藤野英明です。
よろしくお願いします。
(質問1〜4は後日掲載します)
5、視覚障がいのある方々のミュージアム(美術館・博物館)へのアクセスを保障する取り組みの必要性について。 |
ここでの『アクセス』という言葉は交通面のことではなく、ミュージアムにおいて、展示物などの『モノ』とワークショップなどの『機会』を障がいのない方々と同じように鑑賞・体験できることを指しています。
それは、彫刻やレリーフに直接触れることや、立体コピーを用いた絵画に触れ、言葉による描写ガイドや点字の作品ガイドなどを通じて行なわれます。
視覚に障がいのある方々がミュージアムにアクセスできることは非常に重要です。
失明して間もない方や視力の退化に適応しようとしている人にとって、言葉による作品描写を聞くことは、まだ鮮明な視覚の記憶を思い起こし、記憶に基づく視覚の地図を心につくる訓練となります。
また、触覚による読解力が乏しい方も、立体コピーや彫刻にさわることを通して、触覚によって体系的に世界を理解できるようになります。
こうしたミュージアムでのアクセス保障の活動は全国で進みつつあります。
『エイブル・アート・ジャパン』の2004年度に実施した全国310館への視覚障がいのある方々のミュージアム利用についてのアンケート調査結果によると、視覚障がいのある方向けのプログラムや対応を既に行った経験があるのは35%、また作品解説が実施可能なのは約81%にも上りました。
触れることで作品に損傷が起こることを初め、配慮すべき事柄は確かに多くあります。
しかし、障がいのない方々にとっても、ミュージアムとのかかわりを豊かにするために、ミュージアム活動そのものの意義を高める大切な取り組みです。
そこで本市の姿勢を伺います。
(1)横須賀美術館での視覚障がいのある方々のアクセスを保障する取り組みの現状について。 |
点字ブロック、音声案内、触れられる館内の立体地図がある、点字による作品解説などの『ハード面』を初めとして、
触わることができる展示品がある、視覚障がいのある方々向けガイドレシーバーの貸し出し、作品解説の要請を受けたときの対応、視覚障がいのある方々も参加できるワークショップ開催など『ソフト面』について、
視覚障がいのある方々のアクセスを保障する横須賀美術館の取り組みの現状はどのようなものでしょうか、お答えください。
(2)同美術館での視覚障がいのある方々のアクセスを保障する今後の取り組みについて。 |
アクセス保障の実現には、音声ガイドを初め、彫刻や立体コピーなどを用いたタッチ展の実施を年1回程度の特別展やワークショップなどの開催からて、回数を増やしていき、最終的には常設展示を目指すべきです。
また、東京の市民団体「ミュージアム・アクセス・グループMAR(まー)」などは、視覚障がいがあっても作品鑑賞できるサポート体制を、美術館側に理解と協力を求める積極的な活動を長年行なっています。
こうした既にノウハウを持つ団体と協働することで、アクセスを保障する今後の取り組みを活発化させていってはいかがでしょうか。
横須賀美術館として今後どのような取り組みを行っていくのか、教育長のお考えをお聞かせください。
(3)博物館諸施設の取り組みの現状について。 |
本市には、自然・人文博物館を初め、ヴェルニー記念館など博物館施設が複数存在しておりますが、視覚障がいのある方々のアクセスを保障する取り組みは現状どのようなものでしょうか、お答えください。
(4)同博物館諸施設の今後の取り組みについて |
視覚障がいのある方々のアクセスを保障するために、博物館諸施設では今後どのような取り組みを行っていくのでしょうか。教育長の考えをお聞かせください。
以上で1回目の質問を終わりにします。
教育長の答弁
次に、美術館における視覚障害のある方々への鑑賞・体験を保障する取り組みの現状はどのようなものかについてでございます。
視覚障がいのある方々への美術作品への鑑賞・体験方策については、開館前から教育普及専門委員との協働作業や、養護学校との交流などを通じ、ノウハウの蓄積、学芸員のスキルアップを図っており、継続的に取り組んでいく課題の一つであるととらえています。
美術館では、視覚障がいのある方々に対しては、現在、学芸員による対話によって作品を鑑賞する方法で対応をさせていただいております。
平成19年度には視覚障がいの方々のための美術品鑑賞を研究する専門家による講演会を開催し、今後どのように取り組んでいくべきかお話をしていただきました。
次に、視覚障がいのある方々の鑑賞・体験のための今後の取り組みについてのお尋ねがございました。
視覚障がいのある方と接してきた経験から、障がいの程度に応じて解説の仕方を変える必要があることがわかってきました。
そのため、音声ガイドだけでは視覚障害のある方々への有効な方策にはなりにくいと認識しており、学芸員のスキルアップに努め、対話による鑑賞を充実させています。
美術作品に触れることにより鑑賞できる展示につきましては、鑑賞者の安全対策を含め、どのような展示作品を用意すべきか、そのやり方、解説などの実施方法について調査研究を進めております。
調査研究に当たっては、議員御指摘の団体に対する情報交換を含め、幅広く実施をしております。
平成20年度には、視覚障がいの鑑賞の可能性を探ることを目的としたワークショップ「手で見る造形と鑑賞」を実施する予定です。
これらを通じ、鑑賞される方のニーズ、立場に立った取り組みをさらに進めてまいります。
次に、自然・人文博物館諸施設での視覚障がいのある方々の学習を保障する取り組みの現状はどのようなものかのお尋ねがございました。
自然・人文博物館諸施設では、視覚障がいのある方々に対しては現在、対話によって学習する方法により対応をさせていただいております。
具体的には、視覚障害のある方々のニーズを直接学芸員等がお聞きし、例えば特定の鳥についてお知りになりたいということであれば、その鳥の標本や模型をさわっていただきながら、鳴き声をテープで聞いていただき、学芸員がその鳥について解説をするという方法により対応させていただいております。
博物館諸施設での視覚障がいのある方々の学習を保障するための今後の取り組みについてのお尋ねがございました。
視覚障がいのある方々がさわることのできる標本・模型や鳥獣等の鳴き声、スチームハンマーその他の機械類の稼働音など、音声資料を充実させるとともに、視覚障害のある方々と協議を重ねながら、何が実施できるか研究したいと考えております。
視覚障がいのある方々にとっても利用しやすい博物館となるよう、さらに努力してまいります。
以上でございます。
フジノの質問
それから、最後に美術館について2点質問なのですけれども、
横須賀美術館はオープン前から、視覚障がいのある方々のミュージアムアクセスに非常に熱心に取り組んでいる、ギャラリーTOMという美術館が渋谷にございますが、ギャラリーTOMの副館長などからも非常に示唆に富んだ提言を横須賀美術館についていただいているわけです。
なぜそんなに視覚障がいのある方々のアクセス保障についてここまで申し上げるかというと、皆さん誤解があるかもしれないのですが、視覚障がいのある方というのは、生まれつき障がいがあるという方は本当に少なくて5.3%しかいらっしゃらない。
あとは、一番多い理由というのは、生まれつきではなくて糖尿病、それから緑内障などという加齢に伴って起こるものがほとんどなのです。
94%が生まれてから後に起こる障がいなのです。
だから、我々の未来が視覚障がいになるということなのです。
その視覚障がいが起こったときに、視力のない世界で自分たちがいかに生きていくのかと考えたときに、ミュージアムの力で、だんだん視力が失われていく、外の世界が見えなくなっていくけれども、音声ガイドですとか、触れることによって自分の心の中で、視覚障がいになっても暮らしていく地域の、どうやって歩けるのだろうかとか、壁を感じるだけではなくて、ここはどういう景色だったかとか、何かの物を触って、それが一体何なのかというのを感じ取れるというのは物すごく大事で、それがミュージアムができる大きな力の1つだと思うのです。
これはスピードを持ってやらなければいけないと思うのです。
ですから、先ほど、教育長から市民団体との協働をやっていくというお話もありましたが、これも可能な限り早くやっていただけたらということを御提案して、2問目の質問を終わりたいと思います。
教育長の答弁
それから、最後に美術館における視覚障害の方への取り組みでございます。
美術館開設以前からいろいろやってきたということを御説明申し上げたのですが、まだまだいろいろな方法があると思います。
これからも美術館を多くの方に御利用いただけるように工夫、研究を重ね、またこういった関係機関とも情報交換をして、よりよい方法をこれから構築していきたいと思います。
以上でございます。
フジノの質問
最後にミュージアムについてなのですけれども、学芸員さんが対話をしながら展示物などについて御説明いただけるということなのですが、実際に横須賀美術館にしても、横須賀自然・人文博物館にしても、ヴェルニー記念館に行っても、それをできるということが点字でどこにも書いていないのです。
どうしたら、だれに申し込んだらガイドを受けられますよというようなこと自体を知ることができるものが何もないのです。
そもそも行く前に、横須賀市の視覚障がいのある方々はガイドを聞けますよという情報も、どこで得られるか、いろいろ調べましたけれども、見たことがないのです。
こういった情報がどこかに出されているのであれば、それをお伝えいただいて、もしないのであれば、せめて入り口に点字でそういったものを打ち出すとか、やっていただけたらなというふうに思いますので、お答えいただけたらと思います。
以上をもちまして、僕の個人質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
教育長の答弁
美術館・博物館におけます対話によるサービスを受けられるのですよという御案内が不十分ではないかということでございました。
確かに現在のところ、そのようなことで周知の方法が徹底していないかと思いますので、早急にこういったサービスが受けられ得る旨、もちろん館には提示いたしますし、そのほかの、ホームページ等さまざまな手段を使って周知に努めてまいります。