2021年12月議会・一般質問

藤野英明です。よろしくお願いします。

一般質問に立つ藤野英明
一般質問に立つフジノ

1.「ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる一週間~」がめざすものとその実現のための取り組みについて

かねてから本市は全国に例の無い、赤ちゃんを亡くした御家族へのグリーフケアに取り組んできましたが、さらに昨年からは国際的な啓発週間『ベイビーロスアウェアネスウィーク~亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間~について我が国では初めて取り組みを行なったことから、全国から高い評価を受けました。
 
こうして迎えた2年目である今年は、コロナ禍により保健師をはじめ職員のみなさんは業務に忙殺される中で、それでもこども健康課をはじめ、いくつもの部局が連携して、本当に困難な状況の中でベストを尽くしてくれました。
 
まず、コロナの陽性者数が激減したタイミングで、我が国に『ベイビーロスアウェアネスウィーク』を導入した市民団体『Baby Loss Family Support “Angie”』のみなさんと上地市長が面会、本市の目指す方向と当事者のみなさんの想いが強く一致していることを確認しました。

Baby Loss Family Support "Angie"のみなさんと上地市長
Baby Loss Family Support “Angie”のみなさんと上地市長

面談中には、上地市長の言葉に同席したみなさんが涙する一幕もありました。
 
ベイビーロスアウェアネスウィーク開始前の10月4日から市役所1階北口ロビーで啓発パネルを展示し、さらに、亡くなった赤ちゃんとご家族について啓発するポスターを130ヶ所に掲出しました。

市役所で実施されたパネル展示
市役所で実施されたパネル展示
市内130ヶ所に掲出しているピンクアンドブルーリボンのポスター
市内130ヶ所に掲出しているピンクアンドブルーリボンのポスター

初日の10月9日からは、まず横須賀市公式ツイッターで啓発メッセージを1週間にわたり発信しました。

1週間発信された横須賀市公式ツイッターによるBLAWの啓発メッセージ
日替わりで1週間発信された横須賀市公式ツイッターによるBLAWの啓発メッセージ

さらに、JR横須賀駅前のヴェルニー公園内、つまり横須賀市の玄関に位置するティボディエ邸を1週間毎晩シンボルカラーのピンクアンドブルーにライトアップしました。

国内初のライトアップを実施しました
国内初のライトアップを実施しました


これは国内初の取り組みで、全国そして海外から本当にたくさんの賞賛の言葉をいただきました。

僕は毎日ティボディエ邸付近にいたのですが、天候を問わず、県内はもとより、千葉、東京、静岡などからたくさんのご夫婦が訪れて下さいました。

「横須賀市の取り組みにとても励まされたのでどうしてもじかに訪れたかった」

とのお声をいただきました。
 
さらに上地市長の決断によって、最終日の夜に平和中央公園の平和モニュメントを特別にピンクアンドブルーで点灯しました。

平和モニュメントのレーザー照射が特別にピンクアンドブルーになりました
平和モニュメントのレーザー照射が特別にピンクアンドブルーになりました

日頃は世界に平和を発信するレーザー照射が、この夜はピンクとブルーになり、レーザーが天に向かって伸びていく様子はまさに赤ちゃんを亡くしたご家族の想いが天国に届いたかのようでした。

最終日は、世界各国で夜7時から1時間、亡くなった赤ちゃんとご家族を想いキャンドルを灯すウェイブオブライトという取り組みが行なわれているのですが、上地市長自らキャンドルに点灯する動画を7時ちょうどに発信するという粋な計らいも行なわれました。


 
この期間中、市長はじめ多くの市職員がシンボルマークであるピンクアンドブルーリボンのバッジを胸に着けて賛意を表明しました。
 
以上、本市の今年の取り組みをかいつまんでご紹介しました。
 
これまで、流産・死産・新生児死亡・人工死産などによって赤ちゃんを亡くしたご家族は、語ることも許されず、何年経っても消えない心の痛みを孤独の中で抱えてこなければなりませんでした。

これは『公認されない死』『公認されない悲嘆』と呼ばれる、世界的な風潮です。

それを変える為に各国で取り組みが行なわれてきましたが、我が国では横須賀市が国内初の取り組みをいくつも行ない、赤ちゃんを亡くした日本中のご家族に

「あなたはひとりではありませんよ」

という強いメッセージを発信したのです。

まさに我が国のグリーフケアの歴史に残る取り組みでした。
 
こうした快挙を褒め称えたい気持ちでいっぱいですが、より一層、当事者の方々のお気持ちに寄り添える、そして社会の側が理解を深めていく取り組みとする為に、1つずつ振り返ってさらに改善を進めていく必要があります。

そこで市長に伺います。

(1) 今年実施した「ベイビーロスアウェアネスウィーク」の取り組みについて

【質問1】
「公認されない死」「公認されない悲嘆」とされる亡くなった赤ちゃんとご家族に寄り添い、社会の側の偏見を取り除いていくという目的に照らして、本市の今年の取り組みの効果をどのように評価しておられるか、市長の率直なご所見をお聞かせ下さい。

(→市長の答弁へ)

本市公式ツイッターで1週間にわたってベイビーロスアウェアネスウィークの趣旨を発信し続けたのですが、おひとりの市民の方から

「赤ちゃんの死だけを特別視するな」

とご意見が寄せられ、担当課から

「来年は発信の仕方については検討してまいりたい」

とお話がありました。

この件については専門家とも意見交換をしたのですが、その市民の方ご自身の抱える悲嘆が強いまま適切に対処されていないことから本市の発信に過敏に反応してしまったのでしょうとのご意見でした。

そうした立場に立つと、その方の抱える悲嘆を適切にケアすることこそが必要であり、

「赤ちゃんの死を特別視するな」

という言葉どおりには受け止めるべきではありません。

「公認されない死」という現状を変えたいと願う本市の今の発信の仕方に問題があったとは考えにくいです。

【質問2】
引き続き、本市は今後も積極的に発信をしていくべきだと僕は考えていますが、市長はどのようにお考えでしょうか。

(→市長の答弁へ)

本市がライトアップを実施したヴェルニー公園、平和中央公園ともに火気厳禁で、キャンドルの点灯はお断りをしてきました。

それでも最終日夜のウェイブオブライトの時間に、一部の方がティボディエ邸脇でキャンドルを点灯していたとの連絡を受けました。

【質問3】
今年は時間も人手も全く足りずに不可能だったのですが、本来であればキャンドルを禁止するのではなく、ウェイブオブライトの1時間は市職員立ち会いのもとでキャンドルを灯すことができる特定の場所を設けた方が親切だったと感じています。

市長はどのようにお考えでしょうか。

(→市長の答弁へ)

(2)これからの取り組みについて

外部からどれだけ評価されても、ベイビーロスアウェアネスウィークはわずか1週間の取り組みに過ぎません。

本市がめざすべきは日常的な取り組みによって社会の側に良き理解者を増やしていくことです。

その為には積極的な広報啓発が必要です。すでに現在も、年間を通じてポスターを市内130ヶ所に貼り出しています。

【質問4】
このポスターに加えて、啓発のチラシを作成すべきです。

流産・死産・新生児死亡・人工死産などで赤ちゃんを亡くされる方がおられ、深い悲しみの中にいらっしゃること、人々の無意識の言葉にしばしば傷つけられることなどを記した啓発のチラシを、市役所をはじめとする公共施設や保健・医療関係機関に配架して、日常的に市民の方に手に取っていただけるようにすべきではないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

良き理解者を増やす取り組みとして、当事者の方を講師としてお招きして率直なお気持ちをお話していただく講演会を開催することも大切です。

【質問5】
ひとつの人権課題と捉えて生涯学習課による人権セミナーや人権・男女共同参画課による講座や講演会の開催も有効だと考えています。

ぜひご検討いただけないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

来年度もベイビーロスアウェアネスウィークに様々な取り組みを実施するにあたって

今年はコロナ禍で何も取り組みを行えない可能性もあったことから広報は最小限にとどまりました。

当事者のみなさんはそれでも本市の動きに注目してくれましたが、一般の市民の方にはライトアップの意味も全くわからなかったようです。

こうした市民の方々にも良き理解者となっていただくことが、ベイビーロスアウェアネスウィークの大きな目的です。

その為にも、来年はベイビーロスアウェアネスウィークの目的をはじめ、本市のエンジェルサポート事業や当事者会活動などを積極的に広報すべきです。

【質問6】
広報よこすか、本市ホームページ、市内の掲示板、公式SNSアカウントなどあらゆる媒体を用いて、ぜひ早い時期から積極的な広報に努めていただきたいのですが、いかがでしょうか。

(→市長の答弁へ)

諸外国では行政機関だけでなく、趣旨に賛同してくれた市民の方々や民間企業や学校や医療機関がピンクアンドブルーのリボンを飾ったりライトアップを行なうことで、当事者の方々に

「あなたはひとりではありませんよ」

というメッセージを発信しています。

例えば、本市の姉妹都市であるフリーマントルにあるノートルダムオーストラリア大学もライトアップを行なっています。

ノートルダムオーストラリア大学の2021年BLAWライトアップの様子
ノートルダムオーストラリア大学の2021年BLAWライトアップの様子

もしもご近所のお宅や、本市の目抜き通りにあるザ・タワーがピンクアンドブルーリボンを飾りつけてくれたならば、あるいは本市最大のランドマークであるメルキュールホテルが客室の窓をリボンの形にライトアップしてくれたならば、当事者の方々はとても励まされるとともに、多くの市民の方々の強い関心を惹くはずです。

【質問7】
そこで来年は、本市もライトアップを継続実施しつつも、民間企業や学校や医療機関、そして市民の方に趣旨をご理解いただき、建物などにピンクアンドブルーのリボンの飾りつけやライトアップをしていただけるようにご協力を呼びかけていただけないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

来年10月からティボディエ邸のすぐ前に地中海料理を提供するレストランがオープンし、外のテラス席でも食事ができる予定です。

BLAWライトアップとレストランのテラス席がかなり近接することになります
BLAWライトアップとレストランのテラス席がかなり近接することになります

その為、ティボディエ邸でのライトアップを実施する際には検討が必要です。

例えばティボディエ邸はライトアップにとどめて、先程の質問でとりあげたキャンドル点灯は、ティボディエ邸の後方に位置する東屋を利用するなど工夫が必要です。

【質問8】
レストランのお客さまにとっても、ライトアップの為に訪れた方々にとっても、ともに良い体験をしていただけるように、早い時期から担当課の間で調整や対応を検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。

(→市長の答弁へ)

2.いわゆるリトルベビーとご家族の支援について

今回の質問では、出生時の体重が2500グラム未満の低出生体重児など、いわゆる小さく生まれた赤ちゃんについて『リトルベビー』と呼びます。

本市では市立2病院の双方に2014年までNICUを設置していたことから、リトルベビーとご家族への支援に積極的な伝統があります。

僕が2005年に初めて800gの赤ちゃんに出会ったのも市立市民病院のNICUでした。

現在、NICU・小児科は市立うわまち病院に集約されましたが、うわまち病院と県立こども医療センターは長年にわたって積極的な連携を続けてきました。

さらにうわまち病院は地域の小児科クリニックと連携して、退院後も安心して地域で暮らしていかれるように小児在宅ケアを進めてきました。

また、行政と医療関係者による『周産期保健看護連絡会』も随時開催しており、官民連携を密にしてきました。

これまで僕はリトルベビーとご家族の支援について、市長をはじめ、こども育成部と教育委員会に長年にわたって質疑を行なってきました。

こうしたやりとりを通じて、本市は全国的にみても先進的な取り組みをいくつも行なってきました。

その取り組みを一部紹介します。

2018年には、ご家族も委員メンバーである『横須賀地域小児等在宅医療連絡会議(現在は名称変更して『医療的ケア児等支援協議会』と呼びます)』を発足させました。

ご家族と保健・医療・福祉・教育の関係者が一堂に会して、NICU退院後の小児在宅ケアを進めるために定期的に情報交換と議論を行なっています。

2019年からは、出生直後のNICUに入院している段階から本市の地区担当保健師が訪問を行ない、産後の母子支援に取り組んできました。

これは全国的にも他都市には無い素晴らしい取り組みで、他のまちに暮らすリトルベビーのご家族にお話しすると

「うちに新生児訪問が来たのは出産から数カ月後でした」

「うちとNICUの往復だけの数カ月間を過ごしましたが、行政の支援は何もありませんでした」

と、とても驚かれます。

発達がゆっくりであることから、小学校への進学を前に

「せめてあともう1年あったら体力も同年代に追いついて心配せずに入学できるのに」

との保護者の声を受けて、進学を1年遅らせる仕組みである就学猶予について僕は教育委員会と質疑を交わしてきました。

課長が替わるたびに同じ質問をしてきましたが、教育委員会は一貫して

「就学猶予についてはこどもと保護者に寄り添った柔軟な対応を取る」

と答弁しています。

一方、メディアや世間がリトルベビーに関心を寄せることは今までありませんでした。

それが変わりつつあります。

全国でリトルベビーのお母さんたちが声をあげてくれているからです。

特に大きいのは、当事者の声を受けていくつかの都道府県がリトルベビーとご家族の為の手帳であるリトルベビーハンドブックを作成したことです。

我が国の赤ちゃんの出生時の平均体重は約3000グラムですが、その10分の1の体重、300グラムで生まれる子もいます。

かたや母子健康手帳のグラフは1000グラムから始まっている為、リトルベビーは記入することができません。

その他のほとんどの項目で記入ができず、お母さんの落ち込みや不安感が強くなるなどネガティブな影響をもたらしてきました。

そこで、全国の有志がリトルベビーハンドブックの作成を行政に働きかけたのです。

神奈川県においても、積極的な活動を続ける当事者団体『pena』のみなさんが今年10月に黒岩県知事と面会し、県知事は来年度中にリトルベビーハンドブックを作成すると明言しました。

僕はこの神奈川県の動きを好機と捉え、本市の良い取り組みを県の作成するリトルベビーハンドブックにぜひ反映させたい、また、ご家族の想いをさらに受け止めて本市にまだ足りない支援策があれば積極的に取り組む機会としたいと考えています。

そこで、市長に伺います。

(1)リトルベビーハンドブックについて

来年度、神奈川県はリトルベビーハンドブックを作成しますが、その中には利用できる制度や地域資源の紹介、先輩ママ・パパからの声などが掲載される見込みです。

【質問9】
ぜひ本市の経験と情報をリトルベビーハンドブックに反映させられるように、県に対して積極的に意見を伝えていっていただきたいのですが、いかがでしょうか。

(→市長の答弁へ)

すでにリトルベビーハンドブックを作成したいくつかの都道府県で当事者の方々に伺うと、実際の配布を担う市町村が取り組みに積極的でない場合、行政の残念な対応によって産婦や家族が傷つけられたり十分な支援を受けられないまま、とお聞きします。

本市ではこのような対応は全く想定できないのですが、あえて伺います。

【質問10】
リトルベビーハンドブックは単に保護者が成長を記入するためのものではなく、保健師をはじめとする行政、医療関係者、保護者が連携しながら成長をともに見守るための大切な冊子であるとの認識を本市では徹底して共有していただきたいのですが、いかがでしょうか。

(→市長の答弁へ)

先行自治体の配布方法は様々で、保護者の求めを受けて初めてお渡ししたり、配布場所も赤ちゃんの担当課だけでなく行政センターなどで配布している自治体もあります。

【質問11】
けれども本市の場合はリトルベビーの出生を把握した際にはすぐにNICUを保健師が訪問していますので、ぜひ最初に訪問するタイミングで、保健師からお母さんである産婦に直接お渡ししていただきたいのですが、いかがでしょうか。

(→市長の答弁へ)

(2)リトルベビーに対する現在の取り組みの状況について

本市の現在の取り組みについて、改めてその状況を伺います。

リトルベビーのお母さんからしばしば伺うのが、抱っこも許されず、保育器の中でたくさんの管につながれている赤ちゃんを前に

「小さく産んでしまってごめんね」

とご自身を強く責めたという声です。

赤ちゃんの発達への不安を抱え、孤独・孤立感が強かったという声を頂いてきました。

全ての出産には産後うつへのケアが必要ですが、リトルベビーを出産した産婦のメンタルヘルスの支援は特に意識すべきです。

【質問12】
リトルベビーを出産したお母さんに対する出産直後、その後の継続的なケアを含めた、本市の産後ケアの取り組みはどのようなものでしょうか。

(→市長の答弁へ)

リトルベビーのお母さんは産後の心身が回復していない時期にも、赤ちゃんの為に搾乳をして毎日NICUに届けねばならないなど、疲弊感が強いと言われています。

本市では全国的にも珍しい、子育てに特化した24時間の電話相談『子育てホットライン』を2006年から開設しています。

また、出産後にお母さんが体力を回復するまでの間、家事を支援する『子育て支援ヘルパー』を派遣しています。

こうした「リトルベビーのお母さんの心身の回復に有効な取り組みの情報は必ず届けてほしい」と2017年の委員会質疑で僕は提案しました。

【質問13】
その後、リトルベビーを出産した産婦のみなさんにこれらの情報は必ずお知らせできているのでしょうか。

(→市長の答弁へ)

【質問14】
地域によってはリトルベビーが病児・病後児保育を利用できない自治体もあると聞きます。

本市では全てのリトルベビーがみな市立病児・病後児保育センターを利用できるのでしょうか。

(→市長の答弁へ)

リトルベビーで無い赤ちゃんならば当たり前に利用できる社会資源、例えば保育所(保育園)、一時預かり事業、子育て短期入所生活援助事業(ショートステイ)などの利用が制限される自治体があるとの声もしばしばお聞きします。

【質問15】
本市では、これらの社会資源はリトルベビーもみな利用できるのでしょうか。

あるいは、何らかの基準で制限を受けることがあるのでしょうか。

(→市長の答弁へ)


リトルベビーのご家族は、他の当事者との交流や支援団体の情報を切実に求めています。

【質問16】
本市では、担当課やうわまち病院などでリトルベビーの当事者団体や支援団体について情報提供を行なっているでしょうか。

行なっていないのであれば、これからはぜひ情報提供を行なっていただけないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

赤ちゃんは3000グラムで生まれてくるというイメージに対して、実際は10人に1人が2500グラム以下で生まれており、リトルベビーは少数派ではありません。

現在のようにリトルベビーのお母さんが周囲の何気ない言葉で追い詰められたり自責感に苦しめられないように、社会全体の意識が変わらねばなりません。

そこで今年も世界早産児デーである11月17日には、当事者団体などを中心に小さな命の写真展などリトルベビーについて知っていただく市民向けの取り組みが全国で実施されました。

行政の取り組みとしては、神奈川県が県公式ホームページで世界早産児デーのコーナーを作り、リトルベビーのデータなど啓発的な内容とともに、シンボルカラーである紫色のネクタイとリボンを着けた県知事の写真を掲載しました。

シンボルカラーの紫色のネクタイやマスクなどを着けた県知事の写真が掲載されました
シンボルカラーの紫色のネクタイやマスクなどを着けた県知事の写真が掲載されました

【質問17】
ぜひ本市も、リトルベビーとご家族について社会の側に理解を求める取り組みを検討していただけないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

本市では『子育てガイド』を作成配布しており、子育て世代には本当によく読まれています。

横須賀市が発行している『子育てガイド』2021年版
横須賀市が発行している『子育てガイド』2021年版

現在その中ではリトルベビーに関する記述は

「たばこを吸うと低出生体重児になる」

といったものしかありません。

横須賀市発行『子育てガイド2021』より
横須賀市発行『子育てガイド2021』より

【質問18】
『子育てガイド』を読んだ方々に、生まれてくる赤ちゃんの10人に1人がリトルベビーであり、NICUなど医療・福祉的支援は必要なものの特別な存在ではなく、毎日を懸命に生きている存在であることが伝わるような記述をしていだけないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

【質問19】
最後に、今回の質問をきっかけに改めて本市のこども政策全般をリトルベビーとご家族の観点からチェックし直していただけないでしょうか。

(→市長の答弁へ)

市長の答弁

まず、今年のベイビーロスアウェアネスウィークでの取組についてです。

本市では、流産や死産、また不慮の事故や御病気など、様々な理由で大切な方を亡くされた方々の悲しみやつらい気持ちにそっと寄り添い、精神的なサポートを行なうグリーフケアに取り組んでいるところです。

ベイビーロスアウェアネスウィークにおける取り組みは、流早産でお子さんを亡くされ、周囲からのいわれのない偏見等により苦しんでおられる当事者を社会全体で支える、まさにグリーフケアの精神によるものであり、その認識を広く浸透させることが重要であると考えています。

今年度のベイビーロスアウェアネスウィークはできる範囲での取り組みとなりましたが、SNS等での反響から、一定の効果があったのではないかというふうに考えています。

次に、発信についてです。

今回の取り組みは、お子さんを亡くされた方々への理解と社会的偏見を無くすことが目的であって、実施した情報発信は、そのために必要なものであったと認識しています。したがって、今後も積極的に発信していこうと考えています。

次に、Wave of Light (ウェイブ・オブ・ライト)についてです。

今年度は、コロナ禍という状況の中、感染拡大防止の観点から、多くの方が集まるイベントとすることはできませんでした。

ヴェルニー公園を含めて、市内の公園は原則として火気厳禁とされている為に、今年度は特別に許可を得て、事前撮影することで実施しましたが、来年度以降の実施については、特定の場所の指定、市職員の立会いなど、関係部局と十分に協議し、検討していきたいと思います。

次に、啓発についてです。

啓発用のチラシの配架については、配架場所を精査した上で実施していきたいと考えています。また、SNS等での啓発の可能性についても併せて検討していきたいと考えています。

次に、人権セミナー等の開催についてです。

私もこれは1つの人権課題になり得ると捉えています。その解消の為に、講演会や人権セミナー等の開催を含め、様々な啓発手法を検討してまいります。

次に、広報についてです。

先ほども申し上げましたとおり、これはまさに1つの人権課題になり得ると捉えています。

今後、多くの皆様にこの取り組みを理解していただけるように、様々な媒体を通じて多くの方々にしっかりと伝えていきたいと考えています。

次に、市民等への呼びかけについてです。

本市がこの事業を行なう意味は、差別のない社会をつくる為のものでもあり、啓発活動の結果として、皆さんがライトアップ等に協賛して下されば、趣旨を御理解いただけたことになると思います。

本市のランドマークとなる建物や市民の方々の御自宅などでもライトアップ等が行なわれれば、当事者の方々に、あなたは1人ではないという強いメッセージを送ることができると考えます。

民間企業や市民の皆様にも御協力をいただけるよう、ぜひ呼びかけていきたいと考えます。

次に、良い体験の為の対応についてです。

当然のことながら、レストランに来られた方、ライトアップに来られた方々の思いは異なるものであると認識しています。それぞれの方に配慮した対応ができるように、関係部局と協議しながら対応を検討していきたいと考えます。

次に、リトルベビーハンドブック作成についてです。

リトルベビーの支援については、出産した医療機関と退院後の支援を行なう行政の保健師が連携し、産婦の方に寄り添いながらお子さんなりの成長を見守り、母子に対する必要なサポートをタイムリーに提供しながら支援しているところです。

リトルベビーハンドブック作成に当たり、県から照会があった際には、出産された御家族をサポートする立場から意見を伝えていきたいと考えます。

次に、認識についてです。

議員御指摘のとおり、リトルベビーハンドブックは、保護者のみならず、医療関係者や行政保健師等が共にお子さんを見守る上で重要な冊子であると考えています。

そのような認識を本市職員はしっかりと持っていますので、今後も引き続き共有してまいります。

次に、NICU訪問時に渡すことについてです。

保健師がNICUに訪問する際、ハンドブックをお渡しすることは、タイミングとして最適であると思います。

一方で、入院している病院や行政の母子保健担当窓口で配付している自治体もありますので、適切な配付方法についても関係機関と調整しながら検討してまいりたいと思います。

次に、産後のケアについてです。

産婦の方に対しては、入院中からの訪問や、産婦の方に電話で状況確認を行いながら、適時支援を開始しています。母子の退院後は、お子さんの発育、発達状況を細やかに確認するために、通常よりも回数を増やして訪問を行なっています。

また、産後ケア事業においては、リトルベビーは入院期間が長期化することが予測されることから、利用期間を延長するなど、在宅での育児が円滑にできるようサポート体制を整備しているところです。

次に、情報提供についてです。

子育てホットラインや子育て支援ヘルパーに関する情報については、母子手帳交付時より情報提供を行なっています。

また、産後は保健師による家庭訪問等により、産婦の心身の回復状況や育児のサポート体制等を確認しながら、子育て支援ヘルパー等のサービスがタイムリーに利用できるよう、情報提供を行なっております。

次に、病児・病後児保育センターについてです。

本市の病児・病後児保育センターは、病気または病気回復期で、保護者の都合により一時的に家庭で保育ができない生後3か月から小学校6年生までの児童が対象で、医師連絡票を提出していただくことにより利用することができます。

リトルベビーであることを理由に、利用をお断りすることは決してありません。

次に、社会資源の利用についてです。

市立保育園及び本市が実施している一時預かり事業等においては、集団生活が可能であれば、全ての児童を受け入れています。

次に、うわまち病院での情報提供についてです。

うわまち病院では、リトルベビーの当事者団体のポスター掲示やリーフレットの配架、サポートブックの配付等、情報提供を行なっています。

担当課では、当事者団体等について把握していない為、早急に情報収集を行い、周知していきたいと思います。

次に、社会の理解についてです。

先ほどベイビーロスアウェアネスウィークの啓発の際にも申し上げたとおり、これも1つの人権課題になり得ると捉えています。御家族の思いを社会で理解できるような取組について、ぜひ検討していきたいと思います。

次に、子育てガイドについてです。

子育てガイドに記載する内容については、常に見直しをして、子育てに関する皆さんに寄り添ったものにしたいと考えています。御指摘の記述については、今作成している子育てガイド2022年度版にぜひ盛り込みたいと思います。

次に、子ども政策全般のチェックについてです。

子どもに対する政策については、不足がないか、常にチェックしていくことが必要であると考えます。

チェックの仕方については、様々なテーマを持って確認することも効果的であると思います。今回の御提案をきっかけに、子どもの政策全般をチェックし直す機会とぜひ捉えたいと考えます。

フジノの再質問

市長、御答弁ありがとうございました。順番を変えて、まずリトルベビーから再質問をな行いたいと思います。

まず、リトルベビーハンドブックについてです。

リトルベビーハンドブック実現のニュースを聞いて、僕は気持ちが10数年前に戻りました。当時、低出生体重児のママから御相談を受けていました。

いろいろ全国の状況を調べたところ、2006年に熊本県が極低出生体重児の支援に特化したリトルエンジェル支援事業をスタートして、リトルエンジェル手帳の交付を始めました。

このことを知った僕は、当時こども育成部に「横須賀市でも独自に低出生体重児のための手帳をつくれないか」と相談したことがあります。

ただ、当時、担当課では、横須賀市だけが作成してもあまり効果がないのではないかという結論になりました。

「作るならば、熊本県のように県全体でなければ効果が無い」ということです。

それが今回、市民団体『pena』の皆さんと公明党の県議団の西村くにこ県議会議員の御尽力によって、黒岩県知事がリトルベビーハンドブックをつくると明言してくれました。『pena』の皆さんと西村県議には感謝してもし切れません。

僕自身としては10年来の願いがかなった、そして当時僕に相談してくれた、今までは立派に成長したお子さんのママたちにも御報告することができた、本当にありがたく感じています。

ここからは質問に入ります。

早産児への支援の必要性も強く意識して取り組んでいただきたいという観点で伺います。

今回の質問では、分かりやすさを優先しました。純粋に体重だけをもってリトルベビーと総称しました。

けれども、2,500グラム以上であっても、予定日よりも早く生まれた早産児については、発達に未熟性があることがしばしばあって、支援の対象であるというふうに言われております。

本市においては、当然取り組みをしていると思うのですが、リトルベビーと同じく、早産で生まれた赤ちゃんにも積極的な支援を強く意識していただきたいのですが、いかがでしょうか。

こども育成部長の答弁

今、議員が御指摘のとおり、早産の方もやはり月齢がいっていないということで、発達、その他のところで見守る必要があると思い、既に対応してございますので、御安心いただければと思います。

フジノの再質問

こども育成部長、ありがとうございます。

続いて、リトルベビーハンドブックに関して、皆さんの認識を徹底して共有していただきたいと、あえて質問をいたしました。

実はこの質問をした背景には、これから上地市長が行なう改革が前提にあります。

これまではライフステージに特化した対応を保健師の皆さんは行なってきました。

けれども、これからは、選挙でも市民の皆様にお約束したとおり、ライフステージを一貫して、生涯を一貫して保健師がサポートしていく。これは本当に大切なアプローチです。

そして、こども健康課と健康福祉センターの保健師の皆さんは、新たに設置される健康部地域健康課へ移ることになります。

今年度まで保健師の皆さんは、子どもの関係の取り組みをしておられた方であれば、今申し上げたようなリトルベビーや早産の早く生まれた赤ちゃんについての取り組みというのは完璧にできていると私は信じています。

一方で、子ども以外のライフステージを主に担当してこられた保健師さんにおかれては、これから先、組織再編の後、数年間はやはりちょっとひるんでしまうのではないかと。

先行して実施した、本市のようにライフステージを一貫して保健師の皆さんが取り組みを行なうという取り組みに戻した川崎市にお話を伺うと、5年間くらいは混乱をしたというふうにお聞きしています。

本市には、かつてライフステージ全てを担当する時代を経験しておられる保健師の先輩方がおられますので、川崎市ほど混乱しないのではないかと思ってはいるのですが、やはりこれからは、これまで赤ちゃんに関わったことがない保健師の方も、リトルベビーや早産で生まれた赤ちゃんのサポートに回らねばなりません。

けれども、決してひるむことなく、そしてチームで立ち向かっていく問題ですから、きっと大丈夫だと信じているのですが、組織再編後の新しい取り組みになっても、この意識の徹底、共有をぜひ貫いていただきたいと思うのですが、市長、いかがでしょうか。

民生局長の答弁

ありがとうございます。

おっしゃっていただいたことと逆の意味もあって、こども育成部にしか配属したことが無い保健師がたくさんいますので、それはお互いにチームで、4健康福祉センターに両方を経験した保健師がいますので、その者たちと常に話し合いながら、適切な対応ができるように、場合によっては1人で行くのではなく、初めはチームで対応することも必要かというふうに考えております。その辺りを十分に注意してまいりたいと思います。

フジノの再質問

民生局長、御答弁ありがとうございました。

続いては、リトルベビーの産婦さん、お母さんへの出産直後のケアについて、先ほど伺わせていただきました。その再質問を行ないます。

今日、健康部長がいらしていないので答弁できない可能性もありますが、もし分かればということで御答弁いただけたらと思います。

NICU・GCUを持つ市立うわまち病院において、入院中の赤ちゃんと御家族に対する、いわゆるファミリーセンタードケアというふうに呼んでいるのですけれども、その状況を把握しておられたら、ぜひ御答弁をいただけたらと思います。

というのも、日本は世界でもNICUの面会制限が厳しい国として知られています。

ごきょうだいや祖父母はもとより、両親でさえも面会が数か月にわたってできず、腸管栄養で赤ちゃんに栄養を送る為にお母さんは赤ちゃんに母乳を搾乳して届けねばならないのですけれども、お会いできない為に愛着形成がなかなか難しくて、おっぱいが出なかったり、それから、御家族が新しく生まれてきた赤ちゃんに対して愛着を持てなくなるなどのいわゆる愛着形成の問題などのネガティブな影響が起こっています。

また、コロナ禍でさらに面会制限が厳しくなったと全国のママからお聞きしています。

そんな中で、僕の知識はコロナ禍の前の2年前で、うまわち病院NICU・GCUの知識は止まってしまっているのですが、訪れることは許されない状況でしたので、当時を振り返りますと、NICUにおいても、本市うわまち病院においてはお母さんや御家族が集って、そして家族関係の構築のためかと思われるのですが、いわゆるファミリーセンタードケアが実施されていたと受け止めています。

きょうだい児や祖父母との面会もできていたと思います。

翻って、コロナ禍においていかがだったかどうか。

これは赤ちゃんに限らない問題なのですが、それでも全国のリトルベビーのお母さんたちは、コロナ禍でもNICUでの家族分離は起こさない、家族統合を進めていくという取組を行っています。

お伺いします。

コロナ禍でのファミリーセンタードケアの取組、うまわち病院は実施できていたのでしょうか、お聞かせ下さい。

民生局長の答弁

大変申し訳ありません。詳細までは承知しておりませんが、議員も御質問でおっしゃっていただいたように、全体的に面会制限をかけていましたので、恐らくできていないというふうに思っています。未確認で申し訳ありません。

フジノの再質問

ありがとうございます。御確認は必要だとは思うのですが、やはり全体的な入院に対する面会制限の状況を考えると、一定期間、やむを得なかったのかなと思います。

そこで、改めてお願いなのですが、一定の期間、家族としての関わりができなかった御家庭については、より積極的に保健師の皆さん、そしてNICUの皆さん、多くの関係者の皆さんでサポートして、今後の成長につなげていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

民生局長の答弁

コロナでいろいろな制限があったものを取り返すべく、親子関係を早急に構築しなければいけない御家庭がたくさんあると思いますので、その辺りはより一層サポートが必要だというふうに思いますから、できる範囲でやっていきたいというふうに思います。

フジノの再質問

民生局長、御答弁ありがとうございました。ぜひ取り組みを進めて下さい。

続いて、現在の取り組みの状況を伺いました。

総じて本市は「リトルベビーであろうとなかろうと決して差別はしないのだ」という心強いお答えをいただきました。

病児・病後児保育センターについて再度お伺いいたします。

本市は、こども園、再編をして新設をしてまいりますけれども、今度、中央こども園病児・病後児保育センターが新設される予定です。

指定管理者も新たな方がなる予定です。

こちらでもリトルベビーはきちんと受け入れるということで、仕様はされているということでよろしいでしょうか、お聞かせ下さい。

市長の答弁

そのとおりです。

フジノの再質問

市長、ありがとうございます。

続いて、御家族に様々な情報提供を行なっていただきたいということを質問しました。この点について再質問を行ないます。

今のところ、担当課では当事者団体の情報を把握していないので、早急に把握して発信をしていきたいというお答えをいただきました。

ちょっと自分の体験をお話しします。

先日、ベビカム株式会社という会社が主催するイベントにZoomで参加しました。これは日本最大級の約35万人の会員数の妊娠・育児コミュニティサイトを運営しておられる会社です。とても信頼されているサイトです。

この中では、リトルベビーの御家族のコーナーもあって、プログラムもあって、そこで全国の当事者団体の代表の方々と、それからリトルベビーのママたちの声をじかにお聞きしました。とっても元気が出ました。

昔も当事者会はあったのですが、どうしてもリアルで対面をする。

そうすると、育児で本当に大変ですから、お会いすることがなかなかできず小規模で、そして開催も不定期。

けれども、今の時代はオンラインで、例えば横須賀に暮らしている方であっても新潟の当事者団体の方に御相談ができる。本当に全国どこでもアプローチができる。

この取り組みは本当に時代が変わったなというふうに思うのですが、ぜひ、横須賀だから神奈川の団体を探すというのではなくて、全国にある団体の一覧などを御紹介していただきたいのです。

また、当事者団体に加えて、支援団体として日本NICU家族機構という信頼できる団体も今年6月に設立されております。

こうした情報をぜひお伝えいただいて、これまででしたら横須賀市だから横須賀市の当事者会を探す、また共済病院の当事者会、うわまち病院の当事者会を探すという観点だったと思うのですけれども、そうではなくて、全国の団体を御紹介していただいて、そして一番御本人がつながりやすいところとつながっていただく、オンラインでつながっていただく、そういう取組をぜひ御案内していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

こども育成部長の答弁

まさに今御指摘いただいたとおり、今オンライン等で様々なところとつながります。

そのような形の情報を提供することも必要だと思いますので、今後検討させていただければと思います。

フジノの再質問

こども育成部長、御答弁ありがとうございました。

続いて、世界早産児デーの活用をはじめ、リトルベビーと御家族について社会の側に理解を求める取り組みを検討してほしいという質問をしました。この点について再質問いたします。

市長、1点だけクイズにお答えください。

2018年のOECD報告によると、低出生体重児の割合は1位がギリシャでした。日本はどれくらいの位置に存在すると思いますか。

市長の答弁

分かりません。

フジノの再質問

突然の質問、失礼いたしました。

これは残念ながら、変わらず、上から2番目なのです。

本当にほかの国と違うことは、低出生体重児の割合が増えると、ほかの国では死亡率も増えていく。

一方、日本は医学が本当に進んでいますので、低出生体重児の割合が増えても元気に生きていってくれている。

本当にすばらしい国だな、医療が進んでいるなと思うのですが、実は先進国でも2番目に低出生体重児が生まれている、リトルベビーが生まれているということが全然知られていないのです。こうしたリトルベビーの存在をぜひ周知していただきたいと思っています。

また、取り組みの中には、早産児デーにただホームページで行政としてアピールするだけでなくて、当事者団体が『小さな命の写真展』といって、パッケージができている訳ですが、お子さんが成長していく姿の写真、そもそもNICUでたくさんの管につながれてしまっている、本当に小さく産まれた、300グラム、400グラム、500グラムの赤ちゃんの姿。

また、生まれた時のそういった写真や、生まれた時の体重と同じウエイトドールが置かれたり、リトルベビーのための肌着、これはなかなか市販されていないのです。またおむつも展示されたりしています。

こうした取り組みを市民向けの啓発としてぜひ横須賀で開催できるように後押しをしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

市長の答弁

お話はよく理解できましたので、ぜひ前向きに検討していきたいというふうに思います。

フジノの再質問

ありがとうございます。

実は10月に神奈川県知事のもとを訪れて下さった当事者団体『pena』の皆さんが、12月に横須賀市を訪れてくれます。

本来でしたら、今年の11月17日の世界早産児デーの前に上地市長にお会いしていただきたかった。ただ、僕自身がベイビーロスアウェアネスウィークで燃え尽きてしまって、お願いすることができなかった。

ただ、本市が今行ってきた取り組みや、これから行なっていく取り組みは正しいと信じています。

もし『pena』の皆さんとタイミングが合えば、ぜひ市長にお会いしていただいて、本市の取り組みの状況や全国のリトルベビーの御家族に横須賀市の取り組みを発信することで、勇気を同じように与えていただけるのではないかなと思います。

これは本当に難しいタイミングの問題かと思うのですが、もしもタイミングが許せば、当事者団体の皆さんとも面会していただけないかとお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

市長の答弁

今、藤野議員が言ったのは、正しいとか、正しくないという問題ではない。

人道上、必要なものであるならば、行政機関として前向きに進んでいかなければいけないのは当然のことであり、12月にもしおいでいただいて、その機会があるのであれば、ぜひお会いして、お話を聞いてみたいと思います。

フジノの再質問

市長、御答弁ありがとうございます。

リトルベビーについては最後の質問になります。

本市の子ども政策全般をリトルベビーと御家族の観点からチェックし直していただきたいと質問しました。この点についての再質問です。

実は、リトルベビーがなぜ日本では多いのかというのを研究した研究者の発表によると、これはもう何年も前から同じことが言われているのですが、日本の女性の子宮の環境が、妊娠継続にとって厳しい状況に年々向かっているのではないかということです。

その結果、早産や超低出生体重となってしまうと。

本市では来年度から組織再編によって、子どもから高齢者までの生涯を通じた取り組みを行なっていくことになる。

僕は本当にチャンスだと思っています。

何のチャンスかというと、『プレコンセプションケア』、また横文字ですみません、安心して赤ちゃんを産めるように、子宮の環境も含めて、心身を健やかに保っていくという取り組みを進めている。

これは教育も含めて本当に大切な取り組みなのですけれども、子どもの時代から、栄養や、例えば葉酸が日本人は本当に取るのが少ない。子ども時代から栄養や運動や睡眠などを支援するプレコンセプションケアという考えや取り組みが行なわれています。

近隣では、葉山町にあるハートセンターが女性への人間ドックの機会を通じて、そしてその診断結果をもとにプレコンセプションケアの観点からアドバイスをしてくれている。

ただ、僕は大人になっての人間ドックでは遅いと思っているのです。

本市のように赤ちゃんからご高齢の方まで一気通貫してアウトリーチをしていく、支援をしていくという取り組みをやる横須賀市だからこそ、プレコンセプションケアをきっとやっていかれるはずと信じています。

今日初めていきなり申し上げたことですので、今すぐやるというお答えを期待はしておりませんが、一度、市の方針として、プレコンセプションケアの考え方について研究していただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。

市長の答弁

メンタルだけではなくて、フィジカルな問題もあるということで、私初めて聞いたので、不勉強で申し訳ないと思っています。

民生局を作った理由が、お話ししたように、一気通貫で人の人生をずっと見るべきだという考えにありまして、それはフィジカルな思いもあるというとするならば、医療関係者だとか、医学とか、様々なことを巻き込んで、そういうことを考えていかなければならないということは今痛感しましたので、それも含めて、どういう仕組みが民生局でできるのか、どういう枠組みでやるのかというのはぜひ、おっしゃったとおり、検討していきたい。

フジノの再質問

ラスト3分間を使って、ベイビーロスアウェアネスウィークについて再質問を行ないます。

今回、初めて長谷寺(鎌倉)を訪問しまして、日本の歴史の中で行なわれてきた水子供養について深く学ぶ機会をいただきました。

ただ、一方で感じたのは、やはりひそやかに死を悼むものというのが日本の文化だったのかなという気持ちを感じています。

この取り組みもすごく大切で、尊重したいです。決して否定するつもりは全くありません。ぜひ宗教界の皆さんにも悲嘆のケアについて取り組みを進めていただきたいと感じました。

そして、一方で、新たな取り組みとしての世界的なベイビーロスアウェアネスウィークの取組を本市が進めていくことで、どちらが正しいというのではなくて、本市に暮らす市民の皆様はどちらも選べるという形をこれからも取っていくことで、悲嘆への支援を行なっていけるかなというふうに考えています。

今年の取組は本当にすばらしかったと思います。

一方で、1つ再質問として行いたいのは、本市に寄せられた御意見についてです。

個人情報保護ですから、御意見の内容は申し上げることはできないのですが、一言で申し上げると、全ての世代の方が感じるあらゆる様々な悲嘆、グリーフに対して、本市はサポートを行なわねばならないなと今回の御意見をいただいて感じました。

「赤ちゃんの死を特別視するな」という言葉どおりに受け止めるのではなくて、その方の背景にある悲しみを受け止めて、そして本市はあらゆる支援を行っていますから、そこにつなげることが大切なのではないかなと感じました。

あらゆる世代のグリーフケアについて、ぜひ取組をさらに進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

市長の答弁

感受性の豊かな藤野議員だから、様々なことも言えると思うのです。

私もずっと昔からそれは考えていて、生きていくということは大変で、様々な苦労があって、各自が各自の考え方で傷ついた人間はたくさんいる訳で、でも前向きに生きていかなければいけない。

政治がどこまでそこをフォローできるか。

これは古くて新しい問題でして、時代背景も違えば、地域も違う。あるいは年代別によって感じ方が違うので、どこまでがフォローできるかというのは、政治の命題だと私は思っているのです。

そこをできる限り、完璧なんかあり得ないから、できる限りそこに寄り添うという言い方はあまり好きではないのですが、同じような感覚でいられるということと、お手伝いをしてあげるということが、私は誰も一人させないまち、これが理想の政治形態だというふうに信念を持っているのです。

その意味で、どこまでできるか分かりませんが、ぜひ横須賀の大きな命題として私はやっていきたいと思いますので、その辺は、グリーフという意味で、できる限りのことはやっていきたいと思います。

フジノの再質問

市長、御答弁ありがとうございます。

市民の皆様には、ライトアップやレーザーでのライトアップなどの結果しか御覧いただけていない訳ですが、僕は中にいて、一緒に体験をして、例えばティボディエ邸のリハーサルの日には市長、副市長をはじめ、ティボディエ邸の所長、それからヴェルニー公園長、それから文化スポーツ観光部長をはじめ、本当に30人以上の方が集まって、この取り組みは本当に大切だから頑張っていこうと集まってくれた。

さらに最終日の平和中央公園でのレーザーによるライトアップ会場にも、環境政策部長をはじめ、本当にたくさんの方が集まって、この取組を成功させようとして頑張って下さった。

オール横須賀の取組で実現した全国初の様々な取り組みだったと感じています。本市の後を受けて、本当に全国の自治体が取り組みを広めていっていただきたいと考えています。

最後の質問になりますが、ぜひ来年度以降もオール横須賀で取り組んでいっていただけるとお約束していただきたい。

その上地市長のお言葉をお聞かせいただきたいと思います。

市長の答弁

何度も申し上げましたが、オール横須賀でぜひ取り組んでいきたい。どこまで何ができるか分かりませんが、その方向性というのは、ずっと貫いていきたいと思います。