2011年予算議会・個人質問

2011年3月3日・本会議

藤野英明です。よろしくお願いいたします。

4日間にわたる代表質問・個人質問の最後に立たせていただきます。

また、我々市議会議員としての任期の最後の予算議会において、こうして最後の発言を務めさせていただけることを誇りに感じております。

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それでは、質問に入ります。

1.財政危機の中で、財政規律を重視した予算における「ハコモノ」への市長の認識について

(1)美術館・ソレイユの丘・芸術劇場について

美術館、芸術劇場、ソレイユの丘を僕は「ハコモノ3兄弟」と名づけて厳しく批判してきました。

何故ならば、毎年平均13億3,000万円もの管理運営コストを要する巨大赤字施設だからです。

来年度予算案でも、わずか3施設だけで14億4,225万6,000円もの赤字を生み出しています。

どれだけ市民のみなさまが一生懸命働いて税金を納めても、赤字の穴埋めにこんなにも税金を使われるのでは、あまりにもばかばかしくやり切れません。

しかも、危機的な本市の財政に「ハコモノ3兄弟」は大きな負担を強いているにもかかわらず、市長は昨年度の施政方針演説で一言も触れなかっただけではなく、

事業仕分けの対象332事業に含まれていたにもかかわらず、実際の仕分けからは「ハコモノ三兄弟」を外しました。

さらには、先日行なった来年度の施政方針演説においても、財政規律の重視を繰り返し述べておきながら、「ハコモノ三兄弟」への対応について、市長は一言も触れませんでした。

これでは市民への裏切りです。

【質問1】
「ハコモノ」行政の改善は、市長のかつての根幹であったはずですが、何故、市長は2年連続で施政方針演説で「ハコモノ」への対応を触れなかったのでしょうか。

お答え下さい。

それにしても、市長が交代しても「ハコモノ」への対応が改善したとは全く思えません。

【質問2】
来年度予算案では、「ハコモノ3兄弟」に対してどのような対応を行なったのでしょうか?

【質問3】
全庁的な対応を検討させたはずですが、何がどのように具体的に改善されるのかお聞かせ下さい。

【質問4】
また、もしも来年度予算案で『利益の増加』『費用の削減』を見込んでいるのであれば、それはいくらになるのでしょうか。

次に、これからの取り組みについて伺います。

市長が施政方針の中で「計画行政元年だ」と述べたように、新たな計画がどんどん発表されています。

その中に、平成25年度までの本市の新たな取り組みを定めた『実施計画』『財政基本計画』『行政改革プラン』という3つの最重要計画があります。

これらの中でも「ハコモノ3兄弟」への記述が全くありません。

そこで市長に伺います。

【質問5】
本市の重要3計画に「ハコモノ3兄弟」への記述が全く無いのは何故でしょうか。

計画行政の重要性を訴える市長が、3計画に何も記述しなかったということは、今後何の対応もしないということなのでしょうか。

以上、5点についてお答えください。

(2)新たにサッカー場を作る(仮称)佐原2丁目公園整備事業について

国の都市公園法施行令では、公園の面積は住民1人当たり10平方メートル以上が望ましいと定めていますが、本市は既に10.60平方メートルと標準を上回っています。

これは県内の市では1位の広さで、2位の厚木市7.41平方メートル、3位の鎌倉市5.34平方メートルを大きく引き離しています。

このまちの公園整備は、他都市よりも十分過ぎるほど充実しており、大規模な公園をさらに建設する必要は全くありません。

それにもかかわらず、市長は今、新たにサッカー場をつくろうとしています。

2万9,400平方メートルもの広大な敷地、ピッチは人工芝、ナイター照明灯設備、300人も収納できる階段式のスタンド、シャワー室まで整備されます。

しかし、本市には既にサッカー専用スタジアムが不入斗のはまゆう公園にあります。

面積は2万4,664平方メートル、クレーコートですが、1,000人もの方が座れる観客席があります。横須賀中央駅から徒歩15分とアクセスのよい場所で、駐車場も46台分あります。

こうした十分な整備が整ったサッカー場が既に存在しているにもかかわらず、財政危機の中で今、新たにサッカー場をつくることは、明らかに優先順位が間違っています。

そこで伺います。

【質問6】
土地の購入にかかった費用、これから建設にかかる費用、完成後の毎年の運営管理にかかる費用、合計いくらになるのでしょうか。

【質問7】
このサッカー場の建設によって、どのような効果が得られると市長は考えているのでしょうか。

市長が考えるこのサッカー場建設の効果というものは、多額の税金を投じて作ることに見合うものなのでしょうか。

【質問8】
そして、何よりもお聞きしたいのは、市民の皆様がこんな税金の使い方を望んでいると市長は本気で考えているのでしょうか。

お答え下さい。

かつて2009年2月に、蒲谷前市長が長年の懸案であった横須賀中央駅前の『新中央図書館建設計画』を凍結しました。

65億円もの事業費を要する大規模ハコモノ計画であり、市議時代の吉田市長は、この判断を支持して市長就任後も凍結のままとしました。

【質問9】
それなのに、何故このサッカー場建設も凍結しなかったのでしょうか。

【質問10】
図書館はダメでサッカー場は良い。この判断基準は何でしょうか。

市長にとってこの2つの事業の違いとは何なのでしょうか。

以上、5点についてお答えください。

2.命を守るプログラムのさらなる推進について

(1)自殺対策推進事業に実効性ある対策を追加すべき必要性について

最新の統計では、本市の自殺による犠牲者は83名となり、9年ぶりに90人を下回りました。

今ようやく対策の成果があらわれつつあります。

ここでスピードを緩めず、さらに積極的な取り組みを行なうことで、自殺の減少を定着させることができるはずです。

「このまちで暮らしている限り、自殺によって死ぬ必要はない」

そのメッセージを命を守るプログラムを実行することで、強く市民の皆様に打ち出していくのです。

ア.鉄道事業者への防止対策促進への取り組みについて

これまで本市が行なってきた自殺対策を振り返ると、相談や支援を初めとするソフト面での対応がほとんどでした。

ソフト面の対策こそ重要ですが、ある一定数の自殺の犠牲は、ハード面の対策、危険を物理的に取り除くことで防ぐことができると言われています。

例えば、断崖絶壁からの身投げが多い自殺多発地帯では、そこにフェンスを設けただけで、かなりの数の自殺を減らせました。

そこで鉄道事業者への防止対策の促進を提案します。

鉄道による轢死は、交通への影響も去ることながら、目撃した多くの方々に深刻な心理的ダメージを及ぼします。

その反面、ハード面の対策を講じるだけで大きな防止効果があるため、取り組むべき優先順位が高い対策です。

今年2月9日、JR東日本を初めとする15の鉄道事業者を集めて、国土交通省でホームドアの整備促進などに関する検討会が開かれました。

ホームからの転落などの事故の多発や自殺に対して、防止に効果の高いホームドアやフェンスなどの整備によって対策の推進を図るためです。

この検討会で、各事業者のこれまでの検討状況と平成23年度以降の整備計画が発表されました。

しかし、本市に駅を持つ京浜急行、JR東日本、ともにホームドアの設置計画はゼロでした。

検討会では夏ごろをめどに中間取りまとめを行う予定ですが、この機会を決して逃さずに、及び腰の鉄道事業者が整備に乗り出せるよう、本市は取り組みを行うべきです。

【質問11】
①直接的な防止効果が高い鉄道駅へのホームドア設置や危険個所へのフェンス設置などによる安全対策を鉄道事業者に促進するために、本市として新たな取り組みを行うべきではないでしょうか。


また、防止効果はホームドアほどでは無いものの、設置の費用が安く済むとして広がってきている対策に、ホームや踏切への『青色照明灯』の設置があります。

京浜急行の弘明寺駅に設置された青色照明灯

京浜急行の弘明寺駅に設置された青色照明灯


すでに横浜市では鉄道事業者に補助を出すことで、各駅での『青色照明灯』の早期設置に成功しています。

【質問12】
②本市としても鉄道事業者に取り組みを促進するための新たな仕組みを作るべきではないでしょうか。

お答え下さい。

イ.若い世代の命を守る取り組みの必要性について

神奈川県の統計では、10歳~14歳の死因の第2位が自殺、15歳~39歳までの死因の第1位が自殺であり、若い世代の自殺が非常に深刻な状況です。

若年層を取り巻く経済社会状況はかつてなく厳しく、よりきめ細かな対策が必要であるにもかかわらず、本市ではこれまで児童生徒を対象として24時間開設していた相談電話『ヤングテレホン横須賀』を来年度から廃止する方針を打ち出すなど、明らかに逆行しています。

若い世代の命を守る対策が必要です。

若年層の自殺の実態を重く見た神奈川県と県教育委員会は、今年度から新たに教職員に対しては自殺に関する出前講座を開始し、児童生徒に対しては自殺対策啓発冊子『(仮称)中高生のこころサポートハンドブック』を作成、配布する予定です。

そこで伺います。

【質問13】
こうした動きを受けて、本市と本市教育委員会はどのような取り組み、連携を行なっていくのでしょうか。

ウ.多重困難事例への対応を定期的に検討する場の必要性について

貧困、アルコール依存、DV、精神疾患、認知症、老老介護、社会的引きこもり、孤立、失業、虐待など、1人の身に困難な課題が幾つも重複している。あるいは家族の複数のメンバーが重複した課題を持っている。

さらに、その困難課題が世代を越えて引き継がれている。そんな多重困難事例が圧倒的に増えています。

自殺対策白書によれば、4つ以上の要因を抱え込むと自殺へと追い込まれるリスクが極めて高くなります。

つまり、多重困難を抱える方々は、極めてハイリスクな状態にあり、さらに何らかの要因が起これば、あっけなく自殺へと追い込まれてしまいます。

したがって、増加する多重困難事例に対応することは、極めて優先順位の高い課題です。

しかし、現在の福祉六法による縦割りの支援体制では不十分です。

業務の中で保健・医療・福祉など、分野を越えて関係者が集って事例検討を行う機会が保障されていません。

その事例検討に基づいた対策を、関係機関が正式な拘束力を持って総合的に対応することも実現していません。

また、本市では、今こそ一体的対応が必要なのに、保健・医療・福祉を包括的に対応してきた健康福祉部を来年度から2つの部に分割してしまうなど、不安要素があります。

本市には、『自殺対策連絡協議会』が設置されていますが、わずか年2回、毎回2時間の開催でしかなく、あくまでも情報共有にとどまっています。

各分野ごとの担当者がチームを組んで事例検討を行い、生活課題への切れ目のない把握と支援のために、一丸となって包括的に取り組む必要があります。

事例検討の中から引き出された課題を支援者間で共有して、さまざまな対応力を開発することで、さらに有効な新たな対策を提言できるようになります。

そこで伺います。

【質問14】
自殺に追い込まれるリスクが高い多重困難課題を抱える方々を、官民を越えて定期的に検討する場が必要ではないでしょうか。

以上、4点についてお答えください。

(2)子宮頸がんワクチン接種緊急促進事業の課題について

「唯一の予防できるがんである子宮頸がんへの一刻も早い対策をとることは、政治・行政の義務だ」と僕は訴えてきました。

ようやく本市もワクチン接種に公費助成を行うことになりました。

しかし、これはあくまでもスタートにすぎません。

母親となる若い世代の命が失われて、新しい命の誕生も望めなくなるようなことをゼロにすることが本当のゴールです。

その為には、まだやらなければならないことがたくさんあります。

まず第1に、予防ワクチンを1人でも多くの方々に接種してもらうための取り組みが必要です。

子宮頸がん予防ワクチンの接種は義務ではなく、予防接種法で定められた定期接種でもありません。

本人の希望によって、自ら医療機関に足を運んで初めて受けられる任意の予防接種です。

本市は、来年度予算が成立した後、すぐに対象となる中1から高1までの4歳の女子へ本人の名前宛てで接種券を郵送する方針です。

実際には、中1から高1の女子が封筒を見て、自ら接種に行くとは考えにくく、親を初めとする身近な大人がいかに予防接種の重要性を理解するかで接種が決まります。

したがって、保護者の意識に強く働きかけるためにも、学校の入学式や卒業式や学校へ行こう週間などの直接的なあらゆるPTAの集まりや、学級通信などの間接的なあらゆる手段を使わなければいけません。

さらに、養護教諭を初めとする学校現場の先生方にも必要性を理解していただいて、保護者の方々、そして子どもたちに対して接種の意味を話してもらうことも重要です。

また、本事業の担当部署であるこども育成部と予防接種担当の保健所、さらに教育委員会と学校現場とが部局を越えて連携しなければ、接種率を上げることはできません。

そこで伺います。

【質問15】
1人でも多くの子どもたちにワクチンを接種してもらう為に、親や身近な大人、教職員に対してどのような取り組みを行っていくのでしょうか。

第2に、ワクチンの接種がスタートしても、今までどおりに検診の受診は不可欠です。

子宮頸がんの制圧には、あくまでもワクチンと検診がセットです。

したがって、受診勧奨は今後も継続してさらに進めなければいけません。

ワクチン接種の公費助成を良いきっかけにして、子宮頸がんそのものへの認知度を上げることで、検診の受診率もアップさせるべきです。

そこで伺います。

【質問16】
「本人はワクチン接種、お母さん・家族は検診へ」といった、親子、家族が一緒に子宮頸がんに関心を持ってもらう啓発活動や親子での受診にインセンティブが働く仕組みが必要ではないでしょうか。

最後の質問です。

本事業は、政府の補正予算によるあくまでも暫定的な措置で、来年度1年間だけの時限措置です。

たまたま来年度に対象になった4歳だけしか公費での接種ができないというのは間違っています。

この重要性をかんがみると、予防接種法を改正して定期接種化するなど、これから先も毎年すべての子どもたちが接種できるように、恒久的な対応を政府はとるべきです。

そこで伺います。

【質問17】
本市は、政府に対して強く恒久化を求めていくべきではないでしょうか。

以上、3点についてお答えください。

これで僕の1問目を終わります。

市長の答弁

御質問ありがとうございました。

まず、施政方針において、美術館、ソレイユの丘、芸術劇場への言及がなかったことについて御質問をいただきました。

現在、美術館については、指定管理者制度への移行も含め、総合的な見直しについて検討を行っているところです。

芸術劇場については、次期指定管理者の選定方法について公募も含めて検討を行い、その方針は平成23年度中に明らかにする予定です。

また、ソレイユの丘については、現在の事業者との契約期間が終了した後の経営形態の見直しについて検討を行っています。

いずれの施設につきましても、現状は検討を進めている段階であることから、施政方針では言及いたしませんでした。

次に、美術館、ソレイユの丘、芸術劇場について、来年度予算案で何がどのように改善されるのか。また、利益の増加、費用の削減の見込額について御質問をいただきましたので、あわせて回答いたします。

まず、美術館については、展示の内容や集客の取り組みを強化することで観覧者数の増加を図り、平成22年度と比べて約80万円の歳入の増加を見込みました。

また、歳出は職員の非常勤化など経費を見直し、約1,100万円の削減を図り、収支差し引きで1,180万円の改善を見込んでいます。

また、経営形態の見直しに向けた検討を進めるため、施設管理や運営を指定管理によって行っている他都市の美術館を視察する為の経費を計上しています。

その他の2施設については、現在管理を委託している事業者との契約期間終了後の見直しに向けた検討を行っている段階であり、平成22年度予算の内容と大きな変更はありません。

次に、実施計画、財政基本計画、行政改革プランの重要な3計画に対応の記述が全くないのは何故かという質問。また、計画に記述しないということは、今後3年間何の対応もしないのかという御質問について、あわせて回答いたします。
 
3計画に記述が無いことについては、『実施計画』は策定方針において施設の維持管理事業など対象外としていること、他の2計画は現時点で具体的な見直しの内容が決定していないため、今回の計画には記載をしていません。

今後3年間、何の対応もしないのかということについては、先ほど申し上げました運営形態の見直しなどが決定した段階で、速やかに議会にお示ししてまいります。

次に、『(仮称)佐原2丁目公園整備事業』の土地の購入、建設、毎年の管理運営、それぞれの費用は幾らか御質問をいただきました。

土地の購入費につきましては、約4億6,300万円です。

公園の建設費につきましては、平成21年度に基本設計、平成22年度に実施設計を行い、平成23年度、24年度の2カ年継続工事で、総額約9億6,300万円です。

なお、土地購入費、公園建設費につきましては、防衛省の国庫補助金を活用し、それぞれ土地の購入には2分の1、建設には3分の2の補助金を受けることになっています。

また、毎年の管理運営費につきましては、本公園の運用形態が未確定であるため、管理運営費の試算はしていません。

次に、この建設によってどのような効果が得られると考えているか御質問をいただきました。

市内では、社会人を初め学校体育に関連する各種大会など、数多くのサッカー大会を開催していますが、市営の専門のグラウンドははまゆう公園しかなく、また、市内の大会を行っているほかのグラウンドのほとんどが土のグラウンドである為、雨天の時など、数日間大会が開催できず、大会運営に苦慮しているところです。

本グラウンドは人工芝で整備することから、雨天時の開催も可能となり、またナイター設備も完備することから、現在抱えている問題は解消できると考えています。

また、『横須賀市地域防災計画』では、整備後の公園は広域応援活動拠点とすることとなっています。

次に、効果とは高額の費用に見合うものなのか御質問をいただきました。

この公園はサッカーだけではなく、各種イベント、地域の行事等を開催できる場であり、また、災害時には人命の救助や災害復旧活動の拠点として複合的な役割を担うことから、これらの効果は本市の費用負担に見合う公園であると考えています。

次に、市民の皆様がこんな税金の使い方を望んでいると考えているかという御質問をいただきました。

平成15年度から延べ1万1,000人を超える市民の方々より、サッカー場建設要望の署名を受けたことや、グラウンド不足の現状を考慮し、多くの市民の皆さんに喜んでもらえるよう整備を進めてまいります。

次に、図書館建設は凍結し、サッカー場をつくる判断基準は何か。また、この2つの事業の違いは何かという御質問をいただきました。

新中央図書館については、既存の中央図書館の有効活用を図る為、建設費及びその後の運営経費の財政負担など総合的に判断し、建設事業への着手を凍結することになったものです。

一方、サッカー場については、平成21年度からワークショップを開催し、平成22年度予算に土地の購入と設計委託を計上しましたが、これは市の施設に人工芝のサッカー場がなく、また、災害活動拠点にも活用できることから、総合的に事業の実施を判断したものです。

次に、自殺対策推進事業に実効性ある対策として、鉄道駅へのホームドアの設置や危険個所へのフェンス設置等による安全確保対策について、新たな取り組みを行うべきではないかという御提案をいただきました。

鉄道駅へのホームドアやフェンスの設置は、自殺対策だけでなく、障害者の転落防止に役立つなど、大変有効な施策であると考えています。

ホームドアの整備については、本市としても京浜急行には要望していましたが、御質問にありましたとおり、去る2月9日に国土交通省で各鉄道事業者をメンバーとしてホームドアの整備促進等に関する検討会が開催され、費用面、時間面、設備面、サービス面などの課題について検討が行われています。

今後、ホームドアの整備促進等に関する検討会がおおむね月1回程度開催され、夏ごろをめどに中間取りまとめを目指すということですので、その経過を注視していきたいと考えています。

次に、青色照明灯の駅ホームや踏切への設置について、鉄道事業者に取り組みを促進する新たな仕組みをつくるべきではないかという御提案をいただきました。

人の気持ちを落ち着かせたり、緊張を緩める作用があると言われている青色照明灯については、近隣では京急弘明寺駅、生麦駅などに設置され、一定の効果が出ていると聞いています。

設置については、1駅につき200万円程度の費用がかかるようですが、京浜急行としても、現在横浜市の補助を受けながら、事故の多い箇所に設置しているようです。

本市では、現在のところ横浜市のように補助金の交付については考えていませんが、市内駅や踏切への青色照明灯の設置について、機会をとらえて鉄道会社に要望していきたいと考えています。

次に、若い世代の命を守る取り組みとして、本市と本市教育委員会はどのような取り組みや連携を行っていくのかという御質問をいただきました。

夜間休日に悩みを抱えた人の相談等をお聞きする、『横須賀こころの電話』に年齢制限はありません。

夜24時までではありますが、今後は若い世代にも、『横須賀こころの電話』のことを周知してまいります。

また、市立学校の現場では、教育委員会とともに命を守る取り組みを進めています。

自殺対策の主管となっている保健所を中心に、国や県、本市が行う対策などについての情報提供や意見交換をしながら、教育委員会も含め市が一体となって連携して進めていきたいと考えています。

次に、多重困難事例への対応を定期的に検討する場の必要性について御質問をいただきました。

困難要因が例えば借金問題、夫婦問題、健康問題などの社会的要因を持つ対象者については、関係課同士の連携が日常生活支援ほど濃密ではないと考えています。

そこで、来年度悩みを抱えている人に接する機会の多い相談窓口の部署や税金、保険料等の徴収部門の職員をメンバーとした庁内連絡会を設置し、悩みに応じた適切な機関に確実につなげられるようにしたいと考えています。

次に、子宮頸がん予防ワクチンの接種率を上げる為に、親や身近な大人、教職員に対してどのような取り組みを行っていくのか御質問をいただきました。

子宮頸がん予防接種は、予防接種実務はこども育成部、市民等への研修や啓発は保健所、学校現場における啓発は教育委員会が行ない、それぞれが連携し、効果的な実現を図ります。

具体的な取り組みとしては学校長等を通じて保護者に子宮頸がんワクチンについての理解をいただくよう周知を図るとともに、希望する学校に医師、保健師等が出向いて健康教育を実施する予定です。

次に、親子、家族が一緒に子宮頸がんに関心を持ってもらう取り組みが必要ではないかという御質問をいただきました。

さきの公明党の代表質問への答弁にもお答えしましたとおり、子宮頸がん予防接種の個別通知に同封する説明書にはワクチンの効果と子宮頸がん検診の重要性を取り上げ、予防接種のみならず子宮頸がん検診についても理解を深めることができるようにしていきます。

また、市民や保護者や教職員等を対象に、予防接種や検診の重要性を理解していただく為の講演会を開催する予定です。

これらの取り組みを通して、20歳以上の子宮頸がん検診を促すメッセージを発信していきたいと思います。

次に、子宮頸がん予防ワクチン接種について、国に対して恒久化を求めていくべきではないかという御提案をいただきました。

予防接種法の改正については、厚生科学審議会など専門家会議の議論と保護者のワクチンに対する関心、信頼などが大きく作用するものと考えます。

その為にも、今回の接種補助事業を広く周知していくとともに、神奈川県市長会等を通じて国に働きかけていくつもりです。

以上です。

教育長の答弁

私からは、若い世代の命を守る取り組みの必要性についての御質問のうち、学校現場での取り組みについてお答え申し上げます。

子どもたちの命を守る取り組みについては、生命の尊重や望ましい人間関係づくりの構築を基本に、道徳や学級活動の時間を初め、すべての教育活動の中で取り組んでいます。

各学校では児童生徒一人一人の心の状態を把握するために、教育相談やアンケート、面接を行ったり、児童相談所や心療内科等の専門機関との連携やネットワークづくりに取り組んでいます。

また、ネットワークミーティングなどを通して、関係機関や県教育委員会と連携して、子どもたちの心のケアに取り組んでいます。

さらに、教職員が子どもの不安や悩みを受けとめられるようにする為に、教職員を対象とした児童生徒の自傷行為及びメンタルヘルスなどに関する研修を開催しています。

議員御指摘のありました神奈川県の行う講座、啓発冊子につきましては、積極的に活用するよう市立学校に呼びかけてまいります。

引き続き、各学校において児童生徒の心を受けとめ、相談しやすい雰囲気が醸成できるように努めてまいります。

以上でございます。

フジノの質問

再質問を行います。

まず、「ハコモノ三兄弟」をなぜ施政方針の中で触れなかったのかについて質問しますが、まず施政方針、市長はどのようにお考えかということを伺いたいと思います。

今まで僕にとって施政方針演説というのは、1年間のまちの市政として進んでいく方向を指し示す非常に重要なものと思っていました。

しかし、昨日の質疑でも明らかになったように、『防衛大綱』をここへ来てそのまま施政方針の中に入れる。

施政方針の重さというのを、市長はどの程度お考えになっておられるのか、まず伺いたいと思います。

市長の答弁

この施政方針については、1年間の市政運営の基本的な方針になるべきものと考えています。

フジノの質問

今の答弁のように市長が施政方針に重みを感じておられるのならばこそ、市長選挙においての、市議会議員時代においての活動の根幹であった「ハコモノ」行政への批判、後年度の負担を省みない無秩序な「ハコモノ」行政に対する批判、それへの自分なりの対応というものを

昨年度でも、来年度でも、今年度でも来年度でも施政方針の中で述べるべきではなかったのでしょうか。

お答えください。

市長の答弁

そういう意味では、美術館、芸術劇場について、今後公募にする。

例えば、芸術劇場については公募にするという方向性が決まった場合、あるいは美術館について運営形態の見直しを行うことを市として決めた場合、その年度においては施政方針に盛り込むべき内容であると考えております。

フジノの質問

決まってから盛り込むというのでは、市民の皆さんは全く納得しません。

教育長、今回の予算の中に美術館の経営形態のあり方に関する予算があったと思いますが、御説明いただけますか。

教育長の答弁

今回の予算の中で市長から御答弁申し上げましたように、経営形態のあり方の検討ということの中では、現在でも指定管理の導入も含め、さまざまな経営形態のあり方を検討しておりますけれども、その中で来年度予算につきましては、そういった指定管理等の導入を行った美術館への視察の旅費等も含めて計上してございまして、その旅費について23年度予算で約26万円ほど計上してございます。

フジノの質問

実際にはこのように検討を始める訳です。

動き始めている訳です。

何故これを、施政方針の中で述べられないのですか。

市長の答弁

まだ検討を始めている段階で、検討の結果が見えている段階ではないので載せませんでした。

フジノの質問

要するに述べたくない。

ハコモノ行政への改善というものは、昨年度の施政方針でも述べない。

今年度の施政方針でも述べなかった。来年度の中でも述べなかった。

決まらない限りは述べない。自分としては来年度1年間かけて検討していきたいのだ。

だから市民の皆様も、あれだけ一緒に反対したのだから参画してほしい。

そういう呼びかけというのを行う必要があると僕は考えているのですが、市長はそのようにはお考えにならないのですか。

市長の答弁

まるで藤野議員、私が隠し立てしているかのような御意見をされていますが、

施政方針で述べなかったのは方向性がまだ決まっている段階ではないからというだけであって、藤野議員からの議会答弁に関しては、しっかりと指定管理者への移行も含めて総合的な見地から見直す。

他の議員からの御質問に対してもそのように答弁いたしておりますし、そういったことについては市民の皆さんも御存じになられているのではないかと思っています。

フジノの質問

市民の皆様は全く知ってないです。

隠し立てをしているではないですか。

今方向性が決まっていないというふうにおっしゃいましたが、それでは行政の中での話であって、市長選挙でハコモノ行政は見直すという方針を支持して市民の多くの方々が投票した。

これは決まっていることではないのですか。

今回の視察で指定管理者を導入している視察先を見て、あまり効果出ていないと思ったら今までのようにそのままいく、そういうふうに考えているのですか。

市長の答弁

経営の形態というのはさまざまな形態があろうかと思います。

例えば指定管理者を導入するとした場合でも、全館すべてを指定管理者として導入するのか、あるいは管理部門のみを指定管理者として導入するのか、さまざまな形態があろうかと思います。

また、市としての方針を決めるに当たっては、当然議会への条例提案ということも考えなければいけませんので、その方向性を明確にした上で、施政方針に述べるべきものと私は考えています。

フジノの質問

そんなことはお聞きしておりません。

見直しをする方向をなぜ施政方針で述べないのか。

具体的なやり方を聞いているのではありません。

見直すのだと言って市長選挙に当選したのですから、自らの姿勢を示す施政方針で2回も機会があったのに、一切述べないというのは裏切りではないのですか。

所信表明及び施政方針です。

市長の答弁

この見直しについては何度も申し上げますが、現状検討を進めている段階ですので、施政方針に載せませんでした。

フジノの質問

そんな官僚答弁を聞きたくて、あなたを市長に推したわけではありません。

考えて下さい。

市民の皆様に「ハコモノ」行政からの転換を訴えて当選した。

けれども、あなたは市長選挙に当選した後、一切これについて述べようとしない。

答弁の中では何らかの審議会をつくるとか、ささやかな額の専門委員を廃止する、美術館アドバイザーを廃止するとか、そんな話をちまちまと言ってきましたけれども、

赤字14億円も生み出すような「ハコモノ」を見直すということを、オフィシャルな場で、自らの口で、議会で、僕から質問されないで答えたこと、答える以外に、みずから述べたことというのはないのではないのですか。

何でそんなに姿勢が変わってしまったんですか。

何を守りたいんですか。

市長の答弁

今まで議会で藤野議員からの答弁だけではなく、たしか上地議員からも御質問いただいて、同趣旨の答弁をしているはずです。

フジノの質問

上地議員や僕から質問されて答える。

聞かれて答えるということに対しての批判をしているのであって、僕だけでなく上地さんにもお聞きしたというのは詭弁です。

何故、自分の口から主体的に言わないのかというのをお聞きしているのです。

市長の答弁

現在まだ検討の段階です。経営形態の見直しという方向性については既に指示をしていますし、方向性が決まり次第、私の口から主体的に述べたいと思います。

フジノの質問

検討の中身、具体的に何に切りかえるとか、そういうことを聞いているのではなくて、見直しをしていくという方向を、市長になってからなぜ市民の皆様に自分の言葉で述べないのかということを言っているのです。

市長選挙の時の動画がユーチューブに流れているではないですか。

「やればできるのです。今すぐやれるのです」と。

あれと今のこのニュアンスの違い、トーンダウンというのは一体何なのでしょうか。

何を守りたくて市長になっているのですか。

何がモチベーションで、今仕事をしているのですか。

それは「このまちを変えたい」という想いがあったのではないのですか。

その第一歩が「ハコモノ」だったはずです。

何故自らの口で述べられないのかということを聞いているのです。お答えください。

市長の答弁

確実に物事を進めていくために検討しているところですが、検討していることについては、市民の皆さんに私も直接、これから申し上げていきたいと思います。

フジノの質問

車座会議ですとか質問された時には、お答えしていると思うんです。

そうではなくて横須賀市の重要な方向性を示す施政方針、この場で語るということの重みは、我々議員ですから、そして市長も議員出身ですから、重みはわかっておられるはず。

それなのに車座会議の場で聞かれたら答える、上地議員そして僕から質問されたから答える、そういったことで姿勢というのは明らかに変わったのだと言わざるを得ません。

続いて、佐原2丁目サッカー場公園に話を移します。

サッカー場を要望しておりましたのは、僕の中学校時代の1学年下の同じサッカーチームにいた後輩ですから、求める声があること自体は十分承知しています。

けれども僕は、自分の後輩であっても今の財政状況を考えれば「申し訳ないが無理だ」というふうに申し上げてきました。『媚びない政治』です。

けれども市長は、65億円かかる新中央図書館建設...もしかしたらコンパクトシティーの考えの中で、駅前に図書館をつくっていたら、図書館をもとに住宅もできて、百貨店への経済波及効果ですとか駅前に駐車場ができていた、非常に大きな経済効果があったかもしれない。

僕はこのハコモノ行政に反対しましたけれども、新中央図書館と比べたときに、佐原の立地が車でしか行かれない。北久里浜から歩いて15分、20分ぐらいでしょうか、その場所に新たにサッカー場をつくることで、新中央図書館よりも経済効果が上がるとか集客効果が望めるということは全く見えてこないのです。

その点について全然、市長は新中央図書館建設とサッカー場建設の違い、こういう判断を下した違いというのを、納得のいく形で御説明はいただけなかったと思うのです。

総合的に判断したということですが、改めてどういった観点を検討されたのかお答えください。

市長の答弁

まず、新中央図書館については、既存の図書館が3館ございます。

この3館を有効活用することがまず大事であった。そういう思いです。

一方、人工芝のサッカー場については、市の所有施設では所有していません。

唯一所有しているはまゆう公園のサッカー場はクレーコートということで、雨になるとその後も含めて使えなくなる。

そういう意味で、市に無い施設ということで、建設について進めていくという方針を持っているところです。

フジノの質問

それも詭弁です。

北、中央そして南に既存の図書館がある。

けれどもサッカー場は僕が申し上げたとおり既にあります。既存の施設があります。

クレーコートだから新しい人工芝をつくらなければいけないと言う。

ならば図書館業務を、一生懸命レファレンス機能を向上させたりサテライト化をすることで向上させていたように、既存の施設をソフト面で対応したように、なぜクレーコートを人工芝に張りかえないのですか。

その方が安く済むのではないのですか。

市長の答弁

今回、まずそもそも安くつくかどうかの検討については正確には行っていませんが、佐原の運動公園ついては災害時の応援救急拠点にもなるという意味合いもありまして、ベンチの下にも災害時の対応がすぐにできるような施設の建設計画を立てているところです。

フジノの質問

まずサッカー場についてお話しております。

人工芝を張ったらいくらになるか、そんな検討もしないで新しいものをつくるのですか。

市長の答弁

土木みどり部長から答弁させます。

土木みどり部長の答弁

今、議員の御質問の人工芝の費用でございますけれども、今年度詳細設計を行っておりまして、その中で事業費を算出しております。

フジノの質問

土木みどり部長、質問を聞いていますか。再答弁できますか。

土木みどり部長の答弁

はまゆう公園につきましては、算出はしておりません。

フジノの質問

だから算出もしないでおいて、既存の施設を有効活用するということも試算しないでおいて、何が新しいのを建設ですか。

こんなこと全くダメです。

それから新サッカー場公園の建設において、土地の値段、建設の値段が出ていましたけれども、管理運営コストは運営形態がまだ決まっていないから未定。

何か新しい施設、何か新しい事業を起こすときに、これからの管理運営コストを計算しないで新しいものに乗り出すような企業がどこにありますか。

何でこのサッカー場、管理運営コストを出せていないのですか。

あらゆる形態を考えて、それぞれに試算を出していないのですか。

お答えください。

市長の答弁

管理運営経費については、今後運営形態を考える中で、恐らく指定管理者制度の導入を検討しなければいけなくなると思っています。

その時に金額をいくらにするかというのを詳細に積み上げる必要があるため、今具体的にここで申し上げるのは早い段階であると思っていますが、ただ一方で近隣の規模と同じような類似公園の管理運営費というものは、積算というか、比較で、積算ではありません。比較で出していまして、そうするとおおむね近隣の類似公園の管理運営費は、おおむね2,500万円程度と聞いています。

フジノの質問

先ほど隠しているわけではないという話がありました。

また、きのう井坂議員の質問の中でも、「情報公開を積極的にやると言いながらも実際にやっていない」という話がありました。

こういう管理運営費のコスト、類似公園との比較であればおおむね2,500万円、これ言えばいいではないですか。

言わないから隠しているというふうに思われるわけです。

それから今日、サッカー場公園建設の土地の金額、建設にかかる金額が出ましたけれども、きのう僕も気づいたんですが、本当はあと河川改修と道路改修ありますね。

これを含めたら総工費というのは14億円ではないのですか。いかがですか。

市長の答弁

まず総工費については土木みどり部長から答弁をさせます。

類似施設については、佐原のサッカー場が2.9ヘクタールで、類似施設については2.2ヘクタールでして、例えば2.2ヘクタールの規模で2,500万円という数字は持っていますが、佐原のサッカー場で割合だけ掛け算して、そのときに出てきた数字が逆にひとり歩きをして、例えば指定管理者制度を導入するときに、その金額が根拠になることがないように、慎重な取り扱いが必要な数字であると考えています。

土木みどり部長の答弁

今、総工費につきましては手持ちがありませんので、現在調べて御報告させていただきます。

フジノの質問

今日、個人質問をやるわけです。

僕はすべてホームページに「行政の方々にも問題意識を共有してほしい」と思って、いつも資料を掲載している訳です。

『実施計画』を見れば、佐原2丁目地区道路、公園の整備にあわせて地区内の道路を整備します。

今年度の議案第123号ですが、佐原2丁目公園整備事業は8億8,900万円、土地には買い入れ価格4億6,253万6,632円と出ているわけです、誰もが見られる実施計画や予算書が。

これを手元に用意しないで議会に臨むというのはいかがなものかと思います。

全く発言通告に無くて、僕がとっぴなことを聞いてきたならば問題かと思うのですが、佐原2丁目公園についてお聞きすると申し上げた。

発言通告もしているではないですか。

しかも、総工費も担当部長が知らないというのはいかがなものかと思うのですが、市長、こういうことについて、管理者としてどうお考えですか。

市長の答弁

資料を用意していなくて、大変失礼いたしました。

フジノの質問

試算も行わない、収入支出の見込みも十分行わない、新しく「ハコモノ」をつくる、新しい事業を行う、そういう姿勢が市民の皆さんに不満を感じさせているのです。

「チェンジなんか行なわれない」と不安を感じさせているのです。

それではこのサッカー場公園について、もう1つ伺いたいのですが、今回の予算編成方針それから『財政基本計画』をつくるに当たって、大きな原則があったはずです。

「財源なくして新規政策なし」、小泉総理の言葉使いをまねされたのだと思うのですが、財源というのは新しい歳入の増加の裏づけがない限りは、新規政策は認めないという原則があったはずです。

このサッカー場は、新しい歳入の見込みというのはあるのですか。

市長の答弁

先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、防衛省の補助金を用いまして、土地の購入費には2分の1の補助が、そして建設工事には3分の2の補助がつきます。

これをもって財源の大きな1つの材料であると考えております。

フジノの質問

歳入の増加が見込まれるというのは、税収です。

それから使用料の収入です。

サッカー場で言えば、サッカー場を利用してくれた人の使用料です。

防衛省の国庫補助は税金じゃないですか。

市議時代一緒によく話したじゃないですか。

国税、県税、市税と、税金に色はついていない。

市民の皆様は税金として納めている。

防衛省の国庫補助からお金がおりてきたら、市民の方の生活は楽になるのですか。

結局は税金を投入しているだけの話で、財源は無いではないですか。

歳入増加は無いではないですか。

だから「財源なくして新規政策なし」なんて言葉を上げていますけれども、結局は国庫補助や県の補助が得られればやります、今までの蒲谷市長時代の政策、方針と何ら違いがないと思います。

カッコいい言葉を使って、「やっていこう」みたいなことを言って、中身ないです。

実際にはこれをつくりたかったから、ただつくるだけではないですか。

何の収入の見込みもなく、2,500万円の類似施設と比較して、管理運営コストがかかるという比較は出しているということでしたが、指定管理者に導入するにしても、直営でやるにしても、いずれにしても試算を出して、これから財政基本計画もつくったのですから、どれくらいの収支見込みがあるかというのは、これだって『財政基本計画』に含まれていなければいけないはずです。

そういう意味で、今回の市長の新サッカー場公園建設には全く賛成できませんということを申し上げたいと思います。

続いて、子宮頸がん征圧について何点か伺います。

公明党の代表質問に対しても、既に御答弁をしていただきましたが、学校長を通じて保護者に通知をすることで、御本人の周りにいらっしゃる大人の方々に予防接種の重要性を周知していくということです。

けれども、これでは全く足りないのではないでしょうか。

例えば昨年度、こちらは女性特有のがんということで、乳がんと子宮頸がんに対して無料の検診のクーポン券を送らせていただきましたが、その受診率は子宮頸がんでわずか26.1%、クーポンを利用した方が26.1%しかいなかったのです。

こういった状況を見ると、大人であっても、20歳、25歳、30歳、35歳と5歳刻みで大人の方々に対して無料のクーポン券を送っても、4人に1人しか受けていないというような状況ですから、ワクチンの接種もかなり熱心に取り組みを行わなければ対応ができないと思います。

学校長を通じて保護者に通知、それ以外に市長は何らかの対策というのはお考えではありませんか。

市長の答弁

現在のところは、先ほど答弁したところまでを考えているところです。

フジノの質問

例えば、神奈川県には僕も一緒に活動してきた大学生たちの集まりである『リボンムーブメント』という団体があります。

この時はワクチンはまだ厚生労働省が認可しておりませんでしたから、子宮頸がん征圧のために横須賀市の成人式に来て一生懸命、検診の受診勧奨を行ったわけですが、

そういった活躍が評価されて、神奈川県の教育委員会では、学校にこの女子大生の集まりであるリボンムーブメントを招いて、子宮頸がんの検診の受診勧奨の授業をやったりしています。

予防ワクチンの接種に当たっても、年代の近いこうしたお姉さん方に、生の声で聞かせていただくというようなこともできると思うんです。

既にリボンムーブメントは追浜高校にも来ていただいておりますが、これは教育委員会が県の動きと連動していえば、横須賀市でもいろいろな取り組みができたことだと思うのです。

「今の段階ではこれしか浮かばない」ということだったのですが、予算が通ればすぐに始まる。

しかも時限措置なので、1年間しかチャンスは無いのです。

それなのに今、こんな状況でいいのでしょうか。

もう少しアイデアや取り組みが必要だと思うのです。

これは教育長にもぜひ伺いたいのですが、現時点で学校長に啓発をする、それだけでよろしいのでしょうか。

例えば去年、おととしと、僕はしつこく子宮頸がんについて言ってきましたから、教育研究所で先生向けに研修をやっていただいています。

こういう場でワクチンについても研修してもらったりしたら、もっと変わるのではないのでしょうか。

教育長の答弁

藤野議員の今お話にありました女子大生のリボンムーブメントの活動については、直接藤野議員に御紹介していただき、お会いさせていただいたこともありまして、

その活動については今おっしゃったように年齢が近いということもあって、児童生徒にとっては身近なものとして、命の大切さを考えるいい機会だと思っておりますので、

そういった活動につきましても学校のほうでどういう形で取り入れてもらえるか、そのあたりは話をしているところではございます。

また、養護教諭などにやっぱり子宮頸がんについての正しい知識を伝えるための研修、あるいは教育委員会としましては関係するところと連携しながら、学校だよりとかさまざまな手段を通して、きちんと周知を図っていくことから始めたいと思います。研修ももちろん充実させていきたいと思っております。

フジノの質問

では市長に伺いたいのですけれども、やはり親子で、あるいは姉妹で検診や予防接種に行っていただく必要があると思うのですが、

例えば娘さんがワクチンを接種してくれたらお母さんの子宮頸がん検診、受診、横須賀市の市民検診では1,600円でできるわけですけれども、こういったものを無料にするとか何らかの親子でというようなインセンティブを考えていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

市長の答弁

今後、実際今回1割負担も、市民の方にしていただくのではなくて、公的に助成を行うという財政出動を行っているわけですが、これ以上の財政出動はなかなか難しいと考えていますので、今いただいた御提案のインセンティブというような形では少し考えにくいかなと思います。

フジノの質問

医療経済学的に見れば、発症してしまうよりも予防に取り組んだほうが、効果が高いのは承知しておられると思うのです。

財政との兼ね合いの中で、何らかの形で親子での取り組みというのを促進していただきたいと思います。

そして最後に自殺対策について伺います。

まず鉄道事業者に対するホームドア、フェンス設置、あるいは青色照明灯の設置についてです。

既に、横須賀市では鉄道事業者に対して要望を伝えてきたということですが、どのような要望をお伝え、そしてできないと鉄道事業者が答えてきた理由というのは、どのようなものだったのでしょうか。

市長の答弁

文書等での要望では無いのですが、鉄道事業者の役員の方にお会いする際には御要望してきた経緯がありまして、ただ国土交通省の行ったホームドアの整備促進等に関する検討会の中でも、やはり車両によってドアの設置場所が違うであるとか、あるいは仕様面の問題なども含めて課題があるということで、京浜急行さんもJR東日本さんも計画書の提出には至らなかったのだろうと想定しています。

フジノの質問

分かりました。

今いただいた鉄道事業者側からのできないという理由については、僕も大体承知しているとおりでした。

だからこそ今回の質問に至ったわけですが、鉄道事業者に限らず、この経済不況の中であらゆる企業は業績が厳しいので、新しい資本の投下というのは難しい訳です。

そこで市長に申し上げたいのは、本市として鉄道事業者に取り組みを促す横須賀市の取り組みを行うべきだという提案をしております。

国土交通省の毎月1回の検討会に僕も傍聴に行きますけれども、これを注視しているだけでは鉄道事業者は新しい動きに乗り出せないですよ。

横須賀市としての取り組みを市長に提案しておりますのでお答えください。

市長の答弁

ただ理由の他にも挙げられている1つとしては、プラットホームのホーム自体が重量に耐えられないというようなお話もあるというふうに聞いていますので、簡単にはなかなかいかない話だというふうに思います。

議長

藤野英明議員、待って。

先ほどの土木みどり部長のほうの答弁の用意ができたようですけれども、いかがなさいますか。

フジノの質問

お願いします。

土木みどり部長の答弁

先ほどはどうも失礼しました。

まず、用地の取得ですけれども9,370平方メートルの4億6,300万円、それと公園建設費が9億6,300万円、それと道路整備に関しまして1億1,000万円、合計15億3,000万円です。

フジノの質問

ありがとうございます。

時間の都合もありますので、佐原2丁目公園についてはここでストップさせていただきたいと思います。

市長に改めて伺いたいのですが、ホームドアは確かに重量が重いです。

駅の中には地盤の緩い所に作っているものもありますので、ホームドアは難しい。

そこで、質問の中にもホームドアやフェンスなどへの設置についての取り組みという風に記述をさせていただきました。

フェンスでもダメなのですか?

市長の答弁

鉄道駅にフェンスを張るということになると、どのように乗降車ができるのかというのが、ちょっとイメージができないのですが。

フジノの質問

僕はパニック障害であまり新幹線に乗れないんですけれども、新横浜駅に行っていただければ、可動式のホームドアになる前は、フェンスだった訳です。

横浜駅の京浜急行のホームというのは非常に狭かったですから、片面フェンスでくくってある訳です。

乗車口に窓を設けるというのでフェンスを設けることというのは、決して特殊なことではありません。

それから『ヤングテレホン』に移りたいと思います。

市長、若い世代の命を守る取り組みが必要なのに、若い世代をターゲットにした『ヤングテレホン』を廃止することをどうお考えですか。

市長の答弁

先ほどの答弁でもお答えしたとおり、『横須賀こころの電話相談』については夜中の24時までという課題はありますけれども、年齢制限を設けている訳ではありませんので、ぜひ若い世代にも『こころの電話相談』について啓発をしていきたいと思っております。

フジノの質問

『ヤングテレホン』は子どもの専門家がやっていたと思うのですが、『こころの電話』もそうなのですか?

市長の答弁

『こころの電話』については、子どもの専門の方が担当しているとは認識してきていません。

フジノの質問

今おっしゃったとおりで、子ども特有の悩みに対応できるような場ではないという風に申し上げました。

ヤングテレホンの意義は、今もあるという風に考えています。

これで政治家としてこの4年間の任期が終わるわけですが、市長に対しては非常にいろいろな想いがあります。

借金3,000億円を目指す、借金を減らすことも大事ですけれども、何よりもこのまちで自殺によって命を失われることをなくす、それを目指してぜひ頑張っていただきたいと思っております。

以上で質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。

(質疑応答は以上です)

マスメディアの反応

市長に対して行なったフジノの質疑を、神奈川新聞とタウンニュース紙が報じてくれました。

2011年3月4日付・神奈川新聞より

2011年3月4日付・神奈川新聞より

また、14億5087万円もの税金を使って新たにサッカー場を建設しようとしている問題を厳しく追及したことを『タウンニュース紙』は1面トップで報じてくれました。

2011年3月11日付・タウンニュース紙より

2011年3月11日付・タウンニュース紙より

佐原にサッカー場整備/市民待望か、ハコモノか
市議会で論戦、市長「財源は国庫補助」

横須賀市が佐原2丁目にサッカーグラウンドをメインとする公園の整備を進めていることについて、吉田雄人市長は今月3日、

「サッカーだけではなく各種イベントを開催できる場であり、災害時には人命救助や災害復旧活動の拠点として複合的な役割を担う」

などと述べ、積極的に進めていく考えを示した。

同日開かれた市議会第1回定例会で藤野英明議員(無会派)の質問に答えたもの。

市は23・24年度の継続事業として、同公園整備に約8億8,900万円の予算を計上している。

市が日産自動車佐原工場跡地に平成24年度末のオープンを目指している「(仮称)佐原2丁目公園」はサッカーを主体としたスポーツができる人工芝のグラウンド。

これに加えて、地域住民の憩いの広場や防災拠点としての機能ももたせる。

面積は約2・9ヘクタール。このうち約2ヘクタールは日産が市に寄付。残りを市が買い取る形だ。

愛好家などからはこれまで、

「市内にサッカー場が無いために、(選手・チームは)十分な実力がありながら上のリーグに昇格できず、地元で試合ができない」

などと、新たなサッカー場建設を求める声があがっていた。

集まった署名は平成15年度から1万1,000人を超えるという。

21年度には、市民参加のワークショップが開かれ、夜間照明、放送などの設備や約300人を収容できるスタンドを設置する案があがっていた。

管理運営費、市は試算せず

一方で、市の施設では現在、はまゆう公園内(不入斗町)にサッカー専用のコートがある。

同2丁目公園を「新たなハコモノ」との認識を示す藤野氏は、この日の市議会個人質問で

「十分な設備が整ったサッカー場がすでに存在しているにもかかわらず、財政危機の中で今、新たにつくることは優先順位が間違っている」

と述べた。

その上で、土地の購入、建設、毎年の管理運営にかかる費用や、サッカー場建設による効果を吉田市長に質問した。

これに対し市長は、はまゆう公園内のコートを含め、市内にあるサッカー場の多くは土のグラウンドで

「雨天の時など数日間大会が開催できず、大会運営に苦慮している」

と現在の問題点を指摘。

人工芝やナイター設備を完備することにより、こうした問題を解消できると建設の効果を述べた。

また答弁によると、土地購入費は約4億6,300万円、建設費は21年度に基本設計、22年度に実施設計を行い、23・24年度の2ヵ年継続工事で総額約9億6,300万円。

そのうち土地購入費の2分の1と、建設費の3分の2は防衛省の国庫補助を受けることを「財源」とした。

毎年の管理運営費については

「(公園の)運用形態が未確定であるため(管理運営費の)試算はしていない」

と答えた。

既存施設(はまゆう公園内コート)を人工芝にした場合の費用や、公園の総工費のデータはこの日、用意していなかった。

これらの答弁に対し藤野氏は

「なぜ管理運営コストを計算しないで新しいことに乗り出すのか」

「あらゆる形態を考えて試算していないのか」

などと声を荒げると、市長から

「運営形態はおそらく指定管理者制度の導入を検討しなければばらない」

とした上で、

「近隣の類似公園の管理運営費は、おおむね2,500万円」

との答えを引き出した。

整備事業として予算化され、具体性を増した同公園。

今後、ますます議論を呼びそうだ。

(引用終わり)