藤野英明です。よろしくお願いします。
1.SOGIに関する様々な課題を積極的に解決する為に計画的かつ総合的な取り組みを行なう必要性について
メディアでは性的指向・性自認の多様な在り方や当事者を、『性的マイノリティ』や『LGBT』という単語で表現していますが、人口の6%も存在しておられる方々を僕は『マイノリティ』だと思いませんし、『LGBT』という表現にも様々な問題があることから、どちらの単語も適切ではないと考えています。
しかし国際的な表現であるSOGIが残念ながら浸透していない為、今回の質問で僕は『いわゆる性的マイノリティとされる方々』との表現を用います。
それでは質問に入ります。
(1)明確な立法事実の存在に対する市長の認識について
これまで僕は、歴代の市長・教育長・部課長らにいわゆる性的マイノリティとされる当事者の方々と実際に会っていただき、その生きづらさを生の声でお聴きしていただきました。
同時に、議会質疑を10年近く続けることで、当事者の方々が社会で日々直面している生きづらさや困難等をお伝えし、改善を求めてきました。
一方、市民のみなさまがこの問題をいかに受け止めているかに関する客観的なデータが無いことから市民への調査を提案してきました。
そして本市は2016年度の『男女共同参画に関する市民アンケート調査』において、市民・市職員・高校生らにいわゆる性的マイノリティに関する意識調査を実施しました。
その結果、「性的マイノリティの方々にとって偏見や差別などにより生活しづらい社会だと思うか」との設問に対して、「思う」「どちらかと言えばそう思う」との回答は、市民77.5%、市職員85.6%にものぼりました。
つまり、市民の約8割もの方々も性的な多様性が保障されておらず、偏見・差別があり、当事者が生活しづらい現状を認識しておられることがデータでも明らかになりました。
この結果から、いわゆる性的マイノリティとされる方々への差別的扱いや人権侵害、暴力等の様々な困難を政治・行政が解決すべきとの『立法事実』が存在することが改めて明確になったと僕は受け止めました。
そこで伺います。
【質問1】
市長は、対応が必要な『立法事実』が存在すると認識しておられるでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(2)本市の基本構想・基本計画・条例・計画に性的な多様性の存在と諸課題への対応を明記する必要性について
はじめに、『基本構想』『基本計画』の見直しについて伺います。
『基本構想』とは、地方自治体が目指す将来像や在るべき姿を定めたもので、行政が取り組みを進める上で最も重要な存在とされています。
本市の現『基本構想』は対象期間を2025年度までとしており、高齢者や障がいのある方々との「共生」は謳われていますが、性的な多様性に関する記述は一切ありません。
この『基本構想』に基づいて作成される『基本計画』は行政の各分野で作られる個別の計画を束ねる最重要計画です。
本市の現『基本計画』は2021年度までが対象期間ですが、旧来の男女二元論に基づいた「性別」に関する記述はありますが、性的指向・性自認や性的な多様性の保障に関する記述は一切ありません。
自治体にとって最上位の存在である『基本構想』『基本計画』において、実際は多数存在しているいわゆる性的マイノリティとされる方々について一切記述をしないということは、本市が公的に存在していないことにしているのと同じです。
それは、差別や偏見をはじめとする日々の生きづらさの固定化につながっており、これは明らかな『行政の不作為』だと僕は考えています。
かねてから性的な多様性と共生の地域社会の実現を両者に明記する必要性を感じてきましたが、新たに上地市長が就任して、先日の所信表明の中では任期中に『基本計画』の見直し作業に着手する、その際は『基本構想』も併せて見直し作業を行なう、と述べて下さいました。
そこで、市長に伺います。
【質問2】
『基本構想』と『基本計画』の見直し作業においては、性的指向・性自認にかかわらず多様性を認め合い、誰もが自分らしく暮らせる共生の地域社会の実現を目指すことも新たに記すよう検討を指示していただけないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
次に、本市の『男女共同参画推進条例』の改正について伺います。
当事者の声に加えて、市民アンケートからも立法事実が存在することを指摘しました。
アンケートではその解決策として最も回答が多かったのが「法律等に性的マイノリティの方々への偏見や差別解消の取り組みを明記する」でした。
立法化、条例化が市民から求められています。
現在、本市には『男女共同参画推進条例』(以下、現行条例と呼びます)がありますが、旧来の男女二元論に終始していて、性的な多様性の存在そのものが一切記述されていません。
2002年4月の施行から15年が経ち、人権尊重の為に作ったはずの現行条例が、時代の要請にも市民の求めにも対応できていない上に、社会的排除の現状を固定化することにつながっていると言わざるをえません。
そこで僕は前市長に対して、2013年第4回定例会、2015年第4回定例会と2度にわたって、現行条例の改正を提案してきました。
しかし前市長の答弁は消極的で、現行条例でも性的マイノリティとされる方々の存在も読み取れる、改正は必要無い、との答弁を繰り返すばかりでした。
こうした本市の遅れた姿勢をよそに、すでに全国では『小金井市男女平等基本条例』『多摩市女と男の平等参画を推進する条例』『文京区男女平等参画推進条例』等をはじめ、条例の中に性的指向・性自認等について明記して、人権への配慮、差別の禁止、DVやセクシュアルハラスメント、暴力行為の禁止等を明文化しています。
現行条例は5年以内の見直しを明記していますが、最新の改正をした2013年4月の施行からもすでに5年が経っており、必ず見直しを行なうべきです。
そこで市長に伺います。
【質問3】
いわゆる性的マイノリティとされる方々への差別や偏見、人権侵害や暴力の禁止等を明文化する方向で現行条例の改正を始めるべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
次に、現在策定作業中の『第5次男女共同参画プラン』について伺います。
前市長のもとで策定がスタートした『第5次男女共同参画プラン』の概要が8月の男女共同参画審議会で示されました。
そこには、新規事業に「多様な性に対する理解の促進」が1つ加えられただけで、基本理念や施策方針にいわゆる性的マイノリティとされる方々に関する記述は無く、数値目標も設定されていません。
前市長の方針のままに『プラン』が完成してしまえば、基本構想・基本計画・現行条例と同じく『行政の不作為』が繰り返されていくでしょう。
本来、プラン策定の目的は、性に起因する差別や偏見を無くしていくことにあります。
様々な性的指向・性自認を持つ方々は、まさに典型的な男女のありようにあてはまらないという理由で差別を受け続けてきた方々であり、『プラン』がその存在を無視するのは、本来の目的に反しています。
一方、他都市ではすでに計画にも性的な多様性の存在の明記とともに、総合的な課題解決に向けた体系的な取り組みを明記しています。
審議会の作業中でありその議論は尊重されるべきとはいえ、前市長の方針に沿った事務局原案を大幅に変更すべきです。
そこで市長に伺います。
【質問4】
本市の『プラン』においても、そもそも基本理念や取り組みの方向性に性的な多様性の存在と共生の実現を目指すことを明記した上で、総合的な課題解決の取り組みを
体系的に位置づけるべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問5】
また、プラン策定には当事者の方々の参加が不可欠ですが、現在の審議会は当事者不在でおかしいと思います。この現状をどのようにお考えか、お聞かせ下さい。
(→市長の答弁へ)
次に、2013年に策定された『性的マイノリティに関する施策』について伺います。
性的な多様性を保障する為に本市ではすでに様々な取り組みを進めてきました。
中には、市立病院での同性パートナーを含む手術同意指針等、他都市から問い合わせがくる先進的な取り組みもあります。
しかし、残念ながら障がい・こども・高齢の分野のように行政計画を策定し総合的な取り組みを計画的に実施してきた訳ではありません。
課題に出会うたびに僕やNPOが提案して、熱意ある市職員とともに、一つずつ手探りで実現してきたのが実情です。
本市が発表している唯一の公的文書として、2013年に策定されたA4用紙2枚の『性的マイノリティに関する施策』があります。
この位置づけは策定時から不明確でした。
また、対象期間も数値目標も無く、PDCAサイクルで進行管理もできません。取り組み内容も、2017年現在、求められている内容には全く足りていません。
そこで市長に伺います。
【質問6】
そもそもこの『性的マイノリティに関する施策』とはどういう位置づけの書類なのでしょうか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問7】
内容的にも不備が多く改定が必要ですが、この際『性的マイノリティに関する施策』を発展させて、明確に行政計画に格上げすべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問8】
また、行政計画に位置付けるか否かにかかわらず、対象期間の設定、数値目標の設定、総合的な課題解決に向けた取り組みの充実、進捗管理などを明記する必要があり、全面的な改定が必要ではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(3)同性カップル等の存在を公的に認め、その権利を守る取り組みの必要性について
はじめに、同性カップル等のパートナーシップ宣誓の仕組みを本市が実施する必要性について伺います。
マスメディアの報道の誤りによって多くの国民が同性パートナーシップを同性婚と誤解していますが、実際には全く異なります。
実際のパートナーシップ宣誓とはどのようなものか、ぜひみなさまに知っていただきたいと願っています。
同性婚は法的に結婚を認め、様々な権利と義務が付与されるもので国において議論すべき性質のものですが、全国の自治体が取り組みを始めている同性カップル等のパートナーシップには法的な効果は何もありません。
あくまでも自治体が公的に同性カップル等の『存在』を認めただけのものです。
また、僕がしつこく同性カップル『等』とあえて『等』を加えて述べているのにも理由があります。
パートナーシップの対象を同性カップルだけ、つまりゲイ・レズビアンの方々だけに限定すれば、トランスジェンダーの方々は誰もが戸籍の変更を行なえる訳ではありませんので、パートナー両方がトランスジェンダーの当事者である場合には宣誓ができなくなってしまうのです。
制度が新たな排除を生むのは問題なので、僕はパートナーシップの対象を同性カップル『等』とすべきだと考えています。
ちなみに札幌市ではこの考えを採用しています。
さて、2015年11月に全国で初めて渋谷区と世田谷区でスタートし、その後、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市、北海道札幌市などの自治体が同性カップル等のパートナーシップを公的に示す書類の交付を開始しました。
渋谷区の取り組みは証明書の発行費用が高額にのぼることなどハードルが高く、現在では、要綱で証明書発行を可能にした「世田谷方式」が主流となっています。
パートナーシップ宣誓の手順は次の通りです。
事前に役所に連絡をした上で必要書類を提出し、申請書に署名をして、パートナーであることを宣誓します。そして役所は受領証を発行します。
当事者は20歳以上、他に配偶者やパートナーがいてはならない等いくつかの条件があります。
導入をした6自治体に共通しているのは、人権を尊重し、多様性を認め合い、誰もが自分らしく暮らせる社会にしたいという理念です。
具体的な法的効果は無いのに何故あえて実施するのか。
それは、同性カップル等が日本にも存在しているということを可視化する為の取り組みなのです。つまり、人々の意識を変えてもらうことが最大の目的なのです。
もちろん、当事者の方々にとっても結婚式での誓約や婚姻の届出に近いものを提供しその存在を祝福し、不平等や差別からの全人的な回復を目指すことも目的です。
さらに、当初予想していなかった民間企業の動きも広がっています。
公的な承認を重んじた企業が動き始めました。
例えば不動産会社と金融機関が同性カップル等の住宅ローンを認めるようになり、生命保険会社は保険金の受け取り人にパートナーを認め、携帯電話会社も家族と同じ扱いの割引を始めました。
このように、企業の理解と動きを促すことにも成功しています。
ところで今回の質問では、あえて申し上げたいことがあります。
全国初の導入自治体となった世田谷区ですが、そのきっかけは2014年9月の世田谷区議会で上川あや議員が同性パートナーシップの公的承認を提案したことでした。
上川議員が質疑の前に行政側に示した参考資料には、実は、2013年3月に横須賀市議会で行なった僕の質疑・提案が記されていました。
つまり、世田谷は横須賀を参考にしたのです。
世田谷区より1年半も前に僕が提案をしていたのに、無理解な前市長の提案拒否によってわがまちは全国初のパートナーシップ導入の栄誉を逃してしまいました。
その後の世田谷区の躍進は全国に知られている通りですが、人口も増加を続けています。
一方、本市では今も同性カップル等の願いは置き去りにされたままです。
だから本市は選ばれないまちであり、世田谷区のような取り組みを進める自治体へみな引っ越していくのです。本当に情けないことだと思います。
しかし、上地市長が誕生しました。
多様性を前提とした共生社会の実現を目指す「誰も一人にさせないまち」を最終目標とするのが上地市長です。
前市長とは異なり、上地市長ならば、この公的承認の持つ重要な意義を理解して下さり、現に存在するたくさんの人々が愛する人との関係性さえ公的に認められない理不尽さを変えて下さると信じています。
そこで伺います。
【質問9】
今こそ本市も同性カップル等のパートナーシップ宣誓書を受領し、受領書を発行する公的承認の取り組みを実施していくべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問10】
また、検討にあたっては要綱制定による世田谷方式での迅速な実行を強く推奨しますが、あわせてお答え下さい。
(→市長の答弁へ)
次に、同性カップル等の里親認定について伺います。
2017年4月5日の毎日新聞は、全国で初めて大阪市が男性カップルを里親認定しこどもを委託したことを大きく報道しました。
続けて、後日、全国の児童相談所設置69自治体に対して里親認定の基準を問う調査報道がなされました。
本市の回答は
「同性であることを児童相談所がどう評価するか分からない」
というあいまいなものでした。
しかし、現状では大阪市以外のまちではゼロである訳ですから、本市と児童相談所は実質的に同性カップル等を里親制度から排除していると指摘せざるをえません。
海外では同性カップルが里親になっている事例は多く同性カップルに育てられたこどもに関する研究もありますが、異性愛カップルに育てられたこどもと何ら変わりはありません。
したがって、本市と児童相談所の姿勢は明らかにおかしいです。
里親の登録条件は各自治体によって異なります。
本市には東京都のように差別的な性的指向・性自認を理由とした除外基準こそ設けていませんが、乳児院・児童養護施設で暮らすこどもの数の多さに比べて圧倒的に少ない里親の貴重な成り手を現実的に排除している実態があるならば、運用も含めて改善すべきです。そこで市長に伺います。
【質問11】
性的指向・性自認にかかわらず、他の里親希望者と同様の里親認定のプロセスを受けられるようにすべきではないでしょうか。
お答え下さい。
次に、不動産業者に協力していただく新たな仕組みづくりについて伺います。
いわゆる性的マイノリティとされる方々の住宅物件探しに対して、本市では民間の不動産業者は大変協力的です。
行政との関係も良好で、これまで本市は『商工会議所・不動産部会』へ情報提供をしたり、事業者は本市主催の講演会に参加して下さっています。
ただ、当事者にはこうした事実がいまだ知られていません。依然、物件探しは心理的なハードルが高い状態が続いています。
そこで、市長に提案します。
【質問12】
当事者のみなさんに心理的ハードルを下げて頂く手段として、すでに協力的な姿勢で同性カップル等に賃貸や売却を行なっていただいている不動産業者に対して、本市からレインボーフラッグやシール等を提供して、店頭に掲出するよう依頼していただけないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
2.昨年末に市職員を対象として試行した「フードドライブ」を本格的に実施し、外部にも周知する必要性について
2016年3月議会での僕の提案を受けて、昨年2016年末に福祉部自立支援担当が中心となり、市職員から食料の提供を募る『フードドライブ』を試行しました。
部局を超えてたくさんの職員が協力し、職員フードドライブにはとても多くの食料が集まりました。
この集められた食料を、福祉部やこども育成部等の窓口にいらした年末をのりこえることが難しい困窮世帯の方々に対して、提供することができ、取り組みは成功でした。
今年もあと3カ月で年末を迎える為、今このタイミングでどうしても市長に伺いたいと思います。
【質問13】
昨年の試行の成功を受けて、今年も『フードドライブ』を必ず実施すべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
ところで昨年は『フードドライブ』の実施を公表しませんでした。
あくまでも相談の為に窓口に訪れた方々に対して内々に提供した為、集められた食料が年が明けてもかなり残ってしまいました。もちろん捨てた訳ではありません。賞味期限が長いものは今でも配布しています。
ただ、必要とする方々全員に渡せなかったこと、善意の食料を余らせるもったいなさが残念でなりませんでした。
年末年始にかけて食料が必要な方々は多くいらっしゃるので、もしも外部に対して広報をしていたならば、もっとたくさんの方々が食料を受け取れていたはずです。
そこで市長に伺います。
【質問14】
『フードドライブ』の実施にあたっては市民に対してもきちんと広報することで、可能な限り多くの方々に食料を提供できるようにすべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
市長の答弁
藤野議員らしい質問で、いろいろ考えさせられました。
(今日の答弁は)現状での答えだというふうに理解していただいて。
私も人権主義者。あらゆる差別は大嫌いだから、その辺も気持ちは一緒ですので。
ただ、現状立ち止まって考えた時にできうることというのを前向きに考えたい、ということでの答えとなります。これはまずはご理解いただきたいというふうに思います。
【答弁1】
まず、性的マイノリティとされる方々への取組みにかかる『立法事実』の存在に関する認識についてです。
『立法事実』とは、法律を制定する場合の基礎を形成し、その合理性を支える社会的な事実とされています。
アンケート結果は『立法事実』のひとつの要素であると思いますが、『立法事実』という為には社会的な事実の精査という要素も必要になると思います。
性的マイノリティとされる方々は、日常の何気ない言葉に傷つき自らセクシャリティを周囲の人に話せず悩んだりすることは、理解しています。承知しています。
そのような市民を支援する為に具体的に何をすべきかということは、絶対に考えなくてはならないというふうに私も考えています。
性的マイノリティに関する取り組みは今後も継続していきますが、アンケート結果に加え、悩んでいる方々に寄り添い、実態を踏まえた検討を行なっていくことが必要であるというふうに認識はしています。
【答弁2】
次に、本市の『基本構想』および『基本計画』に、性的な多様性の存在と諸課題への対応を明記する必要性についてです。
横須賀市は『基本構想』に「健康でやさしい心のふれあうまち」を掲げ、全ての人々が互いの存在を認め合い、差別を受けることなく生活できる環境づくりに取り組むことを定めています。
性的な多様性を認め合い、誰もが自分らしく暮らせる共生社会の実現を目指すことは、『基本構想』が掲げる内容と合致するところでは当然あると思っています。
『基本構想』および『基本計画』の見直しの際、共生社会を実現するという文脈の中で、性的多様性等の言葉をどのように使えるかと、今後の施策の展開を踏まえ、ぜひ前向きに検討してきたいというふうに考えています。
【答弁3】
次に、性的多様性などの視点を『男女共同参画推進条例』に明記することについてです。
『男女共同参画推進条例』に性的多様性などに関する文言を明記するという課題については、他の自治体の条例などを研究し見直しを行なってまいります。
条例改正の際には、『男女共同参画審議会』の意見を聴き、適切に対処していきたいというふうに私は考えています。
【答弁4】
次に、『第5次男女共同参画プラン』に性的な多様性の存在と共生の実現を明記し、総合的な課題解決の取組みを体系的に位置づけることについてです。
『第5次プラン』の策定については、本年5月に『男女共同参画審議会』に諮問を行なったところでありまして、今年度中に答申をいただくことになっています。
同プランは、家庭や社会における男女の在り方が中心的なテーマとなりますけれども、加えて性的な多様性に関わる課題について、総合的な体系の中で施策の1つとして位置付ける方向で審議会に諮り、ぜひ検討していきたいというふうに考えます。
【答弁5】
次に、『男女共同参画審議会』における性的マイノリティ当事者の不在についてです。
『横須賀市男女共同参画審議会』は、学識経験者、弁護士に加え、労働・教育・福祉など多岐にわたる分野の委員14名で構成されています。
審議会では、専門的な学識経験者からの知見や様々な分野からの指摘もあり、現状の中でこれは尽くしていきたいということはこれはご理解をいただきたいというふうに思います。
【答弁6】
次に、『性的マイノリティに関する施策』という文章の位置づけについてです。
本市は平成19年に『人権都市宣言』を行ない、この『宣言』に込められた人権尊重の理念をより確実に進める為めの道しるべとして『人権施策推進指針』を策定しました。
『性的マイノリティに関する施策』は、この『指針』をよりどころにして『施策』を策定したものであって、『指針』と一体のものとして位置付けられるというふうに認識はしています。
【答弁7・8】
次に、性的マイノリティに関する施策を行政計画に格上げするべきではないか。またその是非に関わらず目標設定などを明記したものに全面的に改定する必要についてです。
『人権施策推進指針』については平成30年度から改定作業を行なう予定です。
『指針』の改定の際には、性的マイノリティなど近年顕在化してきた課題の位置づけの変更を検討しています。
その上で、施策の検討にあたっては『行政計画』として対象期間・数値目標の設定・進捗管理などについて今後の在り方をぜひ検討して見直していきたい、というふうに考えます。
【答弁9】
次に、同性カップル等のパートナーシップを本市が公的に認める取組みを始めることおよびその為の要綱制定についてです。
同性パートナーシップを公的に認める取組みについては、他都市の事例において携帯電話の契約など、効果がみられたことは承知しています。
さきほど藤野議員がおっしゃったようなことはよく理解しているつもりです。
この制度を本市も導入するかについては、やはり当事者の意向を伺いながら、『人権施策推進会議』において議論をしながら、前向きには進めていきたいというふうには考えています。
【答弁10】
なお、『要綱』による制度の内容については世田谷区など関係自治体からの運用状況などを聞きながら、研究をしてまいりたいというふうに考えます。
【答弁11-1】
次に、本市児童相談所は同性カップルを里親認定のプロセスから排除するのをやめて、他の里親希望者同様の扱いをすべきではないかについてです。
マスコミの取材に対して本市が、「同性であることを児童相談所がどう評価するかわからない」と明確な回答をしなかったとのご指摘ですが、実はそうではなくて、電話取材の中、里親の認定基準は国の基準に従っているだけであって、本市独自の基準は設けていません。
その為、「このような相談があった場合、その都度評価していくことになります」という趣旨で回答したということを確認しました。
(答弁漏れがあり、この答弁の続きがこちらです)
【答弁12】
次に、同性カップル等に賃貸や売却を積極的に行なう店舗に、市からレインボーフラッグやシール等を提供し、掲出を依頼することについてです。
性的マイノリティについての理解がある店舗であることを示す為の啓発物品の提供については、物品の種類、効果的な配り方などをぜひ考えていきたい、というふうに思います。
【答弁13】
次に、昨年末に市職員を対象に試行実施したフードドライブを、今年も年末に実施することについてです。
昨年末、実施した職員フードドライブでは多くの市の職員から、家庭で不要となった食品を持ち寄っていただいたほか、フードドライブの設立を計画する団体や、緊急備蓄食料を提供したいとする団体からも食品の提供を受けて、生活困窮相談の窓口などでお困りの方々に配ることができました。
この取組みは大変良いことだと思いますので、今年の年末にもぜひ行ないたいというふうに考えます。
【答弁14】
次に、フードドライブの実施を困窮しかねない方々に提供することについてです。
現在のフードドライブでは福祉部の生活困窮担当を中心に、こども育成部の給付窓口でも必要性を判断して食料を提供しています。
今後は高齢・障がい・ひきこもり・子育て世代など様々な要因で生活にお困りの方々を地域で支えるそれぞれの拠点にも広くお知らせし、情報網を広げ、ニーズに応えたいというふうに考えています。
【答弁10-2】
先ほどの、「他の里親同様の扱いをすべきではないか」の質問の中で、ちょっと抜けてました。趣旨が明確でなかったので。
ご相談があった場合、その都度評価していくことになりますという趣旨で回答したことを確認しました、という。ですから、このあとに抜けていました。
ですから排除しているということでは無くて、これまで同性カップルからの相談実績はありませんが、ご相談いただければ普通のプロセスを踏んだ上で可否を判断していくことになっています。これが抜けていました。
以上です。
フジノの再質問
市長、ご答弁ありがとうございました。
議員時代に、「(市長の)答弁に対して『前向きなご答弁をありがとうございました』と言うのはおかしいよ」と。「(市長と議会は)対等な立場でまちづくりを進めていくんだから、感謝じゃなくて一緒に議論していく、作っていく仲間だからお礼を言うのはおかしい」というのを、『旧ニューウイング横須賀』におられた一柳議員・上地議員から教わりました。
ただ今日は率直に「ありがとうございます」と申し上げたい気持ちでいっぱいです。
この10年間、蒲谷市長時代から本当に長い間、当事者の方々にご苦労をおかけして、そして議会質疑も繰り返し繰り返し行なってきました。
それが今日、ほぼ解決された。
解決されていく方向性が、上地市長によって打ち出された。
本当に感動しかありません。
「ありがとうございます」と心からお伝えをしたい。
そしてインターネットでみておられる、いわゆる性的マイノリティとされる方々も同じふうに思っていると思うんです。
この横須賀が復活に向けて動いている。
『誰も一人にさせないまち、横須賀』を最終目標として動いている上地市長の姿勢が、明確に表れた答弁だったと強く評価したいと思います。ありがとうございます。
その上で、もう少し細かくお聞かせいただきたいと思います。
実はもっとひどい答弁が返ってくると思っていたので、全然違う再質問を考えてしまっておりました(議場、爆笑)。
まずいちばん最初に伺いたいことは、やはりこの問題も所信表明の時にお聞きしたことと同じで、市民の方や全国の方の間に誤解が広まっているんです。
前市長が、僕の提案を受けて作ったいろんな施策を、前市長が選挙に敗れたことによって、上地市長によって止められてしまうんじゃないか、と。遠く九州の方から質問を受けたことがあります。
でも、それは違う、と。
僕が応援している上地さんは、横須賀のイメージを外から聞くと灰色だという回答がある。それを『レインボー』にしたい。
『レインボー』にしたいとおっしゃっている。その意味をぜひご理解いただきたい。
「『レインボー』というのは性的な多様性の象徴を表す『レインボー』ですから、その言葉の意味をぜひご理解いただきたい」
というふうに申し上げてきた。
ただ、なんか心配をしておられる方がやたら多かったことが印象に残っています。
そして、副市長が選ばれました。
僕はその時にまた市民の方に、横須賀でいちばん最初に性的マイノリティとされる当事者の方に会ってくださったのが、元教育長である永妻副市長。
この布陣である今、横須賀市役所が変わらないはずがない。
上地市長によって後退させられることなんか絶対に無い、というふうにお伝えをしてきました。
ただ、まだ懐疑的な方が居た。
でもこの答弁を聞いて、変わったと思うんですね。
【再質問1】
ただ、やはり歴代の市長らにお願いをしてきたことを上地市長にもお願いしたいと思います。
ぜひ当事者の方々にお会いしていただけないか。
きっと上地市長のことですから、上地市長のまわりにたくさんの人が集まっていて、性的マイノリティとされる方々もおられると思うんですが、改めて、こどもからご高齢の方々まで本当に多様な性的マイノリティとされる方々がいらっしゃるので、ぜひ機会を設けますのでその時にはじかにお会いしていただけないでしょうか。
お答えください。
上地市長の答弁
ぜひお会いしたいし、こちらからもお願いをしたいと思っています。
あらゆる人権・差別に、私は、うちの親父は前にも話したようにいろいろな差別を受けてきた人間で、非常に過敏です、私にとっては。
あらゆる差別を無くしたい、というのが私の政治の根幹です。
おもしろいことにね、この立場(=市長)になって、行政が『人権』っていう概念を出した時に、同和問題もあり、様々な問題もあるんだけれど、新しい概念が生まれた時に、ここに訴求もしないのに「ここ(=条例の文章)に入ってるじゃないか」って役人って決めつけるの。
おかしいんだよね。
だから、新しい事実が出てきた時に、それを持ちあげて社会を改革していかなくちゃいけない。これは当たり前の話で。
非常にこの体質に対して、私、憤慨している。この立場になって。
だから、『人権』っていう概念の中に男女共同参画社会があって同和の問題もあって、性的マイノリティっていうのはまた「これも同じ概念」っていうのを整理の仕方をしちゃうのね。
まあこういう言い方はいけない、おかしいかもしれないけれど。
そりゃ違うだろう?と。
時代が変わった時に、新しい差別が行なわれた時には、それはもう1回持ち出して、社会の啓発運動に先導的な役割を行政も政治も行なわなければいけない。
これは当たり前の理屈だと思ってます。
だからその意味で、6%はマイノリティではなくて、差別が存在する以上そこに光を当てなきゃいけないというのは政治では当たり前の話です。
その意味ではどんどん前にしてそこを進めていって変えていきたい。
それは私の政治のテーマなんで。ぜひ話をさせていただきたいと思ってます。
よろしく!
フジノの再質問
嬉しくて本当に涙が出そうになってまいります。
「ああ、やっぱり上地市長に交代して良かったな」
っていうのをつくづく感じざるをえません。
『基本構想』『基本計画』の見直し作業についてのご答弁も素晴らしいのひと言に尽きます。
世田谷区などはすでに基本構想に盛り込んでいるんですが、今まさにご答弁していただいた同じ問題意識で、新たな人権課題が出れば、きちんとそれを位置付ける。
上地市長がおっしゃったように「誰もが平等に扱われる」というような文言があると行政はその(文言の)中に含まれると整理してしまうというのは、本当は違うんです。
その想いは上地市長とまさに同じで、本当にありがたいなというふうに、感謝の言葉ばかりが出てきてしまいます。
そして質問に入りますが、『現行条例』の改正について、これも見直しを行なっていただくというご答弁をいただきました。
これはもう本当に極めて画期的なことで、(記者席を振り返りながら)神奈川新聞がもしも取材に来ていたら、「明日トップで取り上げてくれよ」というくらいに大きな出来事です。
ただ、もう少し詳しくお聞かせ下さい。
今、この短い答弁調整の期間で、見直しを決めた。ただ、やっぱり僕はもっとお聞きしたい。
【再質問2】
今の時点でわかっていることで結構ですので、どのようなスケジュール感で見直しをおこなっていくのをお考えか、お聞かせ下さい。
上地市長の答弁
条例改正は、『第5次男女共同参画プラン』の初年度となるので、平成30年度にこれまでの課題を踏まえて、『男女共同参画審議会』において『男女共同参画推進条例』の見直しを検討していきたい。
平成30年にはやっていきたい。
つまり来年にはぜひそれを進めてみたいというふうに思っています。
フジノの再質問
ありがとうございます。
現在、全国で27の自治体が条例にきちんと明記しているんですが、横須賀市は全国で28番目にこれでなるのとだと思います。
そして、神奈川県内では初めて明記する先進的な自治体に横須賀市は生まれ変わるんだなというふうに、今感動しているところです。
続いて『第5次男女共同参画プラン』について伺います。
これもご答弁としては大変ありがたい内容の答弁だったなというふうに思っています。
実は本市の状況というのは立ち遅れています。
国のレベルにおいても、2010年12月17日に閣議決定された国の『第5次男女共同参画基本計画』にも施策の基本方向という大枠の部分に、すでに取り組みではなくて施策の基本的方向性、そしてその下位の具体的な施策においても記載があります。
そして、『計画』に明記している自治体は、県内でいえば横浜・相模原。
つい先日、高岡法科大学という大学の谷口洋幸教授が調査を全国の自治体に悉皆調査をして下さったんですが、『計画』に明記しているという自治体が23.2%。
あくまでも回答した中で23.2%だったんですが、もう2割以上がきちんと明記しているんですね。
【再質問3】
ですから、今回、施策の1つとして位置付けるというご答弁ではあったんですが、全国的にみても国の状況からみても遅れている状況を思うと、施策の1つとしてではなくて、基本的な想いの部分にも明記をしていただけないかという想いが強くあります。
その点について上地市長のお考えをお聞かせ下さい。
上地市長の答弁
『格上げ』という意味では、そこには明記したいというふうには思っています。
ただ、藤野議員ね。
「横須賀が何番目」だとか何とかでは無くて、そこに困っている人・人間がいれば何かするということなので、それで横須賀が誇らしげだとかっていうことは私はあまり感じている訳では無くて、ただその想いが伝わって困っている人がいればそういう人にはできるだけ早く表に出して、改革するのが政治・行政の役割だということだけは理解して下さい。
ですから、『格上げ』したことが実効性あるものであるならばどんどんやりたいし、その辺はちょっと検討させてもらえればというふうに思います。
フジノの再質問
ありがとうございます。
言い訳みたいなものなのですが、決して僕も栄誉が欲しくて質問しているつもりは決してございません。
それから続いての質問なんですが、『プラン』の策定は『男女共同参画審議会』が行なっていて、現行のメンバーの中には有識者もおられて、当事者はいないけれども十分に対応できるというお話がありました。
ただ、やはり僕の心の中では、これまでずっと障がい福祉に関わってきて、決まり文句というかキャッチフレーズがあるんです。
「わたしたちのことを抜きに、わたしたちのことを決めないで」
という言葉があります。
【再質問4】
現行の任期中については、「(委員を)差し替えろ」とか「新たに加えろ」ということは僕もさすがに申し上げませんが、任期が切れて審議会のメンバーの改選がなされる時には、ぜひ当事者の方も参加していただけるような検討をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
みなさんと諮りながらその辺で検討していければと思います。
ただそれにはそういう空気が醸成できなければいけないし、皆さんにお話を諮らなければいけないし、私は前向きにそういうふうには検討していきたいというふうに考えます。
フジノの再質問
ありがとうございます。
続いて、『性的マイノリティに関する施策』の位置づけに関連して伺います。
『人権施策推進指針』を拠り所として作った一体的なものであるという答弁は承知いたしました。
【再質問5】
ただちょっと聞き逃してしまったことがあるので再度ご答弁をお願いしたいんですが、この『性的マイノリティに関する施策』を『行政計画』に格上げすべきではないか、という点について、申し訳ありません、聞き逃してしまったので再度、ご答弁をいただけたらと思います。
上地市長の答弁
『行政計画』に格上げするという質問ですね。
『指針』については平成30年から改定作業を行なう予定であることは事実です。
それから『指針』の改定の際には、性的マイノリティなど顕在化した課題の位置づけの変更を検討したいと思います。
その上で、施策の検討にあたっては『行政計画』として、対象期間・数値目標の設定・進捗管理などについて、今後の在り方を検討し見直していきたいというふうに考えます。
元々これは『指針』であっても一般論でいう『行政計画』と言われているものなんです。
たぶん概念が違って、『基本構想』があって『基本計画』があって、っていう中の『行政計画』だっていうふうにたぶん認識されてたと思うんだけど、行政の今の現状はね、『指針』でもこれ『行政計画と呼ばれるものだということを話し合った。
でもそれは藤野議員が言う『行政計画』ではないので、藤野議員の思う『行政計画』に格上げしたい、という話を私はさせてもらいました。
以上です。
フジノの再質問
ありがとうございます。確認ができました。
続いての質問に移りたいと思います。
同性カップルなどのパートナーシップ宣誓による公的承認の取り組みを本市も実施していくべきではないか、ということについてです。
ご答弁は、最初に上地市長が「現状でできること」ということでご答弁をいただいた通りで、まずはその空気感の醸成、あるいは条例改正が行なわれて法的な体系も整ったところで市民の方々の、当事者の方々のアクションも求めていく、というふうな意味に受け止めたんですが、その確認をしたいと思います。
というのも、障がい福祉がここまで進んできたのは、当事者の方々がお顔を出して、例えば精神障がいのある方もお顔を出して行政に交渉をしたりいろんなアクションを行なってきた。
けれども、いわゆる性的マイノリティ当事者とされる方々は、なかなか本当に差別を恐れて、横須賀市が毎年公募をして課長たちと意見交換会をする時でさえ、やっぱり怖いから応募できないっていうふうにおっしゃるんですよね。
でも一方で、『同性パートナーシップ』を導入した世田谷区は本当に20組くらいの同性カップルが住民票を持って区長に面会に行って、その要望を実際にお伝えしているんですね。
それが横須賀市にあるかと言えば、みなさん心の中では同性パートナーシップをやってほしいと思っているし、僕には言うけれども、じゃあ行政交渉の場に来てくれるかっていうと、まだ来れる勇気が無いんですね。
そこで僕自身も改めてやっぱり当事者の皆さんにも頑張ってエンパワーメントして、そしてこの場に来ていただいて、市長とお話しをしていただいて、あるいは部局とも交渉をしていただく必要があるのかな、なんてことを思いました。
【再質問6】
市長がおっしゃって下さった『人権施策推進会議』の意見を聞いていくというのも、たいへんありがたいことではあるんですが、市長の側から当時者のみなさんに呼びかけたいこと。もっとなんとか生の声を行政にも伝えて欲しい、といったような要望がもしあればお答えいただけないでしょうか。
どうしたら空気感が醸成されていくのかという、上地市長のお考えをお聞かせ下さい。
上地市長の答弁
社会の偏見と闘ってきた自分からすると、もっともっと前に出てきてもらいたいし、何も怖がることは無いし。
「誰も一人にさせないまち」だから、何も自分がどんな状態であろうが、受け入れる為に行政・政治はあるんだから、ぜひぜひそういうことを思わずに、考えないで出てきて欲しいと、率直に語って欲しい、と。
まあ、そういう場を私のほうからぜひ聞くチャンスを、さっき言ったように聞きますから。
それで一緒になってまた考えてもらえればと思うんで、はい。
フジノの再質問
ありがとうございます。
いろんな活動家の方々と、いわゆる性的マイノリティ当事者の活動家の方々とお話をしていると、やっぱり自分たちがしっかりと前に出て我々のような代弁者に頼るのではなく、実際の交渉をしていかねばならない、という声もすごく出ているんですね。
その中で横須賀はまだまだ当事者のパワーというか当事者性を発揮して行政と交渉をするというようなところがちょっと弱いのかなと思います。
その理由というのは、差別・偏見が強くて恐ろしいというお気持ちや実態があったからなんだと思っていますが、今いただいたご答弁をぜひ当事者の方々にも聞いていただいて、交渉や市長と意見交換をする場ではぜひ生の声を伝えていただきたいと僕の方からもお伝えをしたいと思っております。
続いて、里親に関する認定のプロセスについては、答弁で状況はよく理解いたしました。
決して本市は排除をしていないと。
通常のプロセスの中で、当たり前のことですが、ふさわしくない方であれば同性カップルであろうが異性カップルであろうが関係なくお断りをする。認定をしない。
そして、適格であれば適格だというふうに判断をして、こどもを委託していくということで理解をいたしました。
SOGIに関する質問では最後の質問になるんですが、協力的な不動産事業者に本市がレインボーフラッグやシールを提供し店頭に掲示していただくよう依頼すべきではないかという点について、再質問をいたします。
この質問、もともとは山本けんじゅ議員がご提案をして下さった。
もう1年くらい前でしょうか。かなり長い間、不動産業者、山本けんじゅ議員の知り合いや応援をしておられる事業者の方々とかなり綿密に意見交換もしていただいて、もう空気感というのはできているんですね。
ただやっぱり統一のフォーマットがあってほしい。
その方が分かりやすいし、当事者の方々にも訴求性がある。
ということから、本市が何らかの統一の、例えばレインボーフラッグであったりシールであったり、シールでしたら「協力店」などと明記されているととても分かりやすいので、その意味であえて今回、質問に入れました。
【再質問7】
業者側の姿勢というのはもうかなり前向きになっていますので、今申し上げたような、本市としての統一フォーマット。フラッグなのかシールなのか、そういったことをぜひご検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
検討していきたいというふうに考えています。
フジノの再質問
ありがとうございました。
最後に『フードドライブ』の実施について伺います。
市長のご答弁とは裏腹に、担当課長・福祉部次長といろんな意見交換をするとなかなか難しい現実問題もあると。
例えば、生活保護世帯に『フードドライブ』の食料を提供してしまうと、所得認定されてしまう。
困っているから食料を市が提供したのに、それさえ所得として認定されてしまって保護費が減額されてしまう。
厳しい現実があります。
じゃあ生活困窮者の方に提供をするといっても、どこからどこまでのラインが生活困窮者かっていうのは、はっきり分からないんですね。
そこで現行、福祉部としては、高知県がやっている『高知方式』を踏襲して、(市が)分かっている人にだけ、つまり窓口に来た人にだけ提供するっていう方式を昨年度は、現在も提供しているので継続している訳ですが、やっている。
ただ、これはある意味で『性悪説』ともいえると僕は思っています。
確かに生活に困窮していない人も数名は来るでしょう。
けれども、わざわざ食料を取りに市役所に来て、福祉部の障害福祉課、高齢福祉課、介護保険課、そしてこども育成部、こども青少年支援課やこども青少年給付課に来て、「自分が困窮している」と嘘をついてまで食料を受け取りに来る。
そんな手間をかける、本当は生活に困窮していない人が来るとは、僕は思えないんです。
僕は『性善説』に立ちたいと思っているんです。
ですから、市長がご答弁いただいた通りにぜひ進めていただきたいんですが、現場ではいろんな課題も感じておられるようです。
けれどもそこまでガチガチにして身構えなくても大丈夫だよ、と。
実際に、ひとり親のご家庭の集まりである『横須賀ひとり親サポーターズひまわり』などに行くと、そこは生活困窮をまさにしておられる方々がほとんどなんですけれども、
「ああ、そんなのやっていたんだったら、相談に行けばよかった」
とおっしゃる。
相談に来た人にだけ提供しているので、やっていること自体、知られていなかったんですね。
で、その人たちは年末年始、お休みがある期間は給食が無い訳ですから、食費がその分かさむ訳です。
そこに食料の提供ができたら本当に良かったのになという想いが強くあります。
【再質問8】
ぜひそうしたことを念頭においていただいて、できれば実施を広報していただいて、どういう形がよいのかわかりませんが、また『広報よこすか』の締切時期にもうなっていますが、12月、年末に向けてより多くの方が食料を受け取れる体制をご検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
私も『性善説』ですから、様々な支援の場所を設けて、その生活支援ってネットワークを作ることが大切なんで、その線で進めていきたいっていうふうに、前向きに取り組んでいきたいという風に考えます。
以上です。
フジノの再質問
質問は以上になるんですが、全ての質問を通じて感じたことを最後にひと言だけ述べさせて下さい。
新生横須賀。新家族主義。
上地市長が市議時代から掲げてきたことが、今、実現に向かっているんだなというのを強く感じた、すごい答弁の連続でした。
そして代表質問でお聞きしたとおり、前市長は答弁をきちんと部局に伝えていなかったなんてことがあって、答弁は前向きでも実際は動いてないなんてことがよくあったんですね。
けれども上地市長になってそれはきっと無いと信じていますので、これから部局にしっかり足を運んで、より良いものを作る為に上地市長が大きな方針を示して下さった。「誰も一人にさせないまち」という道のりを示して下さったので、より良い横須賀になるように、これからも、僕もしっかりと努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひ行政としてもご協力をお願いします。
以上で質問を終わります。
ありがとうございました。