2007年3月議会での質疑をご紹介します
2007年予算議会での質疑をご紹介します。
この頃のフジノは、人間の社会保障・社会福祉の為の財源を確保することばかりに気持ちが囚われていました。
外来種であるアライグマなどは人間が持ち込んだものであるのに、『殺処分』にかかるコストを削減できないかという道を探していました。
2015年現在、フジノはこう考えています。
- 外来種であろうがどんな動物であろうが、いのちは守られるべきだということ。
- 特に、『家族としての動物』に限らず、殺処分ゼロを目指していくべきこと。
- どうにもならない理由で殺処分をせざるをえない場合は、可能な限り苦しみを伴わない方法をとるべきこと。
この質疑をふりかえるとフジノは過去の自分自身を恥ずかしくてたまりません。事実は事実でフジノがこうした質疑を行なったことは変わりません。
けれども実はこの質疑の後、質疑を見た市民の方々からたくさんのアドバイスを頂いて、たくさんの現場を見て回った中で、質疑の方向が大きく変わっていくことになるきっかけとなった質疑でした。
教育経済常任委員会(2007年03月08日)での質疑
フジノの質問
農林水産課に質問いたします。
農業振興推進事業費の有害鳥獣対策事業の中の、特に『アライグマの殺処分』について何点か伺います。
今回の『アライグマの殺処分の方法』を決定した経緯をもう1度確認したいのです。
本市では『炭酸ガスによる窒息死』ではなくて、『獣医師による麻酔薬を用いた処分』をこれまでも行なってきて、それから処分場をつくるに際しても、同じように『麻酔薬による処分』を行う方針に決定されていると思うのですが、これまでのその方針に決定した経緯を簡単に教えていただけますか。
農林水産課長の答弁
平成11年までは県が行なっておりまして、平成12年から横須賀市が県から許可権限を受けて行なっております。
そのときから、すでに『外来生物法』にありますように、とにかく苦痛を伴わない処分の仕方ということで、当初から他の殺処分は考えていなかったようです。
獣医師を恐らく平成11年度あたりに、平成12年から来るから探したのではなかろうかと思います。
そこで今の獣医師の方が受けていただけるという話があって、愛護団体からも要請があったのかもしれませんが、炭酸ガス処分は考えていなかった。そのまま継続しております。
フジノの質問
命にかかわる話にコストのことを持ち込むのは、本来は許されないとは思うのですが、あえて質問したいと思います。
実は、僕自身炭酸ガスによる処分を実際に見たことがあって、本来的にはものすごく苦しむものだというのはよく理解しているのです。
ただ、『外来生物法』を改めて読んでみたときに、基本方針では、できる限り苦痛を与えない適切な方法で行うものと記されているだけで、具体的な方法は特に示されてはいないのです。
研究者の中でも意見が分かれていて、炭酸ガスを利用することに積極的な研究者もいて、こういう意見も言っているのです。
炭酸ガスには麻酔、鎮痛の役割があり、1~2分間で意識を失って、約10分で死に至る。適切なガスの使用をすれば苦しみも少なく、決してむごい殺処分法とは言い切れない。
自分が見た炭酸ガスによる殺処分は、もだえ苦しんでとてもこの言葉のとおりとは思えないのですが、もしこの見解が本当で、適切に使えば苦しみがなく倫理的に悪と言い切れないのであれば、コスト面を見て『麻酔による殺処分』と『炭酸ガスによる殺処分』を比較検討してもいいかと思うのです。
そこで伺いたいのですが、経済部では、『麻酔による処分』と『炭酸ガスによる処分』のそれぞれのコストを計算したことはございますか。
農林水産課長の答弁
先ほどから申しましたように、『炭酸ガス処分』は考えておりませんが、実は、今の獣医師がお体が少し悪い時期があって、御高齢なのでいろいろな検討もしました。
急遽、もしもその先生が倒れられたら今どうにもならないので、処分はいっときも休めませんから、そういうときは当然議会なり愛護団体に御説明をさせていただいてということは前提にありますが、そこで、実は葉山に業者がいましたので、昨年の夏から秋ごろにかけて聞きましたところ、5,000円でよろしいという話がありました。
今、本市は、先生には1頭につきまして8,000円で委託しております。そういう単純な比較は、処分だけはそのとおりになりますが、例えば近隣他都市で『炭酸ガス』で行っているところはあります。そこのところは、頭数が本市は多いからかもしれませんが、運搬回収が全体とすると1頭の単価が、処分までいくと、今年で1万7,000円ぐらいです。
委託がいくつかあるのですが、その中の1つには、市の小動物の焼却場が無料で使えることもありますが、他都市においては、例えば三浦市は横須賀市に有料で持ってきますし、葉山町は横須賀市の民間施設で焼却処分しておりますから、1頭の焼却が5,000円かかっております。
それも含めますと、横須賀市では近隣の都市より総委託料は安くなっております。
ただ、委員が言われた炭酸ガス処分施設は、実は、動物管理所にある『炭酸ガス処分施設』、私は平成4年に担当部局の基地対策課にいたときに防衛補助で入れた当事者でございます。
その時に、動物愛護団体は「安楽死処分施設として炭酸ガス施設を入れなさい」という要望でした。今の薬殺処分が無かったのかもしれません。
それで、「本当の小動物は少しずつ炭酸ガスを入れていくと、酸欠状態になって眠るように全く苦痛を伴わない」といううたい文句ですし、愛護団体はそのようにずっと要求してきました。
横須賀市は、その前は、平成1年、平成2年頃は毒まんじゅうとか毒薬を注射したという話も聞いておりましたので、そこでそういう施設を入れました。
ところが、成犬やアライグマはもっと強いので、これは明らかに『窒息死』だということです。
それから、1つ気にかかっていることは、施設をつくることは間違いないのですが、将来構想として横須賀市は、動物管理所とアライグマの施設は一緒にしようという構想があります。
というのは、動物管理所がずっとそこにいられない状況がある。
たしか上下水道の土地だと聞いております。それを借りているということがありまして、実はそちらも一緒に探っております。それは企画調整課が間に立っていただいてやはり未利用地を。
ですから、今度の施設につきましては、土木みどり部には仮処分施設ということで、ただ何年になるかわかりません。それなりの施設は建てます。
そのことが話に出ておりませんでしたので、つけ加えさせていただきました。
フジノの質問
今回、つくられる施設そのものは『炭酸ガスによる処分』はできない構造になっているのですが、今後仮に動物管理所とアライグマの殺処分場が一緒になる可能性がある場合は、今主流となっている言葉にとらわれず、僕も動物愛護団体から「麻酔薬にしてくれと、そもそも殺さないでくれ」という陳情のようなものをいただいたこともあるのです。
今、課長のお話を伺うと、それ以前は「炭酸ガスを使ってくれ」と愛護団体もおっしゃっていたと。
命の問題にコストの話を持ち出すのは不謹慎と言われるのは承知の上ですが、聖域なく財政削減を今横須賀市がやっている中で、仮により安い方法が見つかって、しかもそれが倫理的に問題がないやり方も考えられるのであれば、麻酔による処分にこだわらない選択肢もあるかと思うのです。
ぜひ検討の中に入れておいていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
農林水産課長の答弁
『特定外来生物法』に基づきましてアライグマについては行っておりますので、そこにできる限り苦痛を伴わないということがあります。
「今はそれ以上の方法が無い」と思っておりますから、横須賀市はその方法を変える考えはありませんが、今は金銭的な面だけでないことは事実です。
その面では県内でも進んでいる都市だと言われておりますので、もちろん先ほど言った8,000円と5,000円の差が500頭もやっていれば、3,000円の差があります。
しかし、我々は「今の処分は正しい」と思っておりますので、今のところは、変える気はありませんが、将来、今よりも苦痛を伴わないのがもしあるのだとすれば、もちろん検討することはあり得ると思います。
フジノの質問
そもそも外来種を日本に持ち込んだのも人間で、処分しなくてはいけないのも人間でということで、それに行政が対応しなければいけない状況に追い込まれて、非常に難しい問題だという中で、一番苦痛がなく、かつできればコストも安くという方法を検討していっていただけたらと思います。
以上です。