藤野英明です。よろしくお願いします。
1.さらなる自殺対策の強化の必要性について
『自殺対策基本法』成立から10年、今国会で改正法案が成立し、4月から施行される見込みです。
昨年の全国の自殺犠牲者数の速報値は約2万4,000人でしたが、いまだ諸外国に比べても犠牲者数は多く、国を挙げたさらなる取り組みが必要だからです。
本市の昨年の自殺による犠牲者数の暫定値も発表されました。
自殺の統計には2種類ありますが、『厚生労働省人口動態統計』では68名、『警察庁自殺統計』では70名となりました。
例年、確定値は暫定値より10名程増えてしまう傾向にあるので、犠牲者数は約80名になるのではないかと考えています。
『横須賀市第2次実施計画』では2017年には自殺犠牲者を70人未満へ減少させることを目標としており、本市にはさらなる自殺対策の強化が必要です。
そこで質問します。
(1)内閣府から提供を受けた「特別集計」の分析と、それを受けた今後の対策について
警察庁の自殺統計原票を内閣府が分析して一般に公開しているデータとは別に、地方自治体が申請すると、内閣府がクロス集計等の統計分析を行なった『特別集計』を受けることができます。
本市は2010年から2014年の5か年について内閣府の『特別集計』を受けました。
そこで伺います。
【質問1】
『特別集計』の提供を受けた結果、本市の自殺の傾向など、得られた新たな知見はどのようなものでしょうか。
【質問2】
『特別集計』の分析を行なった結果、2016年度に実施予定の新たな自殺対策はどのようなものでしょうか。
(→市長の答弁へ)
さて『特別集計』の結果から、僕は以下のことを提案します。
まず、自殺の上位を占めている
- 「60代男性・無職・健康問題あり・家族同居・未遂歴なし」
- 「50代男性・無職・健康問題あり・家族同居・未遂歴なし」
- 「40代男性・勤め人・経済問題あり・家族同居・未遂歴なし」
を『ハイリスク群』と定義します。
そして、この結果を
①『ゲートキーパー養成研修』の参加者に伝える、
②町内会・自治会でもお話をする、
③医師会・薬剤師会・歯科医師会、ハローワークにも『ハイリスク群』には注意深く接していただき、精神科や保健所との連携強化を要請する。
また自殺の発生が多い
- 「6月と9月」
- 「週の後半」
- 「0~2時、12~14時」
を『要注意期間』として焦点を当てます。
そして
④年2回の『自殺対策街頭キャンペーン』も「6月と9月」の「毎週金曜日~日曜日」の「昼12~14時」に重点的に実施するよう変更する、
⑤『よこすか心のホットライン』等相談先が掲載された冊子やチラシ等を『ハイリスク群』の方々と少しでも接点を持てそうな場所(例えばパチンコ店や立ち飲み屋等)に配架を協力依頼する、
⑥『横須賀こころの電話』の開設時間を「6月と9月」だけでも毎晩深夜2時までに拡大する。
【質問3】
『ハイリスク群』と定義した方々とどのような形でも接点を持ち、『要注意期間』に生の側へ引き戻す為に考え得る限り全ての取り組みを実施すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
お答え下さい。
2.「性的な多様性」の存在が当たり前のこととして保障されるまちになる為のさらなる取り組みの必要性について
(1)『同性パートナー』が安心して暮らせる『住まい』の確保の為に官民で取り組む必要性について
「市営住宅に『同性パートナー』の入居が認められるようにすべきだ」と過去3回の質疑を通して僕は提案してきました。
2015年第2回定例会での市長の答弁は、NPO代表との面談、都市部と市民部に研究を指示、先進7自治体への聞き取りを行なった、とのことでした。
そこで伺います。
【質問4】
その後どのような研究が行われ、現在までどのような成果が得られたのでしょうか。
そして新年度はどのような取り組みを行なうのでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
かつて『同性パートナー』が公営住宅に入居できない最大の根拠だったのは、国の『公営住宅法』の第23条第1項、
「現に同居し、又は同居しようとする親族があること」
という条文でした。
つまり『法律上の親族』でなければ入居資格は無い、という内容でした。
しかし4年前に法改正がなされ、この条件は廃止されました。
その後、入居者資格として要件を課すか否かについては多くの部分が各地方自治体に委ねられました。
『市営住宅条例(以下、本市条例)』の上位法である『改正公営住宅法』の施行から約4年が経過した今も、本市条例の第6条第1項第2号ではこのように定めています。
「現に同居し、又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む)があること」
『同性パートナー』入居のバリアだった旧法第23条と同趣旨の条文を本市条例は残したままなのです。
そこで伺います。
【質問5】
本市条例第6条第1項第2号を改正しないまま現在に至っている合理的な根拠は何でしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問6】
また、矛盾を感じざるを得ないのですが、本市条例第6条第1項第2号中のかっこ書きの
「婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」
を文言通り読めば『同性パートナー』も含まれるはずです。
本市の見解として『同性パートナー』は当てはまるのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問7】
仮に「当てはまらない」との見解であれば、その具体的な根拠は何でしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
続いて『民間』の取り組みについて伺います。
2015年第2回定例会の一般質問において、民間賃貸事業者に同性パートナーの入居を積極的に認めるよう不動産業者向け研修を開催すべきではないかと提案しました。
市長は
「正しい知識と情報を市民や不動産事業者に提供し、啓発をしていくことは大切であるとの認識から、今後とも市民の皆様に向けた啓発活動を続けるとともに、不動産事業者に対しても理解を深めていただくべく、情報の提供や研修への参加をお願いしたいと考えています」
と答弁しました。
そこで伺います。
【質問8】
2015年度、本市はこの答弁のとおり、不動産事業者への理解を深める為の情報提供や研修参加依頼は行なったのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問9】
また、この取り組みを2016年度は実施するのでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(2)『同性パートナー』が『医療』の場で『個人情報の照会』を適切に受けられる為の対応の必要性について
大切な人が事故・災害や急病によって救急搬送されたり入院した時にその安否や容態を一刻も早く知りたいのは人として当たり前の感情です。
しかし現在の我が国では『同性パートナー』が救急搬送・入院した時にもう一方の『同性パートナー』は『法的な家族』では無い為に、大切な人の病状説明を全く受けられないのではないかという不安をたくさんの方々が感じておられます。
けれども、病状説明は『同性パートナー』も法的に受けられる仕組みになっています。
まず『患者の意識がある場合』については、2004年12月24日付に厚生労働省が出した『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン』が根拠となります。
具体的には、病状説明を受ける場合等は、誰に同席してもらいたいかは本人の意思で決定できます。
法的な家族・親族でなく「同性パートナー」であってもそれは本人の意思で決められることが明記されています。
次に『患者の意識が無い場合』は、『個人情報保護法』とさきの『厚生労働省ガイドライン』が根拠となります。
個人情報保護法第23条では、本人の同意を得なくとも問い合わせ者に情報提供できる『例外規定』が定めらているのですが、
人の生命、身体又は財産の保護の為に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難である時、
と定めています。
この『例外規定』がどのような時かという具体例をさきの『厚生労働省ガイドライン』で定めています。
例えば
「意識不明で身元不明の患者について、関係機関へ照会したり、家族又は関係者等からの安否確認に対して必要な情報提供を行う場合」
「意識不明の患者の病状や重度の認知症の高齢者の状況を家族等に説明する場合」
「大規模災害等で医療機関に非常に多数の傷病者が一時に搬送され、家族等からの問い合わせに迅速に対応する為には、本人の同意を得る為の作業を行うことが著しく不合理である場合」
と定めています。
この、患者の安否や病状等の個人情報を提供できる第三者に『同性パートナー』も含まれるとの見解は、すでに2005年9月の段階で、大阪府議会での質疑でも明確に答弁されています。
府立病院では『厚生労働省ガイドライン』に沿って、法的な家族に限定することなく、患者の意識がある時は意思を尊重して『同性パートナー』も説明対象に加える。
災害時等も含め患者に意識が無い時においても情報提供できる対象に『同性パートナー』も含まれる、と答弁されています。
しかし、残念ながらこうした法とガイドラインに基づいた『同性パートナー』への情報提供の仕組みは、当事者には全く知られていません。
また、全国の病院・診療所や救急隊にも周知徹底されているとは思えません。
そこで本市の現状を伺います。
【質問10】
本市消防局の救急隊は、事故や災害や急病の搬送者に対する『同性パートナー』からの情報照会があった場合、適切に情報提供を行なっているでしょうか。
患者の意識がある場合と無い場合とに分けてお答え下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問11】
同じく、本市の市立2病院の対応はいかがでしょうか。
患者の意識がある場合と無い場合とに分けてお答え下さい。
(→市長の答弁へ)
しばしば『同性パートナー』の方から話題に上がる『急病時の付き添い』や『看取りへの立ち会い』について、本市市立2病院の指定管理者は、「そもそも拒否をしていない」とのことでした。
さらに「『患者の意識が無い時の手術の同意』を『同性パートナー』ができるか」との2015年第1回・第2回定例会での質疑を受けて、病院の委員会で議論し『手術の際の同意の取り扱い』を書面にて整備し、『同性パートナー』も明確に位置付けて下さいました。
この市立2病院の姿勢は多くの『同性パートナー』に安心感を与えています。
では市立病院以外はどうなのかでしょうか。
そこで市長に伺います。
【質問12】
こうした市立病院の先進的な取り組みを、市内の他の診療所・病院でも同じように取り組んでいただいているか、調査をすべきではないでしょうか。
また、実施されていない医療機関には、市立病院と同様の取り組みを実施していただくよう協力を依頼すべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
3.「貧困」からこどもを救い出す為の取り組みの必要性について
(1)中学校での昼食を用意できない生徒の調査を定期的に継続する必要性について
教育委員会は、2015年10月、『昼食を用意できない生徒に関するアンケート』を市立中学校の全ての学級担任に対して行ないました。
その結果、毎日昼食を用意できない生徒6名をはじめ、合計51名もの生徒が様々な事情から昼食を食べられずにいることが分かりました。
調査結果を受けて、学校保健課と支援教育課が中学校を訪れ、校長と学級担任にヒアリングを実施、スクールソーシャルワーカーが入り支援の方向を検討、また家庭との面談を継続する等、ようやく支援が入りました。
昼食を用意できない生徒たちの存在を、僕は数年前から複数の教職員の方々から聞いてきたのですが、今回初めて教育委員会が『公的な調査』を行ない、『潜在化していた問題』をデータとしてはっきりと『見える化』させた教育委員会事務局の取り組みを高く評価したいです。
教育委員会事務局は、今回、問題が明らかになった児童と家庭については年度が変わっても継続して対応を行なっていく旨の方針を明確に述べました。
しかし、この取り組みは1度きりでは意味が無く、今後も継続していくべきだと僕は考えています。
中央大学法学部の宮本太郎教授によれば、「日本の生活困窮・貧困は新たな局面」に入っており、貧困の『広がり』は拡大する一方です。
また、「日本の困窮層の特徴として、自分が何故困窮に陥ったか分からないという層が多く、その為、生活困窮者からの声があがらず、問題が解決されないまま、こどもへと貧困が連鎖していく」と、その深刻な『影響』を指摘しています。
大人でさえ、自らの貧困・生活困窮を言語化できず、助けを求められない為に問題は可視化されずにいます。ましてやこどもはなおさらです。
したがって、助けを求める声があがるのを待つ姿勢では絶対にダメで、常に政治・行政の側が積極的に声にならない声をあえて聞き取ろうとする努力を継続的に続けていかねばならないと僕は考えています。
特に『こどもの貧困』は、大人以上に政治・行政が常に問題を『見える化』して、支援もこちらから『アウトリーチ』する姿勢が絶対に不可欠だと考えています。
そこで伺います。
【質問13】
『昼食を持ってくることができない生徒に関するヒアリング調査』は単年度の実施にとどめず、中学校への完全給食の導入が実現して全ての生徒に昼食の提供がなされるまでは、ずっと定期的に実態調査を実施すべきではないでしょうか。
(→教育長の答弁へ)
【質問14】
また、その調査結果に基づいて、市長部局と教育委員会は部局を超えて連携し、必ず現場の教職員と教育委員会の指導主事・スクールソーシャルワーカー等と児童相談所等がこどもとその家庭への支援を行なっていくべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(2)昨年本市に立ち上がった『フードバンクよこすか』や今後設立が予定されている複数の『こども食堂』等のインフォーマルサービスと、本市が積極的に連携していく必要性について
2000年頃から我が国でも各地に「フードバンク」が設立されて、企業や個人からの食糧品や日常生活品などの寄附を受けて児童養護施設やホームレス支援団体や生活困窮世帯などに無料で提供する活動が広がってきました。
2015年11月、我が国初の全国組織『全国フードバンク推進協議会』が設立され、12月には本市にもようやく民間団体『フードバンクよこすか』が設立されました。
また、無料もしくは格安でこどもたちに食事を提供する『こども食堂』も全国で立ち上げられています。
こどもの食を支えるとともに大切な居場所にもなり、親子が再び自立した生活を踏み出すきっかけにもなっています。
市民による草の根活動は全国に広がっていますが、さらに行政も動き出し、今年2月には福岡市と大分県が発表した新年度予算では『こども食堂』運営団体を支援する事業費が盛り込まれました。
北九州市は新年度に市内2か所に『こども食堂』を開設する、という全国初の取り組みを発表しました。
こうした中、横須賀でも『こども食堂』の立ち上げに向けた市民の複数の動きがあります。大変すばらしいことです。
さて、2013年12月に生活困窮者自立支援法が成立しました。
生活困窮に追い込まれた方々の自立と尊厳を確保すると共に支援を通じた地域づくりが大きな2つの目標となっています。
草の根の活動や現場の取り組みを後押しする為に創られた法律です。
さらに2015年3月6日厚生労働省通知『自立相談支援事業の手引き』が出されました。
『法』も『手引き』も、生活困窮は『行政のあらゆる分野との連携・協働』だけでなく、『あらゆるインフォーマルサービスとの連携・協働』の重要性を明記しています。
その一例として、もちろん『フードバンク』との連携も挙げられています。
本市もこのような民間団体の取り組みと協力しながら、こどもたちを貧困から救い出す為の支援を積極的に行なっていくべきです。
そこで伺います。
【質問15】
本市には、生活福祉課、自立支援担当課、こども青少年給付課、市民生活課、保健所健康づくり課等、様々な相談窓口があり、さらに様々な相談会などが開催されています。
支援を提供する側の論理で部局が分かれている訳ですが、こうした窓口のうち例えどこに相談に訪れたとしても、市民から生活困窮に関する相談があった時は必ず『フードバンク』や『こども食堂』等の存在を紹介すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問16】
また、地域において活用することができる『フードバンク』や『こども食堂』の把握に努めて、その活動や連絡先を紹介する情報を掲載したチラシやリーフレット等を、市民の方々が目にしやすい本市相談窓口や市内各機関等に必ず配架すべきではないでしょうか。
お答えください。
(→市長の答弁へ)
『こどもの貧困』や家庭の背景等を現場の教職員の方々はとてもよく把握してくれています。
従って、学校側にもきちんと情報提供し連携の仲介をすべきです。
そこで伺います。
【質問17】
本市と本市教育委員会は、教職員・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等にもこうしたインフォーマルな活動の情報を積極的に提供して、学校現場と民間団体が連携を取れるよう講ずるべきではないでしょうか。
お答えください。
(→市長の答弁へ)
さて、『フードバンク』も『こども食堂』も提供する食事の材料はほとんどが寄附によって成り立っています。
寄附を定期的に受けられる企業との協力関係を作ることも必要ですが、個人の方々からの寄附を受けることも重要です。
イベントの時や常設の拠点において市民からの寄附を受け付ける活動を『フードドライブ』と呼んでいます。
『フードドライブ』の為の常設の拠点があれば民間団体も支援を続けやすくなる訳ですが、例えば、静岡県島田市を筆頭に、東京都小平市・稲城市、長野県松本市のように市役所を会場として提供するなどの協力を積極的に行なっている自治体がいくつもあります。
そこで伺います。
【質問18】
本市役所も『フードドライブ』活動の拠点等の役割を積極的に果たして協力していくべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
さて、こうした市民の善意で実施されている活動を政府も後押しするようになりました。
農林水産省等は『フードバンク活動の推進・強化』に向けた補助メニュー等を用意するようになりました。
そこで伺います。
【質問19】
草の根の善意でスタートしたインフォーマルな活動である『フードバンク』や『こども食堂』は活動基盤が弱いことが多い為、民間団体が活用できるメニューを積極的に本市が情報提供して、「寄附された食糧や日用品等の倉庫スペースの確保」を初め、「活動強化の研修会」や「フードバンク運営マニュアルの作成支援」等、その活動を全面的に支援すべきではないでしょうか。
お答え下さい。
4.美術館の市長部局への移管の取り組みについて
(1)2016年度の具体的な取り組みについて
教育委員会が所管している横須賀美術館を、市長部局へ移管する為の取り組みが2014年度に実施されましたが、多くのステークホルダーから合意が得られずに終わりました。
しかし移管を取りやめた訳ではなく、翌2015年度予算には『先進都市の視察、調査、庁内プロジェクトチームでの検討』を目的とした『美術館のあり方の検討』が予算計上されました。
また吉田市長は、2015年第4回定例会の大村洋子議員の一般質問においても、現在でも市長部局へ移管したい気持ちに変わりはない旨を答弁しました。
しかし、今回の市長の施政方針演説では一言も触れられることはなく、『当初予算説明資料』の美術館費にも予算計上が一切ありません。
そこで市長に伺います。
【質問20】
2016年度は美術館の市長部局への移管を実現する為に、具体的に何を行なうのでしょうか。
今後の具体的な取り組みをお示し下さい。
(→市長の答弁へ)
以上で1問目を終わります。
市長の答弁
ご質問ありがとうございました。
【答弁1】
まず、さらなる自殺対策の強化の必要性について、『特別集計』の提供を受けた結果、本市の自殺の傾向など、得られた新たな知見についてご質問を頂きました。
平成22年から平成26年の5年間に、自殺により亡くなった方について、『特別集計』により内閣府から詳細な情報の提供を受けました。
横須賀市の自殺者の傾向として、年代・性別では、40代から60代までの男性の自殺者が多いこと、40代男性は『勤め人』が多く、50代、60代の男性は『無職者』が多いなど、いくつかの傾向がありました。
今後、この『特別集計』のデータを基に自殺分析を行い、自殺対策につなげていきたいと考えています。
【答弁2】
次に、横須賀市の自殺の傾向を捉えた上で、新年度の新たな対策についてご質問を頂きました。
自殺の特徴に合わせた対策は効果的であると考えています。
『経済・生活問題』や『健康問題』に対して、悩みを抱える人に対し、複数の職種の相談員が連携して対応することで、早期の解決につながるように、新たに『自殺対策包括相談会』の実施を予定しています。
また、会場に来る事が困難な方については、複数の職種の相談員が自宅などへ訪問して相談を受ける予定です。
【答弁3】
次に、『ハイリスク群』と定義した方々をいかに生の側へ引き戻すか、考え得る限りの全てを実施すべきとのご質問を頂きました。
自殺の『ハイリスク群』の方々にアプローチをしていくことは、自殺対策において重要であると考えています。
『健康問題』や『経済・生活問題』を抱えた方々にアプローチするために、『よこすか心のホットライン』を市内の医療機関で配架し、『生活保護相談』や『生活困窮者相談窓口』などで配布をします。
自殺により尊い命を失なう方がひとりでも減るように、有効な対策を検討してまいります。
(→自殺対策についての再質問へ)
【答弁4】
次に、市営住宅への『同性パートナー』の入居について、どのような研究を行ない、また新年度にどのような取り組みを行なうのか、ご質問を頂きました。
まず、昨年11月から『パートナーシップ証明書の交付』を行なっている渋谷区役所へ職員が出向き、『区営住宅』への入居に必要とされる『証明書』の発行方法などについて伺いました。
また、「同性カップルの『市営住宅』への入居募集を行なう予定」との報道があった自治体に、電話で状況を確認しました。
その結果、渋谷区では『区営住宅』への入居には条例に基づき、区が発行する『証明書』が必要であること、『証明書』の発行にはカップルが互いに後見人となる『公正証書』が求められ、一定の経費負担が生じることなどがわかりました。
他の自治体にも電話照会を行なっていますが、自治体によって事務の取り扱いに違いがあることが分かりました。
一般に住宅への入居は生活の基盤となるものであり、『同性カップル』の市営住宅への入居も含め、当事者の皆さんがどのようなことを望んでいるのかを把握することも大切です。
この為、来年度も開催を予定している『当事者の皆さんとの意見交換会』で事例等を伺うと共に、他の自治体の状況を調査するなど、さらに研究をすすめていきたいと考えています。
【答弁5】
次に、市営住宅条例第6条第1項第2号を改正しない合理的な根拠について、ご質問を頂きました。
今までは、市営住宅条例の運用において特段の課題は無かった為、この部分の改正は行なっていません。
【答弁6と7】
次に、『同性パートナー』は『事実上婚姻関係と同様の事情にある者』に当てはまるのではないか、というご質問を頂きました。
すでに『同性パートナー』の『区営住宅』への入居が可能となっている渋谷区の区営住宅条例と、横須賀市の市営住宅条例と、この部分の表現は一言一句同じですが、渋谷区ではこれとは別に『同性パートナー』の婚姻関係を認める仕組みを作る運用をしています。
しかしながら本市ではそういった仕組みはありませんので、今のままでは『事実上婚姻関係と同様の事情にある者』に当てはまりません。
まずは市民の理解を深めていくと共に、研究をしていきたいと考えています。
(→『同性パートナー』の市営住宅への入居についての再質問へ)
【答弁8】
次に、不動産事業者への理解を深める為の情報提供や研修参加依頼について、ご質問を頂きました。
昨年12月に本市が開催した『性的マイノリティ講演会』に先立ち、横須賀商工会議所不動産部会・正副部会長会議で、職員が性的マイノリティに関する現状等を説明させていただきました。
また、性的マイノリティに関する理解を深めていただく為、会員の皆さんに『講演会』に出席していただきたく、不動産部会に開催チラシの配布を依頼し、ご了解をいただきました。
【答弁9】
次に、不動産事業者へ情報提供や研修の参加依頼を来年度は実施するのか、というご質問を頂きました。
市内の不動産事業者の方々に『講演会』の開催を周知させていただいたことは一歩前に踏み出せたことであり、今後の取り組みにつなげていきたい、と考えています。
来年度実施する予定の性的マイノリティに関する講座や研修について、不動産事業者の皆さんにもご案内することを検討してまいります。
(→民間の不動産事業者が『同性パートナー』への理解を深める為の情報提供や研修参加依頼についての再質問へ)
【答弁10】
次に、救急隊は事故等の搬送者に対して『同性パートナー』から情報照会があった場合の情報提供について、ご質問を頂きました。
救急搬送した患者に関する情報照会があった場合は、横須賀市個人情報保護条例に基づくと共に『救急業務規程』により対応しています。
その際、『同性パートナー』は関係者として取り扱います。
救急搬送時、患者の意識がある場合は、原則、患者本人の同意を得た上で、情報を提供しています。
患者の意識が無い場合であって、本人の同意を取ることが不合理である場合、関係者であることを確認した上で、情報提供をしています。
なお、電話による問い合わせに対しては、原則、情報提供していませんが、関係者とはっきり確認できれば情報提供をしています。
【答弁11】
次に、市立2病院は、事故等の搬送者に対して『同性パートナー』から情報照会があった場合の情報提供について、ご質問を頂きました。
患者に関する情報照会があった場合は、こちらも個人情報の保護に関する法律、横須賀市個人情報保護条例および『厚生労働省のガイドライン』により対応しています。
その際、『同性パートナー』は家族等として取り扱います。
家族等が来院され、患者の意識がある場合は、原則、患者本人の同意を得た上で、情報提供をしています。
患者の意識が無い場合、家族等であることを確認した上で情報提供をしています。
なお、電話による問い合わせに対しては、原則、情報提供はしていません。
【答弁12】
次に、市立2病院の先進的な取り組みについて、市内医療機関への調査や協力依頼をすべきではないか、というご質問を頂きました。
『厚生労働省のガイドライン』では「『同性パートナー』が病状説明で同席すること等を排除していない」と解釈できますので、市内医療機関へ協力を依頼していきたいと思います。
(→同性パートナーが事故・急病・災害などで救急搬送された時の横須賀市の救急・市立2病院の情報提供のあり方についての再質問)
【答弁13】
次に、中学校における生徒の昼食の用意状況の調査を定期的に継続する必要性に関する計2問の質問については、教育長から答弁をいたします。
教育長の答弁
私に頂きましたご質問につきましては、まず、昼食を用意できない生徒についての定期的な実態調査について、お答えをいたします。
昼食を用意できない生徒がいることについては、憂慮しております。
毎日、または週に2~3回、昼食を用意できない生徒について、学校へヒアリングを実施した結果、昼食を小遣いにしているなどの生徒もいた一方で、家庭環境面での課題が大きく、支援が必要な生徒もいまして、スクールソーシャルワーカーが入り、支援につなげることができました。
今後は、昼食を用意できないという観点も含め、家庭環境面での課題が大きい児童・生徒の状況を教育委員会でしっかりと把握できるよう、調査などの方策を検討してまいりたいと考えております。
【答弁14】
次に、その調査結果に基づいて、必ず教職員・指導主事・スクールソーシャルワーカー・児童相談所等がこどもとその家庭への支援を行なっていくべきではないか、とのご質問をいただきました。
家庭環境面での課題が大きい児童・生徒については、食事の点だけではなく、日常生活における様々な面からきめ細かに情報を把握する必要がある、と考えております。
学校・教育委員会・市長部局・その他関係機関でしっかりと情報共有をし、連携して、子どもとその家庭への支援を行なってまいります。
私からは以上でございます。
(→昼食を用意できない生徒がいる状況を定期的に調査を継続する必要性についての再質問へ)
市長の答弁
【答弁15】
次に、生活困窮に関する相談があった時は『フードバンク』などの存在を知らせるべきではないか、というご質問を頂きました。
生活に困窮する方への支援に当たっては、様々な分野の社会資源との連携も踏まえ、包括的に行なうことが重要である、と認識しています。
この為、『インフォーマルなサービス』についても、公共性や安定性を確認した上で、窓口でご案内するなど、連携を図っていきたいと考えています。
【答弁16】
次に、『フードバンク』や『こども食堂』のリーフレットなどを本市の相談窓口に必ず配架すべきではないか、というご質問を頂きました。
生活に困窮する市民の方々を支援する関係機関等のリーフレットは、これまでも生活困窮相談の窓口において、個別の事情を伺いながら、その人にあった支援策を検討し、適切なものをお渡ししています。
今後も、市の相談担当が詳しい話を聞く必要がある為、配架をせずに、丁寧に話を聞いたうえで情報提供に努めたいと考えています。
【答弁17】
次に、学校現場と民間団体が連携を取れるように講ずるべきではないか、というご質問を頂きました。
『フードバンクよこすか』や『こども食堂』などの民間団体から、活動情報を入手した際には、教育委員会と連携し、学校をはじめ、関係職員等へ必要な情報を的確に提供していきたい、と考えています。
【答弁18】
次に、市役所のフードドライブ活動の拠点としての積極的な役割について、ご質問を頂きました。
生活困窮者支援やごみ減量への取り組みとして、他の自治体において市役所庁舎を含め、様々な会場でフードドライブ活動が行われていることは承知をしています。
一方、市役所庁舎内で行なうことができる活動や行為については、庁舎の秩序維持や公務の円滑な執行を確保する為、一定の規制も設けているところです。
この為、拠点的役割として市が協力する必要性については、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
【答弁19】
次に、フードバンク活動に、民間団体が活用できる補助メニュー等を情報提供し、全面的に支援すべきではないか、というご提案を頂きました。
農林水産省では『食品ロス削減等総合対策事業』のひとつとして、フードバンク活動を支援しています。
市内フードバンクが活用できるような補助メニューがあるかを調査し、必要に応じて情報提供してまいります。
(→フードバンクこども食堂などインフォーマルサービスへの市の積極的な連携の必要性についての再質問へ)
【答弁20】
次に、美術館の市長部局への移管の今後の具体的な取り組みについて、ご質問を頂きました。
美術館の在り方については教育委員会で検討をすすめているところですが、私の想いとしては、今現在でも「市長部局に移管したい」という気持ちに変わりはありません。
7月の『総合教育会議』の場で、今一度、私の想いをしっかりと教育委員の皆さまにお伝えし、市長部局への移管について、改めて教育委員会で議論していただきたいと考えています。
私からは以上です。ありがとうございました。
フジノの質問
市長、教育長、ご答弁ありがとうございました。
では、再質問を行ないます。
『さらなる自殺対策の強化の必要性』について伺います。
『特別集計』の提供結果、つい先日、市のホームページにも掲載していただきました。
こうした『特別集計』に加えて、保健所が独自で行っておられる『地域診断』の結果などを基に、データに基づいた『ハイリスク群』『要注意期間』に注目をした対策を取っていくことが有効だと僕も考えています。
そんな中、新年度実施予定の新たな自殺対策を2点述べていただきました。
1つ目が『包括相談会』の実施、2つ目が『包括相談会』に来られない方の自宅へ訪問する、というものでした。
そこでぜひモデルにしていただきたいのが、東京都足立区の取り組みです。
これは多分すでに健康部のみなさんはご承知かと思いますが、『総合相談会』という名前なんですけれども、本市の『包括相談会』とほぼ同じ形です。
ただ、大きく異なる点は、開催頻度、開催回数。
それから、そこに来てくれた方に、会が終わったあとも支援を受ける人たちが集まる夕食会を開いて、そこに通ったりすることができる。また、生活保護を受ける時の家探しも手伝ってくれた。ひきこもりがちになると玄関に手紙を入れてくれる等、関係が続いた。
というふうな取り組みを行なっております。
そういった意味で、『包括相談会』には大きな期待を寄せている訳ですが、現時点ではどのような開催回数なのか。開催の形態はどのようなものなのか。それから継続的な支援につなげていこうとお考えなのか、この3点をお聞かせください。
市長の答弁
支援機関としては様々な方にお願いをしていく中で、必ず全ての方々が集まるという訳ではありませんが、年に12回の開催というのを現在は想定をしています。
また開催した後に、さらにアプローチが必要な方・支援が必要な方については、保健所を中心に支援ができる体制を整えていきたい、というふうに思います。
フジノの質問
ありがとうございます。
まず『包括相談会』に参加していただいた方には、その後もぜひ生活支援を行なって、この『包括相談会』に参加するきっかけとなった問題を一緒に解決していっていただきたいと思います。
先ほどあげた足立区に関しては、2010年の自殺犠牲者数と比べて、2014年に、わずか5年間に20%も減少させた、という成果が得られています。
自殺対策の世界では、10年で20%減少させるというのが定説です。
全力で国を挙げて取り組めば20%は減少させられるだろう、というのが定説になっているので、この5年間で20%の減少というのは、かなり大きな効果だと思います。
ぜひ、こうした先進的な取り組みも参考にしていただきたいと思います。
続いて質問します。
先ほど「ハイリスク群と定義した方々とどのような形でも接点を持ち、要注意期間に生きる側へ引き戻す全ての取り組みを実施してほしい」というふうに申し上げました。
僕があげたのは極端な例ですが、「決して極端とも言い切れないな」と考えながらアイデアを出しました。
例えば、これまでであれば、まさか『お昼の12時〜2時』ですとか、あるいは『深夜帯』は想定できたものですが、3月・9月の『自殺対策強化月間』や『世界自殺予防デー』ではなくて、『6月』に多い、と。一般的には「卒業や入学、就職がある4月が多い」と言われてきたのが、横須賀市に関しては『6月』だ、と。
「何故『6月』なのか」という点もちょっと分析していかねばならないと思うんですが、意外な結果が出てきています。
また、『週の後半』であるということ。こういったことも、具体的に検討して取り組みに反映させていく必要があると思います。
①から⑥までその全てをやってほしい、と思っているんですが、実現可能なものから、何か取り入れていっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
ぜひこうした『ハイリスクな方々』には積極的なアプローチが必要だと、私も認識をしています。
頂いたご提案のうち、『ゲートキーパー養成研修』の参加者に伝えることであるとか、医師会・薬剤師会・歯科医師会などに、こういった『ハイリスク群』へ接する際に協力をお願いしていくことなどはすぐにでも出来ることだというふうに思っていますので、ぜひ今後、検討していきたいというふうに思います。
フジノの質問
ありがとうございます。
加えて、先ほどお話をした足立区は、実はいちばん足立区にとってターゲットだったのは、横須賀と同様に『無職の男性』『50代・60代』だった訳ですが、足立区でも横ばいの状態であるターゲットは『女性』です。
この『女性』にアプローチすべく相談先を書いたカード型のチラシ、ちょうど横須賀が『横須賀こころの電話』のカードを作っているのと同じような、ああいうカードですけれども、そういったチラシをスーパーやカフェなどにも置いています。
横須賀の場合のターゲット、いちばん『ハイリスク群』と今考えているのはやはり『60代男性・無職』『50代男性・無職』また『40代・勤め人』。
こういった方々と、とにかく接点を持つ。
「どんな小さなお困りごとでも構わないから、相談してほしい。相談をしたいことが分からないけれども相談したい。そういう気持ちになったらまず、相談をしてください」
そういったような言葉が書かれた相談窓口を紹介するリーフレットなどを、あらゆる接点が持てそうな所に配布していくのも1つの手段だと考えますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
『よこすか心のホットライン』という冊子についてですけれども、これまでA4版で出していたと思うんですが、B5版になってかなりコンパクトで、かつ紙の質なども私としては大変満足のいく内容というか、持ち運びにも便利だし、配架しても見栄えは悪くないし、あるいは保存版としてもとっておいて、とっておくに足り得るようなデザイン、形式や紙質だと思って、たいへん良いものがどんどんブラッシュアップされているな、というふうに思っています。
こういったものを、そういった『50代・60代、無職の男性』、こういった方が集まりやすい『ハローワーク』や関係機関に積極的に配布や配架の依頼などは行なっていきたいというふうに思います。
フジノの質問
ありがとうございます。
新しくなった『よこすか心のホットライン』、僕もデザインも大きさも大変素晴らしい出来になっていると考えています。
今、市長がご答弁いただいたのは『50代・60代の無職男性』をターゲットにしての答弁、と受け止めました。
ハローワークや関係機関に置きたい、ということでした。
一方、『40代男性』については『勤め人』が多く、ハローワークではなく、やはり民間の飲食店であったり、あるいは遊興の場。例えばパチンコ施設など、そういった所、ゲームセンターなど、考え得る場所、どういった所なんだろうと一緒に考えながら、そういったアプローチができる場所も含めて考えていけないと思うのですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
実際、どういったところに置いていくと良いのかというのは、正直私、いただいた提案のパチンコ屋というのはですね、あまりふさわしくない、というふうに私はちょっと思うところもありますので、効果的なところ。
また『街頭キャンペーン』の時間帯などについてもご提案いただきましたが、『40代男性』のうち『職のある方』がやはり多い、ということでは、通勤時間帯というのを狙うというのも1つでしょうし、場所だけではなく、そういった機会も含めてぜひいろいろ検討していきたいな、というふうに思います。
フジノの質問
続いて、『同性パートナー』の住まいの確保について再質問をいたします。
まず根本的な質問をしたい、と思います。これまでもたびたび尋ねてまいりました。
その方が『同性パートナー』であろうと無かろうと、市民であることに変わりはなく、低所得であったり、生活困窮事態であれば、市営住宅に入居する資格がある、と僕は考えています。
その方々がたまたま『同性パートナー』である。
そういう方々が排除されるようなことがあっては決してならない、というふうに考えるんです。
いくつかの法的な観点はあると思いますが、まずこの前提だけは共感していただけますでしょうか。
市長の答弁
様々な性の在り方というのがすでに存在していることというのは一般常識になりつつある、というふうに私は思っています。
そういった中で、様々な立場の市民の方々の安全で安心な暮らし、そして生命・財産のの担保というのは行政として一番大事な使命ですので、そういった意味では、原則としては「排除されるべきものではない」という認識は私も同じです。
フジノの質問
ありがとうございます。
その共通認識に基づいて、問題解決をする為の具体的な方策を、知恵をお互いに絞っていかねばならない、という点から質疑を行なっております。
そこで伺いたいんですが、本市が持っている市営住宅条例第6条第1項第2号。これは改正しない理由は「特段の課題が無かった」ということでした。
『同性パートナー』の方々が市営住宅を所管している部局(都市部)、あるいは指定管理者に向かって
「我々は『同性パートナー』だ」
と赤の他人にカミングアウトをして、そして
「入居をさせてくれないか」
ということが、一般的にしやすい、できる状況にあるとお考えでしょうか。
いかがでしょうか。
市長の答弁
この条文そのものが何かのハードルになっている、というよりも、「この条文の一語一句、渋谷区と同じ」というふうに私、答弁させていただきましたとおり、この条文そのものに何か課題があるという訳ではない、と認識しています。
フジノの質問
市長、基本的な僕の立場を申し上げます。
渋谷区の『パートナーシップ条例』は決して良いものではありません。
本来、『同性婚』が我が国ではまだ認められていない状況の中で、無理やり『公正証書』に基づいて、渋谷区が『同性パートナー』を『同性婚』に近い状態だと疑似的に認めるというようなもので、あれを参考にすることでは決して横須賀市は前に進まない、というふうに思っています。
横須賀市の在り方としては、国の動き、それから全国の自治体の動きを見ながら、本市独自でできることを1つずつ探ってきたこの約8〜9年間だったというふうに思います。
今回、市営住宅条例の文言が渋谷区と同じであった。
けれども、向こうは『同性パートナーシップ条例』を持っていますから、そしてわがまちは条例を持っていませんから、同じ市営住宅条例・公営住宅条例の文言があったとしても、違いが出るのは当然のことです。
そこで、先ほどの質問に戻ります。
本市の現在の状況で、市営住宅条例第6条第1項第2号を改定しない根拠は「特段の課題が無かったから」とのことでした。
改めて伺います。
『同性パートナー』の方が
「我々は『同性パートナー』であって、市営住宅に、生活困窮しているから入居させてほしい」
というふうに応募の段階で、市や市営住宅を担当している指定管理者に相談することができるとお考えでしょうか。
市長の答弁
この渋谷区のほうには、条例の正式名称は『男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』という条例ですが、こういった『条例』がある中で区営住宅条例が門戸が開かれた形で読むことができるようになった、ということだと思います。
そういう意味で申し上げると、現段階でこの市営住宅条例を読んで、相談することができる、というふうに解釈することは難しいのではないかと。
実際に都市部の方には相談実績というものは1件も無い、ということです。
フジノの質問
やはり相談実績が無い、というのは2種類の受け止め方があって
「そもそも『同性パートナー』の方がおられない」、そんな訳はありません。
ですから、考え得る原因は「相談しづらい」。
そもそもカミングを家族にもしていないであろう状況の中で、何故、市に言わねばならないのか。指定管理者に言わねばならないのか。
ということになります。
そこでぜひ、この市営住宅条例第6条第1項第2号については『同性パートナー』の方が入居ができる可能性も含めて検討をしていただきたい、というふうに思います。
特に、条文を読みますが
「現に同居し、または同居しようとする親族」
この『親族』という言葉、『法的な親族』と受け止めるのが一般的な解釈というふうに受け取れますが、その後段のカッコ書きの中、「婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」これは、普通に読めば『同性パートナー』も入居できる、という文言というふうに僕は受け止めています。
ですから、ここの解釈をどのようにするかによって門戸は広がる、というふうに僕は考えるんです。
ぜひ検討をしていただきたい。
現実に困っている人々がおられる。
市に声は届いていなくても、僕のところには来ている。つまり、それは「相談を受けますよ」という姿勢を取っているからです。
一方、都市部に「『同性パートナー』の方、相談に乗ってください」というふうなアプローチは今、外に向けてやっているとは思えません。
僕からぜひ、この文言を検討していただき、どういうふうに解釈するのか、ぜひお考えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
この『同性パートナー』の入居というものを考える時に、この条文そのものがハードルになっているとは、私も思いません。
ですので、この条例についての文言よりも、やはりもっともっと市民理解を深めていく中で、いまおっしゃられたような課題について検討していきたい、というふうに思います。
フジノの質問
これまでの議会質疑でも繰り返してまいりましたが、市民理解が進むのを待って同時に検討もしていきたい、ということなんですが、あらゆる人権課題において市民理解が進む、というのはいつの時点をもって理解が進んだ、というふうに考えるのか、なかなか難しいと思います。
...市長の後ろの席で元・市民部長の財政部長が首をかしげておられますが。
やはり、どこの時点で人権問題に理解がすすんだかというのをを判断するのは大変難しいところだと思います。
これだけ毎日テレビをつければ、いわゆる『SOGI』(ソギ)とされるいろいろな方々がテレビに出ている状況。
これを「認知度が高まった」というふうに受け止める見方もありますし、逆にあれだけテレビに出ていても「笑い者扱いされているんじゃないか」というふうに受け止める方もいると思います。
どこまでいったら理解が進んだという判断をするのは大変難しい。線引きが難しい。
ですからまず、やってみることの方が先決ではないかというふうに僕は考えますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
市としても、この『同性パートナー』、あるいは多様な性を認める社会を作るための様々な『市民啓発事業』『相談事業』を重ねてきているところですので、まずはやれるところから取り組んでいく、という姿勢は崩さないようにしたいと思います。
フジノの質問
続いて、民間住宅を『同性パートナー』にも積極的に貸し出したり販売するよう不動産事業者に対しても情報提供や研修参加依頼を2015年度は行なったか、について、ちょっと答弁を聞き洩らしてしまいました。
再答弁をお願いいたします。
市長の答弁
まず、性的マイノリティ講演会、昨年12月に開催しましたが、それに先立って商工会議所の不動産部会の正副部会長の会議の場で、職員が『性的マイノリティ』に関する現状等を説明させていただきました。
その上で、この不動産部会の会員のみなさんに「ぜひ講演会に出席していただきたい」という想いから開催チラシの配布をお願いをした、ということです。
フジノの質問
ありがとうございます。
『不動産部会』の会員の方にチラシを配布していただいたということですが、『不動産部会』の会員の方が講演会に参加していただいた実績というのは把握しておられるでしょうか。
市長の答弁
そこまでの名簿は取っていなかったということなので、何名、不動産事業者が参加したかは把握できてはいません。
フジノの質問
これも重ねてのお話になりますが、『同性パートナー』と入居する為に家を借りたい、家を買いたい。その為に、嘘を大家さんや不動産事業者に言わねばならない。
その嘘がばれれば当然、契約違反ですから、家を手放さなければならない。家を退去させられることになる。
こういう葛藤や苦しみを抱えながら、ようやく住まいを確保できている。
そういう状況をこれ以上与えないでほしい、という思いからの質問です。
2016年度も案内することを検討する、というふうに言っていただきましたが、ぜひ案内は必ず出していただきたい。
そして、出していただいた後は、どの程度参加していただけたのか。また、どんなことをお感じになったのか。アンケートなども取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
できれば、講演会に参加された方々へのアンケートの中で、どういう属性かというのはお聞きをして、把握に努めたいというふうに思います。
フジノの質問
続いて、『同性パートナー』の方々の『医療』の場での『個人情報の照会』についての本市の現状をご答弁いただきました。
消防局の救急隊も、市立2病院も、意識がある場合については家族等として扱う。本人の意思を基に『同性パートナー』を指名すれば、当然、説明をする。
また、意識が無い場合については、これも『電話では基本的に「同性パートナー」であろうとなかろうと答えない』という基準があるとは思いますが、確認の上で情報提供している、ということでした。
これが本当に知られていない現状があります。
横須賀市立2病院の対応(手術の際の同意の取り扱いについて)をブログに掲載しただけでも、
「なんて横須賀は素晴らしいんだ」
という声をたくさんいただいております。
ぜひこのことを、あえて案内するという場というのもなかなか難しいですが、横須賀市の人権・男女共同参画課が『いわゆる性的マイノリティとされる方々』のコーナーを市のHPに作っておりますので、ぜひそういったところにも記載をぜひしていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
ぜひ、積極的な情報提供に努めたいと思います。
フジノの質問
ありがとうございます。
2005年の大阪府議会に続いて2016年のこの第1回定例会横須賀市議会の市長答弁というのは「まさに歴史に残る答弁だ」というふうに僕は受け止めています。
今回『発言通告』に入れるのを忘れてしまったんですが、同じ考え方に基づきますので、『救急医療センター』の状況がどうかぜひお調べいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
ぜひ、調べさせていただきたいと思います。
フジノの質問
ありがとうございました。
続いて、教育長に『中学校で昼食を用意できない生徒の調査を定期的に実施する必要性』について再質問いたします。
「方策を検討したい」というふうにお答えいただきましたが、もう1度確認させて下さい。
この調査は継続して実施するんでしょうか。しないんでしょうか。
教育長の答弁
今般、昼食という観点についてそういう切り口で調査いたしました。
先ほど答弁しましたように、昼食に限らず、支援を要するこどもが学校現場にいる、児童・生徒がいるということが、極めて重要ですので、そういった子ども達を把握するための調査、独自でやるのか、他の調査の項目に入れるのかも含めて方法については検討してまいりたい、というふうに思います。
フジノの質問
「より効果的な方法で調査を実施する」ということで、「その内容を検討する」ということですが、定期的に今後行なっていただくという点については、いかがでしょうか。
教育長の答弁
例えば、国が定めました『いじめ・不登校等に関する調査』も毎年やっておりますので、この件についても、支援を必要とする子どもの調査につきましては、今後、学校現場と相談をしながら、毎年定期的にやっていきたいというふうに考えております。
フジノの質問
では、続いて市長と教育委員会と共に『フードバンク』『こども食堂』などのインフォーマルサービスとの連携について再質問いたします。
『フードバンク』『こども食堂』ともに本当におひとりの方が頑張っておられたり、あるいはカトリック教会で今まで生活困窮者のための炊き出しをやっていた方が、『こども食堂』にサービスを広げていきたいといった形で、法人格もなければ、本当に草の根でやっている方々がたいへん多い。
そこにぜひ市の職員が飛び込んでいって、その活動の脆さや今後の運営の弱さや、それから「継続性が危ういな」と感じたときは、離れていくのではなくて、むしろ応援をしていただきたいというふうに思います。
まず、この点を市長、お答えください。
市長の答弁
すでに市の職員と多少、接触をしているところですが、引き続き様々な情報収集には努めていきたいと思います。
フジノの質問
質問を今回行なうにあたって、「まだ『フードバンクよこすか』の情報はあまり無かった」ということを担当課からお聞きしたんですが、今、市長からのご答弁も「情報収集に努める」というお話しがありました。
僕が今回提案したいのは、情報収集だけでなく、基本的にそういう草の根活動は脆弱です。財政基盤もなければ、やむにやまれぬ思いで活動している訳です。
ですから、そういった活動が軌道に乗っていくようにサポートしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
その辺をよく見極めながら考えていきたいと思います。
フジノの質問
すみません、何を見極めるのか、お答えください。
市長の答弁
やはり『フードバンク』、たいへん取り組みとしては良い取り組みではあるものの、一方で食料という大変生命にも直結しうるようなものを扱うような内容になっています。
そういった意味では、市として支援するのであれば、それなりの信頼関係を築けるかどうか、こういったことについて見極めていく必要性は、私はあるというふうに思っています。
フジノの質問
『フードバンク』や『こども食堂』が立ち上がっている、というのは、まさに生命に直結するものである食事さえとれないこどもや家庭があるから、やむにやまれぬ想いで人々は活動に乗り出している訳です。
「行政と信頼関係が結べるかどうか」が「その活動を支援する/しない」の根拠であっては決してならないと思うんです。
とにかくまず、インフォーマルサービスに取り組んだ。
そして行政のルールなんて関係ない、という想いでまずとにかく動いた人たち。
そういう人たちを応援するのが、生活委困窮者自立支援法の理念ではないかと僕は思っています。
分業的・分権的支援の、5つの支援が明確に書かれているんですが、その5番目にあたるんだと思うんですが、いかがですか?
市長の答弁
おっしゃるように、分権的・創造的な支援というところだと思いますけれども、この『フードバンク』だけに限らずですね、やはり市としてしっかりと支援をしていけるかどうかというのは、その方の思いを決して私、ないがしろにしたくて言っている訳ではありませんし、個人的には敬意を表するところですが、やはり行政として、信頼関係を持ちながら取り組みをすすめられる相手かどうかというのは、やっぱり一定の見極めをしたうえでですね、行わないといけないのではないかというふうに、私は思っています。
フジノの質問
行政のパートナーとなりうるかどうかも含めて、支援をして、こういう申請書を出したほうがいいんだとか、こういう補助金があるから応募したほうが良いんだとか、そういう信頼関係をつくるところからサポートもぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
そういったアプローチをすることには決して否定的ではありませんが、やはり何と言うんでしょう、その結果を約束するような答弁は、ちょっと今の段階ではしかねる、ということです。
フジノの質問
続いて、『フードドライブ』についてです。
フードロスの活動を全国で、全世界で多くの食品企業が、3分の1ルールというくだらないルールに基づいて大量の食品を廃棄している。
そういったことを無くす為に、日本では関係6府庁が取り組みをしている訳です。
『フードドライブ』の活動、ぜひ横須賀市にやってほしい、という想いのひとつには、横須賀市役所というたくさんの人が集まる場で『フードドライブ』をやることによって、「フードロスを個人レベルでも無くしてほしい」という啓発活動にもなるんではないかという思いがあります。
ぜひ今後、展開を検討していただいて、フードロスの活動の啓発にもなるという観点から、『フードドライブ』活動もぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
まずはご提案として受け止めさせていただきたい、と思います。
フジノの質問
最後になります。
『フードバンク』『こども食堂』などのインフォーマルサービス、現時点ではまだ種が撒かれた状態、地面にようやく種が撒かれた状態です。
「本来であれば、政治や行政の仕事だろう!」
と、僕はその関係者の方から怒鳴られたこともあります。
全くおっしゃるとおりなんですが、もはや、生活困窮者自立支援法があらわすように、我々だけではできない。
だから、インフォーマルサービスに協力していただく。
そのインフォーマルサービスをぜひ育成していっていただきたいとお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。