2019年12月議会・一般質問

藤野英明です。よろしくお願いいたします。

1.パートナーシップ宣誓証明制度の自治体間相互利用の実現に取り組む必要性について

本市は今年4月、市民一人一人をかけがえのない個人として尊重するとともに様々な差別や偏見をなくし、人権が侵害されることのないまちをめざして『パートナーシップ宣誓証明制度』を導入しました。

これまで9組が利用していますが、利用者が受けられる行政サービスも少しずつ増え、火災や自然災害等によって被害を受けた方への災害見舞金の支給、市営住宅の入居申し込みに加えて、今月11月からは県営住宅にも申し込めるようになりました。

生命保険の受取人や自動車の任意保険の家族特約などに本市の証明書を利用できる民間企業も現れました。

「誰もひとりにさせないまち」を実現させる為にも、本制度のメリットを増やし、デメリットを可能な限り減らしていく取り組みが必要です。

そこで今回はパートナーシップ制度を自治体間で相互利用できるよう改めて提案します。

一般質問に立つ藤野英明

昨年12月定例議会の一般質問において僕は市長にこう質問しました。

どれだけ本市を愛していても、転勤をはじめ様々な理由から人は転居を避けることができません。市内でしか効力を持たず転出により失効してしまう証明書では、利用者に永続的な安心感を与えられません。

そこで、この状況を改善する為に、制度を先行実施している自治体間で連携して相互利用できるようにし、利用者の不利益を取り除くべきです、と。

しかし市長の答弁は、当時全国でも9自治体しか導入しておらず、県内での導入予定も本市と小田原市の2市のみだったことから、まずは本市のパートナーシップ制度を当事者のみなさまにとってより良いものとなるよう目指す、との控えめな答弁にとどまりました。

けれども1年が経ち、本制度は全国27自治体へ広がりました。

多くの自治体が本市に視察に訪れ、県内では12月から横浜市、年度内に鎌倉市、来年度には相模原市・逗子市・葉山町が制度を開始する予定です。

さらに今年10月30日、福岡市と熊本市は

「新たにパートナーシップ制度の相互利用をスタートした」

と発表しました。

本市を含む、制度を持つほとんどのまちでは、引っ越しの際には証明書を返却しなければなりません。

引越し先にパートナーシップ制度があっても、改めてゼロから手続きをして新たな証明書を受け取らねばなりません。

引っ越してまだ馴染みのない自治体においてアウティングの不安を感じながら行政職員に対してカミングアウトをしなければならない精神的な負担や不安感を政治・行政は決して無視してはなりません。

福岡市と熊本市はこうしたデメリットを無くす為に、引っ越し先で継続使用申請書などを提出すれば発行済みの証明書を継続使用できることにしました。福岡市はこの取り組みを九州全体に広げたいとしています。

まさに1年前の提案を先んじて実施された訳ですが、利用者のデメリットを減らす有効な取り組みです。そこで改めて伺います。

【質問1】
本市は、パートナーシップ宣誓証明制度を導入済および導入予定の県内外の自治体に広く連携を呼びかけて、自治体間でのパートナーシップ証明書の相互利用を実現すべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

2.今後の風水害時に開設する自主避難所の在り方を検討する必要性について

9月9日、関東地方では観測史上最強クラスの台風15号が上陸し、千葉県を中心に甚大な被害を与え、人々は大変な苦境に追い込まれました。

目の前の千葉の復旧も叶わぬ10月12日、立て続けに上陸した台風19号に、市民のみなさまは大きな不安に襲われました。

メディアやインターネットでは台風19号は15号の10倍の大きさで広範囲にわたり長期間大荒れすると報じ、とにかく警戒せよと繰り返しアナウンスし、ホームセンターでは防災グッズが売り切れ、コンビニでも食料が買い占められました。

そうした中、本市はあらかじめ自主避難所の開設を発表しました。

ホームページでも

「市内16箇所のコミュニティセンターを避難所として開放します。雨風が強くなる前の早めの避難をお願いします」

と案内し、11日正午から受入を開始しました。

のちに追加された総合体育会館・南体育館も含めると、合計1500名もの方々が避難されました。

僕も避難所を訪れて市民の方々にお話を伺いましたが、老朽化して強風に揺れる自宅で轟音の中ひとりきりで不安だらけで過ごすよりも、堅牢な公共施設で多くの人たちと過ごせて安心ですと多くの方に評価していただきました。

災害時に安心を提供できたことはとても重要であり、自主避難所の開設の判断は正解だったと実感しました。

一方で、「避難したかったけれど避難できなかった」「小学校など近くに避難所を開設してほしかった」などの声も多数お聞きし、今後への課題も感じました。

今回の質問ではその中から2点を挙げて、今後の自主避難所の在り方を検討する必要性を伺います。

大型化した台風が毎年やってくる可能性が言われていることからぜひ検討して頂きたいと思います。

“(1)ペット同伴避難所を市内複数箇所に設置する必要性について

環境省は熊本地震を踏まえて2018年2月に策定した『人とペットの災害対策ガイドライン』で全ての避難所にペットと同行避難できると明記しました。

環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」

環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」

あまり知られていないのですが、『ペット同行避難』とは、ペットとともに避難所に行くことはできるけれど人と一緒に過ごせる訳では無く、主に屋外の専用スペースにペットは置かれて人間とは別々に過ごすことです。

あくまでも避難所まで一緒に行かれるという意味です。

しかしこれまでの大災害での各地の避難所では、不安感の強い人々の中で、かつ動物が好きでない人もいる中での『ペット同行避難』は疎まれ、結局多くの人々はペットとともに車の中に避難したり、自宅に残ることを選ばざるをえませんでした。 

こうした事態を考えれば、本市が今回実現した、人とペットが一緒に避難できる『ペット同伴避難』の取り組みは大変に画期的でした。

『ペット同伴避難』とは、避難所でも人とペットがともに過ごせる避難方法のことです。

本市市民部は台風15号の際に市民の方々からペットとの避難について何件もの問い合わせを受けたこともあり、台風19号接近に際してコミュニティセンターでの自主避難は『ペット同伴避難』とする決断をしました。

ペットとともに避難してこられた方とそうでない方を別々の部屋にご案内することで『ペット同伴避難』を実践したのです。

しかし自主避難所に配置された本市職員の数はとても少なく、自主避難された市民の方々に動物アレルギーの有無を受付で確認する余裕はありませんでした。

ペットの有無で滞在する部屋そのものを分けたとはいえ、あらかじめ確認しておかねば不測の事態に対応できません。

一方、コミセンがペットとの避難を可能としていることから「自分は避難しない」との書き込みがわずか1件ですがSNS上で見受けられたと報告されています。

別々の部屋に分けたことをもっと積極的にアナウンスすれば良かったかもしれませんが、動物を苦手な方が他にも避難を取りやめていたかもしれず、別の対策を検討する必要があります。

賛否両方のお声を頂いたことを受けて、僕はペットの防災や災害時の対応について専門的に取り組んでこられた
獣医師の方にお話を伺いました。

  • 災害時は人命が優先でペットの為にそこまでできないという声があるが、ペット同伴避難所はペットの救済の為ではなく『家族の一員であるペットの存在を必要としている人間』を支援するという意味があること。

  • 動物が苦手な方や深刻な動物アレルギーの方もいる中で、国のガイドラインのようにみんなが集まる避難所に
    ペット同行避難をしても、結局はトラブルが起こりかねず、難しいこと。

  • その為、全ての避難所でペット同行避難を目指すよりも、例えば避難所10箇所のうち1箇所程度を『ペット同伴避難』に特化した避難所として開設する方が全ての市民にとって良い支援ができるのではないかと考える。

とのご意見を頂きました。

今年3月定例議会で市長も答弁されていますが、ガイドラインは全ての避難所で同行避難を謳っていても、実際は
物理的にも心理的にもペットを飼っている人とそうでない人がともに過ごしていくことは難しさがあります。

そこで、僕は次のように提案します。

【質問2】
ガイドライン通り全ての避難所でペット同行避難を可能とするが、今後の風水害時の自主避難所の開設にあたっては、市内の東西南北4箇所程度に『ペット同伴避難』に特化した避難所をあらかじめ設定しておき、開設時には
動物愛護センター職員を配置する。

また、獣医師会や動物愛護団体にご協力を要請する。

ペットを飼育している方々に日常的にこうした体制を周知するとともに、ペット同伴避難の訓練などを実施する。

ペットの有無を問わず自主避難される市民の方に有益だと思うのですが、ぜひ検討して頂けないでしょうか。


(→市長の答弁へ)


(2)医療・福祉の支援の必要な方々に対応できる人員や設備を配置した避難所を設置する必要性及び災害時要援護者の個別支援計画の策定状況について

地震などの災害が発生した時に、障がいがある、要介護状態である、などのいわゆる災害時要援護者とされる方々の避難の手順としては、まず身近な小中学校に避難して頂き、その後、保健師による優先順位などの判断を経て、専門の福祉避難所へと避難していただく2段階方式となっています。

しかし今回の経験を通じて、

「今後は自主避難所においても医療・福祉の支援が必要な方への新たな対応が必要だ」

と感じました。

2つの実例を挙げます。

車椅子を利用されている方がヘルパーに同行されて避難所にやってきたものの、送迎のみしかできないとのことでヘルパーはお帰りになり、避難所では介助なしでおひとりのまま。

職員は2人しかおらず、多くの避難者の方々への対応に追われ、車椅子を利用している方に強く注意を払うことはできなかったと聞いています。

翌朝にヘルパーが迎えに来てその方はお帰りになりました。

また、ある避難所には寝たきりの方がご家族とともに避難してこられました。

ご家族が同行しておられたもののやはり心配なことも多く、隣の建物が訪問看護・訪問介護の事業所であった為に、ご厚意から一晩中ヘルパーや看護師が訪問して下さった、とお聞きしています。

風水害時の自主避難所は台風が去り停電などの被害が落ち着くまでの数日間の開設とはいえ、この2つの実例から僕は一般職員を数名配置するだけでは不測の事態に対応しきれないのではないかと考えさせられました。

そこで伺います。

【質問3】
風水害時の自主避難所開設に際しても、医療・福祉の支援が可能な人員や設備のある避難所の開設を検討すべきではないでしょうか。

そして、より支援の必要な方が安心して避難できるようにすべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


また、関連して伺います。

2013年の災害対策基本法改正によって、自力避難が困難な市民の方々を事前に把握して名簿を作成することが自治体に義務付けられました。

その名簿をもとに、ご本人から個人情報の公開について同意を得た上で、各地域の社会福祉協議会や自治会などと協議して、支援者や避難先などの個別計画を作成する努力義務が課されました。

2019年11月2日・東京新聞より

2019年11月2日・東京新聞より


しかし総務省消防庁によると、2018年6月現在、災害時に事前の避難誘導をめざす為の個別支援計画を全員分作成済みの自治体は全国で14%にとどまりました。

【質問4】
本市における災害時の個別支援計画の作成はどの程度進んでいるのでしょうか。また今後の作成見通しはいかがでしょうか。

お聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)

3.多様な性を尊重する社会の実現の視点に基づいて、地域防災計画をはじめ避難所の運営など災害時の対応を記した各種指針の見直しを行なう必要性について

本市では今年4月1日から『横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例』を施行しており、かつての男女二元論ではなく、性別・性的指向・性自認等にかかわらず誰もが暮らしやすい多様な性を尊重する社会の実現を目指しています。

例えば「横須賀市地域防災計画・風水害対策計画編」より

例えば「横須賀市地域防災計画・風水害対策計画編」より


しかし今回、地域防災計画を読み直してみたのですが、風水害編・地震災害対策計画編などいずれにおいても『男女共同参画の推進』は明記されているものの、『多様な性を尊重する社会実現の視点』はいまだ記されていませんでした。

当然、災害時にもいわゆる性的マイノリティとされる当事者の方々が困難や不都合を感じることはないか、それらにどう対応していくべきか、『多様な性を尊重する社会実現の視点』を地域防災計画に導入する必要性を強く感じました。

2019年にLGBT法連合会が公表した『性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版)』では災害時における困難の事例が多数挙げられていますが、一部を読み上げます。

  • 避難所のトイレが男女別のものしかなく、見た目の性と性自認が不一致であった為、利用しにくかった。

  • 避難所を管理する自治体職員に性的指向や性自認への配慮を求めたら「こんな大変な時にわがままを言わないで」とたしなめられた。

  • 周囲の視線が気になり、避難所でパートナーと寝起きする事ができず、不安な毎日を過ごすこととなった。

  • 性別移行の治療中に罹災したが、避難所では十分なホルモン剤などが入手できず、治療を中断・断念せざるをえなかった為、体調が著しく悪化した。

災害時にこうした事態を起こさない取り組みが今から必要です。

そこで伺います。

【質問5】
いわゆる性的マイノリティとされる当事者の方々や団体から、災害時に想定される困難や不都合や不安な事柄についてご意見を伺うべきではないでしょうか。

【質問6】
伺った課題をもとに『多様な性を尊重する社会の実現の視点』に基づいて地域防災計画の見直しを行うべきではないでしょうか。

【質問7】
同じく、避難所運営マニュアルや避難所運営訓練の再検討を、地域の避難所運営委員会にも要請すべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

4.多頭飼育崩壊に対する本市の対応について

動物愛護法を持ち出すまでもなく、ペットの飼い主は一頭一頭それぞれに十分な愛情と食事と生活空間を与え、糞尿の始末やワクチン接種や不妊去勢手術を行なうなど健康を守らねばなりません。

しかし飼い主が精神疾患や認知症など心身の状態が悪化したりセルフネグレクトの状態になってしまうと、異常な数に増えてしまっても動物を手放すことができない多頭飼育に陥ってしまうことがあります。

今回の質問では、こうした『アニマルホーダー』と呼ばれる個人の飼い主による多頭飼育崩壊について取り上げます。

『アニマルホーダー』はごみ屋敷の堆積者と同じく病理の1つであり本人の治療と福祉的な支援、政治・行政、ボランティアの介入なくして回復は困難だと言われています。

一方、近隣に暮らす住民の生活を、鳴き声による騒音、糞尿の垂れ流しによる悪臭や害虫・ネズミの発生などの公衆衛生の問題から守らねばなりません。

放置された動物たちも衛生状態の悪化から深刻な病気や死亡、餌も与えられずに餓死や共食い、近親交配を重ねて障がいや虚弱な仔が生まれるなど、深刻な動物虐待から命を守らねばなりません。

2016年の調査では全国で多頭飼育による苦情は約1800件、多頭飼育崩壊は全国で問題化しています。

そこで政府も検討にのりだし、動物愛護法を所管する環境省が、介護や福祉を担当する厚生労働省と連携し、『社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会』を開催し、3年の議論ののちに2021年度中にガイドラインをまとめる方針です。

社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会

社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会


国の動きを待たずに自治体が独自に条例を定める動きもあります。

神奈川県でも今年3月に動物の愛護及び管理に関する条例を改正し、10頭以上の犬や猫を飼育する場合に届け出を新たに義務化、この10月1日から施行されました。

神奈川県は多頭飼育届出制度をスタートしました

神奈川県は多頭飼育届出制度をスタートしました


ここから本市の現状に入ります。

現在、生活衛生課が把握しているだけで多頭飼育は猫で4件、犬で1件あります。

さらに、この数年間にわたって近隣住民から苦情が出ていた多頭飼育崩壊の案件について、動物愛護センターとボランティアの連携協力によって、100頭もの猫たちが救出され、病気や怪我の治療と不妊去勢手術を施して、新たな里親を探す努力が今も懸命になされています。

市民のみなさまがテレビ番組で観て驚いているような光景は本市のまちなかにも存在しています。

多頭飼育崩壊への対策は待ったなしであることから、市長に伺います。

まず現状についてです。

【質問8】
多頭飼育崩壊の発生を未然に防ぐ為に、本市は現在どのような予防的取り組みを行なっているのでしょうか。


(→市長の答弁へ)


【質問9】
多頭飼育が崩壊してしまった場合には、具体的にどのような対応を行なっているのでしょうか。


(→市長の答弁へ)


次に、動物愛護センターについて伺います。

【質問10】
仮に多頭飼育崩壊が発生して50頭から100頭の犬や猫を一斉に管理しなければならなくなった場合、現在の動物愛護センターの人員体制やキャパシティで適切に対応できるのでしょうか。


(→市長の答弁へ)


【質問11】
この点は大災害が発生した時の動物救護にも通じるので重ねて伺いますが、仮に現状では足りない側面があれば
その対応もぜひご検討いただきたいのですが、いかがでしょうか。


(→市長の答弁へ)


市長にぜひ伺いたいことがあります。

質問を作成するにあたり、動物愛護ボランティアの方々の活動現場を回る中で率直に感じたことは、その尊い活動を崩壊させてはならないということでした。

全国の自治体が殺処分ゼロをめざしていますが、実態はボランティアの存在なしには不可能です。

昼間の勤務を終えた夜間にボランティアで不妊去勢手術を続けている獣医師の方や、自らの生活費から病弱な猫の医療費を懸命に捻出しているボランティアの方々の姿に頭が下がる想いでした。

ふだんの活動でさえ保護スペースの確保や医療費の持ち出しなどにご苦労されておられますが、多頭飼育崩壊が起こるとその保護数の多さから疲弊も大きく、保護ボランティアが崩壊してしまう危険性を感じました。

その先にあるのは多頭飼育崩壊の二次崩壊です。

そこで伺います。

【質問12】
多頭飼育崩壊へのボランティアによる取り組みを市のモデル事業として、例えば地域猫登録団体へ保護スペースを貸与したり病気の治療費へ補助を出すなどの対応を検討できないでしょうか。


(→市長の答弁へ)


最後に、未然防止と事後対応を協議し取り組みを推進する為の新たな協議体制の必要性についてです。

本市は2003年に猫に係る様々な問題を協議する為に、地域住民・獣医師・動物愛護団体・猫ボランティア団体・保健所をメンバーとして『横須賀市猫対策連絡会』を発足させました。

2009年には『横須賀市猫の飼育ガイドライン』を作成し、2015年には横須賀市地域猫活動支援事業の実施へと結実し、官民連携の取り組みが有効に機能しています。

この『猫対策連絡会』をさらに多頭飼育崩壊に対応する為の新たな協議の場とすべきではないでしょうか。

新たなメンバーとして市役所内からは、精神保健福祉、高齢福祉、生活困窮、生活環境保全の担当課を加え、市役所外からは現場に関わりを持つ警察、民生委員、地域包括支援センターや介護保険サービス事業所などにも加わって頂くのです。

【質問13】
すでに現在市役所内では部局を超えた柔軟な連携がなされていますが、抜本的な解決には市役所外部の社会資源である関係各所との連携がより問題解決につながると僕は考えています。

多頭飼育崩壊の未然防止と発生した際の具体的な事例の情報交換と対策を協議する新たな場を設置すべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

市長の答弁



【質問1への答弁】 
まず、パートナーシップ宣誓証明制度の相互利用についてです。

パートナーシップ制度の相互利用についてはすでに近隣自治体との、鎌倉市・逗子市との打ち合わせを始めています。

相互協定を結ぶ結ぶことによって、宣誓者が協定自治体に転出しても改めて宣誓しないで済むなど、当事者の精神的な安定につながることが想定されます。

宣誓をした方々の利便性や具体的な事務を進める課題なども踏まえて、どのような方法が良いか引き続き検討する予定です。

各自治体の状況もありますが、来年度早期の開始を目指したいと考えています。

また、今後まずは県内自治体相互利用の連携を呼びかけたいと考えています。


【質問2への答弁】 
次に、ペット同伴避難所についてです。

私にとって災害時に最も重要視すべきは市民の命をいかに守るかです。

しかしペットを家族と考えている方もおりますし、ペットが心配で的確な避難行動ができなかったという事態を避けなければなりません。

その為、ご指摘のとおり、ペット対策についても改善していくことが必要です

課題として犬や猫・小鳥といった愛玩動物以外の動物をペットにしている方もおり、また犬や猫をペットとしている方だけでも相当おられますので、一朝一夕の改善は難しいですが、一歩ずつでも進めて行きたいと考えています。


【質問3への答弁】 
次に、医療や福祉の支援が可能な避難所についてです。

これまで福祉避難所は大地震の際に設置すると考えてきました。

地震発生直後は市全体の被災状況も不明で、通行障害も多いことが予想される為に、何らかの障がいのある方でもまずは近くの小中学校で避難していただく。これを第一次福祉避難所と呼びます。

発災から数日後、建物の損傷がないコミュニティセンターなどに福祉部など看護師などの資格を持った市職員が参集して小中学校での避難生活は難しい方を受け入れます。これを第二次避難所と呼びます。

地震の場合には、いつどんな規模で発生するか予測が困難なので避難者の安全に配慮したこのような対応は理にかなっていると思います。

しかし台風の場合には、数日前からの襲来を予測することができますので、今後は地震の際の二次福祉避難所に相当する自主避難所をあらかじめ開設する考えです。


【質問4への答弁】 
次に、災害時の要援護者についてです。

災害時要援護者プランについて私の想いをお伝えしたいと思います。

まず誰もが自らの命を自分で守るという気持ちを持っていただくこと、これが大前提。

そして自分ひとりではそれが叶わない方も多いと思います。

その場合、先程申し上げたように、一本で折れてしまう矢も三本集まれば折れないように、家族や向こう三軒両隣で支え助けあっていただく。

しかし人口構造の変化や高齢者のみの世帯の増加、地域コミュニティの希薄化の進展などからこのようには対応できない状況となってきた為に、国は災害対策基本法の改正までして災害時要援護者の支援について法に位置づけをしました。

ではこれによって全国的に支援の取り組みが進んだかというと、藤野委員ご指摘の通り本市においても個別計画の作成までできている地域は少数で、

その理由は法が掲げている制度の理想、具体的には急速な高齢化に伴い地域の支える力が弱まっている中、

要援護者ひとりひとりに支援者をマッチングさせる個別計画を作るというものの、ハードルが高すぎ手が出しにくくなっている為であります。

法に基づく制度だからとその遂行に固執するのではなく、どうすれば、本来の目的である要援護者の支援が進むのか、より現実的で柔軟な対応策を考えるべきです。

地域には町内会・民生委員・消防団といった方々に加え、災害時を念頭に地区割をされている建設業の方々もいます。

また、地域で暮らす市の職員もいます。

これらの地域資源を行政センターやコミュニティセンターを軸として災害時を念頭に支え合う仕組みを再構築していくというのが再三申し上げている私の考えです。


【質問5・6・7への答弁】 
次に、多様な性の社会の実現の視点に関連して、三問まとめて回答いたします。

今回の組織体制で防災の主担当である危機管理課を市民部に移行するには人権施策と防災対策との融合という狙いも実はあります。

ご指摘のように、大規模災害時には性的マイノリティに限らず、人権侵害と思われることが発生すると言われています。

また一方で、『災害ユートピア』という言葉があります。

これは非常時には多くの人に他者を思いやる気持ちが生まれることをあらわすもので、避難所内での助け合いや災害ボランティア活動などが代表例と言われています。

本市は、性的マイノリティ当事者の方々と市の課長級との意見交換会を開催してまいりましたが、双方とも災害時の視点はありませんでした。

ご指摘のとおり、本市では男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例を施行させたところですので、地域防災計画などにどのように位置づけていくべきか、しっかりと考えてまいりたいと思います。

このように検討していくことが、差別や偏見、いわれのない生活上の不便さの解消、すなわち「誰もひとりにさせないまち」の実現につながるものと考えています。


【質問8への答弁】 
次に、多頭飼育崩壊の予防的取り組みについてです。

近隣住民の方々からの相談や苦情が寄せられた時や、動物愛護ボランティアや地域包括センター等からの情報提供があった時に、動物愛護センター職員が現地に行き、飼い主宅を訪問するなどして、まずは現状を確認しています。

その結果、10頭以上飼育している場合には県条例に基づく多頭飼育の届出を指導します。

届出により把握したケースのうち、異常な繁殖や悪臭の発生などがあり飼育管理が不十分と認められる場合には、適切な飼い方や譲渡などについて指導しています。

状況により、動物愛護ボランティアを紹介するなど、飼い主が孤立しないように支援を行なっています。


【質問9への答弁】 
次に、具体的な対応についてです。

多頭飼育崩壊に対しては、動物愛護管理法に基づき、市として主体的に関わっていく為に、まず飼い主に犬・猫の所有権放棄を促します。

飼い主が所有権放棄をした場合は、動物愛護センターがその犬・猫を引き取ります。

動物愛護センターでは、引き取った犬・猫の検査や行動観察を行ない、譲渡の適性を判断した後、ホームページなどで飼い主を募集したり、動物愛護ボランティアに譲渡先を斡旋してもらったりしています。

所有権放棄に応じてもらえない場合には、適切な飼育や譲渡につなげられるよう飼い主の家族やボランティアの協力を得ながら飼い主の支援・指導をしています。


【質問10・11への答弁】 
次に、動物愛護センターの体制について二問併せて回答いたします。

多頭飼育崩壊が発生した場合、市としては法に基づき万全の体制で対応する考えです。

災害用の備蓄として一定量の餌・水・ケージなども準備しておりますが、それでも不足する場合にはさらに調達をして対応したいと考えています。

多頭飼育崩壊の対応は時間のかかる困難な業務ですが、ボランティアの方々にもご協力を頂きながら適切に対応してまいります。


【質問12への答弁】 
次に、ボランティアによる取り組みについてです。

動物愛護ボランティアの方々の熱心な活動には私自身本当に頭が下がる想いです。

ボランティア団体への保護スペースの貸し出しや治療費の補助は考えておりませんが、ボランティア活動に対する支援は ボランティアの方々と意見交換をしながらケースバイケースで対応していきたい


【質問13への答弁】 
次に、協議の場を設置することについてです。

多頭飼育崩壊に至る経緯は様々でケースごとに適切な関係機関・団体等との連携を図ることが実効性のある対応につながると考えています。

このことから恒常的な協議の場の設置は考えていませんが、今後も市の関係部局に加え、警察・民生委員・地域包括センターとの連携を図り問題解決を図ってまいります。

以上です。

フジノの再質問

市長、ご答弁ありがとうございました。

発言通告の順に再質問を行ないたいと思います。

再質問に立つ藤野英明


まず、パートナーシップ宣誓証明制度、他都市によっては名前が違いますが、この制度の自治体間相互利用を進めていくべきという質問に対しては、すでに県内、特に三浦半島の自治体については協議を進めていただいているということで大変にありがとうございます。

なかなか表には結果しか報じられないんですが、県営住宅がすでにパートナーシップ制度を持っている小田原市と本市だけですけれどもオッケーになった、神奈川知事が OK にしたのは本当に上地市長に動いていただいたということが大きいと思います。ありがとうございます。

今回の自治体間相互利用の実現についてもすでに来年早期には進めていきたい、まずは県内、という言葉からは今後は広域もお考えいただけてるのかなという風に推察しました。

一点確認したいのは県内の自治体として12月2日、もう数日後です。横浜市がパートナーシップ制度をスタートいたします。

横浜市との協議というのは難しいんでしょうか。お聞かせ下さい。

市長の答弁

これから検討していく課題だというふうには思っています。

フジノの再質問

ありがとうございます。

そして他都市と協議する際には、本市の制度が一番優れていると自分では思っているんですが、それでも他都市から学ぶことはあると思うのです。

それをぜひ吸収していただきたい。

例えば横浜市であれば、外国語に対応した証明書を発行している。

実は先日わが街でも外国の方と本市の日本人の方がパートナーシップ宣誓証明を取られたという事例がありました。

その方にもお聞きしたんですが、「日本語でない証明書は必要でしょうか」というのをお聞きした際に、やはりパートナーのご友人達に証明書を見せる時にせめて英語だけはあったほうがいいんじゃないかという声を聞きました。

横浜は最初から英語やバングルなどに対応するようなんですが、そういったまず外国語表記についてもご検討いただきたいこと、それから他都市の良い実例を吸収していっていただきたいということを是非ご検討いただきたいと思いますがいかがでしょうか。

市長の答弁

検討します。

フジノの再質問

続いて、自主避難所の開設について2点伺いましたが、まず『ペットの同伴避難所』について伺いたいと思います。

今回の取り組みは本当に画期的だったと思います。

新聞では東京の事例などが大きく取り上げられていましたが、ほとんどが実は『同行避難』であって「どうぞどうぞ」と呼ぶけれども、実際には入口にケージを置いたまま。人間は別の場所。

横須賀市のことは全然取り上げていただけなかったけれども、実際は進んでいたのは、人とペットとのことを考えていたのは横須賀の自主避難所であった。

今回、即ペット同伴避難に特化した避難所を東西南北4箇所に作るというのは僕のちょっと急な提案だったので、今後ご検討いただいて、より良い形を考えていただけるということだったんですが、数点もう今からぜひ取り組んでいただきたいということをご提案します。

まず1点目は、今後もコミュニティセンターに関わらず『同伴避難』は実施されると思うんです。

その際に、受付で動物アレルギーの有無を避難者の方に確認をして頂きたい。

そうでなければもし急にアナフィラキーショックなどが起こった時に何が起こっているのか、心筋梗塞なのか、脳梗塞が起こったのか、それとも動物アレルギーに基づくものなのか、それが分からない訳です。

今回本当に人数が少ない中でみなさん獅子奮迅の活躍をされていたのを見て知っていますが、せめて動物アレルギーの有無の確認だけは『同伴避難』を行なう場合には行なっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

市長の答弁

やっていかなければならないというふうに思ってます。

フジノの再質問

それからもう1点なんですが、ペットが嫌いな人もいる。そしてアレルギーがある人もいる。

横須賀市が今回「『同伴避難』できる」ということをアナウンスしたが為に1件とはいえSNS上に自分は避難を取り止めると書かれてしまった。

僕はいつもSNSに1人書いているとその背景に100人くらい同じ人がいるんじゃないかと考えるようにしているんです。

今後の『同伴避難』を行なう際には「ペットと一緒の人とそうでない人は別部屋です。同じ部屋でありません」ということはアナウンスしていただきたい。

今回はそういうアナウンスがなかったのでぜひアナウンスしていただきたいと思いますいかがでしょうか。

市長の答弁

そうなることだと思います。

フジノの再質問

それから、日常的に災害時のペットの防災対策・災害対策を取り組んでいただきたいという想いも持っているんですが、本市はすでにホームページのペットのコーナーに「災害に備えて」というコーナーを設けて、かなりの分量で、環境省が作成した「災害時に備えたペットの飼い主のあり方」のリーフレットや本市独自に作成したチラシを掲載してくれています。

横須賀市ホームページ「ペット・災害に備えて」

横須賀市ホームページ「ペット・災害に備えて」


この災害時のペット対応についての本市のチラシ、大変出来が良いんですけれども、ホームページだけに掲載するのではなくて、犬であれば飼う時の登録や予防注射済票の交付の時に同封していただけないか。

猫についてはなかなか機会が難しいんですが、機会を捉えて、これ同封したり飼い主にお渡ししていただけないかというふうに思うんですがいかがでしょうか。

市長の答弁

検討する課題であるとは思っています。

フジノの再質問

同時に、避難訓練についてです。

神奈川県が『動物愛護管理推進計画』に基づいて県内各地を順繰りにペットの防災訓練というのを開催していて、横須賀市でも数年前に観音崎で開催されて僕も参加したことがあります。

県の計画では毎年順番に回って行くので、本市市民が体験する機会っていうのは数年に1回あるかないかなんですね。

でも毎年ペットはどんどん飼われていて、今ではこどもの頃よりもペットの方が多い社会になりました。

そのようなことを考えると、本市としても年1回程度はペットとの防災訓練を開催していただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

健康部長の答弁

災害時の避難所の防災訓練のお話ですけど、昨年度まではボランティア団体が災害時の避難所の防災訓練の際、希望する避難所に出向いて、いろいろ説明をしていただきました。

今年度からは動物愛護センターも一緒に活動をしていまして、年間で3ヶ所希望があったんですが、1ヶ所は雨で中止になりましたけど、市内40施設の避難所、特に主に小中学校ですが、運営委員会にお願いされて2回実施した実績がございます。

フジノの再質問

部長、ご説明ありがとうございます。

あくまでも避難所運営委員会の方から要請があった場合にセンターとボランティアのみなさんが出向いていただけるということなのですが、ぜひ全市民向けにもそういった広報周知していただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。

健康部長の答弁

動物愛護センターではペットの防災準備についてはホームページやパンフレットを作成して窓口で配架したりイベントや講習会で積極的に配布をしております。

また動物病院や講習会で説明したりもしてますので、今後も積極的に災害時の避難所に関しても周知していきたいというふうには考えております。

フジノの再質問

健康部長、ありがとうございます。

『動物愛護センター開放デー』や三笠公園を使った『動物フェスティバル』などの場でもぜひそういった周知だけでなくて避難訓練をぜひ行なっていただけたらという風に要望を出します。

フジノの再質問

続いて、『医療・福祉の支援の必要な方々に対応できる人員や設備を配置した避難所を設置する必要性』について伺いました。

これなんですが、自主避難所の開設というと、どうしても公が今年は対応しました。

けれども、そもそも各福祉事業所は災害時であっても事業継続計画を持っている訳です。全てのところが持っているとは断言できないんですが...。

そういったところではもともと福祉的な対応また医療的な対応のできる人員設備がある訳です。

高齢者福祉施設や放課後等デイサービスなどの障害福祉サービス事業所にも、風水害時に自主避難所として開設をご検討いただけないかを話し合っていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

市長室長の答弁

先ほど市長が1問目で答弁しましたけれども、台風は予測することができます。

それが故にそもそも自分たちの事業をどうしようか。日々やっていること、入所施設ならば今入所している人を「停電しちゃうかもしれないけどどうしよう」ということを検討していただいた上で、余裕があるのであれば、ということで対応していただけるかもしれませんが、まずは日々の利用者さんの安全確保を一番に図っていただきたいです。

また計画運休とかがもうこれからは日常的に起きると思いますのでその運営スタッフをいかに確保するかという問題もあろうかと思います。

ご提案については我々防災部局と福祉部とで問題を共有して、各施設とは今後話していきたいなと思います。

フジノの再質問

市長室長、ご答弁ありがとうございます。

今は『福祉的な支援ができる設備をあらかじめ持っている人員がいる』という観点から伺いました。

もう1点は、医療ニーズのある方のために本市以外にもご検討いただけないかという意味では医師会のご協力を頂いて医師会館などもご検討いただけないか

というのもこれはもう実体験からなんですけれども、自分の母は酸素吸入をしているので自主避難をしたいけれども酸素ボンベが足りなくなることを考えれば避難はできない。

かと言ってうわまち病院や市民病院に避難できるかと言ったら、それは違います。

そういった時に医師会館、あれだけ堅牢な施設であって、海のそばということはありますが、早めの避難ができれば医療的な対応がお願いできるんではないかという風な思いがあります。

自主避難所として医師会館の開設を医師会にご協力を要請できないかご検討いただけないかと思うんですがいかがでしょうか。

市長室長の答弁

今の話はちょっと初めてお聞きしたんで、これからちょっと検討をさせていただきたい。

おっしゃ意味はよく分かる。

確かにそうした事情はあるだろうなと思うので、ちょっと検討させてください。

フジノの再質問

そういった意味では、医師会館だけでなく本市役所内であってもウェルシティの建物であれば、保健所健診センターは設備としては健診設備ですけれども若干の医療設備もあります。

また指定管理を受けているとはいえ健康増進センターにはスパなどもあり、安心していただくこともできるんじゃないかと考えています。

こうしたことからウェルシティなども今後は視野に入れていただければと考えています。

災害時の要援護者の個別支援計画の策定状況について伺いました。

そもそも守られることが一番であるという市長の思いは十分承知しております。

ただ一方で、計画策定そのものはどの程度進んでいるのかというのも気になるところです。

そのもし数字が分かれば教えていただきたい。

それから、例えば東京都の中野区では、災害時個別避難支援計画書の作成に向けて訪問調査を2015年から年間約1万人ずつ区の調査員が行なって、要介護の方、障がいのある方、要支援の方、70歳以上の単身世帯の方のお宅を訪問してお話を伺いながら計画書を作成する、という取り組みを行なったりしています。

本市もこういった取り組みを参考にしていくことも必要かなという風に思いますが、いかがでしょうか。

数字の点と中野区の取り組みを参考に何かできないか、その2点についてお答え下さい。

市長室長の答弁

まず、現状どの程度進んでいるんだということなんですが、お答えとしては把握してございません。

実際にもう本当にマッチングまで出来て日々の交流をしているという町内会がいくつかはありますが、基本的にそれはこの制度ができる前からもうすでにそういう仕組みがあって、法の方が後から追っかけてきたという地域が大半でございます。

この制度ができてからどうだというのは、議員も言っていただきましたが、あくまで努力義務である。

我々とすると、マッチングが本当に大変だと。そこまで求めるならば取り組めないという町内会が多い、というのが実情でございます。

我々とすると、いざという時に安否確認ができる今回の風水害の時のようにある程度時間があって、「じゃあ、あの人とあの人避難所行った方がいいんじゃないか」っていう風な使い方もできるから、「マッチングはしないまでも民生委員さん町内会長さんリストは持っていてください」、我々はそれでも良いと思っています。

ただ今回市長が答弁しましたとおり、じゃあ実の運用としてより進めていくにはどうすればいいんだというのはこれからしっかり考えてたい。

その中で今、議員がご紹介下さった他都市のやり方、ぜひそういうのも見ながら進めていきたいと思っています。

フジノの再質問

市長室長、ありがとうございます

続いて、「地域防災計画などをはじめとする各種災害時の指針見直しを『多様な性を尊重する社会実現』の視点に基づいてぜひ行なってほしい」という質問を行ないました。

市長からさらにそれを上回る包含した観点で、人権施策を災害対策に溶け込ませる観点から市民部にいわゆる旧・市民安全部2課を移管するというお話を伺いました。

大変ありがたいことだと思います。

一方で、ぜひ知っていていただきたいのは、今回の台風の襲来に際してやはりいわゆる性的マイノリティ当事者の方とお話をする機会が多い立場として「やっぱり避難できないよね」っていう声を実際に伺っています。

その声というのは、さっき『LGBT法連合会』のケースを持ち出して挙げたんですけれども、この4つの例というのがまさに本市の市民の方から伺ったのと同じ声だった。

本市にある声も、全国に出ている声も、やはり同じだったということをぜひ知っていていただきたいというふうに思いました。

10年ぶりに改訂された『人権施策推進指針』においても、新たに災害に伴う人権課題っていうのが明記されました。

大変画期的なものです。ぜひ読み上げさせてください。

横須賀市人権施策推進指針「災害に伴う人権課題」

横須賀市人権施策推進指針「災害に伴う人権課題」


最後の1行だけなんですけれども

「災害という非常事態に際しては平時よりも人権擁護に関する姿勢や意識が薄くなりがちなため注意が必要です」

ぜひこの点を、市長がこれからの組織改正を行なって頂いて新たな部局がスタートする訳ですが、この観点が存分に発揮されるように取り組みを進めるように指示していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

市長の答弁

それは当然のことだというふうに思っています。

フジノの再質問

最後に『多頭飼育崩壊』に関して、数点伺います。

日本ではまだゴミ屋敷の堆積もそれからアニマルホーダーも病理としては、社会通念上は病理として受け止められているんですが、例えばWHOのようなマニュアルには落とし込まれていないので、何か具体的な対応を行政から行なうというのは飼い主や堆積者に対してはできない状況があります。

そんな中、今やっていただいている通りなんですけれども、早期に相談を頂いて、そして早期に対応を行なって、飼い主の方にも、それから動物に対しても周辺住民の方にもアプローチをして頂いている。地域包括支援センターなどにも取り組みを働きかけをしている、ということを伺いました。

また、実際に発生してしまった際には県条例に基づいて適切な介入を行なっていただいていることを伺いました。

すでにこれだけ取り組みを行なって頂いてはいるのですが、僕は前回9月議会で質問した際にも申し上げたんですが、ペットの問題というのはこれからの『地域福祉の社会問題』として増えていく、という風に思っています。

いろいろな絆が崩壊し、人への信頼を裏切られたと感じて、モノに執着すればゴミの堆積になり、動物に執着をすればアニマルホーダーになってしまう。

人との信頼が切れてしまった中で孤立してモノ・生き物に執着をしていくというのは本当にご本人にとってもおつらいことですし動物にとっては虐待にあたるということで、積極的な取り組みが必要だと思っています。

そこで、1点だけ他都市の事例を紹介したいんですが、川崎市が国の審議会にも自治体代表で入っているんですがパンフレットを作っています。

決して本市より何か進んだパンフレットかといえばそんなことはないんですが、ただものすごく象徴的なんですね。

『ペットと暮らすさ・し・す・せ・そ』という冊子なんですが、もうものすごくはっきりと

「犬・猫の一生にかかる費用は1頭100万円とも言われます」

「猫は1組のオスとメスから1年で最大70頭にも増えます」

「増えないように不妊去勢手術をするのも1つの選択肢です」

こんなに大きく書かれているんですね。

生涯に要する費用や不妊去勢手術を強く促す川崎市の冊子

生涯に要する費用や不妊去勢手術を強く促す川崎市の冊子


本市もチラシを作ってくださっているというのは先ほど申し上げたんですが、ここまで明示的にしている。

だからこそ国の審議会にも呼ばれたのかなというふうに思いました。

本市もやっていますけれども、地域包括支援センターの所長会や社会福祉施設の衛生講習会、民生委員の理事会、配食ボランティア連絡会、ケアマネージャーの連絡会などで、こうしたリーフレットを配布周知したり、「相談先は生活衛生課なんだよ」ということを定期的に何度も繰り返し行なうことで

より細かな網掛けですね、地域住民と接点のある方々に知っていただくということを行なっています。

本市も今の取り組みが十分機能していると思うんですが、さらに増えていくというふうに思われている中で、とにかく重篤化させないことが重要だというの考えると、こうした川崎市の取り組みなども参考に今後していくべきではないかと思うんですがいかがでしょうか。

市長の答弁

おっしゃるとおり、広くわかりやすく周知する方法を検討したいと思います。

フジノの再質問

ありがとうございます。

動物愛護センターについて伺わせて下さい。

インタビューを受けている動物愛護センターの記述を見ると、残念ながら「広さについては十分ではない」という風にお答えされているものもありました。

サイト「Fanimal」2017年10月の記事より

サイト「Fanimal」2017年10月の記事より


実際、県の動物愛護センターは本市とは比べ物にならないんですが、7倍の広さ2743平方メートルを持っている。

一方、本市は本市(の動物)を対象としているからということもあるんですが、1/7の416.59平方メートル、獣医師の方は5名。

繰り返しになってしまうんですが、この人員体制とキャパシティで多頭飼育崩壊があった時に十分に対応できるのかその点についてはいかがでしょうかと聞かせください。

健康部長の答弁

先ほども市長が答弁しましたが、市が責任をもって多頭飼育崩壊した場合に対応する場合は万全を持って対応いたします。

これはもう何頭であってもやるという事です。

ただやはりその生き物ですので、人の持ち物なんですね、人が飼っている。

なのでやはり行政が手伝うには限界もございます。

ただ、我々がやる場合は全力をもってやりたいというふうに思っております。

フジノの再質問

健康部長、ありがとうございます。

わりと精神論を聞かせて頂いた感じがあって、ちょっと残念です。

多頭飼育崩壊が発生した場合は、感染症の可能性もある。

一方、日頃の業務でやっていただいているのは病気を持っていない、いわゆる『陰性』ですよね、それに対して『陽性』(感染症にかかっていること)、この2つを隔離しなければならない。

そういう時にスペース足りるのか、そういうつもりで質問しました。

もう1度お願いいたします。

健康部長の答弁

確かに頭数によっては今の動物愛護センターでは足りないっていう風に思います。

ただそれは足りない場合は市の別の場所を借りたり、やらねばいけないことをやらなくちゃいけませんので、場所が狭いからやらないっていうことではなくて、必ず対応する時は対応するという意味で答弁させていただきました。

フジノの再質問

ありがとうございます。

この質問を作るにあたって「ペットにお金をかけるなんて」「この財政の厳しい横須賀で」という一般の市民の方の厳しいお声も頂きました。

けれども僕は

「この問題は表面的にあらわれているのはペットである。けれども、地域福祉・高齢福祉・生活困窮・精神保健福祉の問題なんだ」

という風にたびたびお答えをしてまいりました。

市長も同じ認識でおられると思うんです。が改めて市長の考えをお知らせてください。

市長の答弁

おっしゃる通り、1つの問題は全て関連していてそういう社会でしかないっていうのはよくわかってるつもりです。

ただ、そこだけをフォーカスされると、そこが広がってくるっていうのは他のこととの関連性、連関、それから整合性、予算の問題から考えると非常に難しくなる。

全体を見渡した場合、全ては関連しているということは理解しているつもりです。

フジノの再質問

ありがとうございます。

最後の質問になります。

繰り返しになるんですが、今回、質問を作るにあたって現場を回ってボランティアのみなさんと深夜まで語りあって、本当に話が尽きないんですね。

本当にボランティアの皆さんを大切にしていっていただきたい。

「単なる動物好きだろう」っていう厳しい意見をいう人もおられました。

でも、それは違うと思います。

彼らは決して社会福祉士の資格を持っている訳でも何でもない。

でもソーシャルワーカーの一員のような気持ちになりました。

「同じ仕事をやってるな。議員と同じような仕事をしてくれてるな」

っていうふうに思いました。

飼い主の方が困っておられれば相談にものってくれているし、彼ら彼女らの存在抜きには多頭飼育崩壊も殺処分ゼロも実践できないし、多頭飼育崩壊も防げないというふうに思いました。

改めてお伺いします。

どうかボランティアのみなさんを大切にしていく横須賀であってほしい、と思います。

市長のお考えをお聞かせください。

市長の答弁

ボランティアだけではなくて横須賀市民は全部大切です。

フジノの再質問

以上で終わります。

ありがとうございました。