藤野英明です。よろしくお願いします。
うわまち病院の移転建て替えに関する様々な課題について
うわまち病院で働く医療関係者の熱意と技術はとても高く、条件さえ整えば、実はもっと質の高い医療を、より多くの人々に提供できるのです。
それができない最大の理由は、建物です。
特に本館と外来棟は建築から50年以上も経っているので、老朽化が激しい上に狭すぎます。
そこで僕は2012年・2013年とうわまち病院建て替えを提案し続け、ようやく2014年に前市長が当初予算案と第2次実施計画に「うわまち病院建て替え検討」を盛り込みました。
それから4年が過ぎた8月21日。
上地市長は記者会見を開き、うわまち病院は移転して建て替えることを決定した、と発表しました。
建て替えをするのは今の場所のまま、つまり現地なのか、全く新しい場所へ移転するのかは、もともと今年中に結論を出すことになっていました。
しかし、今回の発表は市民のみなさまに衝撃を与えました。
病院周辺地域のみなさんをはじめ、病院関係者のみなさん、通院中の方々など「移転はありえない」と誰もが思っていたからです。
僕も「現地建て替え」をずっと主張してきたので、内心忸怩たる想いで記者会見を受け止めました。
市議時代の上地市長も現地建て替え派だったのを憶えているだけに信じられませんでした。
しかし今、移転建て替えの結論は正しい。
いいえ。正確には移転建て替えしかできない。残念ながら現地建て替えは極めて困難だとの結論が正しい、と分かりました。
当初僕が願ったのは、より良い医療を、より多くの方々に提供できるようにしたい、だから建て替えたい、ということでした。
もはや現地では建て替えが困難と明らかになった以上は、2025年の新病院スタートに向けて、これからは一刻も早く市民のみなさまにとって最も良い移転先を探して、より良い医療が、さらに多くの方々に提供されるように取り組んでいくことが最優先課題ではあります。
けれどもその前にまず、明らかにしなければならないことがたくさんあります。
前市長時代の総括もまだ全くなされていません。
記者会見から一般質問まで10日間、実際は数日間しか調査できる時間がない中で、関係部局やあらゆる方々に質問し、過去の資料を調べ、これまで公式に報告されていた情報の中に誤った情報や様々な矛盾や問題があることに気が付きました。
誰もが現地で建て替えたいと望んでいたのに、なぜ不可能なのか。
なぜ問題が今まで明らかにならなかったのか。
市民のみなさまも、市議会も、さらには上地市長さえも、正しい情報が報告されずにきた原因を探り、絶対に過ちを再発させないようにし、これからの取り組みにつなげねばなりません。
そこで今回は建て替えに関してだけを市長に一般質問します。
(1) うわまち病院周辺地域の皆さんに一刻も早く説明会を開くとともに、空洞化への対策を地域の皆さんとともに考えていく必要性について
まず何よりも最初に、移転することで最もダメージを受ける地域のみなさんにきちんと向き合わねばなりません。
移転の発表直後から、地域住民・町内会・商店会では上町地域のさらなる空洞化への不安が巻き起こっています。
1年間の外来患者述べ数15万人、入院患者述べ数12万人。約850人の医療関係者に加え、病院清掃・給食調理・医療事務など指定管理者による様々な業務委託先、患者ご家族や医薬品メーカーの営業職、併設された市立看護専門学校の教職員と学生など無数の方々が病院周辺地域を訪れています。
実は、うわまち病院に関わりのある方々の総数がどれだけなのか数えようが無い為、本市にはデータがありません。
いずれにしても、相当な規模の人たちが2025年には上町を去ることになります。
すでに税務署の移転により大きなダメージを受けているところに、病院の移転はさらに追い打ちをかけることになります。周辺地域の空洞化対策を政治と行政は責任をもって実施していかねばなりません。
【質問1】
そこでまず、可能な限り早い時期に上町地域のみなさんに向けて説明会を開催すべきです。
これまでの経緯、現地建て替えが困難な理由、今後のスケジュールなど、正確な情報をすぐにお伝えし、質問を受け、ご不安の声や様々なご意見をしっかりお聞きすべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問2】
さらに、本市による跡地利用の方針や地域全体の振興策などを地域住民のみなさまと情報を共有し議論していく定期的な協議の場をつくるべきではないでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(2) 課題を1つずつ解決すれば現地建てかえも可能ではあるが、複雑困難化した工事が長期に及ぶことになり、患者にも地域住民にも悪影響が起こり、病院経営も悪化する可能性が高いことをきちんと説明する必要性について
記者会見で市長は、現地では建て替えられない理由を2つだけ挙げました。
「進入路の狭さ」と「土砂災害特別警戒区域(以下、レッドゾーンと略)に指定される見込みの高さ」です。
結果として、この2つの理由だけでは納得できない市民がたくさんいらっしゃいます。
そうした市民感情はとてもよく理解できます。代替案のご提案もたくさんの方からいただきました。
しかし実際には、記者会見では説明しきれなかった多くの課題が存在しています。
これらの課題を1つずつ解決すれば現地建てかえも可能ではありますが、実際には複雑困難化した工事が長期に及ぶことになり、患者にも地域住民にも悪影響が起こり、病院経営も悪化する可能性が高いのです。
今判明している情報は全てオープンにして、市民のみなさまにご理解いただく為にも詳しくご説明すべきです。
そこで5点、伺います。
その1。2014年の消防法令改正によってスプリンクラー設置義務が強化されました。
現在うわまち病院本館2~7階にはスプリンクラーがありません。
これまでは特例承認を受けて免除されてきましたが、今後は2025年6月末までに必ず設置しなければならなくなりました。
市民感覚としては「ならばすぐ本館にスプリンクラーを設置すれば良いじゃないか」と考えるのは当然です。
けれども実は、設置には様々な困難があります。
【質問3】
スプリンクラー設置の方法、必要な期間、入院患者に与える影響、設置にかかる費用と6フロア休床に伴う減収などコストの総額、それがいかにうわまち病院の収支を悪化させるか、健康部が検討を行なった結果をきちんと説明すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
その2。「そもそも築50年を超えた本館と外来棟だけ先行して建てかえれば良い。レッドゾーン指定の可能性がある崖から離れたスペースを使って、開発行為に該当しない工事で新病棟を先行して建設する。その後に、進入路の拡幅とレッドゾーンの防災対策を行なってから全面的に現地建てかえをすれば良い」。
こうしたご意見も伺いました。
【質問4】
実は、すでに健康部ではその選択肢も検討しました。
その結果、この方法では現在の質の高い医療が提供できない可能性が極めて高くなります。この点もぜひ具体的に説明すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
その3。うわまち病院敷地内がレッドゾーンに指定された場合、法面の対策、建物の構造強化、建物の移転などの防災対策が必要になります。
【質問5】
レッドゾーンに指定される可能性のある区域にこれらの防災対策を行なう場合、その方法、工事期間、費用の見込みはどうなるのか、説明すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問6】
また、これらの対策を行ないながら同時にうわまち病院は現在の医療を提供できる可能性があるのかも、お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
その4。みなさまご存知のとおり、病院の敷地は高低差があり崖もある為、現地建てかえを行なう場合は敷地を最も有効に使えるように、崖を崩し敷地を平らにする土地造成をする必要があります。
当然ながら造成をすれば大量の土砂が発生します。
その土砂を搬出する為には、相当な数のトラックが連日進入路を往復することになります。
実は健康部では、この発生する土砂の量や、搬出に必要なトラックの交通量などの試算も行なっていますが、公には報告されていません。
【質問7】
試算の結果、進入路の交通量がどれだけ増加し、それがどの程度の期間続くのかなど、周辺地域の生活環境が悪化する可能性について、具体的に説明すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問8】
その他にも、内部で把握している現地建て替えが困難な理由があれば、全て報告して下さい。
(→市長の答弁へ)
(3) 本市が正確な情報を提供しないまま、3年間にわたって建てかえを議論してきた市立病院運営委員会による答申の正当性について
ここからは「これまでの総括」に移ります。
まず、答申の正当性についてです。
現在幅5.5mほどしかない病院への進入路を、幅9m以上に拡幅しなければ現地での建てかえが不可能だという条件は、2006年の都市計画法改正で決まりました。
今年8月の記者会見で初めて発表された事実は、実は今からなんと12年も前に決まっていたのです。
建て替えの議論を担当して市長へ答申を出したのは、有識者らから構成される「市立病院運営委員会(以下、運営委員会と略)」です。
運営委員会が議論をスタートした2015年からの議事録を読み返しても、この法改正は報告されていません。
意図的に健康部が情報を隠したのではないかとさえ感じる、異常事態です。
【質問9】
改めて伺います。運営委員会に対し、進入路の拡幅なしには現地建て替えが不可能だという情報を、健康部は正式に報告したことがあるのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
正しく情報提供されていれば、答申は全く違う結論になった可能性が極めて高いです。
【質問10】
このような状況で出された答申に正当性はあるのでしょうか。
本来ならば、改めて議論をし直していただくべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
(4) うわまち病院建てかえという巨大プロジェクトは全庁的に進めてくるべきだったが、これまで部局間で全く連携がなかった問題について
続いての総括は「部局間の連携不足」と「当事者意識の欠如」について、3つの問題点を指摘します。
健康政策の専門家である健康部は都市計画を知らないのが当たり前で、逆に都市政策の専門家である都市部は健康政策を知らないのも当然です。
だからこそ、うわまち病院建て替えのような全庁的なプロジェクトは、他部局と連携し、それぞれの専門性を活かして情報共有しながら課題解決に取り組まねば、絶対に実現できません。
さきの質問で述べたとおり、2006年の都市計画法改正によって医療施設も開発許可が必要となり、うわまち病院の現地建てかえには、まず進入路を拡幅しなければならなくなりました。
こんな大切な情報を知っていた都市部は、今年6月まで12年間1度も健康部に伝えませんでした。
その理由を都市部に尋ねると「健康部から照会がなかったから伝えなかった」と答えが返ってきました。
健康部も、日々変わる都市計画の法制度や技術的アドバイスを全く都市部に求めてきませんでした。
【質問11】
この縦割り行政を、市長はどうお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
僕は昨年2017年12月議会の一般質問で、うわまち病院建てかえと進入路について取り上げました。
都市計画決定をしたにもかかわらず、進入路の拡幅を50年以上全く進めてこなかった歴代の各部局の責任は極めて重いと追及しました。
当時まだ運営委員会から答申が出ていなかったので、建て替えが現地に決まったら工事がスムーズにいくよう進入路を一刻も早く拡幅すべきだ、移転に決まっても跡地売却を有利に進める為にやはり進入路を早期に拡幅すべきだ、と提案しました。
僕が全く理解できないのは、都市部の姿勢です。
先程「尋ねられなかったから答えなかった」と言いましたが、僕は一般質問でちゃんと尋ねています。
答弁を市長が作る際には、それぞれの専門性に基づいて各部局が答弁を提案するのが仕事です。
なぜ都市部は、都市計画法では今の進入路では狭すぎて現地建てかえは無理だと市長に訴えなかったのか、理解できません。
【質問12】
メインの担当は健康部とはいえ、病院建てかえという全庁的プロジェクトが進められているにもかかわらず、あまりにも当事者意識が欠けています。
この指摘を市長はどうお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
全庁的なプロジェクトと言えば、現在、新たに給食センターをつくる取り組みが進んでいます。
こうした全市をあげての取り組みでは、必ず関係部課長会議や企画調整会議を開催して、担当部以外のあらゆる部局の視点から課題を洗い出し、解決策を考え、前に進めていくものです。
しかし、うわまち病院建てかえについては、2015年の諮問以来、今年6月までこうした会議が全く開催されませんでした。
そこで全庁的なプロジェクトを束ねる政策推進部にその理由を尋ねると、「健康部から開催依頼がなかった為」と答えが返ってきました。
担当部から依頼がなければ開催しないのが慣わしとのことでしたが、全庁の企画調整を担う担当部として極めて当事者意識が欠けています。
【質問13】
健康部だけに任せきりだった結果、今回の事態を招いたことを市長はどう受けとめておられますか。お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
(5) うわまち病院の建てかえの結論を、前市長が意図的に先延ばしするよう指示していた可能性について
続いての「総括」は、前市長の責任についてです。
上地市長は未来志向で、前市長の責任を追及するよりも、前に進もうというお考えだと思います。
しかし今回の問題は前市長時代に原因があり、前市長の責任も必ず総括しなければなりません。
2014年度当初予算案に「うわまち病院建て替え」と明記された時、建て替えは僕にとって悲願だったので、当時はただ素直に喜んでいました。
しかし、今ふりかえると不自然なことばかりです。
まず異常なのは、運営委員会の議論に4年も設定したことです。
他都市における公立病院の建てかえの議論を調べたのですが、単に建てかえをするか否かを決めるだけの場合、どのまちも1~2年で答申を受けています。
はじめから4年もの期間を設定した本市は極めて異例だと分かりました。
運営委員会は土屋委員長を筆頭に委員のみなさんは専門性の高い有識者ばかりです。
たった2つの結論を出すのに3年間13回も会議は必要なく、率直に言って、1年間あれば十分な議論と答申が可能でした。
【質問14】
このわずかな答申を求めるのに、前市長が運営委員会に4年もの議論の期間を設定したことを、市長はどうお感じですか。
(→市長の答弁へ)
次におかしなことは、前市長時代の運営委員会では建て替えに必要な費用の試算が出されず、コストの議論が全くできなかったことです。
しかし上地市長の就任後に開催された運営委員会(第11回)では、初めて試算が出され、移転の場合は266億円、現地の場合は234億円と具体的な数字が示されたのです。
【質問15】
概算でも費用を示さなければ重要なコスト面の議論ができません。にもかかわらず、前市長時代には建て替え費用の試算が全く出されなかったことを、市長はどうお感じでしょうか。
(→市長の答弁へ)
この2つの異常さを調べていく中で、1つの推論に至りました。
前市長が意図的に結論を長引かせ、試算も出させなかったのではないか、というものです。
ここからは僕の推測をお話します。
市民生活に必要な投資であっても、前市長はハコモノだと否定して投資せず、借金を減らすことを最優先にしてきました。
本来、市民生活に必要な巨大プロジェクトにはそれなりの財源が必要で、当然、借金も必要になります。例えば上地市長が就任してスタートした給食センターがまさに好事例です。
しかし前市長は、建てかえ費用が明らかになれば財政基本計画に書かねばならなくなる、建てかえの結論が出てしまえば借金せざるをえなくなる、それでは借金を減らすという実績を作れない、と考えたのだと思います。
だから、運営委員会にあえて4年という長期の議論を設定し、建て替え費用の試算もあえて出させなかったのだと思います。
市長選挙の前年である2012年に僕が建てかえを提案した時、前市長は何も対応しませんでした。
しかし、再選直後に再び僕が提案した2013年度にようやく内部で検討をはじめました。
そして、2014年度の当初予算案と第2次実施計画に「建て替え検討」という項目を掲載しました。
けれども、本気で結論を出す気はなかった。
次の市長選挙は2017年だから、その翌年の2018年度に答申を受けるスケジュールを立てた。
いろいろな準備が必要な為、答申が出てから工事をスタートするまでに4年ほどかかります。
このスケジュールならば、市長を3期12年間終えた後に、ようやく建てかえが始まることになります。
つまり、はじめから自分の在職中には巨額の財政支出がなくて済むスケジュールを立てたのではないでしょうか。
【質問16】
こうした僕の推測を、市長はどのようにお感じでしょうか。
(→市長の答弁へ)
すでに指摘した通り、上地市長に交代するまで「部局間の連携」が不自然なほどに全くありませんでした。
けれども今回の質問にあたって多くの部課長にヒアリングをした結果、ある事実に気づきました。
実は、ほとんどの職員が「個人」としては、現地建て替えでは進入路の狭さやハザードマップの問題などから「無理だろう」と認識していたことです。
そもそも本市の職員はまじめです。
たとえ他部局の事業であっても関心を持ち、廊下ですれ違うささやかな時間や昼休みに食事を取りながら、他部局の先輩や後輩との雑談の中で、自らの専門性に基づいて意見交換やアドバイスを日常的に行なっています。
うわまち病院の建てかえについても、全く同じだったと分かりました。
これは「正式な部局間の連携」がなされてこなかったことと明らかに矛盾しています。
ここからは僕の推測です。
この矛盾は「トップの指示があった」と考えれば解消されます。
実施計画に記載までしておきながら、建て替えに関する「部局間の連携」や「情報共有」が全く無かった理由は、前市長が、政策推進部長、財政部長、健康部長、都市部長ら幹部に対して、結論の先延ばしを指示したのではないか。僕はそう考えています。
【質問17】
こうした僕の推測を、市長はどのようにお感じでしょうか。
(→市長の答弁へ)
6年前の初提案から現在まで建て替えの議論を全て追ってきました。
上地市長の就任後、明らかに物事が一気に進みました。
当初は4年かけて答申する予定だった運営委員会は、1年早く上地市長に答申を出しました。
これまで全く「部局間の連携」が無かったのが、正式に6月と7月に「うわまち病院建替えに関する関係部長会議」が開かれ、現地建てかえには様々な問題があることが部局間で共有されました。
8月には企画調整会議が開かれて移転が機関決定されました。
市長交代でここまで事態が進展したことを総合的に考えると、今回の問題の最大の責任は前市長にあり、うわまち病院の建てかえを意図的に先延ばししてきた為に、より多くの市民が困り、より多くの財政支出が必要となった。
僕はそう考えています。
【質問18】
こうした僕の推測を、市長はどのようにお感じでしょうか。
(→市長の答弁へ)
(6) うわまち病院跡地の活用は新たな巨大プロジェクトとして取り組まねばならない必要性について
最後に、「今後の最大の課題」について伺います。
うわまち病院が移転した後、残る跡地の広さは3万8000平方メートルにも及びます。
たとえ移転しても、敷地内のレッドゾーンの防災対策と進入路の拡幅を行わなければ、開発行為はできません。
売却をしたくても、開発行為ができない土地を買う企業は無いでしょう。
同じ理由で、本市が別目的に跡地を活用することも困難です。
進入路の拡幅には10年かかると発表されましたが、拡幅が終わらなければ開発行為ができないので、広大な跡地が10年以上にわたって塩漬けになる可能性もあります。
そこで、レッドゾーンの防災対策と進入路の拡幅に早期に取り組み、塩漬けとなる期間を可能な限り短縮し、建物解体工事をはじめその後の様々な工事による地域への影響を最小化する為に、全庁をあげて取り組まねばなりません。
つまり、跡地の再開発は新たな一大プロジェクトなのです。
【質問19】
この新たな一大プロジェクトを市長はどのように進めていくお考えか、お聞かせ下さい。
(→市長の答弁へ)
以上で1問目を終わります。
再質問は一問一答方式で行わせていただきます。
上地市長の答弁
うわまち病院の移転建て替えについて、様々なご指摘をいただきました。
まずは、ありがとうございます。
細かにお答えしていく前に、この問題に関して『組織運営の観点』から私の想いをまずちょっと述べさせていただきたいと思います。
まず、前市政の8年間の組織運営。
「出る杭は打たれ、そして事業の失敗は担当部局の責任とする減点主義であって、職員の意欲の低下を招いた」
というのが私の評価です。
「職員は事なかれ主義で、指示されたことだけをやり、自分の領域から踏み出そうとしない縦割りの組織の弊害に陥っていた」
というふうに捉えています。
その為、私は市長就任時に職員に対し、『忠恕』の姿勢を求め、
「全員野球で前進していこう」
と号令をかけました。
また
「スピード感を重視して、物事には積極的に取り組むべき。もし失敗した場合でも、その責任、その責めは私が負う」
とも説いてたところです。
そして市長に就任して1年あまりが経過いたしました。
市の組織がどう変化したのか。
今回の問題から振り返ってみますと「まだまだ全員野球の状態にはなっていない」と痛感いたしています。
「誰かが検討しているはず」
「何かがあれば誰かがしてくれるはず」
といった『当事者意識の欠如』『組織の縦割り意識』が、今回の原因ではないかというふうに考えています。
これは、この私が就任してから1年になりましたが、ひとえにまだまだ私の未熟さ、そしてさらには不徳の致すところであり、ここでまずは心からお詫びを申し上げたいと思います。
今回、うわまち病院の建て替え方針を決定する為の企画調整会議を8月20日に開催しました。
私はその際に、あえて苦言、もっと結構きつい言葉で言ったんですが、『当事者意識の欠如』『組織の縦割り意識』について指摘し、職員が一丸となって事業に取り組むべきと改めて指示をしたところです。
議員ご指摘の通り、うわまち病院の建て替えというのは一大プロジェクトであります。
本市の医療供給体制を考える時、1日でも早く、新病院を開院しなければならないことは自明の理であります。
その為には、全部局が当事者意識をもって、総力戦で臨むべきものです。
もとより私自身、もっともっとしっかりとしたリーダーシップを発揮して先頭に立って参りますので、ご理解とご協力をまずお願い申し上げる次第であります。
ではいただきました質問にお答えをしてまいります。
【答弁1】
まず、うわまち病院周辺の皆さんに、説明会を即時に開催する必要についてです。
地域のみなさんに状況をご説明することは当然のことだと考えます。
来週の土曜日、9月8日に開催される『うわまち連合町内会の定例会』に、商店会の皆様にもお越しいただき、これまでの状況を、説明をすることになっています。
うわまち病院の沿革を辿れば、戦前は陸軍病院。終戦を経て厚生省所管の国立横須賀病院がその前身となります。
昭和60年代になり、国にとって国立病院の運営が次第に重荷になり、国立横須賀病院も廃止の方向性が示されました。
その際には、上町地区のみなさんだけではなく、全市を挙げて存続要望がされましたが、国は平成12年度末までに引き受け手がみつからない場合、国立横須賀病院を廃止する方針を示しました。
市民病院をすでに運営している本市としては、2つ目の病院を受け入れることは財政面から考え、当時の沢田市長には大きな葛藤があったのではないかと推察されます。
しかし、横須賀全体の医療供給体制を考えた末、「市立病院として引き取る」との英断をされ、今日のうわまち病院が誕生しています。
市は横須賀全体のことを考えなくてはなりません。
古くからある病院の移転は、私としても断腸の想いでありますが、市民のニーズに応えられ、医療の技術革新にも沿える病院を1日も早く開くことが、私に課せられた最も重要な責務と考えます。
9月8日はこのような状況をお話しをさせていただき、ご理解を得られれば、というふうに考えております。
【答弁2】
次に、うわまち病院周辺の地域振興策と跡地の活用を『協議していく場』の必要性についてです。
後ほどのご質問にも関連しますが、うわまち病院の跡地活用は市が責任を持って取り組まなければならない事業です。
現時点では、新たな病院の開院の時期を平成37年(2025年)と想定しているところです。
それまでの間、多くの方々と意見を交わしていきたいと考えていますが、『協議の場』という堅苦しいものを設けるのではなく、気軽に、ぜひ未来志向で明るい将来を語り合いながら、と、そういう会合の場にしていきたいというふうに考えています。
【答弁3】
次に、スプリンクラー設置の検討を行なった結果を明らかにすることについてです。
本館スプリンクラーの設備工事は、配管やスプリンクラーヘッドを設置しますので、1病棟、つまりワンフロアーごとに病室を閉鎖して行なうことになります。
1病棟ごとに約1ヶ月の工期を要することから、全体の工事期間は半年程度になるのではないかと見込んでいます。
設置にかかる費用は1億3千万円程度で、工事期間中、病棟を閉鎖することによる減収は6億円程度になるのではないかと試算しています。
また、入院患者への影響としては、入院中に病院を移動していだく場合があること、工事により発生する騒音などが想定されます。
その為、スプリンクラーの設置というのは現実的には難しいのではないかと考えます。
【答弁4】
次に、開発行為に該当しない工事で新たに病棟を建てかえることでは、質の高い医療が適切に提供できない可能性についてです。
開発行為に該当しないように新たな病棟を建設する為には、現在の敷地の空いた部分、具体的には正面玄関前の駐車場部分や、敷地奥の駐車場部分を利用することになります。
この場合、複数の建物を長い渡り廊下でつなぐことになってしまい、最善の医療が提供できない病院となってしまう可能性が非常に高くなります。
それをこの先、50年、60年と使い続けることは、私としては適当では無いのではないかと思います。
【答弁5】
次に、レッドゾーンの防災対策工事を行なう場合の工事期間、費用、診療への影響についてです。
レッドゾーンに指定された場所に建築物を建設する場合、原因となる法面そのものに対策工事を行ない、がけ崩れが起こらないようにするか、がけが崩れても建物が耐えられるような建物を建設しなければならないと思います。
うわまち病院の場合は、原因となる法地も病院の敷地であることから、法面の対策工事を行なうことになると考えていますが、うわまち病院の敷地内には複数の法面があり、この全てがレッドゾーンに指定され、防災工事を順次行なった場合、少なくとも5年程度の工期を要する見込みです。
費用については、対策工事のみで5.5億円程度かかると試算しています。
【答弁6】
外来と入院を行なえないことは無いのですが、長期に渡る工事の間、その騒音や駐車場の利用に制限がかかること、さらには工事車両の出入りが増えて救急車を含め車両通行の妨げになるのではないかということが想定されます。
【答弁7】
次に、造成工事で発生する土砂の搬出に必要なトラックが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についてです。
新築する建物が最も使い勝手が良くなるよう、最大限に土地造成を行なった場合、約17万トンの土砂が発生すると見込まれています。
土地の造成を行なうことが開発行為となりますので、進入路拡幅後に10トンのダンプカーで搬出すると仮定しますと、のべ1万7000台分の土砂量に相当します。
これは土地の造成を1年間行なうと仮定すると、1日約70台。
140往復(約3分間に1台)となって、朝から晩までダンプカーが通っている状態となります。
これは土砂排出の量を最大でみた場合ですので、建築設計の工夫により土地の造成量および土砂の搬出量を減らすことは可能と思いますが、それでも周辺にお住まいの方への影響は少なくないものと考えられます。
【答弁8】
次に、その他にも行政内部で把握している現地建てかえが現実的に困難な理由があれば全て報告することについてです。
現時点では藤野議員が御賢察していただいたもの以外、特に無いと判断をしています。
【答弁9】
次に、市立病院運営委員会に対し、進入路の拡幅なしに現地建て替えが不可能という情報を提供したことがあるかについてです。
市立病院運営委員会で審議をしていただいた時、事務局である健康部は、病院の建て替えが開発行為に該当するという認識をしていなかった為に、進入路の拡幅をしなければならないという情報提供はしていませんでした。
【答弁10】
次に、正確な情報を提供しないままに出された答申の正当性についてです。
私は、諮問委員会の役割は、執行機関では持ちえない専門的見地などを踏まえて意見を述べることではないかと考えています。
その意見を基に決断し実行していくのは執行機関すなわち市長たる私の責務であります。
今回、運営委員会に諮問したものは「どうすれば現地建てかえが可能か?」といったことではなくて『今後の市立病院の在りよう』ですので、改めて議論をし直していただく必要性は無いのではないかと感じています。
【答弁11】
次に、2006年に都市計画法が改正されたことを部局間で共有しなかったことについてです。
病院の建設なども開発行為に該当するという都市計画法改正がなされた2006年、平成18年になりますが、当時は本市が病院の建てかえを検討する段階では無かったので、都市部は病院担当部局に対し、特段の情報提供を行わなかったのであろうと推測しています。
うわまち病院の建てかえの検討が始まっても情報共有がされなかったのは、冒頭に申し上げた通り、藤野議員がご指摘いただいた通りでもありますが、『当事者意識の欠如』『縦割り意識』によるもので、市長として大変申し訳なく、恥ずかしく思っています。
【答弁12・13】
次に、2017年12月議会での藤野議員の一般質問の際に、都市部が進入路の問題を私に伝えなかったこと、および今年に至るまで関係部長会議などが開催されなかったことについて、併せて回答いたします。
これらにつきましても、『当事者意識の欠如』『縦割り意識』によるもので、私の不徳の致すところであり、市長として大変申し訳なく思っています。
【答弁14】
次に、市立病院運営委員会に答申を求めるのに、4年もの期間を設定したことについてです。
前市長の考えを推し測ることはできませんが、
当時は
「施設の更新を60年~70年で行なう」
という考えで、
「うわまち病院の建築経過年数からみても本格的な対応はもう少し先でも良い」
という考え方があり、また同時にすでに動き出していたごみ処理施設建設事業があったことから、
「うわまち病院の建て替え事業が重なると、財政的・人員的負担も大きくなるのではないか」
ということで、4年という期間設定をしたのが要因なのではないか
というふうに私は推測をしています。
【答弁15】
次に、建て替え費用の試算が、私が市長になって初めて出されたことについてです。
先ほども申し上げました通り、今回の諮問は「一定の予算内で可能なことを検討して欲しい」というものでは無くて、『今後の市立病院の在り方について』です。
財政負担の大小を勘案しながら最終的な判断を下すのは私の役目です。
運営委員会に金銭的データが示されなかったことで、議論に何らかの影響があったとは考えにくいし、考えられないというふうに思います。
【答弁16】
次に、結論を先延ばしすることで市長選が有利になるとの考え方ではないか、との議員の推測についてです。
このご質問以降3問にわたり、前市長の意図を藤野議員が推測し、それについて私の見解をお尋ねになっていますが、本件に限らず「前任者がやったことであり、後任の私に責任は無い」などというつもりは毛頭私にはありません。
誰が、いつ始めたことであれ、問題があるのであれば、それに対応していくのが私の政治家としての役割だと思っています。
今の私に課させている使命は、老朽化し手狭で使い勝手の良く無いうわまち病院を、1日も早く建てかえ、横須賀全体の医療供給体制を整えることとご理解いただけていることと思います。
藤野議員のお気持ちは本当に十分にお察しするし分かりますが、私の政治姿勢は『明るい未来志向』でございますので、よろしくお願い申し上げたい次第でございます。
【答弁17】
次に、職員個人は現地建てかえの困難さを認識していたにも関わらず、部局間の連携が無かった理由の、議員の推測についてです。
冒頭に前市政の組織運営についての私の評価をお話ししましたが、1点付け加えさせていただきます。
『人事異動の硬直化』によって人材育成が滞っていた点もあるというふうに考えています。
市長になってみると、部長や課長はなるべく異動させずに同じポストを担当させる方が、実は安心感があるというふうに感じています。
ただ、市が担う仕事は多岐にわたる上、相互に関連することも本当に多くあります。
その為、物事を俯瞰的に捉えるということは幹部職員としての必須の能力であって、多様な部門を経験することでその能力は養われるのではないかと思います。
ですから、前市政時代には人事異動が適切に機能しておらず、それが故に、俯瞰的なものの見方ができなくなっていたのではないかということだと私は考えています。
【答弁18】
次に、建てかえを先延ばししたことにより、より多くの財政支出が必要との議員の推測についてです。
うわまち病院の建てかえの決定は、建物の老朽化、患者さんの療養環境などを鑑みれば、当然のことともっと早くすべきだったのではないかと考えています。
なお、ただし財政負担についてはそれほど大きな差は無いと考えます。
【答弁19】
次に、うわまち病院の跡地利用を新たなプロジェクトとして取り組む必要性についてです。
先ほどもお答えいたしましたが、うわまち病院の跡地活用は市が責任をもって取り組まなければならないものと捉えています。
当然のことであると思います。
この地は横須賀中央駅から徒歩圏でもあり、地域の皆様と共に、明るい将来を語り合いつつ進めていくものと考えます。
以上、議員からのご質問にお答えしたところでありますが、今回の議員からのご指摘も踏まえ、うわまち病院建てかえ方針の決定までの経緯を振り返りますと、特に『部局間連携』にも課題があったと考えています。
「全ての事業は市民の為にある」
という意識のもとに、連携が強化され、常に前向きに進んでいきたいと思います。
そして、そういう組織でなければ市民の為にはならないというふうに確信をします。
ご質問、ありがとうございました。
以上です。
フジノの再質問
市長、ご答弁ありがとうございました。
運命の皮肉を感じています。
僕は6年前から、うわまち病院の現地建てかえ派。
市長も市議会議員時代にこのお話を一緒にして「現地で建て替えをする方が良い」とそういうお考えだった。
ただ、8月21日の記者会見しか知らない市民の方は、まるで上地市長が移転建て替えを推進したかのような誤解を受けている。
実際は、本当はそんなことではなかった。
市長にも、市議会のみなさまにも、市民のみなさまにも、必要な情報が、例えば進入路の拡幅であれば12年も知らされていなかった。
本当に悔しい。
そういう想いで僕はいっぱいです。
ただ、本日をもって、うわまち病院を現地で建て替えたいという僕の気持ちは今後一切封印し、新しい病院をつくることに向けて邁進をしたい。
そう思っています。
ただその前に1点だけ、ぜひ市長の想いを聞いておきたい。
市長という立場では、多分この先2度と
「本当はうわまち病院を現地で建て替えたかった」
という想いを、もう多分2度と語ることは許されないと思うんです。
けれども立地のことや防災のことや、いろいろな地域の皆さんの頑張りを知っておられる上地市長は、市議時代から現地で建て替えるのが本当は良かったと思っていた。
率直な想いを1度だけ、最初で最後かと思うんですが、お聞かせいただきたいと思っています。
上地市長の答弁
厳しいですなあ。
議員時代はおっしゃる通り、一緒にやってきた訳で。。。
この立場になりますとね、本当にこの、もう。。。
言っても言い切れないくらい、内心忸怩たる想いがあって、なぜこれだけ組織が硬直化して横のつながりが無いのか。
これはもう藤野議員がご承知の通り、私が若い頃から言ったように、FM。ファシリティマネジメントにしたくて。
横のつながり、連絡が全く無い。
よく言うんですが、『生きる』っていう映画が昭和27年にあって、黒澤明監督が作ったんですが、やはり縦型の弊害、事なかれ主義。
全くもって変わっていないということに関して、だから私は市長になった時にそれを改めたいという想いでやってきたんですが、これも申し上げたように、私のリーダーシップのまだ、無さ。
徹底していない、というところに本当に私自身の未熟さ、というか非力さを感じています。
本当に内心、忸怩たるものがあると思っています。
おっしゃる通り、私は現地建て替え論者でした。
ただこれが分かった以上、未来志向なんで、前向きに進んでいかなきゃなりません。
おっしゃった通りに、これによって様々な弊害、地域の方たちというか利用者の方たちにいっぱい問題が出てくると思います。
それはもう、真摯に耳を傾けながら、何度も言うように過去は捨てて、明るい未来志向で、いかにみなが豊かになっていって、健全で、活力が出て、しかもしっかりした医療体制が出来るかという方法で進んでいきたいと思いますので、どうぞその辺をご賢察をいただければたいへんありがたいと思います。
以上です。
フジノの再質問
本日をもって僕も、うわまち病院現地建てかえという気持ちは封印し、新病院の建てかえを推進すること。
そして、跡地の活用の為に、うわまち周辺地域の皆さんに徹底的に寄り添っていくことを心に固く誓い、みなさまにも、インターネットを観ておられるみなさまにもお伝えしたいと思っています。
さて再質問なんですが、可能な限り早い時期に病院周辺地域の皆様に説明会を開催すべきとの提案に対して、9月8日、連合町内会長らが集まる連合町内会議で実施をするというご説明をいただきました。
ただこれは、代表の方しか参加ができないというふうに受け止めています。
誰もが参加できる会をぜひ開いていただきたい、というふうに思うんですが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
それは今後の過程の中でぜひ検討しなければいけないことだというふうに思っています。
ただ1回目が現地の現地のみなさんの希望により9月8日に一堂に会してという話しでしたので、それを決定させていただきましたが、今後は鋭意、できるだけ早い時期にそれをやらなければ、個別にやっていかなければならない、というふうに考えています。
フジノの再質問
スピード感を大事になさる市長が、まず記者会見を、全市のみなさんにお伝えしたのは正しいと思います。
一方で、上町地域のみなさん、大変心配をされていて毎日たぶん健康部にも来ていると思うんですが、市長の元にも来ていると思いますし、議長からもたくさんのお話をいただいているというふうにお聞きいたしました。
僕にも毎日、上町地域の方、周辺地域の方から不安のお問い合わせをいただいています。
ぜひ代表者だけでなく、住民のみなさんが自由に参加できる説明会を、できれば複数回、設けていただきたいと思います。
続いて跡地活用についてなんですが「定期的な場をぜひつくっていただきたい」というふうに提案をいたしました。
じゃっかんのニュアンスは違えど、市長は「集まれる場を、ぜひみんなで議論する場をつくっていく」というふうにお答えいただきました。
そこで改めて確認したいことがあります。
今回、健康部だけに任せてしまったが為に、このようなことが起こってしまった。
そして都市部、政策推進部は見て見ぬふり。そんな縦割りがありました。
ですから、跡地再開発の『協議の場』、まあ単語は違うかもしれません、市長と。ただ、『協議の場』と僕は言っています。
ここは、政策推進部、経済部、都市部など、地域振興策を考えるみんなが全庁的に集まる場にしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
ありがとうございます。
当然なことだというふうに考えていますので、そのように進めたいと思います。
フジノの再質問
ありがとうございます。続いてもう1点伺います。
うわまち地域の現在の衰退は、税務署の跡地が完全に国によって放置されていることに原因があると受け止めています。
かねて、僕はある代議士を通じて財務省に働きかけを行なったんですが、ずっと動いていただけないまま今に至ります。
けれども今、上地市長は、国会議員のみなさんとも、国とのパイプも強くもっておられます。
小泉進次郎代議士、古屋範子代議士と共に、国に対して税務署の跡地の活用を可能な限り早く行なうよう、上町地域の方を安心させていただけるように取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
それも当然のことだと思っています。
できるだけ早い時期に、上町の振興策っていうのは考えていかなきゃならないことだというふうに考えますので、全ての人脈を尽くして、職員一丸となって考えていきたい、というふうに考えます。
フジノの再質問
ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。
続いて、「現地建て替えが複雑困難化し長期化し、さらに収益が悪化するということを、ぜひ市民のみなさまにお伝えしていただきたい」という質問をいたしました。
まずスプリンクラーの設置について、もう少し詳しくお話しいただきたいと思います。
設置するだけで1.3億円の費用、さらに減収は総額で6億円にもなります。
僕たちはうわまち病院の経営を良く知っています。バランスシートも知っています。
1年にどれだけ利益が出ていて、繰越剰余金がどれだけあるのかを知っていますが、傍聴しておられる方、インターネットを通じて見ておられる方はご存じありません。
ですから、6億円がどれほどのダメージなのかが多分通じておられないかと思います。
バランスシート的に、1年間に、昨年度でいえば4,500万円しか利益がありませんでした。
さらに剰余金も11億円しか無いはずです。
そんな中で5億円がスプリンクラーの設置だけで飛んでいく。
そして建物の耐用年数自体は平成16年に補修をしたとはいえ、70年で限界が来る。
こうした状況が、どれほど病院にとってダメージを与え、これによって、うわまち病院の利用が困難になるか。
この点について財政面からもう少し詳しくお話しいただきたいと思いますが、市長、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
健康部長から答弁させます。
健康部長の答弁
いま藤野議員からお話しをいただきましたが、うわまち病院の場合ですね。
年間の医療費収入自体は、入院外来合わせて、だいたい100億円ということになります。
そういう中で、昨年は若干VREの関係がありましたので今4,500万円というのを話していただきましたが、通常でいきますとだいたい3億円程度の利益が出ております。
そういう中で今回スプリンクラーで例えば6億円の減収。
さらには設備工事のために1億3千万円かかるということになりますと、当然これまでずっと黒字を続けてきていたうわまち病院が、赤字に転落するというような状況に陥る、ということでございます。
フジノの再質問
大変財政も悪化するということで、病院経営は『企業会計』ということで『一般会計』からは独立をしております。
もし赤字に転落すれば、当然『一般会計』からも補てんをしなければならなくなる。
つまり『一般会計』も大きなダメージを受ける。
その観点からもスプリンクラー設置というのはやはり不可能だという結論に至りました。
続いての質問です。
造成工事を仮にした場合、トラックの台数のすさまじさや交通量が圧倒的に増加することをお話しいただきました。
こうしたことを知らない、ご存じない市民の方は、
「建てかえをぜひして欲しい」「現地でお願いしたい」
とおっしゃるのは当然のことだと思います。
けれども1年間毎日、1日70台、140往復近く、朝から晩まで往復する。
この状況は耐え難い。生活ができない。そういう状況だと思います。
また、仮に救急車が入ろうとしても、通行は困難だと思います。
そして市民の方は当然、造成工事が始まれば、山を削る音、崖を削る音、大変うるさいですから、
「生活の時間帯は工事は短くしてくれ」「やらないでくれ」
という調整も当然行なうことになると思いますし、
「トラックの往復も通学時間帯、そして学校から帰る下校の時間帯は避けて欲しい」
というお話しになると思います。
もしこうした調整があった場合、もっともっとこの期間は長期化し、市民の方への影響は長くなるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
その前に、財政的な見地から話をさせていただくと、私は議員時代から言ってるんだけど、今言ったように「黒字だ」って部長は言うんだけれども、これは『一般会計』から基準外の繰出金が出てるんですよ。
これを行政は「黒字」だって言う。
俯瞰的にみた時に、果たしてこれが黒字かっていうことに関して、非常に私は疑問を持っていて、今言った黒字も一般会計からの基準外繰出金が無ければ赤字な訳だよね。
繰出金が無ければ赤字だという事実を、行政っていうのは「黒字だ」というの。
批判している訳じゃないんだよ、別に部長を。
そういうことも根本的に問題があるというふうに私は理解をしているんです。
それを考えなければこの問題の解決は無いというふうに思っています。
それから崖地の問題については、もう1度健康部長から答弁させます。
健康部長の答弁
造成工事に関しましてもですね、今回最大で17万トンというような土を運びだすということで、トラックにすると毎日70台、往復にすると140回のトラックが動くということになります。
また、それにかかる費用として、本当にざっくりでございますけれども、だいたい14億円程度、それに対してもかかるであろうというようなことで、この点についても非常に大きな影響があるというふうに考えています。
フジノの発言
時計を止めて下さい。健康部長が質問に答えていないので、ちょっと時計を止めて説明をさせて下さい。
僕がした質問は、市民の方が生活環境の中で「工事の時間帯を通学・下校の時間はやめてくれ」とか「生活する時間帯は工事をやめてくれ」とおっしゃる可能性が当然あるので、そうすると工事が長期化するんではないかという質問をしたんですが、健康部は財政面しかお答えいただかなかったので。
健康部長の答弁
失礼いたしました。工期の問題についてお答えをしておりませんでした。
今回造成が入ることによりましてですね、トラックがまさしく日中通るということで、例えばその時間帯、通学時間帯というのは当然トラックを通さない、というような配慮もしてまいります。
ということになりますと今、造成を含めてそこの部分でだいたい2年間は余分にかかるであろうと、まあ最大ですけれども、1年から2年の搬出によって時間がかかるということになります。
フジノの再質問
この後、上町周辺地域のみなさんに説明会を開催していただきますが、仮に現地建てかえだった場合、最大2年間は毎日毎日トラックがあの狭い進入路を、まあ拡幅してからというお話がありましたが、これはもう全てが仮定の話しではあるんですけれども、仮に現地建てかえを行なった場合は、2年間毎日みなさん騒音の中で、しかも交通も危なくて、通学も通勤も厳しくて。そういう状況になってしまう。
そういうことをきちんとご説明をして、
「その状況に耐えられるでしょうか。誠に申し訳ありませんが、この状況を考えると現地では無理です」
ということを丁寧にお伝えいただきたいと思います。
続いて、市立病院運営委員会の答申の正当性について伺いました。
全ては市長が最終決断をされるということで、責任は市長にありますし、答申の正当性は問題が無いというご答弁をいただきました。
ただ、1点どうしても納得できない、許せないことがあります。
健康部がコンサルタントとして業務委託をした、調査や様々なデータをまとめる役割をしたコンサルタントがあります。
その資料を見ると、進入路の項目。※1という、注1というのが書いてある。「要検討」と書いてあるんです。接道のところが。進入路のところが。
知ってたんじゃないかと思うんです、この2006年の都市計画法改正を。
コンサルタントも健康部に伝えることができたはずだと思っているんです。
こんないい加減なコンサルタントに業務委託したことを、初めての指摘で発言通告にもありませんから突然の質問で難しいとは思うんですが、こんないい加減なコンサルタントをどうお感じになりますか。
上地市長の答弁
あの、悪意なのか。本当に知らなかったのか。よく私には理解はできませんが、まあ本来の業務であるならば、それくらい分かってなきゃおかしい話だ、ということは、推測はできます。
ただ、本当にそうだったのか、分かってたのかどうかってことは分かりませんので、今ここでは答えることは出来ない、ということだけはお答えしておきます。
木下議長の発言
藤野議員に申し上げます。
発言通告にない事項を突然質問されても、理事者側は答弁しにくいところがありますので、あまり生産的な質問ではないと思います。
そこら辺ちょっとご自重をお願いしたいと思います。
フジノの発言
議長、申し訳ありませんでした。続いての質問に移ります。
議長、ここは実際には市長に答弁を求めるものですが、各部長にじかにお答えいただきたいと思っているんです。
もし質問の内容で議長のお許しをいただければ、ぜひ議長から指名をしていただきたいというふうに考えております。質問の内容をお聞きのうえでご判断いただけたらと思っています。
木下議長の発言
発言通告書では、答弁を求める人は市長だけとなってるんですけれども、今のご発言ですと、部長に直接答弁を、質問者側として求めたいというご意向でございますけれども、いかなる理由でそのような質問をされたいのか、答弁を得たいのか、ご説明いただけますか。
フジノの発言
ありがとうございます。『当事者意識の欠如』や『連携の無さ』を、市長はご自身の責任、つまり最高責任者の責任として謝罪をされました。
けれども、市長はこの件について昨年からしか関わっていない。
行政の継続性、責任者の責任として謝罪をされたけれども、何で都市部長、政策推進部長、こんなことをしてきたのか。全く理解できません。
その想いで、ぜひ該当する部の部長にご答弁を求めたいと思いました。それが理由です。
木下議長の発言
市長にお伺いします。
今のような趣旨で答弁を求められるということは、市長の伺い知らないところを、部長の責任でこの場で答弁をするっていうことになるんですけれども、市長のお立場上、それが納得いくことなのかどうなのか。
ご判断をいただきたいと思うんですけれども。
上地市長の答弁
私は、市長っていうのは組織の長なんです。
長は兵を語るべきではないし、語ってはならないという立場なので、ご賢察をいただいて、すべて私の不徳の致すところでお許しをいただきたいと思います。
フジノの再質問
ただ今の市長の答弁をもちまして承知を致しましたので、撤回をいたします。
そして今の答弁を受入れたいと思います。
ただ、部長、局長。はっきり申し上げます。
市長に謝罪させるような、何ですか、その事務執行。
反省すべきですよ。
市長が最高責任者として謝りましたよ。だけど事務執行はみなさんが、部長、局長としてやるんでしょう?
答弁はみなさん、今はしないですけれども、反省していただきたいと思っていますよ。
「異動があった」「異動があった」と議会のみなさん、かばってますけれども、みなさん部長になる前、課長だったり課長補佐だったり、事務に携わっているじゃないですか。
もしかしたら僕の推測通り、前市長が指示を出していたかもしれない。「情報を隠せ」「連携するな」と言ってたかもしれない。
でも皆さん、課長だったり課長補佐だったり、副部長だったでしょう?
何ではっきりと自分の業務をやらなかったのか。
本当に問題だと思っています。
質問の主旨には沿っていますよ。
『連携の無さ』『当事者意識の欠如』。ぜひ改めていただきたいと、僕は思っています。
そして次の質問に移ります。
前市長については、市長は僕の推測については「そもそも語るべき立場に無い」というふうにお答えをいただきました。
ただ、総括は必要です。
もちろん、今目の前には新病院移転プロジェクトがあります。
跡地再開発プロジェクトがあります。
そして給食センターの建設など、大きなプロジェクトがあります。
けれども、市長就任1年経って、職員の意識は変わり始めましたけれども、前の8年間の意識を引きずったままの職員が、もしもこのまま同じような過ちをしてしまった場合は信頼もできませんし、新しいプロジェクトができるのか、大変心配に感じております。
「前市長の責任問題、総括、こんな時間はもったいない」という上地市長のお考えはわかります。
ただ、総括は絶対に必要です。再発防止の為に、総括は絶対に必要です。
僕は今回「前市長に最大の責任はある」というふうに申し上げました。
市長は「それを語る立場には無い」とはおっしゃったものの、なぜ今回の結末に至ったのかということ、その責任者は誰であったのかということは、ぜひ内部で検討して、調査をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
お答え下さい。
上地市長の答弁
冒頭に申し上げた通り、『当事者意識の欠如』ということと、『組織の硬直化』『人事の弊害』、これにすべて尽きると思っておりまして、それについては部長会議でも再三、職員のみんなには伝えている通りです。
ですから少しずつでも浸透はしてきているというふうには思っておりまして、今後の展開にぜひご期待をいただけたらというふうに思います。
その時には「ああ、これでよかった」というふうに言っていただけるように、頑張っていきたいと思いますので、その辺までご猶予いただければと思います。
フジノの再質問
最後の質問に移ります。
跡地の活用という一大プロジェクトについてです。
今後新病院の話がありますが今いったん置かせてください。
今は跡地の活用についてだけお話しさせてください。
レッドゾーンが指定される可能性が極めて高く、ほぼすべてのイエローゾーンが、うわまち病院の敷地内の法面がほぼすべてレッドゾーンに指定される可能性が、極めて高い。
しかも法面の工事だけで5年、費用は5.5億円もかかる、という答弁がありました。
加えて進入路の拡幅には10年間もかかると発表されています。
これらは同時進行で進められるものなのかどうか、まずお聞かせください。
上地市長の答弁
目的が決まれば、同時進行というのは当然できることだと思っています。
ですから、どういうものにするか。
みなさんと話し合いながら、何をどのように建てるのかということに関して決まれば、同時進行できますので、できるだけ早い時期に、様々な視点から調査をして、検討をして、地域の方たち、市民のみなさまとお話しをさせていただきながら、できる限り早く進めたいと思っています。
フジノの再質問
可能性としては並行して工事が進められるとなると、一番期間がかかるものは進入路の拡幅であって、10年間かかる。
ぜひスケジュール感を教えて下さい。
まず、今年中に移転先を決めます。でもこの話はちょっと置いておいてください。
2025年に建てかえ先がスタートをする。
それまでの間に何か、現在の進入路、レッドゾーンに対してアクションを取れるかといえば、たぶん取れないと思うんです。
したがって2025年から10年間かけて進入路の拡幅が始まる。そういうことでよろしいでしょうか。
上地市長の答弁
それで結構です。
フジノの再質問
今、うわまち病院周辺地域のみなさんは「明日にでも移転が起こるんじゃないか」という不安に襲われています。
ですから、みなさん、本当に不安に感じておられる。
けれども、実際の移転が始まるのは、2025年であること。
それから跡地活用を全力で進める実際の取組みが始まるのは、2025年から10年間かけての進入路拡幅工事であること。
そうしたことをきっちりとご説明いただきたいんですが、お願いします。いかがでしょうか。
上地市長の答弁
それについても、時系列的にしっかりとスケジュール表を立てて、ご説明にあがりたいというふうに思っています。
フジノの再質問
最も恐れていることは、市民のみなさまも行政も政治も同じだと思います。
あの立派な土地が、約4万平方メートルに当たる土地が、塩漬けになる期間が10年間近くある可能性がある。
そこで、拡幅工事を進めている間も何か利用ができないか?
そういうこともぜひご検討いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
当然、考えていきたいというふうに思っています。
フジノの再質問
最後の質問になります。
この塩漬けになる期間を短くするのはもちろんのこと、解体工事を行なう、そして新たな開発工事を行なうことになれば、2025年以降の話ではありますが、進入路を通るトラックの台数が、造成工事を行えば最大で2年間続く可能性は全く消えていません。
どういう跡地活用をするかにはよりますが、トラックが土砂を運搬することに変わりはなく、地域の皆さんが10年先に苦しい目に遭うことは、今からもう分かっているんです。
かなり先の話ではありますが、解体工事をはじめ、地域への悪影響を最小化する必要性について、どうお考えか、お答え下さい。
上地市長の答弁
当然のことだというふうに思っています。
跡地をどうするかという問題があって、今言ったようにダンプカーを一気に通すのかとか、いろんな問題があると思うんですね。
完全な大きな建物を建てるのかとかってあるので、その辺はぜひ検討しながら跡地利用を考えながら進めていきたい。
できるだけ地域のみなさんに迷惑がかからないように、考えていきたいとは思います。
フジノの発言
以上をもって質問を終わりますが、本当に今回の結論に至るまで、市長、内心忸怩たる想いがあったと思います。
僕も本当に苦しい想いでいました。
ただ、やはり第1の目的は、より良い病院、より良い医療を、より多くの皆さんに提供することです。
新病院の建て替えを、ぜひ一緒に全力で進めていっていただきたい。
同時に、跡地の再開発プロジェクト。
これも全力を尽くして、全庁で連携を取って、縦割りになることなく、ぜひ進めていっていただきたい、というふうに思います。
以上をもちまして質問を終わります。ありがとうございました。