していただきました。
何故に正式メンバーではないのかは不明ですが、フジノの提案が部分的に実現した形となりました。
そして、ケアマネージャーのみなさんが現場で遭遇するいわゆる中高年のひきこもりの方々についてのお話をして下さいました。また、家族支援をしたくても現在のままではほとんど支援につながらない現状もお話しいただきました。
大きな前進です!
●
こうして1時間半の協議会が終わりました。
終了後、事務局トップである保健所長はじめ、委員の方々に議論の進め方や方向性についてフジノの意見をお伝えさせていただきました。
来年度からは、今この瞬間苦しんでいる人に届くような議論を本気で進めてほしいと強く願っています。
唯一の支援策は「生きたい」と感じてもらえる取り組みではないか
改めてフジノの基本的な考えを記しておきたいと思うのです。
フジノは、中高年ひきこもりに対して魔法のような解決策は無い、と考えています。
これまで20年以上もひきこもりの状態にあった40〜60代の方々に、ほとんどの自治体がやっている、望まない就労支援を押し付けることは間違っている、と考えています。
今日の協議会でも「自分の施設に通うメンバーのうち何人が就労した」と自慢げに語る支援者の立場の委員がいましたが、フジノは「それは全く違う」と感じました。
就労がゴールじゃない。
就労してそこに喜びを見出したり「生きたい」と感じられたならそれは良いことかもしれない。
けれども、就労がその人にとって生き地獄ならば、ひきこもり状態の方がフジノは正しいと考えます。
フジノが考えるゴールは、
ひきこもりの状態で暮らしていて、いま生きづらさを感じていたり、このままの状態が続くことに不安や恐怖を感じているならば、それを取り除くこと。
この1点だけだと考えています。
一番は親亡き後の経済的な不安が最も大きいのではないかとフジノは考えていることから、だからファイナンシャルプランナーを横須賀市独自に配置して、中高年ひきこもりの方が暮らしているご家庭に派遣すべきだと訴えています。
親の資産を総ざらいしたら、いつまで自分はこのままの暮らしができるのかを明確にするのです。
その後はどうすれば安心して生き続けていかれるのかを、具体的な支援策をファイナンシャルプランナーの視点から一緒に考えていくのです。
フジノは、無理やり就労させることは支援でも何でも無いと考えています。
まずは、経済的な不安が解消できるのか、安心して今の暮らしを続けられるのか、その答えを明確にすることが大切だと考えています。
つまり、生きづらさを感じずに生き続けてほしい、それだけがフジノの求める支援策です。
生きたいと感じてもらえる為の支援をしたいのです。
今日はその第一歩に向けて少しだけ前進したと感じられた協議会でした。
●
これからもしつこく提案を続けていきます。