藤野英明です。よろしくお願いいたします。
1.「ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~」を本市が公的な啓発週間として積極的に周知することで、流産・死産・中絶・新生児死亡等によって赤ちゃんを亡くしたご遺族の存在とグリーフケアや支援の必要性を広く世間に啓発し、亡くした赤ちゃんについて他者に語ることができるきっかけとする取り組みの必要性について
これまで僕は、流産・死産・中絶・新生児死亡などによって赤ちゃんを亡くした方々が受けている心身のダメージの深さ、社会的な理解の絶望的な欠如、そしてグリーフケアとあらゆる支援の必要性と社会に対する啓発の重要性を繰り返し訴えてきました。
世間が知らないだけで、本当にたくさんの命が失われています。
例えば、妊娠を経験したことがある女性の約4割が流産を経験しており、50人に1人が死産を経験しています。
妊娠すれば誰もが健康な出産をするものという誤った神話のせいで、家族や友人にも話せず、周囲の無知からくる言動によって、妻も夫も孤立して苦しんでおり、自責感や悲しみは何年も続きます。
グリーフケアを受けられる仕組みとともに世間の誤解と無理解と偏見を解消する必要があります。
こうした問題提起を上地市長は強い共感をもって受け止め、
新たな取り組みをスタートしてくれました。かねてから本市は『天使ママの会』の会場提供や広報協力を行なってきましたが、新たに、
赤ちゃんの亡骸とお別れする中央斎場に相談窓口一覧を掲載したリーフレットの配架、赤ちゃんを亡くしたご家族のお気持ちを心理相談員が聞かせていただくエンジェルサポート、さらにこの9月議会の委員会質疑を通して、死産届を提出する市役所の戸籍窓口にエンジェルサポートのチラシを配架するようになりました。
こうした本市の取り組みは全国の当事者の方々や団体から高く評価されています。
ようやく国も流産や死産を経験した女性の支援に初めて着手します。
厚生労働省は、実態をつかむ為に今年度中に全ての都道府県と市町村に対して調査を行ない、経験者の心理的な影響やケアの状況を把握し、助産学などの専門家や自治体の妊娠相談窓口の担当者らを交えた研究会を立ち上げ、自治体が支援体制を整備する際の指針を今年度中に示すとのことです。
まさに当事者の方々の活動や、本市のような先進自治体の取り組みが国を動かしたと言えるでしょう。
けれども本市にも厚生労働省にも、残念ながら欠けている取り組みがあります。
それは、社会の無理解を変える為の取り組みです。
メディアが「妊娠すれば必ず健康な赤ちゃんが生まれる」という誤った神話を垂れ流し続ければ、世間の正確な理解は進まず、ご遺族は周囲から呪いの言葉をかけ続けられるでしょう。
いくらグリーフケアがなされても社会の理解が無く誤解と偏見が解消されなければ苦しみは再生産され続けます。
だからこそ本市は、社会の理解を目指す為の新たな取り組みを行なうべきです。
僕は『ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~』の取り組みを提案します。
諸外国では国際的な啓発週間として毎年10月9日から15日を『ベイビーロスアウェアネスウィーク』と定めて、たくさんの赤ちゃんが亡くなっている現実への理解を一般に広め、ご遺族への支援の必要性について人々の意識を高め、亡くなった赤ちゃんを想い讃えるとともに、今まで誰にも語ることができなかった赤ちゃんの死についてご遺族が他者に話せるきっかけにしてほしい、という活動を行なっています。
最終日の夜7時からは亡くなった赤ちゃんを想いキャンドルを灯すイベントが行なわれていますが、その様子はSNSで発信され、世界中の人々がつながる機会となっています。
残念ながら我が国では『ベイビーロスアウェアネスウィーク』をまだ公的な啓発週間としていません。
僕自身、数年前からこのアクションを知りながらも動きを取れずに来ました。
しかし昨年、複数の当事者団体の代表らが集まって結成された市民団体『アンジー』が、日本にも『ベイビーロスアウェアネスウィーク』を定着させる活動を開始しました。
今年はシンボルマークであるピンクアンドブルーリボンのピンバッジ作成のクラウドファンディングを実施、予想を大幅に上回る形で成功させ、改めて高いニーズを痛感させられました。
次は政治・行政が取り組む番です。
他の様々な啓発週間などと同様に、本市はこの取り組みを公的な啓発週間と位置づけるべきだと提案します。
グリーフケアと社会への啓発活動は車の両輪です。
これまでの本市の実践はあくまでもご遺族のみを対象としてきました。
しかし社会の側が変わらなければご遺族の苦しみは決して癒えることはありません。
【質問1】
本市は、『ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~』を公的な啓発週間と位置づけて積極的に周知することで、流産・死産・中絶・新生児死亡等によって赤ちゃんを亡くしたご遺族の存在とグリーフケアや支援の必要性を広く世間に啓発し、亡くした赤ちゃんについて他者に語ることができるきっかけとする取り組みとすべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
2.新型コロナウイルス感染症パンデミックの今こそ自殺対策を強化する必要性について
本市の自殺による1年間の犠牲者数は、昨年2019年、過去20年間で最も少ない54人(警察庁自殺統計)となりました。
過去最悪だった2002年の108人(厚生労働省人口動態統計)から犠牲者を50%も減らすことができたのです。
10年間で30%減少させたフィンランドが世界のお手本として高く評価されてきましたが、17年間で50%減少という本市の成果は評価されるべきです。
上地市長はじめ、保健所健康づくり課のみなさん、そして長年ご尽力して下さった市役所内外の全ての関係者のみなさんと、本来ならば、ねぎらいあいたい気持ちです。
しかし今、僕たちはこの成果を無かったものと頭を切り替えねばなりません。
コロナ禍によって自殺が急増すると世界中の関係機関や研究者たちが警告しています。
自殺の犠牲者数は大災害が起こった直後は低くなるものの、1年後、2年後と大きく上昇していくことが明らかになっています。
ある研究者は来年の我が国の自殺犠牲者数は4万7000人との推計を発表しました。
過去最悪だった2003年を1万2000人も上回るこの推計を現実にしない為に、今こそ自殺対策を強化せねばならないと僕は考えています。
【質問2】
コロナ禍によって今後自殺が急増するという強い危機感を市長は共有していただけるでしょうか。また、自殺対策を強化する必要性があるとお考えでしょうか。
(→市長の答弁へ)
コロナ禍では国民全てが被災者であり、心身のバランスを崩して助けを求める声が圧倒的に増えています。
これは世界的に問題となっており、国連は5月に各国に対策強化を要請しました。
我が国でも多くの人々が『コロナうつ』に追い込まれていることから、厚生労働省も8月にメンタルヘルス全国調査を行ないました。
さらに、コロナ禍の前からハイリスクな立場に追い込まれていた方々はより深刻な状況へと追い込まれています。
しかし圧倒的な数のストレスフルな方々の出現によって、その声はかつてないほどに聞こえづらくなってしまいました。
埋没してしまいかねないハイリスクな方々を絶対に見過ごしてはなりません。
しかし外出や他人との関わりが可能な他の災害とは異なって、コロナ禍では、訪問型の支援をはじめ、街頭での啓発活動や人々を集めての研修など、本市が積み上げてきた取り組みが実践できない難しさがあります。
それでも、だからこそ、パンデミック下でも行なうことができる自殺対策をみんなで知恵をしぼっていくべきです。
本市には全国のお手本となる取り組みがいくつもありますが、そのエンジン役が『自殺対策推進協議会』です。
市役所内外の様々な関係機関によって構成されており、総合的かつ包括的な視点で本市の自殺対策を推進してきました。
しかし今年度の第1回は7月30日に予定されていたものの、コロナ禍を理由に書面会議に変更されてしまいました。
書面で「新型コロナウイルスによる自殺への影響及び対策」について意見を求めてはいますが、本来ならば、他の審議会などと同様に、密にならない環境を設けて本協議会を招集し、しっかり対策を議論して、今後の取り組みを強く発信していくべきでした。
会議録は現在も公開されておらず、どんな意見が提出されたのかも分かりません。
コロナ禍の影響が無くなるまでは、年度始めと年度終わりの年2回の開催という慣例もやめるべきです。
【質問3】
市民の自殺リスクが高まっていると言われる非常事態の今こそ、本市が取るべき自殺対策を徹底的に議論する為に改めて自殺対策推進協議会を招集すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
企業の決算期で倒産や失業が増える為に自殺の犠牲者が増えるハイリスクな時期であることから、我が国は毎年3月と9月に自殺対策を強化してきました。
しかし今、本市の動きは全く見えなくなってしまいました。
例年の街頭キャンペーンなどは中止、かろうじて市立図書館での自殺対策関連図書の特設コーナーは今年も設置されますが、本市ホームページやSNSを見ても、他都市のようにメンタルヘルスについて市民に注意を呼びかけることも無く、東京都のように8月から前倒しで自殺予防週間の取り組みを実施することもありません。
今後も第2波、第3波の襲来や新たな感染症も起こりうる訳ですが、本市は手をこまねいて対策を打たないのではないかとても心配です。
【質問4】
もともとハイリスクな時期である為に設定された9月の自殺予防週間、3月の自殺対策強化月間について、感染症パンデミック下で今後どのように取り組んでいくのでしょうか。
(→市長の答弁へ)
日本自殺予防学会や日本うつ病学会など関係学会は積極的にメッセージを発信しています。それらを参考に、本市もコロナ禍でも積極的に取り組みを行なうべきです。
まず第1に、市民向けの発信を強化すべきです。
【質問5】
これまで経験したことのない、強く長引くうつ気分や不安を感じたならば、がまんせずに身近な信頼できる人や保健所やメンタルクリニックなど精神保健の専門家に相談してほしい、というメッセージを本市はホームページやSNSや町内会・自治会の掲示板や回覧板などあらゆる媒体を通じて繰り返し発信していくべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
第2に、ゲートキーパーに協力を求めるべきです。
本市には養成研修を受けて多くの方々が登録して下さっていますが、先の質問で述べた「身近な信頼できる人」になっていただけるはずです。今こそ力を貸していただくべきです。
【質問6】
自殺予防の貴重な人材であるゲートキーパー登録をして頂いているみなさんに協力を求めるべきではないでしょうか。
例えば自殺予防週間をきっかけに、ゲートキーパーの基本である『TALKの原則(言葉に出して心配していることを伝える、「死にたい」という気持ちについて率直に尋ねる、絶望的な気持ちを傾聴する、専門家につなぐ)』を特に意識して周囲の方々と接していただきたい、と本市は改めて呼びかけるべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
第3に、これまでの取り組みの中でオンラインで代替できる取り組みを検討して、できることからとにかく実行すべきです。
例えば、町田市ではゲートキーパー養成講座をYouTubeで9月30日まで配信しています。
本来は対面でのやりとりが重要ですが、動画の視聴と参加者アンケートへの入力をもって研修とすることは、従来型の日程と会場の制約から参加できなかった人も受講できるなどのメリットもあります。
【質問7】
本市が実践してきた様々な取り組みからオンラインで代替できる取り組みを洗い出して、できることからすみやかに実行すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
3.新型コロナウイルス感染症の感染者情報の公表のあり方が性的マイノリティとされる方々の性的指向・性自認のアウティングとなる為に当事者に強い不安感を与え受診行動にも悪影響を与えている現状に早急に対応する必要性について
今年2月、厚生労働省は各自治体に対して、新型コロナウイルス感染症の感染者情報の公表は2019年に作成された基準を参考にするよう通知しました。項目は、年代、性別、居住の都道府県、症状などです。
この基準はあくまでも目安に過ぎない為、現状では自治体は個別に判断しており、自治体ごとに公表項目はバラバラです。
本市では、性別、年齢、職業、同居人、症状・経過、渡航歴、感染経路、行動歴、居所、その他、の10項目を公表しています。
ある自治体では児童生徒に陽性が出た際に「非公表にすれば逆にデマが広がる」と学校名や学年やクラスまで公表しています。
そもそも感染症法では予防の為に必要な情報を積極的に公表するよう義務付けていますが、一方で「個人情報の保護に留意する」ことも定めており、情報公開と個人情報保護を両立させねばなりません。
しかしSNSやネットでは個人を特定し晒す動きが止まりません。
全国各地で感染者や家族、医療関係者への差別・偏見、誹謗中傷、事実無根のデマが横行しています。
そこで、政府は9月に『偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ』を設置しました。
今後は感染者の情報をどこまで公表するか、プライバシー保護と両立させるあり方を11月をめどに公表する方針となりました。
しかし11月を待たずに今すぐ本市が対応すべきことがあります。
性別の公表に本人同意を必要とすべきです。
本人が望まない場合は公表しない、または本人の望む形で公表するよう、すぐに対応すべきです。
いわゆる性的マイノリティとされる方々の中には、様々な理由から戸籍を変更せずに職場や学校で暮らしている方がたくさん居られます。
例えば戸籍上は男性のまま、女性として生きているトランスジェンダーの女性の方は、陽性と判明すれば、男性と公表されてしまいます。
職場では女性として働いているので、自治体の感染者情報の公表によって性自認がアウティングされてしまうのです。
濃厚接触者として同居人と公表された同性パートナーに陽性が判明すれば、性的指向もアウティングされてしまいます。
自治体による公表のたびに性自認や性的指向がアウティングされる不安を抱いている方がとても多いこと、アウティングされてしまう不安から体調が悪くても受診をためらう声が多いことから『LGBT法連合会』は個人情報の公開は極めて慎重に行なうよう全国の自治体に要望しました。
『横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例』の第3条第6項では
「性的指向、性自認等に関する公表の自由が個人の権利として保障されること」
とアウティングの禁止を明文化しています。
そもそも感染者の性別を公表することで市民の感染予防が向上するか、極めて疑問です。
実際、すでに静岡県では、本人同意がなければ年代も性別も非公表としています。
【質問8】
本市はこれまで感染者情報として性別の公表を続けてきましたが、性別の公表がアウティングにつながることをきちんと議論した上で、公表を続けてきたのでしょうか。
もしそうならば、性別を公表することと決めた理由をお聞かせ下さい。
(→市長の答弁へ)
【質問9】
個人情報の保護に留意することを定めた感染症法からも、アウティングを禁止した横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例からも、今後の感染者情報における性別の公表はあくまでも本人同意に基づくものとすべきではないでしょうか。
また、やむをえず公表する場合でも、本市ホームページやSNS、報道発表においては、あくまでも本人の思いにそった内容で公表すべきではないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
4.10月に実施される国勢調査において本市は決して調査票を修正することはありえないこと、同性パートナーの方々にありのままに回答してほしいことを市長が明言する必要性について
今年は5年に1度の国勢調査の年ですが、その目的は日本に住む全ての人と世帯に関する正確な情報を収集して、今後の政策立案につなげることです。
しかし、国の最も重要な統計調査と位置づけられて正確な情報が求められているのに、総務省統計局は同性パートナーの方々の関係性を勝手に修正している問題が2010年の国会質疑で明らかになりました。
調査票には、世帯全員の氏名と性別、世帯主との続き柄、例えば『世帯主または代表者』『世帯主の配偶者』『子』などを選んで記入します。
同性パートナーの方々は、おひとりが『世帯主』を選んで、もう一方の方が『配偶者』と記入することになります。
それを総務省は本人の承諾もなく『誤記』(あやまり)として扱い、『配偶者』を選んだものを『他の親族』へと変更しているのです。
『他の親族』とはおじやおばやいとこを指す続き柄ですから、修正によって事実を反映しない誤った統計となります。
続き柄を勝手に修正してきた理由を総務省は、我が国では同性婚が認められていないからだと述べています。
しかし、異性同士であれば事実婚であっても、1920年から『配偶者』として集計し公表してきました。
調査票の『配偶者の有無』の欄には
「(婚姻の)届け出の有無に関係なく記入して下さい」
と記されており、異性パートナーは事実婚の場合でも法律婚と同じ扱いをされています。
婚姻届を出していない・法律上の結婚ではないという点で同性パートナーと同じであり、総務省の説明は矛盾しています。
長年、当事者団体や有識者は是正を求める活動を続けてきましたが、8月末に総務大臣が今回の調査でも方針は変えないと明言しました。
6月末現在で本市を含む51自治体がパートナーシップ制度を導入し、利用したカップルが1052組にものぼる中で、当事者を国勢調査の上で見えない存在にするのは調査の目的にも反しています。
統計法では回答義務を定めていますが、正確に回答しても国が結果を捻じ曲げてしまうことから全国の当事者の方々はそもそも調査には回答しない、と述べています。
ところで、調査の実務を担当するのは市町村なので、改めて本市の担当課と意見交換をして確認をしたことがあります。
市職員と募集で選ばれた市民の方が研修を受けた後に調査員となります。
本市ではその研修の際に、全ての市民の方々に「ありのままに書いて下さい」とお願いするよう研修しているとのことです。
つまり、同性パートナーのみなさんに対しても「ご本人たちの認識のまま記入して下さい」とお願いするよう研修をしているとのことです。
また、調査員や本市がご本人の許可なく勝手に続き柄を修正することは法令上もありえないこと、この件についてはコールセンターに問い合わせが来ることが予想されるがその際にも「ありのままで書いてほしい」とお答えする旨の見解を頂きました。
国のかたくなな姿勢ばかりがメディアで報じられてしまうので、残念ながら本市の調査への基本的な姿勢は当事者のみなさまには全く知られていません。
すでに本市の国勢調査の取り組みはスタートしています。
9月20日まで調査員が各世帯を訪問して調査票を配布します。
回答期間は10月7日までと調査票への回答が目の前に迫っている今、ぜひ上地市長に同性パートナーのみなさまに向けて改めて本市の基本姿勢をお伝えしていただきたいのです。
【質問10】
国とは異なり、本市では同性パートナーの方々が「世帯主」「配偶者」と記入した場合に市の担当課も調査員も「配偶者」を「他の親族」に修正することは決してありえない、と明言していただけないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
【質問11】
そして同性パートナーの方々に対して、本市の国勢調査の調査票にはご本人の認識のままにぜひ回答していただきたい、と明言していただけないでしょうか。
(→市長の答弁へ)
市長の答弁
いつもながら、想いのこもったご質問、ありがとうございます。
【質問1への答弁】
まず、公的な啓発週間の位置づけについてです。
私は、あらゆる差別は、これを許さないというスタンスで、政治行政に取り組んで来ています。
不幸にもお子さんを亡くされた方々が、いわれのない差別を受けることは大きな社会問題であり、大変悲しいことだというふうに思います。
本市のこれまでの取り組みは、お子さんを亡くされたご遺族へのグリーフケアが中心でした。
周囲の無配慮な励ましや理解不足によりご遺族の苦しみが長引くことのないよう、支援の必要性について人々の意識を高めていくことも必要である、と考えています。
一方で、啓発の仕方によってはフラッシュバックが起こり、かえって不調を訴える方々もいらっしゃることが懸念されますので、どのようなやり方で啓発していくのが良いのか、関係する諸団体の方々にお話をお伺いした上で考えていきたい、と思っています。
【質問2への答弁】
次に自殺対策の強化についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による経済活動の落ち込みや、日常生活の変化などから、自殺者の急増が懸念されているところです。
強い危機感をもって、自殺対策に取り組んでいく必要があると考えています。
【質問3への答弁】
次に、『自殺対策推進協議会』についてです。
7月末に書面会議により開催した『自殺対策推進協議会』では、大災害等の発生の数か月後から自殺者が増えることや、生活困窮により心を病む人が増加することなど、貴重なご指摘・ご意見を伺いました。
協議会には、医師等の医療関係者も含まれておりまして、対面での協議会を今すぐ開催する予定はありませんが、書面会議であっても、委員の皆さんの意見を本市の施策にできるだけ反映できるよう、努めてまいりたいと思います。
【質問4への答弁】
次に自殺予防週間、自殺対策強化月間の取組みについてです。
新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み、3月、9月ともに、従来のような街頭キャンペーンは実施していません。
9月の自殺予防週間では、『広報よこすか』での周知・啓発用ティッシュの市施設での配布に加え、保健所職員がFMブルー湘南に出演して、自殺予防週間の周知や、いのちの大切さなどの呼びかけを行ないました。
3月の自殺対策強化月間の取り組みについても、感染拡大状況等をみながら、どのような方法で実施できるか、ぜひ検討してまいりたいと思います。
【質問5への答弁】
次に、相談を促すメッセージの発信についてです。
コロナ禍におけるメンタル面での不安解消は、自殺の防止に大変重要なことであるというふうに認識しています。
『広報よこすか』や広報掲示板へのポスター掲示、相談窓口紹介の冊子、『よこすかこころのホットライン』の配布先の拡大など周知に努めているところです。
今後、ホームページやツイッターなどを通じて情報発信にも取り組んでまいりたいと思います。
【質問6への答弁】
次に、ゲートキーパーへの協力の呼びかけについてです。
ゲートキーパーに登録いただいている市民の皆さんには、日頃から、悩みを抱えている方々のサポートを担っていただいているところです。
コロナ禍において、ゲートキーパーの皆さんには、より一層協力を仰ぎたいと考えていますので、改めて、身近な方への声かけなど協力を呼び掛けてまいりたいと思います。
【質問7への答弁】
次に、オンラインの取組みについてです。
ゲートキーパー養成研修をはじめとした自殺対策の研修は、対面形式で行なうのが最も効果的であると理解しています。
他都市のオンラインでの取組みを参考にしながら、ぜひ実施方法を研究したいと考えます。
【質問8への答弁】
次に、新型コロナウイルス感染症情報として、性別の公表を決めた理由についてです。
議員のおっしゃるとおり、感染者情報の公表により性自認や性的指向がアウティングされてしまうことは決してあってはならないと思います。
本市としても、いわゆる性的マイノリティとされる方々に限らず、新型コロナウイルス感染症にかかられた全ての方の個人情報について個人が特定されないよう議論した上で、市民への注意喚起など、感染症の拡大防止の観点から、国の方針に基づき、性別の公表を決めました。
【質問9への答弁】
次に、性別の公表のあり方についてです。
現状では、ご本人の同意を得た上で、性別などの公表を行なっております。
今後については、先ほどの理由から性別の公表はやむを得ないと考えていますが、議員がおっしゃるとおり、ご本人の思いに添った内容で公表したいと考えます。
【質問10への答弁】
次に、国勢調査の同性パートナーの取り扱いについて併せてお答えをいたします。
まず、提出いただいた調査票の記載内容について、市と担当課・調査員が修正することは、全くありません。
また、お話しのように、お伝えしなければならないということの意味で、記入にあたっては世帯のままの状況を認識のまま回答してください、ということをお伝えしたいと思います。
こちらからは以上です。
フジノの再質問
市長、ご答弁ありがとうございました。
再質問の順序は逆になりますが、4番目の「国勢調査に対する本市の姿勢を明らかにしてほしい」という点から、改めて再質問をはじめていきたいと思います。
本市の基本姿勢、上地市長、強く明らかにしていただきました。
これはもともと同性パートナーの方に限らず、全ての方にありのままに書いてほしいというのが本市の基本姿勢である、と。
国がどうあろうと、本市はそう望んでいるということをぜひ広く市民のみなさまに知っていただきたいと思います。
これは追加の情報なんですが、1つ注目すべき動きがありました。
これは同性パートナーのみなさんにぜひ知っていただきたいということです。
9月8日に超党派の国会議員からなる『LGBT議員連盟』が総会を開きました。
そこでこの問題について議連のメンバーと総務省統計局の担当者との意見交換が行なわれました。
その際、担当者が新たな発言をされました。
元データをそのまま集計して発表することは、大臣の発表の通り、ありません。
ただ、『配偶者』と同性パートナーが選択した記入状況については検討の余地がある、とお答えになりました。
つまり、事務処理上、同性パートナーで配偶者と記入した人がどれくらい居るかという状況を追うことが、史上初めて示唆された訳です。
このような動きもあることから、当事者のみなさまには決して諦めずに調査票をありのままに書いていただきたい。
特に本市は上地市長が明言していただいている。
絶対にありのままに書いていただきたいし、絶対に本市は改ざんをしない。
そして、新たな動きもあることから、あるいは将来、過去の調査票をもとに集計し直される可能性もあるから、ぜひ出していただきたい、と。
改めて市長、「ぜひ出していただきたい」とみなさんに訴えていただけないでしょうか。
上地市長の答弁
ぜひありのままに書いていただきたい。修正することは、ありません。
アナーキーでニヒリストの私が言うんですから、間違いなく全てをありのままに書いていただければ、というふうに思います。
フジノの再質問
ありがとうございます。
続いて3問目の感染者情報の公表がアウティングにつながってしまいかねない、だから改善していただきたい、という点について質問致しましたが、上地市長に思いを汲んでいただきました。
本市がそもそも性別を公表しているのは国の基本方針に従っているからだ、という事情もよく承知しました。
ただ、本当に国の基本方針が、2019年に作成した、過去に作成したものに基づいていて、本当にCOVID-19に対応しているかというと疑問があります。
これから11月に向けて新たな方針がつくられるということで、ぜひ注目をしてまいりたいと思います。
この点については、ご答弁は結構です。
そして本日、1番時間を再質問に割きたいのは、新型コロナウイルス感染症パンデミック下の今こそ自殺対策を強化する必要性についてです。
保健所のみなさんが日常業務に全力を尽くしつつ同時に交代でコロナ対応にも取り組んでおられることはよくよく承知しております。
今回の質問は、保健所の忙殺されているみなさんには批判的に聞こえたかもしれませんが、それでも急激に上昇している自殺リスクを少しでも減らしていく為にどうか力を貸していただきたい、という想いで質問をしました。
保健所だけでなく、市長を筆頭に、市役所内外のあらゆる関係機関のみなさまと僕も一緒にに、この難局に立ち向かっていきたいと願っています。
再質問ではまず、市長に、はじめに知っていただきたいことがあります。
実は1問目では、自殺の犠牲者は災害の直後は低く収まるものの、1年後・2年後と急上昇する、という災害精神医学の共通認識に基づいて市長に危機感を共有していただきたいと質問をしました。
ただこの認識は甘すぎました。
実は発言通告の締め切りが9月10日の朝だった訳ですが、お昼に警察庁と厚生労働省が、今年8月の最新の自殺犠牲者数のデータを公表しました。
僕を含む自殺対策の関係者は皆、そして厚生労働省も大きな衝撃を受けました。
最新のデータはとても恐ろしい傾向を示していたからです。
1年後・2年後どころかすでに現在、早くも自殺急上昇、という兆候が明らかになってきたからです。
議員席のみなさん、見えなくて申し訳ございません。
グラフをお示しいたします。
(フジノ、市長に図を示す)
これ、今年の1月から8月まで向かっているものです。
赤が今年で、ピンク、水色は、去年・一昨年。
今年は、数年間の中で最も低いトレンドを示してきました。
特に4月から6月。もうコロナ禍が始まっていますが、ものすごく低い。
これは、市長とも質疑したことがありますが、『災害ユートピア』という現象。
災害が起こった直後は、とにかくサバイバルするために、生き延びる為に、誰もが必死。だから自殺はとても低くなる。
けれどもこれ、6月を終えて7月のデータをご覧いただきたい。
急上昇しているんです。
過去2年間を超えているんです。
6月までのトレンドが消えてしまいました。
そして8月を加えます。
9月10日に発表されたものです。さらに上昇に転じました。
これ、6月までと比べていただくと、赤印、急上昇しているのが一目瞭然ですよね。
この理由についても、研究者はもうすでに7月の時点から「危険だ」「危険だ」というふうにおっしゃっていたんですが、僕は災害精神医学のトレンドを信じてしまっていました。
この理由について、分析によると、大震災などの災害が起こると、人々は避難所に集まって暮らし、今をサバイバルするためにお互いに助け合って生きのびていこうとします。
そこにはふだんの暮らしでは感じることのなかった絆が生まれます。そこで、人と人とのつながりが生まれます。
まさに『災害ユートピア』が生まれる。
だから1年間しっかり生きのびられるんです。
けれども、1年・2年と時が経つにつれて避難所は閉鎖されて、絆は失われ、ご自宅に帰れるのは素晴らしいことなんですけれども、コミュニティが解体されていく。
だから1年後、2年後、急上昇していくと、災害精神医学では言われていました。
しかし、今回のコロナ禍では大災害とは全く異なって、みんなで避難所で暮らすこともなく、誰もがソーシャルディスタンスを取るために自宅に引きこもらざるを得ず、孤独と孤立を感じてしまい、絆は生まれません。
4月から6月までは、災害発生直後の、生きのびる為に誰もが必死にサバイバルを試みた時期だった。
けれども他の災害のように他人との絆や助け合いが存在しない為に、1年・2年もたずにもう7月、8月から急上昇してしまっているんですね。
この状況をもう少し正確に申し上げますと、8月の自殺者数が1,849人。
これは前年同月比で246人も増加している。
8月の自殺犠牲者数が増加するのは3年ぶり。
過去に8月に増えたことっていうのはあまり無いんですね。
そして、今年の月別でも最も多い犠牲者数だった。
都道府県では東京・愛知に続いて神奈川県もワースト3番目、高いです。
そこで厚生労働大臣は9月10日、すぐに大臣メッセージを発しました。
この内容を読み上げますと、
「生きづらさを感じている方々への大臣メッセージについて
本日公表された警察庁自殺統計によると、令和2年8月の自殺者数(速報値)は1,849人(昨年同月比で246人増)となりました。
自殺者数が増加傾向に転じたか、あるいは一時的な状況かは現時点で断定することはできないものの、この状況を重く受け止め、引き続き自殺対策の強化に取り組んでまいります。
また、ひとりでも多くの方が必要とする支援に繋がるよう、生きづらさを感じている方々への大臣メッセージを発信しました。」
さらに各地の自治体も、例えば愛知などもメッセージを発しています。
そして、横須賀の状況をみてみます。
横須賀の状況は、残念ながら8月末の数字は出ていないんですが、7月末現在でもやはり、昨年より増加しています。
令和元年は1月から7月末までで29名、そして今年は1月から7月末までで33名となっています。
こうした状況を受けて、僕は1問目(発言通告書と原稿)を提出後、「(質問は)本当に陳腐化してしまったな」と。「事態はもっと深刻だな」というふうに思いました。
そこで上地市長に改めて、危機感について共通認識をぜひ共有していただけないかとお伺いします。
コロナ禍の場合、1年後・2年後に自殺が急上昇してくるのではなく、すでに自殺者数の急上昇が起こっているのだという危機感を共有していただけるでしょうか。
お答え下さい。
上地市長の答弁
いまお話を聞いていて、いつも申し上げているように、生存していくっていうことはおそらく宗教や哲学っていう意味になっていく。
経済的な貧困によって亡くなる方もいるし、最近のテレビでもマスコミでも、たいへん残念な方が亡くなっていくという事実を鑑みると、やはり、自己確認ができなくなってくる社会だと思う。
ただ、生存していく為には、今言ったように、危機感。危機の時には人間、一生懸命にがんばって生きていくという目的がある。
ただそれが無くなった時にどうしたら自己確認できるか、っていう方法が、今の社会には非常に難しくて、多様化の名のもとにみなさん、苦しんでいらっしゃるというふうに思うんですね。
僕も、藤野議員と同じように鬱の傾向があるから、何かこう、まあやっぱり自分自身を責めてみたり、突き詰めてしまうというような社会でいいのか。自分は何者なのか。自分の存在意義が分からなくなってくる。
そういう状況が、これからも出てくるだろう。
おそらくは、コロナ禍は目の前にある危機の為に頑張っていかなきゃならない。
その時に、エポックとしてそれが無くなった時に、おそらく人ってどういうふうに考えるだろう、というふうに実は考えていましたので、
いま言ったようなデータをみながら、何が行政でできるか。
本来これはもう友人知人や仲間、社会全体で助けあっていかなきゃならない社会をつくっていくことが、私自身のテーマなんです。
私のテーマなんだけれど、行政が、あるいは政治が、何ができるかっていうことを考えあわせて、果たしてそれがメッセージでいいのか、どういう方法があるのか、というのは、ちょっと考えていきたいと思います。
同じ危機感は共有している、というふうに思います。
フジノの再質問
市長、ありがとうございます。この問題については、本当に同じ想いを持っていただけると信じています。
一方で、非常に残念な出来事もありました。
9月13日に、日本自殺予防学会がオンラインで開催されました。
テーマは「つながれない時代の自殺対策~ウィズ・コロナをどう生きるか~」という、まさに今何をすべきか、という実践的な内容でした。
実は学会の冒頭のプログラムで、この学会の副理事長を務めておられる河西千秋先生から、たいへん厳しい言葉がありました。
横浜市立大学の教授であった河西先生は、東日本大震災が起こる数年前から神奈川県内のある中核市と数年間にわたって自殺対策の取組みを行なってきました。
緊密にやりとりをし、その自治体に協力を惜しまなかった、とのことです。
けれども東日本大震災が発生すると、途端にそのまちから自殺対策に関する連絡がばったりと途絶えてしまった。
災害の発生した時こそ自殺リスクが高まるのに、本当にその自治体は残念だった。
保健所から被災地へ人員が派遣されたり、他の業務に忙殺されているのは理解している。
しかし、自殺対策を災害時こそおろそかにしてはならないのに、とても残念だ。
今回のコロナ禍では全国のみなさんはこんなことがあってはならない、とおっしゃいました。
河西先生には、たいへん横須賀市に貢献していただいて、お世話になっております。
実名こそ挙げられなかったものの、僕はこの自治体が横須賀市であることがすぐに分かり、とても胸が苦しくなりました。
当時のことを思い返すと、保健所のみなさんは被災地への派遣、そして通常業務に忙殺されて、新たな自殺対策の、災害精神医学に基づくような取り組みをできる余裕はありませんでした。
僕自身も絶対に横須賀の自殺を増やしてなるものかと取り組みましたが、やはり軸足を被災地対策、募金活動を行なったり、市民のみなさまにいろいろな物資の提供をお願いする、と。少し自殺対策から軸足をずらしてしまいました。
このように、本市はダメな事例として挙げられてしまった。
けれども内部の事情を知っている人間として僕は、今回のコロナ禍は同じことにならないようにしてほしいというふうに全国に呼びかけられてしまったんですけれども、果たしてできるのかな、とすごく疑問に感じることが多くあります。
そもそも質問を作るにあたっても、保健所のみなさんにヒアリングをするのがはばかられるような、正直な想いがありました。
上地市長は『帰国者・接触者相談センター』にねぎらいに行って下さったり、保健所のみなさんを激励しに行って下さっています。
ただ一方で、いろいろな統計を見ていると、保健師のみなさんがバーンアウトしているというような統計も出ています。
どうか本市の保健所のみなさんが自殺対策にももっともっと取り組めるように、当時は東日本大震災は被災地は本市ではありませんでしたが、今回は本市も被災地と言って良いと思います。
どうか、保健所の職員のみなさんが自殺対策に取り組めるような、人員や時間の余裕を確保していただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
ぜひそのへんは進めて一緒に平行してやっていきたいと思います。
それから人間なんて弱いもんでいつ何時そういう状態になるかって分からないにも関わらず、他人のせいにしたり、ひとのせいにして何が悪い、っていうのがこの社会の悪しき風習だと思ってますので、
それは常に我々ひとりひとりが、職員やら政治じゃなくて考えなくてはならないことだと思ってますので、ぜひそのへんを進めていきたいと思っています。
フジノの再質問
自殺対策についてもう1問、伺いたいと思います。
今、ストレスフルな方々が圧倒的に急上昇しているということを申し上げました。
限られた人員で自殺対策に取り組まねばならない。
どのように取り組んでいくのが良いかというのは、すごく悩ましいところだと思います。
このハイリスクな方々と、そしてストレスフルな方々が、圧倒的なボリュームでいらっしゃる。
これについて、第1に、僕は2つ考えを持っています。
第1に、圧倒的多数な方々の不安や鬱状態を低下させる為には経済対策や生活支援を行なっていくことです。
これはすでに上地市長が補正予算で、積極的に経済対策や積極的な生活支援を行なっていただいています。
また、さきほどご答弁いただいた市民へのメッセージやゲートキーパーのみなさまのご協力を頂くことで、こちらについては対応できると考えています。
特に、専門家である保健所のみなさんに注力していただきたい第2の方向性について、こちらが僕はより重要だと考えています。
それは、よりハイリスクな方々をスクリーニングすることです。
コロナ禍の前からすでに逆境、困難な状況の人たちがいらっしゃいます。
そうした方々は、自ら感染予防の行動や問題解決の行動を取れない。支援を求めることもできづらい。
もともと精神的な問題を抱える方々をはじめ、認知症の方、ケアラーの方々、性的マイノリティ当事者の方々など、もともと健康格差があり、医療格差があり、精神保健上の問題に直面しやすい方々がいらっしゃいます。
どうかこの方々に焦点を当てていただきたいと思うんです。
WHOや、ランセット、たいへん有名な科学誌ですが、今年まずはハイリスクな個人、次にハイリスクな集団、そして地域住民全体へと、段階的なケアをしていくことが有効だという『段階的アプローチのあり方』を発信しました。
ぜひこうした提案に基づいて、本市はまずはハイリスクな方々に対して、フィジカルディスタンスをとりながら、積極的につながりを持ってほしいんです。
1問目では、オンラインの重要性を訴えましたが、同時にネットが不慣れであったり、設備が無い方々への配慮も十分に必要です。
そこで、感染予防をした上での訪問活動に加えて、電話とオンラインでの対話の積極的な活用はつながりを確保する上で効果がありますので、ぜひ行なっていただきたい。
また従来のように訪問して長時間じっくりお話しを伺うことはできなくても、短時間の訪問であっても、または電話での通話であっても、オンラインでのビデオ通話であっても、保健師のみなさんが笑顔を絶やさずに丁寧に接することで大きな効果があることも明らかになっています。
そして、広報紙やツイッターで発信している情報であっても、ハイリスクな方々には届かない。
読んでいただいてもなかなか理解ができない。
そこで、徹底的に情報をかみ砕いて提供し続けること。例えば特別定額給付金の申請がありましたが、一緒に手続きをガイドしていただいて提出までナビゲートするような取組み。こうしたことが必要だと思います。
とにかく短時間であっても、定期的に継続してコンタクトし続けること。フォローアップを続けることが、とても有効であるといわれています。
そこで伺います。
コロナ禍の前からハイリスクである方々に対して、積極的かつ継続的に、つながりを確保する取り組みをおこなうよう、ぜひ指示をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
市長の答弁
今、保健所は本当にみなさん目一杯で、本当にがんばってる。もう頭が下がる想いなんですね。
様々な状況が変化しながら、それに対応しなきゃいけないという問題。
さらにこれから違う問題を強いていくということは、非常にどうしたらいいか。
これは人員の補強もあると思うんで、何ができるかというのは、指示というよりも、相談をしながら、何ができるんだろうと考えながら、進んでいきたいというふうに思っています。
フジノの再質問
ありがとうございます。
相談をされていくということでしたが、その際にはぜひ今申し上げたようなWHOやランセットが提唱している『段階的なアプローチ』についても情報提供をしていただきたいと思います。
そして最後の質問ですが、ベイビーロスアウェアネスウィークについて改めて提案します。
この原点は1988年に、早産で新生児死亡で赤ちゃんを亡くしたレーガン大統領が10月を National Pregnancy and Infant Loss Awareness Monthと定めたことでした。
やはり時の権力者にとっても、大切な赤ちゃんを失うということは本当に悲しい出来事であって、そしてそれが語る事ができない悲しみである。
これを、ひとりでも多くの人が語る事ができる死にしたい。
そういう想いというものが、レーガン大統領にはあったんだと思います。
先ほど市長の答弁では、フラッシュバックを起こされる方もおられる。どういう方法がいいか分からない、というお話がありました。
ただ実は、ヒアリングの際にもいくつかのご意見をいただいたんですが、どうもそのへんのお考えというのは、ちょっと当事者の方とは違うのかなというふうに思っています。
あるこども育成部の方は
「流産・死産をした後にグリーフケアをするのはちょっと違うんじゃないですか、藤野議員。流産した後は妊娠しやすいから」
というようなご意見をおっしゃった方がいました。
この意見を聴いた時、ガマンしましたけれど、許せない発言だと思いました。
市民部にお話を伺いに行った時には
「全ての方が悲しみの中にいる訳じゃない。中絶をした方々はそうじゃない」
というような発言をされました。
中絶によって悲しまない人がいる、というような思い込み。何ですか、それ。
本当に当事者の方の想いとかけ離れている、ヒアリングしたのは数か月前のことですけれど、沸々と怒りがこみ上げてきます。
僕は当事者の方の声を多く聞いてまいりました。
フラッシュバックを起こす方もおられるかもしれません。
けれどもそれ以上に、圧倒的多数の方々が、自らの想いを語ることができない。
誰にも語ることができない。夫にも話せない。妻にも話せない。
本当に困惑しているんです。
そんな中で、本市のグリーフケア事業、エンジェルサポート事業。本当にすごく全国から評価されているんです。
そしてグリーフケアと社会の啓発は車の両輪である、という質問を行なうというふうに表明した時に、本当に称賛をされました。
まだ答弁がでていないのに称賛をされてしまいました。
車の両輪としての、社会への啓発。無理解への・偏見への啓発というのは絶対に必要だと思っています。
ぜひ今年は、横須賀市の公式ツイッターなどのSNSで10月15日の最終日の夜には、キャンドルの灯りの写真を横須賀市の公式アカウントで♯BLAW2020をつけて発信していただきたい。
これぐらいはできると思うんです。ぜひやっていただけないか、というふうに質問をしたいと思います。
市長の答弁
いま話を聞いていて、うちの職員でそんな無神経な奴がいたなんていうのは個人的に許せない。名前を言いなさい、ほんと。
議員が今言ったことはぜひ進めたいというふうに思います。
フジノの質問
これで質問を終わりますが、本日、コロナ禍においてもよりハイリスクな方々が追い込まれているという状況をお話し致しました。
本当に多くの方がストレスフルな中で、市長のもとにも本当にたくさんの声が来ていると思います。
けれども、命を失いかねない方にどうか強く目を向けていただけないか、というふうに思います。
命を失ってしまえば、復興していくこともできません。
どうか多くの人々を守って、そして『誰もひとりにさせないまち』を実現させて下さい。
以上で質問を終わります。