藤野英明です。よろしくお願いします。
1.IR誘致を推進する横浜市に対して、観光立市の実現を目指す本市の姿勢と今後の対応について
ギャンブル依存症に苦しんでいる人の割合は、海外では成人の約1%~2%と推計されています。
一方、厚生労働省研究班の調査によると我が国は他国と比べて圧倒的に多く、成人の5%にものぼると推計されています。
このように現在のパチンコ・競輪・競馬などへの対策も不十分なのに、さらにカジノ解禁となれば苦しむ人々を増やすだけであることから、カジノを含む統合型リゾート(以下、IR)に対して、僕は強く反対してきました。
政府はIR整備推進法を昨年12月26日に施行すると、今年1月6日には『IR区域整備推進本部』を立ち上げました。
さらに2017年度中に運営基準などを定めたIR実施法案を提出予定で、その成立後すぐに公募をはじめ、設置場所を選定する方針の為、全国の自治体でIR誘致の検討が進められています。
隣りまちの横浜市では、IR導入の検討を『横浜市中期4カ年計画2014-2017』や「横浜市 都心臨海部 再生マスタープラン」など行政計画に明記し、山下ふ頭の47ヘクタールを最有力候補地として誘致に向けた取り組みを進めてきました。
横浜商工会議所会頭は2月23日の会見でもIRの横浜誘致を積極的に推進していくと述べ、IR担当の副会頭も「横浜にIRは必要」と述べたと報じられました。
林横浜市長は市長選挙を前にIR誘致をトーンダウンしていますが、実際は本年度に続いて新年度予算案にもIR関連予算を計上しています。つまり再選されれば改めて推進を強く打ち出すと思われます。
本市は観光立市の実現を目指していますが、市内の魅力的な近代遺産を活かし、スポーツ大会や各種学会の誘致など観光客のみなさまに健全な喜びや豊かな経験を提供する方針であり、それはカジノとは正反対です。
横浜市によるIR誘致は本市にとって百害あって一利なしだと僕は考えています。
そこで伺います。
【質問1】
(1)市長はIRについて、特にカジノ解禁についてどのようにお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問2】
(2)横浜へのIR誘致が実現してしまえば、本市にもギャンブル依存症に苦しむ市民が増加するなどの被害が発生すると僕は考えています。
大きな影響を受ける隣まちの市長として、横浜市に方針転換して頂くよう積極的に意見を述べていくべきではないでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
2.医療的ケアや延命治療を施されて、市外の病院や入所施設で暮らすことを余儀なくされている方々が、再び本市に帰って暮らせる体制づくりの必要性について
自宅での死亡率が人口20万人以上の都市の中では、本市が全国トップであると自慢げに市長が語る機会に僕は何度か立ち合いました。
その際、きまって市長は気管切開や経管栄養などの医療的ケアや延命治療の様子を演技がかった暗い声で悲惨そうに語り、全身がチューブだらけにされ自分が誰なのかも分からなくなり、その死は自宅での孤独死よりも孤独で、さみしいもので後悔が残るものだと決めつけていました。
在宅看取りを強く進めたい立場から対称的に述べたのでしょうが、そうした態度や言葉は明らかに医療的ケアや延命治療を受けている方々への冒涜であり、ご家族の想いを踏みにじる、最低な発言です。
在宅看取りの長所を説明すれば良いだけのことであり、それ以外の死の在り方をあえて貶める発言は必要ありません。
そもそも人の死にざまは人の数だけ異なるもので、どれが良いとか悪いとか、市長が市民に押し付けるものではありません。
政治家として僕たちがなすべきことは、ご家族ごとにみな所得や健康状態や価値観等事情が異なることを理解した上で、医療政策の誤りによって市外や県外の病院や施設しか行き場が無い方々が、もしも望むならば、誰もがふるさと横須賀の病院や施設で暮らせるように医療・福祉を充実させることだけです。
同様の指摘を僕がすでに2013年9月24日の本会議で行なったにもかかわらず、いまだに4年前と同じ過ちを繰り返している市長を大変残念に感じています。
現在も多くの方々が医療的ケアや延命治療を受けながら、市外の病院・入所施設で暮らすことを余儀なくされていますが、そもそも決して本人が望んだ訳ではありません。
医師の判断によって結果的に医療的ケアや延命治療の状態に置かれたのです。
医師もまたそれが取りうる最善の手段だと判断したのです。
2年前に亡くなった僕の父も、市民病院で気管切開と経管栄養をすすめられ、何も分からない家族に選択の余地はありませんでした。
それから12年間、植物状態となって、市長の言う「さみしい」状態で父は生き続け、最期は市外の病院で亡くなりました。
12年間、最期まで父の回復を信じて、関節が固まらないように手足を曲げたり伸ばしたり、返事はなくとも父の手をさすりながら毎日の出来事を語り続け、全力を尽くした僕たち家族には全く「後悔」はありません。父がさみしかったとも僕は思いません。
この経験が今も僕を突き動かしています。
医療的ケアや延命治療を受けておられる方々の存在を片時も忘れたことはありません。
市外や遠く県外まで受け入れてくれる病院を探し続けるご家族の苦しみを無くす為に、市内で受け入れられる病院や医療的ケアができる特別養護老人ホームを1つでも増やし、一刻も早くご本人が横須賀の病院・施設や自宅へ帰れるように医療・介護・福祉を充実させねばならないとずっと僕は決意してきました。
市長は、施政方針において
「命の尊厳に向き合った施策の必要性」
を感じており
「市民が住みなれたまちで安心して暮らせる為に、適切な医療・介護体制の整備、終末期の課題や不安の解消(略)を進めます」
と医療・福祉対策の強化を述べました。
しかし、冒頭で述べたような市長の発言を聞くにつけても、むしろ市長は命の尊厳を深くは理解しておられず、施政方針で語った『市民』の中には当該治療を受けている方々が含まれているのか、とても疑問に感じています。
改めて市長に伺います。
【質問3】
(1)気管切開や経管栄養などの医療的ケアをしていたり、延命状態に置かれている方々のことを市長はどう考えているのでしょうか。さみしくて不幸な存在なのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問4】
(2)医療的ケアや延命治療、病院や施設での看取りを市長が批判的に述べるたびに、実際に当該治療を受けている何の罪もない方々の尊厳を踏みにじっていること、在宅看取りが叶わなかったご家族やご遺族にとてもつらい思いをさせていることにまだ思いが至らないのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問5】
(3)市長には、そうした方々がふるさと横須賀に帰り、市内の病院・施設、自宅で療養生活を送れるように、強く支援していく意思はおありでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
3.神奈川県立こども医療センターを卒業した子どもたち、特に成人した元子どもたちが安心して本市でかかりつけ医などを持てる体制づくりの必要性について
周産期医療や高度医療の発達のおかげでかつては生まれることができなかった赤ちゃんの命が救われ、日常生活を送る為に人工呼吸器や気管切開管理などの医療的ケアは必要なものの、元気に育つようになりました。
その子どもたちの多くは神奈川県立こども医療センター(以下、センター)を受診しています。
助かる命がふえ、センターも定員があることから、原則15歳になるとセンターを卒業して、地域のかかりつけ医に移るよう促されます。ただ実際には20歳を超えて卒業される方も多いのが実情です。
しかし、センターから紹介されて市内の医療機関を訪ねても外来・入院を受けてもらえず、引き継ぎ可能な医療機関を見つけることは難しく、訪問看護も同様の状況にあります。
特に、すでに成人した元こどもたちと保護者の方々が置かれた状況は大変に厳しいものがあります。
市長は施政方針の中で
「市民が住みなれたまちで安心して暮らせる為に、適切な医療・介護体制の整備(略)を進めます」
と医療・福祉対策の強化を述べました。
しかし、その『市民』とは高齢者だけであってはなりません。
かねてから僕は児童・障がい・高齢など全ての人々が地域で暮らせる『地域まるごとケア』を訴えてきましたが、まさにセンターを卒業したこどもたちも、元こどもたちもふるさと横須賀で地域生活を送れるように本市は早急に対策を検討すべきです。
そこで伺います。
【質問6】
(1)センターから紹介を受けて本市の市立2病院を訪ねても、引き継ぎに否定的な反応が多いと複数の方から伺いました。
住みなれたまちで安心して暮らせる為に、公的病院の責任において、市立2病院はかかりつけ医として引き継ぎを受けられる体制を構築すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問7】
(2)センターが作成している小児在宅療養ナビで名前が挙がっている病院でも、実際は引き継ぎに難色を示す医療機関が多いと伺いました。
このナビで名前が挙がっている病院・診療所・訪問看護ステーションに対して、本市は積極的に引き継ぎを要請すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問8】
(3)引き継ぎ可能な病院などの絶対数がそもそもとても少ない現状を変えていく為に、本市は医師会や訪問看護ステーション連絡協議会を通じて、新たな引き継ぎ先を開拓していくべきではないでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
4.横須賀市版リビング・ウィルの在り方について
最近では死生観や看取りをテーマとしたドラマや映画が増えて『終活』という言葉が流行したり、本屋でエンディングノートが販売されるようになりました。
自己決定権の表現方法の1つとしてのリビング・ウィルもかつてより広く知られるようになりました。
僕は『リビング・ウィル』を必要だと考えています。
さて、本市が1月に開催した『在宅療養シンポジウム』では、『横須賀市版リビング・ウィル案』(以下、本市版)が参加者に配布されました。
来年度はこの案をもとに完成版を作り、市民に広く配布していくことになります。
僕は作成にあたった本市の『在宅療養連携会議』を発足当初から常に傍聴してきましたし、常に当事者の一人であるとの意識をもって立ち合ってきました。
したがって本市版の作成に至った経緯も議論も承知しています。
その上で、公的な責任を伴う本市があえてリビング・ウィルを作成・配布することへの懸念事項について質疑をすることで、より良いものへと高めていきたいと考えています。
日本でリビング・ウィルを積極的に進める活動をしてきたのは『日本安楽死協会』と名乗っていた、現在の『一般財団法人日本尊厳死協会』です。
1983年から進めてきたリビング・ウィル活動に対して、これまで様々な分野や視点から提起されてきた問題点や懸念があります。
これらはそのまま本市版にも当てはまります。
そこで5点について伺います。
(1)リビング・ウィルの最重要事項は十分なインフォームドコンセントに基づいて、本人が選択肢を理解し納得した上で判断して自らの意思を表示することです。
けれども、本市版は全体で6ページしかなく、そもそも延命治療とは何かの説明さえ8行しか記されていません。これでは正確な理解が得られた上での意思表示とは全く言えません。
担当部署の健康部では
「あくまでも市民のみなさまに考えて頂くきっかけづくりの為にあえて簡易なものにした」
と説明しています。
【質問9】
しかしこれでは、リビング・ウィルの大前提であるインフォームドコンセントに基づく自己決定という最重要事項が守られていないのではないでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(2)一人暮らしの高齢者やご家族が介護に疲れ切って介護負担に耐えられなくなっているケースをはじめ、現在の日本の厳しい経済社会状況では子どもに経済的な負担をかけたくないという想いから、本心とは違っても「延命治療を望まない」と書かざるを得ない方もおられます。
いざという時に本当は病院に搬送してほしくても本音を書かない可能性も十分にあります。
【質問10】
このように、記されたことが本人の本心ではない可能性はいくらでもあります。それはリビング・ウィルとは言えません。この可能性を本市版ではいかにして排除していくのでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(3)リビング・ウィルは、その意思が『任意になされた確固たる物』で、いざという時にも『継続した意思』であることが認められればリビング・ウィルに従って医療関係者が延命治療を施さなくても法的責任は発生しない、と法学的に考えられています。
しかし、病状悪化や体調の急変で本人や家族の気持ちは揺れるのが当たり前です。
元気な時に記した決心や考え方と、実際の急変時に感じ方や考え方が異なることは人として当然のことです。
【質問11】
したがって、本市版にあらかじめ記した意思とは違う意思が示された時にはそれは無効で、常にその時々の本人の意思こそが最優先されるべきですが、いかがでしょうか。
(→市長の答弁へ)
(4)アンケート「人生の最期を迎える時に過ごしたい場所の希望」の回答を市長らが紹介する際にはいつも「6割の方が自宅での療養を希望しています」と解説しています。
しかし、それは恣意的な解説で、事実とは異なっています。
実際のアンケート結果は
- 「自宅で療養して必要になれば医療機関に入院したい」45.3%
- 「医療機関に入院したい」15.4%
- 「老人ホームなどの施設に入所したい」6.1%
です。
つまり、データを正確に述べれば、合計66.8%もの方々が自宅以外で最期を迎えたいと希望しているのです。
人により最期を迎えたい場所が異なる現実に反して、自宅での看取りに誘導する解説は間違っています。
市長が在宅看取りを増やしたいのは分かりますが、データを意図的に捻じ曲げた解釈をするのは許せません。
日本尊厳死協会もリビング・ウィルを解説した著書において
「もちろん患者が延命措置を望み、生命を長らえることも1つの選択であって、それを非難するものではありません」
と明記しており、結論を誘導しないように注意を払っています。
【質問12】
かたや本市版は、延命治療の拒否と最期を自宅で迎える回答へと誘導する内容になっているとは言えないでしょうか。
個人の意思決定権を尊重することこそがリビング・ウィルの本質であって、延命治療を受けたいという気持ちや病院への搬送を望むという想いも大切な意思表示であることをきちんと明記すべきではないでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(5)民間団体独自のリビング・ウィルとは異なって、公的な存在である本市がいったん配布を始めれば、「看取りについて考えるきっかけになってほしい」という『在宅療養連携会議』の意図を超えていきます。
例えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設での心肺停止の際や、デイサービス利用時の急変時などに、公的な書類として救急隊や医師に示される可能性が十分想定されます。
単に啓発ツールという扱いにはとどまらないリスクを考えておくべきです。
特に、救急搬送時において本市消防局はこの本市版をもって『DNAR事案』として扱うことができるのかを検討すべきです。
DNARとはDo not attempt resuscitationの略で、がんの末期、老衰、救命の可能性が無い患者などで、本人または家族の希望で心肺蘇生を行わないこと、またはその特別な指示のことを意味しています。
つまり『リビング・ウィル』のことです。
しかし119番通報は「助けてほしい」という合図ですから救急隊はまず全力で救命を目指します。
何歳であろうと命を救うことに徹底し、できれば元の生活に戻れるように、完全には無理でも近い状態に戻れるように、いつもこれを目指して救急隊はがんばっています。
そもそも消防法において、救急要請があった場合に救急隊員は迅速かつ的確な搬送活動、応急処置を行うことが定められているからです。
しかし、リビング・ウィルなどが示されて「延命治療を望まない」という意思表示がなされると救急隊は応急処置をしないで医療機関に搬送だけを行います。
その後、容態が悪化し重篤な状態に陥った場合に応急処置をしなかったことがその原因だと通常考えられます。
その場合、救急隊員には救急救命処置を実施しなかったことに対して法的責任が問われる可能性があります。僕たちは救急隊員を守らねばなりません。
そこで伺います。
【質問13】
本市版の存在を理由にして救急隊が心肺蘇生等の救命処置を行わなかった場合に、消防法第1条、第2条9項の規定違反で国家賠償法に基づく訴訟を起こされた際に法的責任を回避することができるのでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
以上で1問目を終わります。
市長の答弁
ご質問ありがとうございました。
【答弁1】
まず、横浜市がIR誘致を推進していることに関連して、IR、特にカジノ解禁についてご質問をいただきました。
現在、報道では
「横浜市として依存症対策を優先させる必要があり、積極的に踏み込むことは考えられない」
と報じられています。
ギャンブル依存症などの課題があることも事実ですので、国や誘致する自治体は、何らかの対策を取ることが必要と考えています。
【答弁2】
次に、横浜市に方針転換を求めるよう意見を言うべきではないか、というご質問をいただきました。
国の依存症対策の方向性や横浜市の考えも明確でない現時点において、何か意見を述べる考えはありません。
(→フジノの再質問へ)
【答弁3】
次に、気管切開や経管栄養などの医療的ケアをしていたり、延命状態におかれている方々について、ご質問をいただきました。
「さみしくて不幸な存在」などと思ったことはありません。おひとりおひとりの命は、大切な命であると考えています。
【答弁4】
次に、医療的ケアや延命治療などを受けている方々の尊厳を踏みにじり、在宅看取りが叶わなかったご家族やご遺族につらい想いをさせていることについて、ご質問をいただきました。
在宅看取りが叶わなかったご遺族に、後悔を感じている方がいるとしたら、同じような後悔をさせたくない、という思いをもって、在宅療養の体制づくりを進めています。
(→フジノの再質問へ)
【答弁5】
次に、市外の病院や施設に入所している方々が横須賀に帰り、市内で療養生活を送れるように強く支援していくことについて、ご質問をいただきました。
私としては、市外の病院や施設に入所している方々の支援をしたいという気持ちは持っていますが、行政の手が届きにくい方々ですので、現状ではどのようなことができるのか考えていきたい、と思います。
(→フジノの再質問へ)
【答弁6】
次に、『県立こども医療センター』から紹介された患者を、市立2病院はかかりつけ医として引継ぎを受けられる体制を構築すべきではないか、というご質問をいただきました。
『県立こども医療センター』から紹介を受けた患者を引き継ぐ体制は、うわまち病院小児医療センターにおいてすでに構築しています。うわまち病院が中核として機能し、院内の他の診療科や市民病院と連携したり、診療所につないだり、適切に対応しています。
(→フジノの再質問へ)
【答弁7】
次に、『小児在宅療養ナビ』で名前が挙がっている病院・診療所・訪問看護ステーションに対して積極的に引継ぎを要請すべき、というご質問をいただきました。
先ほど述べたように、『うわまち病院』ではすでに引継ぎの体制を構築し、紹介された患者を『小児在宅療養ナビ』に掲載された医療機関等に結びつける役割を担っています。
『うわまち病院』が後方支援を担うことで、積極的に引継ぎの要請もしています。
(→フジノの再質問へ)
【答弁8】
次に、引継ぎ可能な病院などの絶対数が少ない現状を変える為、医師会や訪問看護ステーション連絡協議会を通じて、新たな引継ぎ先を開拓していくことについて、ご質問をいただきました。
うわまち病院小児医療センターを中核とする取組みは、先進的な取組みであると認識をしています。
大切なのは、この小児医療センターと地域の診療所の連携である、と考えています。
【答弁9】
次に、『横須賀市版リビング・ウィル』の在り方について、インフォームド・コンセントに基づいて本人が意思表示をするという最重要事項が守られていないのではないか、というご質問をいただきました。
まず、この『本市版リビング・ウィル』は、市民が自分自身の人生の最終段階について、どうありたいかを考えていただく『きっかけづくりのツール』として作成したものです。
人生の最終段階においては、医師など医療者からの十分な情報と説明を受け、患者が理解し判断するというインフォームド・コンセントに基づいて、本人が意思決定をするプロセスが重要であることは認識しています。
しかし、この『本市版』は元気なうちから考えていただくことを目的としていますから、医師と最期の医療について話し合う状況では無い場合を想定している為、あえてわかりやすいものにしています。
【答弁10】
次に、『リビング・ウィル』に記されたことが、本人の本心ではない可能性を本市版はいかにして排除していくのか、というご質問をいただきました。
『リビング・ウィル』は、本人が自分の希望、自分の選択について、その意思を書くものです。
本人の本心で無いかどうかを判断するのは難しく、それを排除するのは『本市版リビング・ウィル』に限らず、どのようなものでも困難だと考えています。
【答弁11】
次に、あらかじめ記した意思とは違う意思が示された時は、その時々の本人の意思が最優先されるべきだ、というご質問をいただきました。
『リビング・ウィル』は当然、書き直して良いものであり、『本市版リビング・ウィル』でも作成の留意点として、状況や気持ちの変化によって書き直すことや、年に1回程度、定期的に見直すことをお勧めしています。
私も、『リビング・ウィル』に記載された内容にかかわらず、新たに示された意思が最優先されるべきだ、と考えています。
【答弁12】
次に、延命治療を受けることや、病院への搬送を望むことも貴重な意思表示であることを明記すべきではないか、というご質問をいただきました。
まず、このアンケートの設問は、「あなたが病気などで、人生の最期を迎える時が来た場合、最期はどこで過ごしたいと思いますか」という設問ですので、自宅での看取りに誘導はしていません。
『本市版リビング・ウィル』も、『延命治療の拒否』と『最期を自宅で迎える回答』に誘導する内容であるとも考えていません。
しかし、延命治療を受けることや病院への搬送を望むことも貴重な意思表示であることを明記すべきというご指摘は、その通りであると考えていますので、『在宅療養連携会議』にこの話を伝えたいと思います。
【答弁13】
次に、本市消防局が『本市版』をもってDNAR事業として扱うことができるのかを検討すべき、というご指摘をいただきました。
『本市版リビング・ウィル』には法的拘束力がある訳では無い、ということを記載しています。
また、本市消防局の救急活動は『蘇生拒否にかかる救急対応ガイドライン』に基づき、119番通報があった時点で、救命の意思をもって通報しているものと判断し、傷病者の本人の救命に最善を尽くすことを基本原則としています。
当該『ガイドライン』では、『DNAR』、いわゆる蘇生処置不要の指示書等の確実な情報が確認された場合でも、原則、医師に引継ぐまでの間の心肺蘇生は実施することとされています。
したがいまして、『リビング・ウィル』があったとしても、消防局の救急活動においては、DNAR事案として取り扱うことはありません。
(→フジノの再質問へ)
以上です。
フジノの再質問
市長、御答弁ありがとうございました。
さっそく再質問に入ります。
まず、横浜のIR誘致に反対してほしいという想いを述べましたが、市長からは消極的な御答弁をいただき、大変失望いたしました。
質問を作成する前に、観光担当部長、課長にヒアリングをして意見交換をしたのですが、お2人ともIRには明確に否定的な立場でおられました。
厳しい規制を作らなければ、市民にも依存症被害が発生する。我がまちの観光政策はもっと健全な取り組みを進めていく。隣町にカジノができても、そのおこぼれをもらうような気持ちは全く無い、といった共通認識に至りました。
今回、あえて本会議で質問したのは、部課長ではなくて市長御自身の考えを、公の場でお答えいただきたかったからです。
特に、カジノは自殺を増やすことになるからです。
御本人の許可をいただいて、横須賀市民でギャンブル依存症に苦しんでいる方のお話を紹介します。
Aさん、女性、27歳。仕事は運送トラックの運転。
大学卒業後に、男性ばかりの職場に入り、勤務明けに先輩や同僚に誘われて、パチンコ屋に付き添いで行くようになった。
早く職場や先輩同様になりたくて、毎回パチンコに付き合い、それから5年、完全にパチンコから逃れられなくなってしまった。
お金が無くなってもパチンコに通わずにいられない。
勝っても負けても全くうれしくも悔しくもなく、なぜやめないのだろうと焦りや自分への怒りは強くあるものの、どうしてもやめられない。
お給料が底をついて、消費者金融から借金をしてパチンコを打ち、借金がふくらみ、夜は風俗で働くようになってお金を稼いだ。
ある日、インターネットで情報を探しているうちに、昨年、僕の所にたどり着き、初めて他人に相談したとのことです。
丁寧にお話を伺った末に、私はギャンブル依存症と受けとめ、久里浜医療センターの病的ギャンブリング治療部門への通院を勧めました。
先日再会した彼女は、僕にこう話してくれました。
「たかがパチンコと思っていたのがやめられず、借金もかさみ、風俗でも働いたり、恥ずかしくて誰にも言えなくてつらかった。藤野さんに言われるまで、そもそもギャンブル依存症という言葉も知らなかったし、自分が依存症になるなんて思わなかった。治療はなかなかうまく進まなくてとても苦しい。横浜がカジノなんて言っているけれども、自分よりひどい依存症の人をもっと増やすだけだから、絶対にやめてほしい」
まさに彼女の言葉を受けて、私は今回の質問を行なうことを決めました。
彼女のように、このまちで普通に暮らしている方々が、ふとしたきっかけでギャンブル依存症になっています。
隣町にカジノができれば、もっと悲惨な現実が起こり得るのです。
自殺対策を進めるのが、政治家としての僕の使命です。
ギャンブル依存症の先に待っているものは、金銭的には破産ですが、その先には自殺が待っています。
カジノは依存症を増やすだけでなく、自殺へと追い込まれる犠牲者を増やすものであり、絶対に認めることができません。
そこで再質問として、まず市長に伺いたいことは、実際にギャンブル依存症の方の苦しみの生の声に、市長御自身が耳を傾けたことはおありでしょうか?
市長の答弁
依存症として診断された方の直接の声というのは、私は聞いたことはありません。
フジノの再質問
無いとのことでした。
厚生労働省研究班の調査結果である日本での有病率、男性8.7%、女性1.8%を本市の2015年の成人人口に当てはめると、本市には男性1万4,500人、女性3,085人、合計1万7,585人もの方々がギャンブル依存症で苦しんでおられることになります。
しかし、本市ホームページを検索しても、また予算書を読んでも、積極的な支援の取り組みが全く見つけられませんでした。
そこで、市長に伺います。
本市にはギャンブル依存症の相談窓口や支援の取り組みはあるのでしょうか?
市長の答弁
直接的な相談窓口というのは存在していません。
フジノの再質問
続いて伺います。
本市内にギャンブル依存症を治療できる医療機関がどれだけあるか、市長は御存じでしょうか?
市長の答弁
久里浜の国立の病院以外には、私は存じ上げていません。
フジノの再質問
おっしゃるとおりです。市内には久里浜医療センター1カ所しかありません。
近隣といえる市外でも、県立精神医療センターや阪東橋の大石クリニックぐらいしか、ギャンブル依存症治療の専門医療機関はありません。
また、民間では、認定NPOワンデーポートや、自助グループのギャンブラーズ・アノニマスなどしか、支援組織が存在していません。
このように、医療機関も支援機関もほとんどない現状を御存じでしょうか?
市長の答弁
私としては、やはり久里浜の医療センター以外は余りぱっと思いつくところはありませんでした。
フジノの再質問
本市には、公的な相談窓口も無ければ、取り組みも無い。
頼れる医療機関も市内に1つしかなく、自助グループも横浜に行かねば無い。
これだけ何も無い状況で、カジノによって市民にギャンブル依存症の被害が増えれば、今よりもっと深刻なダメージが広がって、破産や自殺がふえることが容易に考えられます。
改めて市長に伺います。
本市は、市民の命を守るために、はっきりと横浜市に対して、IR誘致の取り組みをやめていただくよう要請すべきですがいかがでしょうか?
市長の答弁
私としては、IRと呼ばれるいわゆる統合型リゾートの中に、カジノができる、あるいはできなくてもIRは誘致すべきだなどという議論もありますが、それが横浜であるか、あるいは川崎であるか、東京であるか、そういう立地の問題等もあると思います。
横須賀市として、IRの誘致というものに手を挙げるつもりはありませんが、やはり誘致するという自治体には、依存症対策等とる必要があると思いますし、当然、国においてもそういった依存症対策というのは図られるべきだというふうに考えています。
フジノの再質問
どうしても市長は横浜の動きを放置するということだと受けとめました。
それならば、少なくとも本市の取り組みだけでもしっかりして下さい。
そこで伺います。
まず市役所の中で、ギャンブル依存症の相談窓口はどこなのかと、はっきり担当部署を決めてください。
いかがでしょうか?
市長の答弁
今後、カジノ法案が成立して、実施に向けて動き出す中で、そういった窓口を制定する必要性、今感じましたので、どこに置くべきか、どういった形で誰が相談を受けるべきか、いろいろと考えていきたいと思います。
フジノの再質問
制定をする際には、当然ながらギャンブル依存症と明記した上で、ホームページや広報よこすかでもそれを周知していただけますか?
お答え下さい。
市長の答弁
相談のあり方というのが、今の段階で横須賀市の職員に専門的な知見を持った人間がいるというわけではありませんので、横須賀市の地域資源でもある国立久里浜医療センターを紹介するということが、現実的には一番望ましいのだろう、というふうに思います。
ただ、最初から医療機関に行きづらいというような方もいらっしゃるでしょうから、そういった方の相談を、まずはいったん行政として受けて、それを医療機関につなぐ。
その際に当然ギャンブル依存症という形で表示されていなければ、行政にも相談できないということになってしまいますから、そういった際には、相談窓口といいながら、実際は医療機関との連携窓口にきっとなるとは思いますけれども、そういった際にはやはりギャンブル依存症の方は、どうぞ市役所に御連絡くださいという形で、ホームページ等で明記していきたいと思います。
フジノの再質問
まず、久里浜医療センターを紹介するということは、今すぐにでもできることだと思いますので、さっそく取り組みを始めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
市長の答弁
考えてみたいと思います。
フジノの再質問
では、続いて市外病院施設で延命治療を受けている人を横須賀に取り返す体制作りについて伺います。
選挙を前に控えた市長がとにかく成果を語りたい気持ちは、嫌になるほど伝わってきます。
しかし、あさはかな言葉を聞くたびにとても嫌な気持ちになり、虚しくなります。
例えば、先日の『在宅療養連携シンポジウム』で市長は
萬田緑平さんが書いた『穏やかな死に医療はいらない』という本を読んだおかげで、市長御自身が大切な人を自宅で看取ることができた
という経験を話しました。
よく話されます。
そして、
「自分がこの本を読んでいなければ、本市の地域医療推進課の在宅看取りの取り組みはなかったかもしれない」
などと語りました。
しかし、地域医療推進課が在宅看取りの取り組みを始めたのは2011年です。
萬田さんの本が出たのはその2年後の2013年です。
平気で嘘をつくのはやめてほしいと思います。
萬田さんの本が出版されたことと、本市が在宅看取りを推進してきたことは、全く関係がありません。
現場の医療関係者や地域医療推進課の職員も私もすぐに嘘だと分かり、虚しくて仕方がありませんでした。
また、本当に大切な人を看取った御家族の気持ちは市長には理解できない、と感じています。
市長が何度も語るエピソードに出てくる自宅で看取ったという大切な人についてです。
プライベートな話ですが、市長が公の場で話しておられるのであえて質疑をしたいと思います。
その方が、まだ市長と僕が親しかった頃に話してくださった『あの方』のことならば、そもそもあなたの御家族では無いではないですか。
しかも市長が市議選に立候補を決めてからの出会いとお聞きしていますから、20年ほどのおつき合いでしかありません。
もちろんその方が亡くなったのは、市長の自宅でもありません。
そのことを、まるで市長が在宅看取りをしたかのように語っておられる。
長年連れ添った家族を失った市民の方々の体験した死と、市長が語るエピソードとは、はっきり言って全く別次元の話なのです。「同じ次元で語らないでほしい」とさえ、僕は怒りを感じています。
かたや圧倒的多数の市民の皆様は、50年から60年以上連れ添った夫や妻を、お父さんやお母さんを失なうのです。
そして、どれほど大切に思っていても、金銭的な事情や家族の健康上の理由などで、さらに市内の医療機関・福祉施設の体制が不十分なために、たとえ望んだとしても、自宅で看取ることはできないのです。
御家族は、市外・県外の病院施設にいる家族のことを、毎日何度も「会いたい」「さみしい」と思い続けています。
亡くなった後にもずっと思い出しています。
そこに市長から
「自宅での死以外はダメだ」「病院や施設での死はさみしい」
といった内容の言葉が投げつけられる。それは傷に塩を塗りつけられるようなつらい経験です。
死という厳粛な事実に違いはありませんが、市長が失なった大切な方との関係性は、本当の御家族を失った多数の市民の方々とは全く別物です。
そこから受けた心理的なダメージや肉体的な疲弊感の大きさは、圧倒的な差があります。
市長には、この大きな違いがわかりますか。市民の方々のお気持ちを推しはかることはできますか。
お聞かせください。
市長の答弁
確かに私が紹介している方の在宅療養というのは、私の家族ではありません。
時間がある時には、そういう家族では実際無いのですが、という断りを入れながら、御説明をするようにしています。
ただ、そういった方の最期、人生の最終段階を自宅で過ごすことの意義ということは、私も感じていますし、御家族の皆さんもそれをお話しされていました。
ですので、御家族の皆さんのお気持ちというのを推しはかることは、私にはできると思っています。
フジノの再質問
それならば、今後「在宅看取りの20万人以上都市での死亡率が全国でトップだ」とお話をなさるときに、例えば延命治療、医療的ケアを受けておられる方々のことをネガティブな言い方でおっしゃるのを一切やめていただけませんか?
市長の答弁
実際、私が話した時には、恐らく正確にきちんと記憶はしていませんけれども、「私はそうはなりたくない」と思っています。家族にもそういった意思を示しています。
ですので、そういう趣旨でお話を聞いていただければというふうに思っていますが、そういった延命治療等を受けている方に対して、失礼になるような物言いがないように、ぜひ気をつけていきたいと思います。
フジノの再質問
その市長の物言いについて、以前から複数の市民、市職員の方から深く傷つけられたというお話を伺ってきました。
今回、発言通告書を僕がブログで公開してからは、市民の方、議会、市職員の方から「よくぞ書いてくれた」と賛同のメールや電話、お声がけをいただきました。
家族はみんな医療の技術の進歩を信じていて、
「明日になれば目が覚めるかもしれない」「来年になれば新たな治療で意識が戻るかもしれない」
と、切実な思いで家族の回復を信じています。
僕も父の入院中、他の方のお見舞いに来られた御家族とともに励まし合ったものです。
市長に伺います。
あなたはこうした回復を信じて、祈って病院に一生懸命足を運んでいる、そうした御家族の生の声を自ら受けとめたことはありますか?
市長の答弁
様々な機会で受けとめています。
フジノの再質問
ならばこそ、しつこくくぎを刺しておきたいのですが、そうした生の声を受けとめているならばこそ、多くの方が市長の言葉に傷つけられたと感じている現実を受けとめて、ぜひお言葉には御注意していただきたいと申し上げます。
もう2度と同じことを言わせないでください。
フジノの再質問
次の質問です。
新年度は、県が『保健医療計画』を改定し、本市は『介護保険事業計画』を改定します。
在宅看取りだけでなく、市外・県外の病院・施設でしか受け入れてもらえない方々を、ふるさとで暮らせるような医療・福祉の充実をしっかり計画に記すべきです。
市長は先ほど「行政の手が届きにくい」とおっしゃいました。
そんなことはありません。
まず、必要なことは現状の把握です。
市長は、市外・県外の病院・施設で暮らさざるを得ない方々が、どれくらいおられるか把握しておられますか。
市長の答弁
私は把握していません。
フジノの再質問
これは地域医療連携室などをはじめ、市民病院、うわまち病院、そして他の病院にも協力をしていただければできることです。
ぜひやっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
市長の答弁
その方法が私にはわかりません。
フジノの再質問
在宅療養連携室の役割を承知しておられないということで、大変に残念だと思います。
転院先を紹介する、そしてその方々が無事に転院先を見つけられたかということを、メディカルソーシャルワーカーの皆さんは毎日本当に苦労しながら探して下さっています。
それをお聞きしていけばいいだけのことなのです。
把握さえ方法が浮かばないというのは大変残念に思います。
そうすると、施政方針でおっしゃった「ふるさとで安心して暮らせる」「誰もが暮らせる」というようなことというのは、空手形なのだということがよくわかりました。
そうした本市の医療と福祉の政策の貧困が、たくさんの人々を市外に追いやっています。
しっかりと医療・福祉の体制整備を進めて、全員をふるさと横須賀に責任を持って取り戻す。そうした『医療計画』となるように、県には強く訴え、本市の『介護保険事業計画』改定には全力で臨むべきですが、どうお考えでしょうか。
次の計画によって、全員がふるさとに帰ってこられるものにできますか?
お答えください。
市長の答弁
まず決めつけるのはやめていただきたいのですが、当然消防の救急搬送等で市外の病院を選択せざるを得ないケースなどもありますし、その際、その後どこにその方が医療を受けられているかとか、把握することはなかなか難しいです。
メディカルソーシャルワーカーの皆さんが、各病院で様々、いわゆる診療所につなげる取り組みなどをしていることは承知していますが、その件数をカウントすること、それが市全体の市外で療養を受けている方の数のカウントには、イコールにはならないと思います。
その上で、『介護保険事業計画』、これからつくっていく中で、国も『介護医療院』というものを立ち上げるやに聞いています。
こういった医療的なケアが必要な方であっても、病院からすぐ自宅ではなくて、施設という選択肢もあるのだということが、新しく示されようとしている。
まだ法律案の段階ですけれども、こういった情報は逐一入手しながら、県に対しても横須賀市の実情は届けていきたいと思います。
フジノの再質問
県に実情を届けるだけでは足りません。
それは当然のことですが、今後、これまで僕が主張してきたように、県の『保健医療計画』と市の『介護保険事業計画』をすり合わせをする機会も新たに設けられることになっています。
僕は、先ほど申し上げたのには
「県には全力で訴えてほしい、そして本市の介護保険事業計画の改定にも全力で臨んで、そして市外に出てしまっている方々を横須賀に戻せるように、そういう計画にしてほしい」
と申し上げました。本市の計画改定には、どのように臨むのかお答えください。
市長の答弁
考え方として、市外で療養している方が、できるだけ御家族や住みなれた地域のそばで療養するということは、私も理想だと思います。
けれども、『介護保険事業計画』の中で「全員を戻す」ということをうたうことは、現実的には難しいと思います。
フジノの再質問
言葉尻で答えられてしまいました。「全員を戻すと書くのは難しい」と言われました。
では、「1人でも多く帰す」と書いていただきたい。
少なくともその思いで『介護保険事業計画』を充実させてほしいと思いますがいかがでしょうか。
市長の答弁
『介護保険事業計画』の中に、市外で療養を受けていたり、あるいは施設に入居しているような方を1人でも戻すと書いた場合、具体的にどのような施策がそこにひもづいてくるのか、私には今イメージができませんので、今軽々にそういった1行を入れますと答えることはできません。
フジノの再質問
施策を考えていくのは、現場の担当や係長、課長、部長を初めとする職員のみなさんです。
事務局の皆さんです。
また介護保険運営協議会の皆さんや社会福祉審議会福祉専門部会の皆さんであります。
ですから、市長はビジョンや理念を語っていただければ良い訳です。
施設に暮らしておられる、あるいは市外の病院施設で暮らしておられる方を1人でも横須賀にお帰ししたいというビジョンを書くことは、決して市長がやってはならないことだとは、僕にはとても思えません。
ビジョンを語っていただきたい。
市外にいらっしゃる方をまるで「見捨てる」というふうに今聞こえたのですが、そういう姿勢はあってはならないと思います。
ぜひ次の『計画』の中では、市外におられる方を1人でも多く横須賀にお帰しするということを強くうたってほしいと思っています。
フジノの再質問
続いて、「『県立こども医療センター』を卒業した元子どもたちが、横須賀でかかりつけ医を得て暮らせる体制づくりを」ということを提案しました。
先ほど、『うわまち病院小児医療センター』が中核的な拠点としてすでに機能しているとお答えになりましたが、僕は全くそのようには受けとめておりません。
転院先探しで苦しんでいる保護者の方に対して、こんな発言を投げつけるドクターが、うわまち病院にいるという事例をお聞きしました。まさに『リビング・ウィル』の押しつけです。
『センター』から引き継ぎの紹介状を持って、『うわまち病院』を訪れたある保護者の方は、初診の日に、初診の日です、ドクターからこう言われたそうです。
「万が一のときは人工呼吸器をつけるか否かを決めておいてください」。
言外に「人工呼吸器はつけるな」、つまり「そのまま死なせろ」と高圧的に言われたように感じて、深く落ち込んでしまったそうです。
転院先探しで不安を抱えている保護者の方に対して、初診の日にドクターが言うべきこととは思えません。
このような発言を投げつけるドクターが『うわまち病院』にいるという実態を、市長は御存じでしょうか。
市長の答弁
今のお話は私初めて聞きましたが、やはりトータルに状況を私承知していないので、価値判断をすることは避けたいと思います。
フジノの再質問
中核的に機能するということは、そういうことではないと思います。
2月14日の神奈川新聞報道によれば、『横浜市大附属病院』が『県立こども医療センター』と連携して、先天性心疾患のある成人になった子どもたちの受け入れを進めているということでした。
『センター』にとっては、「心疾患だけでも『センター』だけでは対応できなくなるので、恒常的なシステムをつくらねばならない」という強い危機感を持って、連携可能な医療機関を探してきた訳です。
その結果、『横浜市大附属病院』が全国でも先駆けとして、成人となったセンターの元子どもたちの受け入れを進めることになりました。
横浜市大の教授の方はインタビューに答えて、
「経営状況にさほど左右されない公立病院として、要請に応える必要があると感じていた」
と述べました。
今回の質疑で僕は対象を心疾患だけにとどめてはいませんが、まさに同じ問題意識を持って、僕は今回の質問をつくりました。
本市は、公立2病院が責任を持ってセンターと連携し、協力して、ふるさとであるこのまちで暮らしていけるようにしていただきたいと強く願っています。
そんな中で、『うわまち病院小児医療センター』が機能していて、適切に対応しているという御答弁をいただきました。
それに対して、現実は違う、という答えを僕は申し上げましたが、現状をよく知らないので価値判断できないとまたお逃げになられた。
大変に残念なことで、これをお聞きになっておられる当事者の方や保護者の方は、大変に悲しい想いをされていると思います。
せめて現状を調べて、そしてそのような現実があれば正したい、そして「実際に引き継ぎ可能になるように、もっと強く進めたい」というぐらいお答えはできないのでしょうか。
市長の答弁
藤野議員に申し上げたいと思いますが、『成人先天性心疾患センター』は、横須賀市の『うわまち病院』に2013年からオープンしています。
そういう意味では、子どもの小児医療から大人になる機関への引き継ぎということも、『うわまち病院』ではできていますし、『うわまち病院』のホームページにもそれは載っています。
私に対して「もっと現場を知るように」というお話がありましたが、私としては『うわまち病院』の現状については、よく承知しているつもりです。
私が答えたのは、あくまで「初診で人工呼吸器をつけるか否か」と聞かれたことについてどう思うかと聞かれたので、私は病状もわからないし、診療の様子もわからないし、その方がどういう状態であったのかも知らないので、価値判断できないと答えたまでです。
フジノの再質問
仮定の話には答えられないというような逃げをされてしまいましたが、実際にそういう出来事があって、だからこそお話をしている訳です。
「『うわまち病院』が十分に機能している」
と市長はおっしゃいますが、本当に保護者の方の声を聞いておられるのかと疑問に感じました。
フジノの再質問
続いての質問に移ります。
先ほど、『センター』の『ナビ』に掲載されている市内の医療機関について、市長は
「『うわまち病院小児医療センター』などが拠点となって、連携をしっかりとしている」
という頼もしいお答えをいただきましたが、それも事実とは異なると私は受けとめています。
例えば掲載されている医療機関には共済病院がありますが、そこにもやはりかなりひどい対応をするドクターがいて、実質的には名前は載っていても、受け入れを拒否しているのと変わらないというエピソードがたくさんあります。
だからこそ、僕は質問の中であえて
「『ナビ』に出てくる医療機関にも、本市が積極的に引き継ぎを丁寧に受け入れられるように要請してほしい」
と申し上げました。
システムができていることと、実際にそれが機能して、保護者や御本人が安心して地域で暮らせているかというのは、全く別の話です。
ぜひ、丁寧な引き継ぎを要請していただけないでしょうか。
市長の答弁
まず『うわまち病院』の『小児医療センター』でできていることを私はしっかりと広報する必要性を、今の議論の中で感じました。
今、『うわまち病院小児医療センター』では、病診連携も含め、大変先進的な取り組みが進んでいると、私は認識しています。
ですので、市民の皆さんにそういったことを広く広報していくことが大事だと思っています。
フジノの再質問
『うわまち病院』の取り組みを広報していただくという質問ではなくて、『ナビ』に出てくる医療機関にもきちんと引き継ぎをしてほしいという要請を、市からお願いしてほしいと申し上げました。
お答え下さい。
市長の答弁
まず『ナビ』『ナビ』とおっしゃっている『おひさま小児在宅療養ナビ』ですか、これについては、基本的にはいわゆる訪問診療をされているクリニックが載っていると聞いています。
ただ、私の知る限りでは、横須賀共済病院が訪問診療をしているということは承知していません。
ですので、『ナビ』に載っている医療機関なり、『ナビ』の信頼性というのが、私にはよく分からないので、私としてはそういったことをするよりも、もっと効果的な、市民にとってプラスになるような意味あいで、
「『横須賀うわまち病院』の『小児医療センター』がしっかりとした病診連携ができています、引き継ぎができる医療機関ですから、ぜひ相談して下さい」
といったことを広報する必要性を感じました。
フジノの再質問
かみ合わないので大変残念に感じますが、最後の質問に移ります。
横須賀市版リビング・ウィルについてです。
市長、いろいろきっかけづくりだという現局担当部署の言葉で逃げられましたが、実際に配れば、それはもう公的な書類として受けとめられるのです。当初の想いは越えて、どんどん使われていくことになってしまうわけです。
そこで伺います。
本市版リビング・ウィルの完成版を配布する際には、必ず広く高齢者保健医療福祉の関係者、介護保険事業所の関係者を集めて、リビング・ウィルについての研修を行ってください。そしてその効力が及ぶ限界を丁寧に伝えてほしいのですがいかがでしょうか。
市長の答弁
ぜひそういった横須賀市版リビング・ウィルのあり方ということを周知する機会というのは、さまざまな機会を捉えて行なっていきたいと思います。
フジノの再質問
それから救急隊についてです。
これから本市版リビング・ウィルを提示される機会というのは、どうしても増えてくることになると思います。
今の原則のガイドラインがあっても、その『ガイドライン』とリビング・ウィルとの間で、救急隊員一人一人が板挟みになるのは大変に耐え難い思いだと思いますし、実際に既にそういったことは起こっていると思います。
そこで提案です。
『三浦半島地区メディカルコントロール協議会』に対して、本市版リビング・ウィルの存在とその使い方をテーマとして取り上げていただくべきではないでしょうか。
そして患者本人と家族の思いがリビング・ウィルとして可能な限り反映されると同時に、救急隊が法的に責任を問われない万全の状態をぜひ作っていただきたいのですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
消防局長の意見も聞きたいところですが、その必要性は無いと思っています。
何故なら救急隊員は119番通報をもって必ず心肺蘇生に向かうからです。
消防局長、いいですね、それで。では、消防局長からも答弁いたします。
消防局長の答弁
救急隊員は、救急指令を受けた段階で、救命処置が必要だと判断しております。
『DNAR』を提示されても、医師に引き継ぐまでは心肺蘇生法等をやると、『三浦半島メディカルコントロール協議会』の『ガイドライン』にも定められております。
フジノの再質問
現時点では、トラブルは起こらないというお話だったのですが、配布した後は、僕は「状況が変わる」とはっきりと申し上げておきたいと思います。
その際に、改めて今回の質問をぜひ思い出していただきたいと思います。
「本人と家族の思いを『リビング・ウィル』として残せ」と市は訴えておきながら、救急隊が救命処置をする。その矛盾を必ずどこかで解決しなければならない事態が起こることになると思います。
現状の『ガイドライン』が通用しなくなるときが必ず来ると思っています。
その時には、ぜひ諮問機関ではありますが、『三浦半島地区メディカルコントロール協議会』が現状では最適な場だと思いますので、きちんとした新しいルールづくりが求められるときになった時は、必ずその対応を行なってほしいと指摘したいと思います。
以上で質問を終わります。
ありがとうございました。