藤野英明です。よろしくお願いします。
1.障がいのある方々を対象とした本市職員採用試験および「障害者ワークステーションよこすか」採用試験における受験資格を改善する必要性について
障がいのある方々を対象とした本市職員採用試験の受験資格に差別的な項目や欠格条項があることから、改善を求めて僕は歴代市長と質疑を行なってきました。
いくつかは改善されましたが、今も問題が残っています。
一般事務職の採用試験は『身体障がいのある方』だけを対象にしています。
本来、障がいの種類で対象を限定するのは差別なので、僕は2004年から歴代全ての市長に改善を訴えてきました。
上地市長が就任し、新たに知的障がい・精神障がいのある方々を雇用する『障害者ワークステーションよこすか』の導入が今年9月に発表されました。
来年度からは知的障がい・精神障がいのある方々も市役所で働くことになります。
常勤職ではないものの、まずは一歩前進と評価したいです。
そして改善されないままの受験資格として「自力での通勤が可能でなければダメ」「介助者なしに職務が遂行できなければダメ」との募集条件があります。
これらは障害者権利条約の求める合理的配慮の観点からも明らかに問題です。
今年に入り、全国的な障害者雇用率の水増し問題がきっかけとなって、ようやくメディアもこの問題を報じるようになりました。
本市と同じく、中央官庁をはじめ、多くの自治体が「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」の募集条件を課してきたことが厳しく批判されました。
厚生労働省も人事院も不適切との見解を示し、厚生労働大臣も不当な差別的扱いを採用条件に付してはならないと明言しました。
適切なサービスを受けながら誰もが自立できることを目指してきたのが我が国の障がい福祉の歴史であるはずです。
そこで伺います。
【質問1】
本市は職員採用試験の受験資格から「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」を削除すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
新設される『障害者ワークステーションよこすか』についても、僕は9月議会の教育福祉常任委員会で「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」を受験資格に入れてはならないと質問しました。
しかし、課長からは否定的な答弁が返ってきました。これは大いに問題です。
そこで、伺います。
【質問2】
『障害者ワークステーションよこすか』採用試験の受験資格に「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」の条件を設けてはならないと考えますが、いかがでしょうか。
(→市長の答弁へ)
もう1つ取り上げてきたのが欠格条項についてです。
これまで職員採用試験では、成年被後見人と被保佐人を試験から排除してきました。
市はその理由として、両者は地方公務員法第16条に定める欠格条項に該当するからと答弁してきました。
しかし、9月議会でも申し上げましたが、本来、成年後見制度は財産管理能力の評価に特化したもので、権利擁護、ノーマライゼーションや社会的包摂を目指したものであり、成年被後見人や被補佐人であることを理由に権利を制限することは社会的排除に当たります。
ようやく、さきの国会において『成年被後見人の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律』が提出されました。
この新法が成立した場合は、成年被後見人と被保佐人は地方公務員法の欠格条項から削除されることになります。
そこで伺います。
【質問3】
新法成立後はすみやかに職員採用試験および『障害者ワークステーションよこすか』の受験資格における欠格条項から成年被後見人と被保佐人を削除すべきですが、いかがでしょうか。
お答え下さい。
(→市長の答弁へ)
2.横須賀市パートナーシップ制度の実施について
新聞・テレビ・インターネットなど多数の報道によって、本市のパートナーシップ制度導入の決定が規定事実として全国に伝えられていますが、改めて市議会の場で公式に市長のお考えを伺います。
【質問4】
人権施策推進会議から答申を受けて、市長はパートナーシップ制度導入を正式に決断したのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問5】
そうであれば、その決断に至った市長の想いをぜひお聞かせ下さい。
(→市長の答弁へ)
一部報道では、「パートナーシップ制度を要綱で作る理由は議会との対立を避けて市長単独でスピード感をもって実施できるから」との表現がありますが、これは市議会と市民のみなさまに誤解を与えるもので、本市には全くあてはまりません。
正確に事実を述べれば、昨年9月議会でパートナーシップ制度導入を求めた僕の一般質問に対して市長は前向きな答弁を行なってから、1年3ヶ月をかけて今回の決断に至っています。
単にスピード感だけを重視すれば答弁の直後に市長決裁で要綱を作ってすぐに制度をスタートできたにもかかわらず、慎重かつ丁寧なプロセスを取りました。
まずは行政内部での検討に始まり、複数の性的マイノリティ当事者団体との意見交換を重ね、さらに大学教授・弁護士・人権擁護委員・民生委員児童委員・当事者団体代表などの専門家と公募市民らで構成される『人権施策推進会議』に対して正式に諮問を行ないました。
同会議も当事者の方々をお招きして意見聴取と質疑を行ない、熱心な議論の末に答申が提出されました。
つまり、先行して導入した他都市からすれば「遅すぎる」と言われるくらいに丁寧なプロセスを経て、市長は決断したのです。
【質問6】
こうしたプロセスを経たことはとても重く、市長の決断には高い正当性があると僕は受け止めていますが、市長ご自身はどのようにお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
多くの報道を通じて、市議会も市民のみなさまも本市のパートナーシップ制度について漠然とは知りつつあると思います。しかし、より正確に具体的なイメージを持てるように、現在想定している内容をぜひご説明下さい。
【質問7】
本市がパートナーシップ制度を導入する目的は何でしょうか。差別や偏見の解消や暮らしやすさの保障や、市民の理解につながるのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問8】
パートナーシップ制度を利用できる方はどのような条件をお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問9】
パートナーシップ制度の具体的な流れはどのようなものでしょうか。手続きの場所、必要な書類や費用、要する日数などもご説明下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問10】
LGBTs関連施策実施自治体全国トップである本市は、全国から横須賀らしい制度の実現を期待されています。本市独自の取り組みがあればぜひ挙げて下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問11】
制度の具体的な内容を記したものが要綱ですが、要綱はいつ頃に発表する予定でしょうか。制度そのものはいつから開始する予定でしょうか。
(→市長の答弁へ)
兵庫県宝塚市ではパートナーシップ制度開始から2年2ヶ月にわたって申請ゼロが続きました。
これまで当事者の方々が受けてきた差別や偏見の大きさなどを考えれば、申請によってアウティング(暴露)の被害に遭う恐怖感などから誰も申請できない事態は本市でも起こりうることです。
しかし、申請ゼロが続いたとしても制度の存在価値は全く揺らがない、制度が存在することで当事者の存在が否定されず、安心感につながるという大きな意義を持つ、というのが多くの当事者や有識者の評価です。
【質問12】
本市においてもパートナーシップ制度開始後に申請ゼロが続く可能性と、それでも本制度が存在し続けることの意義を、市長はどのようにお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
要綱案は『人権施策推進会議』ですでに公表されている為、ここからはその要綱案に基づいて質問します。
要綱案第3条では対象を定めており、4つの要件を挙げています。
(1)成年であること、(2)横須賀市民であること、または本市へ転入予定であること、(3)現在結婚していないこと、宣誓者以外の方とパートナーシップ関係が無いこと、(4)民法第734条第1項に規定される近親者でないこと、です。
この4要件を満たせば、誰もが利用できる手続きとしたことを僕は高く評価しています。
例えば、対象を同性カップルだけに限定してしまえば、戸籍の変更をしていないトランスジェンダーの方が利用できなくなり、せっかくの制度が新たな排除を生み出してしまうからです。
この要件ならば、バイセクシュアル、クエスチョニング、Xジェンダー、アセクシュアルなどの方々をはじめ、全ての方々が利用可能となります。
さらに、4要件を満たせば誰もが対象となるということは、事実婚状態にある異性カップルや、我が国の戸籍制度への違和感や夫婦別姓を望むなど様々な理由から法的な婚姻をあえて選択しない方々、また様々な事情で選択できない方々も本市の制度を利用できるのです。
これによって、現実に存在している様々な形の家族が包含される制度となりました。
まさに『誰もひとりにさせないまち、横須賀』にふさわしい素晴らしい制度として、『人権施策推進会議』でも、当事者団体からも、さらに全国からも高い評価を受けています。
【質問13】
対象は4要件を満たせば、いわゆる性的マイノリティとされる方々だけでなく、異性カップルや事実婚の関係にある方々など広く全ての方々が利用できる手続とした意義を、市長はどのようにお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
同性婚が認められていない我が国では、同性カップル等のパートナー関係にあるいわゆる性的マイノリティとされる方々には法的な保護が全くありません。
そこでパートナーを守る為の一手段として、養子縁組が以前から広く活用されてきました。
本来の意に反して法的な親子関係にはなりますが、同一の戸籍に入ることで法的な保護や遺産相続など経済的な利益が守られるからです。
一方、要綱案では「近親者でないこと」を要件としています。これは婚姻制度との類似性からも理解はできます。
しかし、パートナーを守る為に養子縁組を結んできたカップルが多数おられる歴史的経緯を考えると、この要件によって新たな排除が生まれてしまいます。
【質問14】
4要件のうち「近親者でないこと」については、パートナーを守る為に養子縁組を結んだカップルを排除しないように申請者の方々の個別の背景を勘案して運用すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
要綱案第6条によれば、手続きを終えた方々に『パートナーシップ宣誓受領証』を交付するとしています。
この『宣誓受領証』という名称では、本市の同性カップルをはじめとする当事者の方々がその関係を周囲に証明できる公的な書類が無いことで苦しんでいる現状にはそぐわないと言わざるを得ません。
【質問15】
2人のパートナー関係が宣誓されたことを本市が公的に証明するものであることから、交付する書類の名称は『パートナーシップ宣誓証明書』など『証明書』の言葉を含むものとすべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
要綱案第8条では証明書の返還義務を定めており、(1)当事者の意思によりパートナーシップが解消された場合、(2)一方が死亡した場合、(3)一方又は双方が本市域外に転出した場合に証明書を返還しなければならないとしています。
けれども、死亡と市外への転出は削除すべきです。
「パートナーが亡くなった時こそ他の遺族との関係や葬儀など様々な実務において証明書が必要になることが多いのに」
と当事者の方々は不安の声を挙げています。
証明書は、生前の2人の関係性を公的機関が証明した唯一の存在です。
行政が想像する以上に故人との心理的なつながりを示す象徴的な存在です。そんな証明書を奪わないでほしいのです。どうかご理解下さい。
市外への転出を削除すべき理由も同じです。
【質問16】
パートナーの死亡と市外への転出については証明書の返還義務から削除すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
次に、証明書に伴う本市独自の効力について伺います。
一般的にパートナーシップ制度に法的効果は無いものとされていますが、先行自治体の中には独自の取り組みで証明書に効力を与えているまちもあります。
【質問17】
証明書を持つ方々に提供できる新たな取り組みを本市は検討すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
福祉の世界では『ハウジングファースト』と住まいの重要性を表現していますが、住まいこそ生活の基本です。
そこで本市では、いわゆる性的マイノリティとされる方々の住まい探しに関して、すでに民間の不動産事業者に積極的にご協力を頂いてきました。
次は、本市が新たに市営住宅への入居を可能とすべきです。
この提案は前市長と過去4回も議論を重ねてきましたが、できない理由として納得できる答弁は1度もありませんでした。
例えば平成28年第1回定例会で僕は、市営住宅条例の上位法である国の公営住宅法第23条第1項で定められていた「法律上の親族でなければ入居資格は無い」、つまり同性パートナーは親族でない為に入居資格が無いという条件はすでに平成24年4月に廃止されていることから、パートナーシップ制度が無くとも、市営住宅条例第6条第1項第2号を削除すればすぐに実現できることを指摘しました。
前市長は渋谷区を例に挙げて、条例改正をしなくとも対応できると述べつつも、本市にはパートナーシップ制度の仕組みが無い為に、同条文中の「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に同性パートナーを当てはめることはできないと答弁しました。
しかしこの答弁に基づけば、今回本市がパートナーシップ制度を開始することでその条件が満たされることになります。
実際、三重県伊賀市では市営住宅条例の改正をせずにパートナーシップ制度の開始にあわせて、証明書を持つ方々の市営住宅の応募を認めています。
【質問18】
本市は、証明書を持つ方々を市営住宅へ入居可能とすべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
市内には市営住宅だけでなく県営住宅も存在します。
現在、パートナーシップ制度導入予定の県内自治体は2つしかありませんが、必ずこの動きは県全域へと広がっていきます。
県営住宅への入居に関しても必ず神奈川県は検討せざるを得なくなります。
そこでぜひ本市が口火を切るべきです。
【質問19】
証明書を持つ方々が市内の県営住宅への入居が可能となるよう運用見直しの検討を本市は神奈川県に要請すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
どれだけ本市を愛していても、転勤をはじめ様々な理由から人は転居を避けることができません。
市内でしか効力を持たず転出により失効してしまう証明書では、利用者に永続的な安心感を与えられません。
そこで、この状況を改善する為に、せめてパートナーシップ制度を先行実施している自治体間だけでも連携して、取り扱いに関する協議を行ない、利用者の不利益を取り除くべきです。
制度を単独の自治体が作るだけのステージから、自治体間連携の新たなステージへと進んでいくべきです。
【質問20】
本市は、類似のパートナーシップ制度を持つ自治体に連携を呼びかけて、自治体間での証明書の取扱いについて協議を行なうべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
続いて、本市職員が証明書を取得した際の福利厚生や人事制度の在り方について伺います。
パートナーシップ証明書を持つ社員に対して、配偶者がいる社員と同様の福利厚生や人事制度の対象とする企業が増えています。
当然、市役所にも同性パートナーは存在していますので、パートナー関係にある職員の福利厚生や人事制度の在り方を法的な婚姻関係にある職員に近づけるよう前市長に一般質問しました。
残念ながら3年前当時はゼロ回答でした。
しかし、今回の制度導入をきっかけに、パートナーシップ証明書を取得した本市職員の福利厚生や人事制度の在り方を市役所が見直すことは、民間企業にも波及していく大きな効果が期待できます。そこで伺います。
【質問21】
証明書を持つ職員は、法的婚姻関係にある方々が受けられる各種休暇、例えば結婚、育児、介護、忌引を取得できるようにすべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問22】
家族の扶養手当は事実婚であっても法律では支給が認められており、本市パートナーシップ制度を利用した職員に対しては扶養手当を支給できるように検討すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問23】
市役所とは別組織ですが、職員の互助組織である職員厚生会は職員が結婚すると結婚祝い金を支給しています。
本市パートナーシップ制度を利用した職員に対してこの結婚祝い金を支給できるように、職員厚生会に提案していただけないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問24】
配偶者がいる職員に適用される制度に関してその他にも本市パートナーシップ制度を利用した職員に適用できるものが無いか、ぜひ検討していただけないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
3.市民が一読して正確に理解できるように、改正男女共同参画推進条例案における定義と条文を改善する必要性について
いわゆる性的マイノリティとされる方々への差別や偏見の解消に向けた取り組みを進めていく為に、男女共同参画推進条例を改正して、新たに「多様な性を尊重する社会を実現すること」を明記する作業が進められています。
新たな条例名は『男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例』です。
現在パブリックコメント手続きの意見募集を終え、具体的な条文も固まりつつあります。
しかし、この条例案を市民の方々に読んでいただきましたが、「多様な性の尊重」が全く伝わらないという危機的な事態に陥っています。
原因は、文言の定義を定めた第2条(1)です。
具体的には、「全ての人が、性別、性的指向、性自認等にかかわらず個人として尊重され、家庭・地域・学校・職業生活など社会のあらゆる分野における活動において、対等に参画し、その個性及び能力を発揮することをいう」という状態を「男女共同参画」と定義しています。
本来この説明を適切に要約すれば『男女共同参画及び多様な性を尊重する社会の実現』とすべきです。
しかし『多様な性を尊重する社会の実現』という言葉を定義からカットしてしまったせいで、条例案全体から「多様な性の尊重」という言葉が消えてしまいました。
行政法務的には意味は変わらないのですが、「多様な性を尊重する社会を実現する」という本市の姿勢は全く伝わらなくなりました。
伝わらなさを示す具体例を1つ紹介します。
「市の責務」を定めた条例案第4条第1項は、
となっています。
どこにも「多様な性の尊重」が記されていない為、これを読んだ市民の方は「本市に多様な性の尊重を実現する責務がある」とは分かりませんでした。
そこで僕が示した定義の代替案を用いて同じ条文を読み直します。
全く別の内容に変わりました。
こちらこそ改正理由に沿った条文です。
そこで伺います。
【質問25】
改正男女共同参画推進条例案中の「男女共同参画」という文言は全て「男女共同参画及び多様な性を尊重する社会の実現」に置き換えるべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
上地市長の答弁
【答弁1】
まず、本市は職員採用試験の受験資格から、「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」を削除すべきではないか、についでです。
藤野議員ご指摘の受験資格につきましては、今後、削除します。
このことについては、以前から藤野議員が指摘をされていましたが、障がい者雇用に関する一連の問題が明るみになる中で、この受験資格についても国が不適切と判断したところです。
まさに藤野議員の慧眼に敬意を表して、不適切な状態が続いてきたことには反省をしています。
【答弁2】
次に、『障害者ワークステーションよこすか』採用試験の受験資格に、「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」の条件を設けてはならないことについてです。
来年度新設する『障害者ワークステーションよこすか』についても、「自力通勤可能」「介助者なしに職務遂行可能」の条件は、当然、設けないことにします。
【答弁3】
次に、新法成立後は、すみやかに職員採用試験および『障害者ワークステーションよこすか』の受験資格における欠格条項から、成年被後見人と被保佐人を削除すべきかについてです。
こちらについても藤野議員が以前から指摘をされておりましたが、新法が今国会で審議されているところからも、議員に先見の明があったと言わざるを得ないと思っています。
しかしながら、新法の施行期日が交付の日から6か月となっていますので、本市の受験資格についての削除については、手法や時期も含めて適切に対応をしていくつもりであります。
【答弁4・5】
次に、人権施策推進会議から答申を受けてパートナーシップ制度の導入を正式に決断したのか。その決断に至った想いについて併せて回答いたします。
あらゆる差別を無くしたいということは、私の政治信条だった為に、パートナーシップ制度の導入は、多様性を認め合う社会の実現、さらに当事者の方の暮らしやすさの保障のほか、多くの市民に対して、性の多様性に対する理解を広める効果もあって、今回、人権施策推進会議からの答申を受け、改めて正式に導入を決めました。
【答弁6】
次に、決断したプロセスに対する考え方についてです。
様々な意見や考えがあるなかで、できるだけ丁寧なプロセスを経て決断をしたいと思っていました。
第三者機関である人権施策推進会議において、性的マイノリティ当事者の方からは意見を聴取するとともに、活発な審議をしていただきました。
人権施策推進会議や、当事者の方々の意見を踏まえた答申は、非常に意義があって重いものと感じています。
【答弁7】
次に、本市がパートナーシップ制度を導入する目的についてです。
性的マイノリティの方は一般的に人口の約3%から5%と言われていますが、その多くは深刻な困難を感じている実態が明らかになっています。
困難の背景には、「性別は男女のみであり、恋愛対象は異性のみ」という人々の意識があって、性的マイノリティに対する理解が進んでいないと考えられます。
本市では性の多様性を尊重する様々な施策を進めてきましたが、さらにパートナーシップ宣誓制度を導入することにより、性の多様性に対する社会的な意識の変化が進み、日常生活において、深刻な困難を抱えている性的マイノリティの方の生きづらさを少しでも少なくしていきたいというふうに考えます。
【答弁8】
次に、パートナーシップ制度を利用できる方の条件についてです。
人権施策推進会議に制度概要案として宣誓をできる方をお示ししましたが、答申を受け現在検討中であります。
当事者の方々からの御意見を踏まえ、より良い内容にしたいと考えています。
【答弁9】
次に、パートナーシップ制度の具体的な流れについてです。
宣誓の具体的な流れについては、当事者の方がパートナーシップ宣誓書を市に提出して、証明書の交付を受けることになります。
宣誓場所は、プライバシー保護の為に、市役所会議室またはデュオよこすかを想定しており、年末年始を除く、土日祝日を含む、毎日9時から17時までの間の受付とします。
必要書類は、住民票の写し、戸籍抄本など独身がわかる書類、本人確認できるものなどをお持ちいただきます。
費用は無料で、即日交付を考えています。
なお、場所等の確保の為に、事前予約制にする予定です。
【答弁10】
次に、パートナーシップ制度における本市独自の取組みについてです。
当然のことながら、当事者の方々からのご意見を踏まえ、制度設計をして、より良い内容にしたいと考えています。
性的マイノリティとされる方々のみならず、事実婚の方々や法的な婚姻は望まないがパートナーシップを公的に証明して欲しい、という方も申請できる制度にはしたいと考えています。
【答弁11】
次に、要綱の発表時期と制度の開始時期についてです。
先進自治体の事例の研究を進めており、また、当事者のみなさまの意見を伺いながら制度設計を行ない、平成31年3月議会に要綱案と制度概要をお示ししたいと考えています。
その上で、平成31年4月の制度導入をぜひめざしたいと考えます。
【答弁12】
次に、申請ゼロが続く可能性と、それでも本制度が存在し続けることの意義についてです。
パートナーシップ宣誓制度は、当事者本人の自由な意見、意思で宣誓するものであるので、申請がゼロということもありえるのではないかと考えます。
それでもこの制度が横須賀市にあるということは、多様性が認められて、様々な方たちが生きづらさを解消できる可能性があることを示すことにつながり、大きな意義があると思っています。
【答弁13】
次に、異性カップルや事実婚の関係にある方々など、広く全ての方々が利用できる手続きとした意義についてです。
全ての差別や偏見を無くして、誰もひとりにさせないまちにするということは、私の究極な目標であります。これは政治家としてでもあるのですが。
その為にも、多様性を認め、全ての市民の方々がこのまちで暮らして良かったと思えることが重要であって、広く全ての方々が利用できるパートナーシップ制度は大変意義深いものではないかと考えます。
【答弁14】
次に、パートナーを守る為に養子縁組を組んだカップルを排除しないよう、申請者の方々の個別の背景を勘案して運用すべきではないか、ということについてです。
藤野議員ご指摘のとおり、申請者の方々の個別の背景を勘案して運用できるようにしたいと考えます。
【答弁15】
次に、交付する書類の名称は証明書の言葉を含むものとすべきではないか、についてです。
その方向で検討したいというふうに思います。
【答弁16】
次に、パートナーの死亡と市外への転出については、証明書の返還義務から削除すべきではないかについてです。
パートナーが亡くなられた場合の取り扱いについては、藤野議員がご指摘のような事例があることは当然、想定されますので、返還を要しない方向で検討していきます。
市外に転出する場合は、あくまで横須賀市の制度なので、他の自治体の市民に対して運用することは難しいのではないかと考えます。
【答弁17】
次に、証明書を持つ方々に提供できる新たな取り組みを本市は検討すべきではないか、についてです。
制度導入を全庁的に周知するとともに、制度の要綱や制度概要が固まる段階で、本市のパートナーシップ宣誓制度を活用できる行政サービスについて、全庁的に検討する予定です。
【答弁18】
次に、証明書を持つ方々を市営住宅に入居可能とすべきではないかです。
本市でパートナーシップ関係にあると認められた方々が、市営住宅に入居を希望した場合、特に条例の改正を行わなくても入居は可能であると考えています。
【答弁19】
次に、証明書を持つ方々が県営住宅への入居が可能となるよう、神奈川県に運用見直しの検討を要請する必要についてです。
本市のパートナーシップ制度の取り組みについて広く理解を求めていくことは、非常に大切なことではないかと考えます。
神奈川県にも、本市の取り組みについて機会を捉えて説明、紹介、理解を求めていきたいと考えます。
(*この提案は2019年11月の県営住宅募集から実現しました。詳しくは2019年11月13日のブログ記事をご覧下さい)
【答弁20】
次に、自治体間での証明書の取り扱いについての協議についてです。
パートナーシップ制度についてはまだ、全国で9自治体だけが導入している制度です。
まずは横須賀市のパートナーシップ制度が順調に運用され、当事者の皆さまにとって、よりよい制度になることを目指していきたいと考えています。
【答弁21】
次に、証明書を持つ職員が、法的婚姻関係にある方々が受けられる各種休暇を取得できるようにすべきではないかについてです。
証明書を持った職員が、婚姻関係にある職員が受けている各種休暇の取得を可能とする提案につきましては、パートナーシップを形成した職員の共同生活を支援する観点から必要ではないかと考えます。
パートナーシップ制度を利用した職員への適用範囲につきましては、各種休暇の趣旨を踏まえ、制度検討を進めてまいりたいと思います。
【答弁22】
次に、本市パートナーシップ制度を利用した職員に対して、扶養手当を支給できるように検討すべきではないかについてです。
事実婚の場合の扶養手当については、事実婚が客観的な事実として確認できれば、その他の認定の為の条件は法律婚と同様として、支給対象としています。
パートナーシップ制度を利用した職員に対して、扶養手当を支給することについては、事実婚と同様に支給できるのか、今、検討していきたいというふうに考えています。
【答弁23】
次に、パートナーシップ制度を利用した職員に対して結婚祝い金を支給できるように職員厚生会に提案することについてです。
藤野議員がおっしゃるとおり、職員厚生会は市役所とは別組織ですので、私から厚生会に提案をしていきたいと考えます。
【答弁24】
次に、配偶者がいる職員に適用される制度に関して、その他にも本市パートナーシップ制度を利用した職員に適用できるものがないか検討することについてです。
配偶者がいる職員に適用される制度で、本市パートナーシップ制度を利用した職員に適用できるものがないかについては、今後、他都市の事例も参考にしてぜひ検討していきたいと考えます。
【答弁25】
次に、改正男女共同参画推進条例案中の、「男女共同参画」という文言を全て「男女共同参画及び多様な性を尊重する社会の実現」に置き換えることについてです。
現在の条例改正案は、男女共同参画審議会が作成した案となります。
今回頂いた御意見につきましては、パブリックコメントにおいて頂いた意見と併せて、男女共同参画審議会において答申をまとめる中で再度、審議をさせていただければと考えています。
私からは以上です。
一問一答形式での再質問
フジノの再質問
市長、御答弁ありがとうございました。
議員のみなさまから「再質問は要らないのではないか」と言われるぐらいに、歴代の市長からは全く考えられないような革命的な変化が今また進んでいるのだというのを感じています。
自分が議員を務めている間の歴代4市長の中で、上地市長が最も人権意識が高く、差別を嫌っている、そういう市長だというふうに強く感じており、大変頼もしく感じております。
まず、障がい者雇用の受験資格の改善の必要性については、まさに思いを酌んでいただき、全て対応していただけるということを、承知いたしました。
また、新法成立後の欠格条項の、成年被後見人と被保佐人の削除については、まだ国会の審議の流れが不透明ですし、また、法が施行された後も6カ月の期間が必要ですから、来年度の採用試験においてすぐにこれを削除するのは少し難しいかというのは、十分承知しております。
1点確認したいことがあります。
実は、本市職員採用試験では、身体障がい者のみを対象としています。
しかし、2016年8月、つまり今から2年前に厚生労働省が地方自治体、これは都道府県に対してなのですが、障がい種別を限定しないように公正な採用選考を要請する通知を出して、身体障がいに限定することなく、他の障がい者に広く門戸を開き、能力適性のみを基準とした公正な採用選考の実施を求め、知的障がい・精神障がいのある方々の雇用を促しています。
この通知は県に出されたものですが、県を通じて本市にも届いていますね。
上地市長の答弁
調べてみましたが、届いているようでした。
ただ、受け入れる体制ができていなかったので、注意喚起というふうに受けとめていたということはありましたが、確かに注意喚起としてでも、県を通じて届いていたことは事実です。
フジノの再質問
この通知の扱いについては、前市長時代のことですが、これを知った時に最初に思い浮かんでしまったのは、前定例議会で質問をいたしました『うわまち病院の進入路の拡幅の問題』でした。
法改正が12年前に行なわれていたのに、部局間で連携されていなくて、知られていなかったということを想起させられました。
2016年にもう通知が出ていて、直さねばならなかった。
けれども、時の市長は直そうということをしなかった。
今回いろいろとヒアリングをさせていただいて、上地市長が『障害者ワークステーションよこすか』を発案されて、公明党さんの御提案があり、市長が決定をして下さった。
つまり通知と今回知的障がい・精神障がいのある方を雇用するのは、全く別の話だったということを知って、すごくショックを受けています。
何故2年前の通知を受けてできなかったことが、市長が交代したらできるのか。
これはやはり前市長が本当にだらしがなかったと言わざるを得ないというふうに思っています。
新たに上地市長のもとで全ての障がいのある方々が雇用される仕組みとなって、そしてその人それぞれの能力に合わせて、市役所で働いていることを強く期待するものですが、市長の御所見をお聞かせください。
上地市長の答弁
前市長がどうのこうのというのはあまり興味がなくて、流れの中でこうあるべきな時に私が出てきているだけで、それで人権施策をやっているだけにすぎないのです。
過去がどうであろうが前に向かって進むべきなので、あらゆる人権というものが整っていかなければいけないというふうに思っているのです。
それから、今のこういう問題もとりたてて私が手がけているのではなくて、流れの中で行なうべき時に当然来ているだけだということだけは、御理解下さい。
パートナーシップ制度についてもということです。
フジノの再質問
市長はそうおっしゃいますが、市議会議員として16年間同じテーマを追いかけてきた人間からいたしますと、恨み節が出てしまうのです。
市長はそのようなことは当たり前だというふうにおっしゃるのですが、当たり前の行政が実現されてこなかったのも、正直事実であります。
こういうふうに述べると、「上地市長を持ち上げ過ぎだ」という声が上がるのですけれども、現実問題として、今まで全然変わってこなかった。
それが今、改革が進んでいるのだということを広く市民の方にもぜひ知っていただきたいというふうに思っております。
続いて、横須賀市パートナーシップ制度について、いくつか確認をしてまいります。
まず再質問の1は、パートナーシップ制度の受理をする職員に対する研修の必要性についてです。
市長にお話しいただいた制度の具体的な流れで、パートナーシップ制度を申請したい方には横須賀市役所あるいは『デュオよこすか』に来ていただいて申請をしていただくということがわかりました。
この時、受理をする職員の方や、また場所を御案内する職員の方がパートナーシップ宣誓をしたい方々に対して、不適切な対応をするようなことがあっては絶対にならないというふうに思っています。
そこで、受理をする職員の方、または本来でしたら全ての職員の方に改めて研修をしていただきたいというふうに考えているのです。
ぜひ理解を高める為の研修をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
私自身不適切という意味がよくわからないので、研修すべきものなのかどうかもまだよく理解できないのですが、そうなった場合、もし不適切な発言をするような人がいるのであるならば、それはきちんと教育しなければいけないというふうには思っています。
フジノの再質問
市長はフラットな方なので、そもそも差別をするという発想がないというお考えだと思います。
ただ、残念ながら社会はそうはなっていなくて、やはり非常に不適切な発言を無意識にされてしまう方もおられるのが現実です。
ですから、改めて職員の皆さんに、内なる差別とか、無意識の偏見というのを解放していただけるように研修をぜひ行っていただきたいと思っています。
また、制度導入に伴う市民啓発の必要性について伺います。
実は今回、本市が4月に導入するというふうな報道がなされてから、全国から多数の祝福の声が届いております。
その中には、例えば本当に全国的に有名な経済評論家で、最近自らのセクシュアリティをカミングアウトとしたある方から
「横須賀に来て講演会をしてもいい」
というふうなお言葉もいただいております。
もしその方が講師に来てくだされば、本当にたくさんの人が講演会に集まって、そしてセクシュアルマイノリティ当事者であること、それは当たり前のことの1つでパートナーシップ制度も本当に大切な取り組みであるということを理解していただけるきっかけになると思っています。
こうした講演会行事なども含めて、ぜひ市民の方々への周知に努めていただきたいと思うのです。
制度の開始にあわせて取り組みをぜひ強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
ぜひ強化していきたいというふうに思っています。
先ほどからお話を聞いていて、私自身社会的偏見があまり無いので、どのようにお伝えするか、これから検討しなければいけないと思うのですが、デリケートな問題なので、どういう表現をしたらいいのかというのがあると思うのです。
だから、その辺を少し踏まえながら考えていきたいというふうには思っています。
フジノの再質問
それから、今後の要綱の中身についてに質問を移りたいと思います。
まず1番最初にお聞きしたいのは、これから当事者の方々の声をさらにじっくりお聞きいただき、反映していただきたいということの確認です。
すでに横須賀市市民部人権・男女共同参画課は、複数回にわたって当事者団体からヒアリングをしていただいています。
ですから、もう聞くという姿勢ははっきりと打ち出されているのですが、まだ具体的な要綱案の中身について、心配しておられる方もたくさんいらっしゃいます。
例えば、申請書を2人で出すことが全国のスタンダードになっておりまして、本市の場合も2人で出すということに重きが置かれています。
ただ、一般的な婚姻を例に挙げますと、婚姻届を出すのは1人であろうと全く問題ない訳です。
今回僕が実際にいただいた声は
「今までパートナーシップ証明を取る気持ちはなかったけれども、自分のパートナーが病気の状態に今ある」と。
「その病気は決して深刻ではないけれども、もしパートナーが命を失った時のことを考えたらば、横須賀市がパートナーシップ制度を始めたら、ぜひ申請に行きたいのだ」と。
「ただ、外に出歩ける状態ではないので、一人で出すことも、またぜひお許しいただきたい」と。
そういうような声をいただいております。
これは具体的にこのことだけを変えろという意味ではなくて、さまざまな全国スタンダードを横須賀市は取り入れていて、中でも飛び抜けて先進的であると思うのですけれども、こういった細かな部分もぜひ細やかにヒアリングをしていって、仕組みに反映させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
制度の設計には、今言われたような細かなこともぜひ検討していきたいというふうには思っております。
おっしゃるとおりです。
フジノの再質問
それから、証明書の返還義務についてです。
特に、転出についてお伺いいたします。
これも当事者の方々から切実な声をいただいております。
その方は転勤が多い職業です。市内にある職業で転勤が多い職業と言えば、御理解いただけると思います。
たまたま今この時期は横須賀に来ていて、そして、横須賀にパートナーシップ制度ができる。
「大変うれしい」と。
「ただこの先、転勤があり、横須賀を必ず離れざるを得ない。市を離れれば制度が失効するのはわかっているけれども、証明書だけは奪わないでほしい」と。
つまり「引っ越しても所持をさせてほしい」と。
そういう意味で申し上げております。
ぜひその点は再検討いただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
今のことも含めて、生活上のあらゆる不便さは、いろいろ当事者にお聞きしないと分からないところがありますので、様々な御意見を聞きながら改善していきたいというふうには思っています。
フジノの再質問
続いて、県営住宅への入居について神奈川県に運用見直しを要請すべきではないかということ、それから、全国の先んじてスタートしている自治体に連携を申し出てほしいということについて、再度質問をいたします。
まず、神奈川県からです。
神奈川県は黒岩知事を筆頭に、また、県議会の皆さんも取り組みを進めておられて、例えば県庁舎をレインボーカラーにライトアップするなどという取り組みも進めており、たぶん横須賀市とはケミストリーというか、よい化学反応が起こるのではないかというふうに思っております。
先ほど機会を捉えて説明し、理解を求めるとのことだったのですが、一歩進んで
「ぜひ県営住宅への入居を具体的に検討してほしい」
という言葉もお伝えしていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
それも含めて、検討していきたいと思います。
フジノの再質問
それから、先行自治体との連携について改めてお伺いいたします。
「まず本市が足元を固めたい」
まさにおっしゃるとおりです。
少なくとも数年間実施して、そして、当事者の方々の利用しやすさなどをお聞きして、しっかりとしたものにしたいという想いは、僕も同じく持っております。
ただ、横須賀市、このパートナーシップ制度だけはスタートはゆっくりでしたけれども、それ以外の取り組みは全国1位なのです。
横須賀市は市長が意識されようとされなくとも、このまちの取り組みはもう常に全国から注目をされています。一挙手一投足がまさに注目をされています。
これまで一部の法学者や一部のパートナーシップ制度の研究者の間では、なぜアライアンス、連携を組まないのだという話が出てきました。
たぶんこれを議会で質問するのも、全国で初めてなのではないかと思います。
ですから、即答はもちろん望めないものだとは思っていました。
しかし、類似のパートナーシップ制度を持つ自治体同士が協力をし合って、少なくとも同じ制度を持っているまち同士では、引っ越しをした場合、そこで改めて申請をしなくてもいいとか、あるいは共通の何か利益を受けられるというような設定をぜひ協議していただきたいというふうに思っています。
「研究課題にさせてほしい」という御答弁をいただいていますけれども、ぜひこれは前向きに進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
評論家諸氏や学者がどう言おうが、ほとんど興味はない世界で、横須賀にいる人が幸せになればいいというだけで、それが先進的だろうが何だろうが、まるで基本的に興味が無いのです。
だから、横須賀を転出して違う所に行った時に、先ほど言った、連携というのはあまりよくわからないのだけれども、本市のパートナーシップ制度を使ったところで他都市に行っても認められるということであるならば、これは当然そういうことを話していかなければいけないとは思っています。
フジノの再質問
最後の質問になります。
改正男女共同参画推進条例の定義と条文の改善についてです。
これはもう御答弁としては納得しているのですが、やはりこれまでも、ちょうど昨年9月定例議会でも市長と議論をしましたが、行政は法律用語などをまとめたくなりますし、計画もまとめたくなります。
僕も政策検討会議のみなさんと2つの条例をつくることができて、条例はいかにシンプルであることが大事かというのもよく理解しています。
ただ、市民の方にとって条例が分かりやすいものであるかどうかというのは、政策法務や行政法務の知識が無い方にとっては、大変分かりづらい、これは必ず避けなければいけないと思っています。
例えば条例案第2条の(1)の定義を問題にしました。
今から少し例を挙げたいのですけれども
「どこに多様な性の尊重が入っているのか」と。「全くわからない」
ということがたくさん出てきてしまうのです。
例えば市の責務第4条第2項において、
「市は男女共同参画を推進するための情報を積極的に提供しなければならない」。
この一文だけを読んだ時に、市民の方は「どこに多様な性の尊重が入っているのか」と。
行政法務や政策法務に詳しい人は「第2条(1)の定義を見ていただければ分かる」と言うのですが、やはり分からないのです。
例えば第5条の市民の責務でも、こう書いてあります。
「市民はみずから男女共同参画について学び、生活の中で意識及び行動を見直すよう努めなければならない」。
ここにどこにも多様な性の尊重とは入っていないのです。
法務的には男女共同参画の中に多様な性の尊重が入ってはいるけれども、読めないのです。
基本的施策も同じです。
第9条では、
「市は男女共同参画を推進するため、次に掲げる基本的施策を行なうものとする」
とありますが、男女共同参画を推進するための施策を行なうだけとしか読めない。
これが基本計画などについても定められている訳ですけれども、読み取れないのです。
ですから、行政法務的に正しい、政策法務的に正しいとしても、やはりこれを切り取って読んだ市民の方が、
「ああ、この条例は自分の為に作られているのだ」
「この条文は自分の為にあるのだ」
と感じられるように、ぜひ分かりやすくしていっていただきたいというふうに重ねて要望しますが、いかがでしょうか。
上地市長の答弁
ぜひ検討していきたいと思います。
ただ、市民に対する意識啓発なのか、不自由を感じる方に対するエンカレッジなのかという問題があると思います。
だから、全ての文言を変えるというのはあまりにも突出してしまうということはあると思うのです。
ただ、今言われたとおり、必ずその文言を入れなければいけないというふうには感じていますので、何らかの工夫はしていきたいと思います。ぜひ検討してみます。