1.2025年に向けたエイジング・イン・プレイスの実現を目指して
- 急増する後期高齢者の人口
- 都市型高齢化
- 単身世帯と高齢者世帯の急増
この3つが一気に迫っている我が国は世界のどの国も体験したことが無い『未踏高齢化社会』に突入したと言われています。
2015年には団塊の世代が65歳以上になり、2025年には75歳以上になります。
さらに2050年には団塊ジュニア世代が後期高齢者になり、日本は今とは完全に違う姿になります。
例えば、昨年2月に国土交通省が発表した『国土の長期展望』によれば、これまで家族の世帯類型で最も多かった「夫婦と子から成る世帯」はマイノリティになります。
代わって「単独世帯」が約4割と最も多くなります。
その中の5割はなんと「高齢者単独世帯」で2050年まで増加し続けていきます。
さらに、2007年6月に厚生労働省老健局が公表した推計によると、介護施設を現在の2倍に増やして自宅での看取りが1.5倍増えたとしても、亡くなる時に、病院にも介護施設にも入れず、自宅にもいられない『看取り難民』が2030年には約47万人にのぼるとしています。
現状のままでは「死に場所」さえ無い社会になります。
まず1度目の巨大な波がやってくるのは2025年です。今すぐ、準備が必要です。
その1つの解決策が『地域包括ケア』の実現です。
今回の質疑では、その実現に向けて『住宅政策』の側面から提案を行ないます。
高齢になったら不便を抱えてしまう現在の自宅でもない、かといって、病院でも介護施設でも無い、『新たな高齢者向けの住まい』を爆発的に増やさなければいけません。
同時に、「住み慣れた地域にとどまりたい」という高齢者の根源的な願いに応え、心身の虚弱化にもかかわらず、尊厳をもって自立して暮らしていかれるものでなければなりません。
住み慣れた地域でその人らしく最期まで暮らして亡くなっていくことを『エイジング・イン・プレイス』と言います。
『エイジング・イン・プレイス』の実現こそが高齢者の幸福感に最も強い影響を与える、とする調査結果も出ています。
2025年の到来を前に、本市も『エイジング・イン・プレイス』の実現を目指した取り組みが必要です。
(1)本市の高齢者向けの住まいの現状について
今後の在るべき姿を考えていく為には、まず現状把握が不可欠です。
ア.本市の、現在の高齢者住宅の供給量と高齢者人口に対する割合はどのようなものか
我が国の高齢者人口に対する高齢者向けの住まいの割合が2005年で0.9%と極めて低いことを受けて、2010年5月の『国土交通省成長戦略』では10年間で3~5%へ増やすことを目標としました。
そこで伺います。
【質問】
①本市が把握している直近の「高齢者向けの住まいの供給量」と、②その「高齢者人口に対する割合」は、どのようなものでしょうか。③また、供給量については「類型ごとの内訳」もお示し下さい。
続いて「現在の対策による見込み」を確認します。
イ.本市の2014年の高齢者住宅の供給見込みはどのようなものか
都市政策研究所の推計によれば、2020年の本市の高齢者人口は12万1,115人です。
これを『国土交通省成長戦略』の目標に当てはめると、本市は高齢者向けの住まいを2020年までに3,633戸~6,055戸へと引き上げていくことが目標と言えます。
本市の高齢者向けの住まいに関する最も新しい計画は『第5期介護保険事業計画』ですので、この最終年度の結果が本市が現在講じている対策による供給見込みにあたります。
そこで伺います。
【質問】
①本計画の最終年度である2014年の高齢者向けの住まいの「供給量の見込み」と、②高齢者人口に対する「割合の見込み」は、どのようなものでしょうか。③また、供給量の見込みについては「類型ごとの内訳」をお示し下さい。
ウ.地域包括ケア実現のカギである「サービス付き高齢者向け住宅」の整備が本市で進まない理由は何か
昨年4月、『高齢者の居住の安定確保に関する法律(通称・高齢者住まい法)』が改正されました。
従来の「高齢者円滑入居賃貸住宅」「高齢者専用賃貸住宅」「高齢者向け優良賃貸住宅」の既存3施設では高齢者向けの住まいとして不十分だ、として全て廃止されました。
そして、これらを1本化した新たな制度である『サービス付き高齢者向け住宅』制度がスタートしました。
これは「サ付き」あるいは「サ高住」の略称で呼ばれますが、地域包括ケア実現の切り札とされています。
政府は「サ付き」を強く推し進めるために予算面・税制面・融資面で優遇し、高齢者等居住安定化事業として325億円もの予算をつけました。
しかし、本市では「サ付き」への転換が全く進んでいません。
本市には「旧・高円賃」が125戸、「旧・高専賃」が60戸、「旧・高優賃」が30戸ありましたが、2012年6月現在、「サ付き」へ移行したのはわずか1カ所15戸のみです。
残りは「登録外の賃貸住宅」になりました。
こうした状況を放置すれば良質な住まいの供給が成されず、地域包括ケアの実現に大きなブレーキとなります。
そこで市長にうかがいます。
【質問】
①この現状をどのようにとらえているのでしょうか。②本市で「サービス付き高齢者向け住宅」の整備が進まない理由はどこにあると分析しているのでしょうか。
お答え下さい。
(2)地域包括ケアの「住まい」の要素を強化推進する為に本市がとるべき対応策について
ア.本市は「高齢者居住安定確保計画」 を定めるべきではないか。
2025年に向けて、高齢者向けの住まいをいつまでに、どれくらい整備する、という計画的な取り組みが不可欠です。
『高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針(2009年8月19日厚生労働省・国土交通省告示第1号)』において、
「高齢者の居住の安定確保を図るため、市町村においても(略)計画を定めることが望ましい」
とされています。
すでに神奈川県では『高齢者居住安定化計画』を策定していますが、本市では策定していません。
地域包括ケアの実現には『日常生活圏域』などの地域の実情に応じた取り組みが必要です。
本市では『各行政センターが所管する地域』を『日常生活圏域』としていますが、県の「計画」では決して地域の実情を細やかに汲み上げたものにはなっていません。
在るべき姿は、日常生活圏域ごとの高齢者向けの住まいや保健・医療・福祉サービスの需要と供給の現況や将来の見通しなどを細やかに捉えた計画です。
本市の『都市計画マスタープラン』や『介護保険事業計画』などともしっかりと整合性を持つ、具体的な整備目標などを考慮した本市独自の計画づくりが必要です。
そこで市長に伺います。
【質問】
本市は「高齢者居住安定確保計画」を策定すべきではないでしょうか。
お答え下さい。
イ.「早めの住みかえ」を促す取り組みが必要ではないか。
「住み替え」には2種類があります。
1つ目は、「後期高齢者になってからの住みかえ」、あるいは特別養護老人ホームへの入所などの「介護が必要になってからの住み替え」です。
これには心身への負担が大きく、リロケーションダメージが起こることも多くあります。
2つ目は、「早めの住み替え」です。
良質な高齢者向けの住宅への引っ越しのタイミングが早いほど幸福感が高いとの研究結果もあり、高齢期に向けての新しい生活を自分の決断で、自力で引っ越しできるうちにスタートすることで、『エイジング・イン・プレイス』の実現に大きく寄与すると言われています。
市民の方々にお話を伺うと将来に漠然と不安を感じておられて
「庭付き一戸建ては高齢になると草むしりをするのが大変だ。買い物も不便になり、掃除も面倒で2階が物置みたいになってくる。こどもの厄介にもなれないし、施設に入るべきなのではないか」
と話して下さいます。
ただ、実際には住宅改修にも費用がかかり、不便を感じながらも何もできずに自宅で暮らし続ける方々が大半ではないでしょうか。
こうした生活の末に、やがて、自分で車を運転できなくなり、病院、商店、郵便局へ行くのも大変になってきて、生活が不便になるだけでなく、自宅へのひきこもりを誘発して、自分がしたいこともできなくなってしまい、結果的に「施設への入所」という「介護が必要になってからの住み替え」へと至ってしまう方々が多いのが現実かもしれません。
何故なら、これまでは高齢期にふさわしい住宅への「早めの住み替え」によってこうしたことが回避できる、という情報の提供や正確なアナウンスがなされてこなかったからです。
金銭的に余裕のある、一部の自覚的な方を除けば『エイジング・イン・プレイス』などの概念も知られていません。
つまり、適切な高齢者向けの住まいの供給とともに正確な情報のアナウンスが必要です。
そこで市長にうかがいます。
【質問】
「元気なうちの住みかえ」「早めの住みかえ」を促す取り組みが必要ではないでしょうか。
お答え下さい。
続いて、市役所の体制にも改善が必要です。
ウ.「住まい」の観点を強化するために「介護保険運営協議会」に「住まい」の関係者を加えるべきではないか
『サ付き』は国土交通省と厚生労働省が共管していることに象徴されるように「住まい」の観点をより強化していく為には、部門を超えた福祉政策と住宅政策の一体化した取り組みが必要です。
福祉政策に住宅政策の観点を取り入れ、住宅政策に福祉政策の観点を取り入れねばなりません。
この意味において、本来であれば、本市が『介護保険事業計画』を改定する時にも「住まい」の観点を持った委員が必要でしたが、それは叶いませんでした。
そこで、今後の日常的な運営において「住まい」の観点を強化していく必要があります。
本市において介護保険の運営と地域包括ケアについて協議しているのは『介護保険運営協議会』です。
本市ではこの会が『地域包括支援センター運営協議会』も兼ねています。
「住まい」の専門家、例えば、市役所の都市部の都市計画課や市営住宅課、住宅・不動産に関わる民間企業や団体、UR都市機構、都市政策の学識経験者などは、メンバーに加わっていません。
『エイジング・イン・プレイス』を実現することはまちづくりそのものでもあります。
本市の都市計画マスタープランでは「高齢者などが車に頼ることなく歩いて暮らせる生活圏の形成を図る」とした「集約型のまちづくり」を目指していますが、その観点からも、日常的な福祉政策へと落とし込んで行かなければ実現できません。
そこで市長に伺います。
【質問】
『介護保険運営協議会』に市役所内外の「住まい」の関係者を加えるべきではないでしょうか。
お答え下さい。
続いて、「サ付き」を一刻も早く整備していく為に市として可能な取り組みを提案します。
エ.「サービス付き高齢者向け住宅」は公営住宅の目的外使用の対象となる為、市営住宅を活用すべきではないか。
「高齢者住まい法」第21条では
「公営住宅の事業主体は(略)当該公営住宅を登録事業者に使用させることができる」
との規定を設けています。
昨年4月に策定された『横須賀市市営住宅総合ストック活用計画』に基づいて維持・修繕を今後行なっていくわけですが、本市の市営住宅に暮らす方々の高齢化率が上がっている中で「住環境の向上」と「高齢化対策」を実現していく上で、「高齢者住まい法」第21条を適用していくことが、本市の財政的にも都市政策の観点からも非常に有効です。
そこで市長に伺います。
【質問】
本市は市営住宅を『サーピス付き高齢者向け住宅』の整備に活用すべきではないでしょうか。
お答え下さい。
続いて、『サ付き』以外の良質な高齢者向けの住まいの供給の為に市が主体となって取り組めることを提案します。
オ.市営住宅に『シルバーハウジング』を併設する取り組みを拡大すべきではないか
『サ付き』は民間にしかできませんが『シルバーハウジング』は地方自治体等にしかできない取り組みです。
これは、公営住宅において高齢者の方が自立して安全に過ごすことができるようにライフサポートアドバイザーを配置する仕組みですが、本市では現在、市営鴨居ハイム1ヶ所の15戸しかありません。
(全国のリストはこちらをご覧下さい)
この取り組みを拡大していくことは「市営住宅ストック総合活用計画」で謳っている
「ソフト面からの改善により既存ストック住宅の有効活用を目指していく」
という点にも合致しています。
そこで市長に伺います。
【質問】
良質な高齢者向けの住宅の整備のためにシルバーハウジングを拡大していくべきではないでしょうか。
お答え下さい。
ついで、まちづくりそのものにエイジング・イン・プレイスをビルトインさせる提案です。
カ.今後の再開発事業には岐阜シティタワー方式等を参考に高齢者向け住宅の整備の誘導を市が行うべきではないか
2007年に作られたJR岐阜駅直結の43階建て高層ビル『岐阜シティ・タワー43』があります。
これは、1~2階がショッピングゾーン、3階が医療福祉ゾーン、4~14階は108戸の高優賃、15~42階は分譲マンションとなっていて、商業、福祉と医療の複合施設、高齢者向けの住まい、都市型住宅をあわせた機能の集積によって相乗効果が得られた再開発の成功例として全国的に有名です。
こうした成功例を倣って、再開発には高齢者向け住宅の整備を市の都市政策として位置づけることはできないでしょうか。
本市では、大滝町2丁目再開発事業、さいか屋跡地の開発事業、追浜駅前再開発事業など複数の事業が進められています。
【質問】
こうした事業に対して高齢者向け住宅の併設を市として誘導すべきではないでしょうか。
市長の考えをお聞かせ下さい。
ついで、この問題では最後になりますが、すでに起こりつつある重要な問題について対策を伺います。
キ.アフォーダピリティ(家賃を払えない層への配慮等)をどのように取り組んでいくのか
他都市の動向によれば、『サ付き』や『高齢者向け賃貸マンション』などの費用は毎月平均15~20数万円となっています。
これだけの金額を負担できるのはいわゆる厚生年金層に限られ、国民年金では満額受給者でも払えません。
高齢者向けの住まいの整備を民間だけに委ねてしまえば、こうしたアフォーダピリティの欠落が生まれてしまいます。
そこで市長に伺います。
【質問】
こうした高齢者向けの住まいに入居できない方々に、本市としてはどのような取り組みを行っていくのでしょうか。
お答え下さい。
2.『横須賀こころの電話』への市長の視察に関して
本市の自殺対策に大きな貢献をしている『横須賀こころの電話』ですが、さらにその効果を高めるべく僕はいくつもの提案をしてきましたがこれまで一切反映されてきませんでした。
相談機能の強化は『市長マニフェスト』であるにもかかわらず『事業仕分け』の対象にまでされ、これまでの市長の対応に僕はひどく失望しています。
そんな中、市長は4月に『横須賀こころの電話』の現場を視察しました。
【質問】
(1)今回、突然の視察を行なった理由は何故でしょうか。
【質問】
(2)市長が実際に現場を視察した上で『横須賀こころの電話』の運用を改善すべき点があるとしたら、どのようなことだとお考えでしょうか。
お答え下さい。
3.脱原発に向けて市長が姿勢を示す必要性について
震災がれきの広域処理問題や、放射性物質が検出された食材の学校給食での使用問題など、福島第一原発事故に由来するあらゆる問題で今も多くの市民が苦しんでいます。
そんな市民のみなさまの想いに寄り添うのであれば、市長は脱原発に向けた姿勢をはっきりと示すことが必要です。
【質問】
その1つとして、4月27日に設立された全国の市区村長による『脱原発を目指す首長会議』に横須賀市長にもぜひ参加していただきたいと思います。
市長の考えをお聞かせ下さい。
これで壇上からの質問を終わります。
市長の答弁
御質問ありがとうございました。
まず、2025年に向けた『エイジング・イン・プレイス』の実現を目指してのうち、本市の現在の高齢者住宅の供給量と高齢者人口に対する割合及び本市の2014年の高齢者住宅の供給見込みについては、都市部長から答弁いたします。
私からは、本市で『サービス付き高齢者向け住宅』の整備が進まない状況とその理由について御質問をいただきましたので、答弁をさせていただきます。
まず、『サービス付き高齢者向け住宅』の整備が進んでいない状況であっても、支援を必要とする高齢者の対応ができていないというわけではありません。
一方で、有料老人ホームの建設は増加していまして、有料老人ホームを建設するか、高齢者住まい法に基づくサービス付き高齢者住宅を建設するかは、それぞれのメリットを考慮して事業者が選択をしていると考えています。
次に、具体的な整備目標などを考慮した『横須賀市高齢者居住安定確保計画』を定めるべきという御指摘をいただきました。
具体的な整備目標については、既に『横須賀高齢者保健福祉計画』において、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の供給目標を定めていますので、その必要性は余りないと考えています。
次に、元気なうちの住みかえ、早目の住みかえを促す取り組みが必要ではないかという御指摘をいただきました。
元気なうちの住みかえ、早目の住みかえについては、居住者の意思が大きく影響するものであり、これを尊重していかなければいけないと思っています。
また、住宅を所有されている方については、その売却等の処分も大きなハードルであると言えます。
なお、現時点においては、『高齢者等住宅相談』により、住宅を探している高齢者等のサポートを実施しているところです。
次に、住まいの観点を強化するために、『介護保険運営協議会』に住まいの関係者を加えるべきではないかという御提案をいただきました。
『介護保険運営協議会』は、学識経験者や保健福祉関係者、市民委員などから広く意見を聞く場ですが、現在の介護保険運営協議会のメンバーには、確かに、住まいの関係者が加わっていません。
高齢者の福祉施策と住宅施策の連携も課題の1つであると認識していますので、案件に応じて、専門知識を有する方の参加を求めていきたいと考えています。
次に、『サービス付き高齢者向け住宅』は、市営住宅を活用すべきではないかという御質問をいただきました。
本来、目的である入居希望者の応募倍率が依然として高い本市の市営住宅の状況から、目的外の使用は現状では難しいものと考えています。
次に、市営住宅にシルバーハウジングを併設する取り組みを拡大すべきではないかという御質問をいただきました。
シルバーハウジングは、その住宅の規格として、段差の解消やエレベーターの設置、広い廊下、緊急通報システムの設置など、高齢者や障害者に配慮した高規格な設備を備えた仕様とする必要があります。このため、既存の市営住宅の建築敷地や住宅の仕様では、通常の改修で高規格な仕様にすることは非常に困難であると考えています。
次に、今後の再開発事業には、高齢者向け住宅の併設を市として誘導すべきではないかという御質問をいただきました。
大滝町二丁目における再開発事業に関する市の基本的な方針としては、民間の活力により都市機能の更新に向けた商業・業務・医療施設のみならず、バリアフリーに配慮した都市型住宅などの整備集約の推進を目指しているところです。
次に、持ち家のない高齢者、低所得の高齢者など入居できない方々に、本市としてはどのような取り組みを行っていくのかという御質問をいただきました。
持ち家のない高齢者や低所得の高齢者の住宅対応は、市営住宅の活用やさまざまな福祉施策により取り組んでまいります。
次に、4月に『横須賀こころの電話』の現場を視察した理由について御質問をいただきました。
横須賀こころの電話については、NPO法人に運営していただいていますが、夜間の電話対応業務は大変な御苦労が想像でき、一度、感謝と激励の気持ちを伝えたいという思いがあり、先日、現場を訪問いたしました。
次に、自殺対策や心の健康のために、横須賀こころの電話の運用について、改善すべき点は何かという御質問をいただきました。
横須賀こころの電話は、現在、平日は17時から24時まで、土曜、日曜、祝日については、朝9時から24時まで開設していますが、一番の改善すべきこととして、24時以降の深夜、早朝の対応が課題と考えています。
次に、脱原発に向けて姿勢を示す必要性について御質問をいただきました。
原発のあり方については、立地地域の経済や雇用にも大きな影響を及ぼすものであり、専門的な知見も踏まえ、国が判断すべき国家的な取り組みであると認識しています。
市としては、これらの国の動向を常に注視する立場にあり、よって、全国の市町村長による脱原発を目指す首長会議に参加する考えはありません。
私からは以上です。
都市部長の答弁
それではまず、本市が把握している直近の①高齢者向けの住まいの供給量、②高齢者人口に対する割合、③供給量については類型ごとの内訳について御質問をいただきました。
法律による高齢者向け住宅の現在までの供給量は、140戸となります。直近の65歳以上の高齢者人口が10万9,099名であることから、高齢者人口に対する割合は0.13%となります。
高齢者向け住宅の類型の内訳ですが、旧高齢者円滑入居賃貸住宅が125戸、旧高齢者専用賃貸住宅が60戸、旧高齢者向け優良賃貸住宅が30戸、サービス付き高齢者住宅が15戸、市営住宅シルバーハウジングが15戸、合計230戸となりますが、この中で重複しているものがありますので、実数としては140戸となります。
次に、本市の『第5期介護保険事業計画』の最終年度である2014年度の①高齢者向けの住まいの供給量の見込み、②高齢者人口に対する割合の見込みと、③供給量の類型ごとの内訳の見込みはどのようなものかと御質問をいただきました。
『よこすか高齢者保健福祉計画』では、2014年度の介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の計画数は、合わせて1,605床としています。
介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅との内訳については定めておりませんので、高齢者人口に対する割合と類型ごとの内訳の見込みはお示しできません。
なお、2014年、65歳以上の高齢者の将来推計人口は11万7,257人です。
以上です。
フジノの再質問
2014年のパーセンテージをお聞きしていないと思うのですが。
都市部長の答弁
『サービス付き高齢者向け住宅』と『介護付き有料老人ホーム』、両方合わせて1,605床という計画がありまして、どちらが幾つというのは決まっておりません。
ですので、サービス付き高齢者向け住宅のパーセントというのは、推計人口は、先ほど言ったように11万7,257名ですけれども、何戸かというのは表現でませんので、申し訳ございませんけれども、お示しできないということで御答弁をさせていただきました。
フジノの再質問
市長、都市部長、御答弁ありがとうございました。
それでは、1問目の順序とは異なりますが、まず、2問目の横須賀こころの電話への市長の視察に関連して再質問を行います。
今回、市長が訪れた理由は、感謝と激励の気持ちがあり、以前から現場を訪れたかったということかと思うのですが、1点、確認したいことがあります。
昨年、非常に相談員のボランティアの募集がうまくいかなかった。
それは、震災のことがあっとはいえ、やはり、私は、事業仕分けの対象になったりしたことも影響したのではないかというふうに、かつて御質問させていただきました。
事業仕分けの対象に図らずもなってしまったことについて、市長から現場でボランティアをしてくださっている皆さんに対して、一言おわびというのは行ったのでしょうか。
市長の答弁
特にそういう話題にはなりませんでした。
フジノの再質問
現場を訪れたならば、ぜひ一言おっしゃっていただきたかったと思います。
市から委託をして、さらに、夜遅くまで無給で頑張っていただいている。委託されているNPO法人に予算はついているとはいうものの、相談員の皆さんはボランティアです。
そういった方々が事業仕分けの対象になったときに大きく傷つけられたということを、どうか心にとめておいていただきたいと思います。
続いて、市長に改善点を伺いました。
市長と私の認識は一致しています。
24時以降の深夜、そして早朝が勝負だというところが全く同じ考えです。
ただ、かつての蒲谷市長時代から、なかなか24時間化が実現しない。そこで、私は、今回、前進というか、ささやかな時間延長であるかもしれないけれども、有効であるという意味で、2時間の延長を提案したいというふうに思います。
最新の『消防年報』が消防局から提出されました。
その報告を見ますと、自殺未遂で救急搬送された方も、自殺の既遂によって亡くなってしまって不搬送になった方々も、時間帯別のデータが出ています。その中で、横須賀こころの電話が対応している夕方5時から夜中の0時以外で未遂や既遂が多いのは、0時から2時までです。
まずは、この2時間を横須賀こころの電話を延長してはどうかと思います。この点について、検討していただけないでしょうか。
市長の答弁
実際、24時以降がまさに課題であるというのが、私も同じ思いではあるのですが、ただ、そのためには、ボランティアの方の確保というのが一方で必要になるというふうに認識しています。
NPO法人としても、通常の今の17時から24時という電話相談をしていく上でも、ボランティアが足りないという現状がありますので、そういったボランティア確保に、まず私も努めて、その上で、時間の延長が可能かどうかというのは、委託をしているNPO法人と協議をしていきたいと思います。
フジノの再質問
ボランティアが先か、時間の拡大が先か、これはそれぞれの考え方があると思います。
僕自身としては、まず2時まで行うということで募集をかけるほうが、むしろ動きやすい方もおられるのではないかという考えに立ちます。
続いて、もう一つ、この件に関連して、データに基づいて提案をしたいと思います。
『消防年報』を見ますと、もう一つ、既遂の場合は不搬送になりますが、未遂と既遂が非常に多いのは、実は昼間の時間帯です。
この時間帯は、横須賀こころの電話では対応しておらず、保健所健康づくり課こころの健康係が対応しております。
この時に、横須賀こころの電話の周知というのは大変よく行われていて、保健所の電話相談は知らないけれども、横須賀こころの電話は知っているという方が非常に多い。そして、市内への掲示やチラシ、それから、カードなどの横須賀こころの電話の宣伝は非常に進んでいる。
そこで、こころの電話の宣伝にあわせて、保健所のこころの健康係でも精神保健福祉相談を受けているということを改めて周知してはいかがかと思います。
特に今年度からは、精神保健福祉士の資格を有する方を『生きる支援相談員』として新たに配置しました。
こうした専門的な方もいらっしゃる。改めて、保健所のこころの健康係による相談も横須賀こころの電話とあわせて周知をしてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
これまでも、保健所健康づくり課の相談窓口は、いろいろな機会をとらえて周知をしてきているつもりではいます。各種の連絡先を記載したパンフレットの駅等での配布などにおいても、やはり、健康づくり課の窓口というのは電話番号として載せさせていただいています。
ただ、もちろん、多くの方がこれについてよく知っていただくというのは、決して、悪いことではありませんので、どういう形で行うのが一番効果的かは考えさせていただきたいと思いますが、あわせての周知ということは取り組んでいきたいと思います。
フジノの再質問
もう一言、指摘させていただきたいのですが、横須賀こころの電話と保健所の相談というのは、自然に色分けができてしまっている。
例えば、保健所であれば、既にメンタルクリニックなどにつながっていて、保健所のデイケアに通っている、そういった保健師たちと顔見知りになっている方々がリピーターというか、調子が悪いときに電話をするというような色分けがなぜか自然にできてしまっている。
けれども、保健所も横須賀こころの電話と同じで、市民ではないかもしれませんが、不特定多数が電話をかけることができる。こういうことも、ぜひ、横須賀こころの電話と同じように昼間もかけるところがあるということをぜひ周知していただきたいと思います。
続いて、『エイジング・イン・プレイス』の実現について、改めて質問をしてまいりたいと思います。
この問題は、億自身が初めて住宅政策についての質問を市長と行なう。まだまだ不勉強なところがあります。
ただ、ここで、ぜひ、あらゆる立場を超えて認識を同じくしたいと思うのですが、市長と僕は、団塊ジュニア世代の最後のほう、僕たちが2050年に後期高齢者になる。
その後は、日本の人口は一気に減少していく。
そのときまでに介護保険や高齢者福祉、社会保障をキープしていく。
たとえ給付が少なくなっても、キープしていく。これが僕たちの世代に課せられた最大の責任だと思っています。
まず、この点を市長と認識を共有したいと思います。どのようにお考えでしょうか。
市長の答弁
2050年を待つまでもなく、既に、介護保険や国民健康保険に対して、市の持ち出しというのも随分出てきている。
そういう中で、介護保険の制度だけではなく、横須賀市全体の財政制度という観点からも、高齢者の給付の財政負担というのはどんどんふえてきて、財政そのものが持続できなくなるおそれというのもあるというふうに考えています。
そういう意味では、2050年を待つまでもなく、横須賀市を持続可能な横須賀にしていくために、さまざまな取り組みを行っていく必要があると、私も認識しています。
フジノの再質問
全く同感です。
そこで、今回のタイトルは、2025年というふうにあえてつけました。
僕たちが後期高齢者になるのは2050年ですが、その波というのは第2回目の波でして、まず最初の波は2025年から30年にやってくる。
今、部長でおられる皆さんが後期高齢者にちょうどなる時代、団塊世代がまさに後期高齢者に突入する。ここが最大の1番目の大きな波としてやってまいります。
そして、市長がおっしゃったとおりで、2050年を待つまでもなく、この現在から対策が必要だということも全く同じ認識です。
さて、それでは、都市部長にも答弁いただいた点について、改めて市長に伺ってまいります。
まず最初に、現状分析が必要だというふうに申し上げました。
現在、横須賀市は、高齢化率が約25%、4人に1人が高齢者、そのうち75歳以上の後期高齢者の方は、4人に1人ではない、済みません、今、数字を忘れてしまったので大変恐縮なのですが、その人数に対して高齢者向け住宅が0.13%だと。
これは、多分、前期高齢者からの数字を10万9,000人というふうにされたのだと思います。
けれども、今、すでに後期高齢者になりつつある方々に向けて、良質な高齢者向けの住まいを供給することが非常に重要になってきます。
その中で、現状、0.13%しか供給できていないという状況を市長はどのように分析されますか。
市長の答弁
高齢者の方々の住まいという本当に法の枠組みとか全く抜きにして考えた場合、議員もおっしゃったように、地域で住みなれた家に暮らし続けるということが一番いいことだと、私は思っています。
そういう意味では、高齢者向けの専用の住宅を提供できている割合というのが0.13%ということ、それだけをもって危機的な状況であるとは考えてはいません。
ただ一方で、『高齢者福祉計画』の中で一定の目標値を定めて行政運営を行っている中では、この0.13%というのは低い数字であると認識しています。
フジノの再質問
今回の質問の一番の目的は、市長と危機感を共有したいというのが根底にある思いです。
確かに、『サ付き』と僕が申し上げている『サービス付き高齢者向け住宅』、あるいはその他の高齢者向け住宅を供給することだけが全てではありません。
ただ、2007年ぐらいから厚生労働省と国土交通省が一緒になって活動してきている。縦割り行政がメインの日本において、こういう共管で事業を行うというのは非常に珍しい。
それは何故かといえば、危機感から来ているわけです。
その危機感は何かというと、戦後、今まさに団塊に世代になっておられる先輩の皆さんが頑張って一戸建てのマイホーム持ちたいと思って、そして、どんどん郊外型住宅団地を広げていって、そこに住まいの場を広げていったわけです。
しかし、このままこの住宅に住み続けることが、実は、これからはリスクになってくる。
一方で、介護保険サービスの中で、24時間の訪問型サービスがこの4月から介護保険改正で導入されました。
こういったさまざまな地域包括ケアの仕組みを導入することで、何とか地域で暮らし続けていかれるようにしようという取り組みが進んでいます。
けれども、高齢化率の圧倒的な急増、そして、後期高齢者人口の増加、横須賀も含めた神奈川県など都市部の増加、そのときに、先ほど申し上げたとおり、現在、住みなれている家そのものがリスクになり得る。
2階建ての家は、子どもがいるときは広くてよかった。けれども、今では夫婦だけで暮らしている。あるいは、1人先立たれてしまった。家が余りに広い。そして、朽ち果てていっても、それをとめられない。
そのような思いから、今回、市議会が空き家の対策の条例を議員提案されますけれども、まさに、そういった問題が実際に起こっている。
それへの対抗策というのが厚生労働省と国土交通省が提案している『サービス付き高齢者向け住宅』だと思うのです。
これをあえて既存の3事業、高円賃、高優賃、高専賃を廃止してまでも一本化したというのは、非常に重い意味があると思うのです。危機感のあらわれだと思うのです。
市長は、数字としては低いと思ったけれども、この提供がされていないことをもって危機だとは思わないというお考えでしたが、改めて、本当に危機感を持たなくていいのか。もう一度、市長のお考えをお聞かせください。
市長の答弁
高齢化が進んで、特にひとり暮らしの高齢者世帯がふえてくる中で、そういった高度成長時代に開発された既存宅地に住み続けることがリスクにつながるおそれがある。これは共有いたします。
ただ、『サービス付き高齢者向け住宅』の提供が進んでいないこと、それをもって危機というふうに言うのには当たらないというふうに思っています。
フジノの再質問
その危機と思わない理由、先ほど、少し答弁されていたと思うのですが、改めてお答えください。
市長の答弁
市内には、既存の住宅ストック、言ってみれば、空き家あるいは空き家に準ずるような住宅というのがたくさんあります。
そういう意味では、住みなれた地域で暮らしていく。あるいは、もう一つ生活をダウンサイズするような必要があれば、また別の住居を見つけることができる。
この『サービス付き高齢者住宅』というのは、3事業を一本化した、すごく大きなことのようにとらえられるかもしれませんが、一方で、今までの高齢者円滑入居賃貸住宅あるいは高齢者専用賃貸住宅というのが、具体的にどれだけ不動産事業者あるいは住まれる方々にとってメリットがあることなのか、正直、余りはっきりしないところがあったというふうに私は感じています。
そういう意味では、『サービス付き高齢者住宅』の提供が進んでいないこと、それだけをもって危機ではないというふうに申し上げました。
フジノの再質問
その2つの点について、それぞれ反論させてください。
まず、住宅ストックが非常に豊富にあるから平気なのだという市長の根拠の説明でした。
しかし、住宅ストックが高齢者の方々が暮らしていくのに向いている良質な住まいなのでしょうか。改修をしなければ、バリアフリーでもない、また、坂の上にある、買い物も大変で、地域でみんなで助け合わなければ自立して生活ができないような、そういう場所なのではないですか。
住宅ストックは、確かに『数』はあっても、その『質』はいかがですか。
市長の答弁
『質』については、正直、千差万別のところがあると思います。
ただ、バリアフリーであれば、介護保険の中で改修することもできますし、谷戸の奥のほうにあって、車は入れない、自転車ももちろん入れない、そういったところに空き家があったところで、こうした高齢者向けに良質な住宅と言えるかと言われたら、決しては、そうではないというふうに思っています。
ただ、一方で、マンションを建設しても、新築のマンションでも入居者がなかなか入らない。そういうようなマンションも一方であります。そういったところについては、基本的にはバリアフリー仕様にもなっていると聞いています。
そういった意味で、千差万別という中で良好な住宅については活用していく必要があるだろうというふうに思っています。
フジノの再質問
続いて、他の質問ともかかわりますが、市長が現状のままで大丈夫だとおっしゃった2番目の根拠であるサ付きだけがいいわけではないのだと。既存3事業でさえも、決して、メリットが高齢者の方々にとってよかったわけではないのだというお話でした。
ただ、サ付きの整備が本市で進まない理由、この分析ともあわせて伺いたいと思うのですが、これまでの高優賃の提供や高円賃、高専賃の提供が本当にそれが必要な方に情報がきちんと届けられていたものだったのかというところが、まずあると思います。
議員になるまで、高優賃、高円賃、高専賃の違いも正直わかりませんでした。
私だけかもしれませんが、『フォレースよこすか』の前を通って、こういうものがあるのだなという認識しかなかった。
こういうのではだめだということで、一定の25平方メートル以上であるとか、それから、独立してセルフ・コンテインドという概念ですが、台所があって、そして、トイレもあって、お風呂もあってというさまざまな良質な高齢者向けの住宅の要件を守らなければ登録できないという『サービス付き高齢者向け住宅と』いう新しい事業をあえて打ち出したのは、これは、地域包括ケア実現の住まいの観点から、切り札だと私は考えているのです。
市長は、『サ付き』だけがいいわけではないというふうな認識でおられたようですが、そこは本当にそうなのでしょうか。
改めてお答えください。
市長の答弁
既存の住宅をまず活用すべきだという話を申し上げましたが、一方で、『サービス付き高齢者住宅』というものを考える上で、もう一つ対比すべきものは、『有料老人ホーム』であろうと考えています。
『サービス付き高齢者向け住宅』に関しては、おっしゃるような要件を満たせば、国からも建築費の補助が出たり、固定資産税の減免があったり、そういうメリットもあります。
一方で、『有料老人ホーム』に対して、国からのそういった補助があるかといったら、ほとんどないといっても構わないと思います。
けれども、実際に事業者の立場に立ってみると、『有料老人ホーム』が選ばれている。
その上で申し上げれば、高齢者の方々もそちらを選択されているということを考えれば、『サービス付き高齢者向け住宅』というのが切り札とまでは申し上げることはできないと私は考えています。
フジノの再質問
有料老人ホームを対比として市長は述べられました。有料老人ホームの有効性については、僕も認識しています。
それでは、少し角度を変えて、整備が進まない理由を、市長は、それぞれの民間事業者がそれぞれに判断して登録をしない。現状のまま行って、そして無登録ではあるけれども、賃貸住宅として事業を続けているというふうにおっしゃいました。
何故そうした事業者は、サービス付き高齢者向け住宅に移行することを選ばないと判断したと推測されますか。
市長の答弁
これは推測の域を出ませんけれども、例えば、25平米という面積要件がなかなかクリアしづらい等、既存の高齢者向けの円滑賃貸住宅や高齢者専用賃貸住宅等がサービス付きに移行しない理由というのは、本当に推測ですけれども、そういった面積要件等があるからではないか。
あと、生活相談のサービスなども、サービス付きの場合はつけなければいけないことになっていますが、そういったことも既存の住宅では事務室等が必要になろうかとは思いますが、そういう場所が用意できないなどの理由があるのではないかと。
ただ、これは、実際の事業者にヒアリングを行ったわけではないので、あくまで推測の中で答えさせていただきました。
フジノの再質問
25平米という面積要件や生活相談などのサービスをつけなければならないということをクリアするのが大変だから、既存事業者は移行しないのであればこそ、サービス付き高齢者向け住宅は良質な住宅であるということの証明になりませんか。
あくまで推測というふうにお答えになりましたので、僕は、あくまでも、サ付きを進めていくべきではないかというふうに考えております。
それから、都市部長が御答弁された2014年の供給量と割合について、パーセントはお答えできないという理由はなぜかといえば、次の質問にもつながりますが、やはり、本市が『高齢者居住安定確保計画』を自前で持っていないからだと申し上げざるを得ません。
有料老人ホームにも介護付きであるか、あるいは介護付きでない自立型であるとか、さまざまな類型があります。
今回、高齢者向けの住まいとして僕が申し上げたいのは、介護がついているようなものではなくて、見守りなどのサービスはあるけれども、住まいとケアを分離して、ケアは外から受ける。そして、住まいはバリアフリーであって、人感センサーや緊急通報などがある。それ以外は自立して生活していかれる。そういうような良質な住まいを大量に供給にしていくことが必要なのではないかというふうに申し上げてきたわけです。
そういった数字が現時点では横須賀市には無い訳です。
そして、先ほどの答弁にあったように、現状では0.13%しかない。
これを何とか2020年までには3,000戸から6,000戸ぐらいまで増やしていかなければならない。
ここには、やはり、計画的な取り組みが必要になってくるのではないでしょうか。
自立型であれば、有料老人ホームであってもいいと思います。
ただ、それをどの程度、整備していくのか。横須賀市として、どの『日常生活圏域』ごとに、どれぐらい配置が必要なのか。
せめて、そういった観点だけでも持たなければ、それは足りないのではないでしょうか。
そこには、『介護保険事業計画』だけでは足りない。都市政策や住宅政策の観点が抜けている。『高齢者保健福祉計画』『介護保険事業計画』だけでは足りないという思いが僕には強くあります。
そこで、改めて伺いたいと思うのですが、本市も、やはり、『高齢者居住安定確保計画』を策定すべきではないでしょうか。お答えください。
市長の答弁
『高齢者居住安定確保計画』について、その必要性ですけれども、おっしゃるようなハードの整備、特にサービス付きということを藤野議員はおっしゃられているわけですが、このハードの整備については、ほとんど『高齢者保健福祉計画』の中で見込んでいるというふうに私は認識しています。
今、手元に、神奈川県の『高齢者居住安定確保計画』があるのですが、こちらで供給目標というのを定めています。
それを見てみると、例えば、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、有料老人ホーム、認知症型グループホーム、そういったものが含まれていて、それぞれ『横須賀高齢者保健福祉計画』の中でほぼ書かれていること。
唯一あるとしたら、サービス付き高齢者向け賃貸住宅について、単独で4,500戸整備するという目標が掲げられている、その違いぐらいだというふうに認識しています。
もちろん、この計画の中には、福祉的な視点で住宅政策をとらなければいけないとか、そういった地域包括センターに対していろいろな期待をされていたりしていますけれども、そういった観点についても、福祉政策の中に住宅政策の観点を盛り込んでいれば、決して、実現できないことではない。
計画がなければ、前に進まないことではないというふうに私は認識しています。
フジノの再質問
県の計画は、僕は何度も読みましたけれども、あれは、余りにも大ざっぱで、地域包括ケアの実現にはとても足りない。
市長は、地域包括ケアは御存じですよね。何度も答弁しておられますから、当然、『日常生活圏域』、横須賀市で言えば、13の地域包括支援センターが行政センター管内ごとに必要なサービス、必要な住まい、そこで歩いて暮らせるような、それが地域包括ケアの実現だと思うのです。
『日常生活圏域』の実情が県の計画から読みとれますか。
『日常生活圏域』の充実をしていくことが地域包括ケアの実現につながりますが、県の計画で横須賀市の『日常生活圏域』ごとの地域包括ケアの実現に寄与できると思いますか。
やはり、市独自の計画が必要だと思いませんか。
市長の答弁
私も、この県の計画からは読みとれません。
実際、この計画は、ほかの自治体のものを見ても、やはり、このレベルというのが正直なところです。
もちろん、地域包括支援センターごとに、それぞれの地域包括ケアのあり方というのを考えていただきたいと思っていますが、それは、『高齢者居住安定確保計画』に盛り込まれるべきものではないというふうに認識しています。
フジノの再質問
『高齢者住まい法』第2条には、文章では地方公共団体と出ていますが、地方政府の責務・努力義務として、優良な良質な高齢者向けの住まいを供給しなければならないとされています。
それを果たす1つのあらわれが、僕は計画的な供給ではないかというふうに考えました。ぜひ、今後、その点を検討していっていただきたいというふうに思います。
そして、市長は「計画を作らなくても、日常的な福祉政策の中に落とし込んでいくことで対応できるのではないか」というふうにおっしゃいました。そこは、私も同感です。
ただ、現状の『介護保険運営協議会』に住まいの関係者を入れよという提案については、そのときどきのテーマに応じて、あるいは時宜に応じて参考人としてお呼びするのか、どういう形でお招きするのかわかりませんが、機会に応じてお招きするというふうにおっしゃいました。
それでは日常的な対応にならないのではないでしょうか。
きちんとメンバーとして入れることが必要かと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
御存じのように、『介護保険運営協議会』は、福祉の観点からの住宅政策のみを扱っているわけではありません。
そういう意味では、まずは案件ごとにそうした専門家の方の参加を求めて御意見を聞くというのがいいのではないか。
また一方で、政策的な反映とはまた別にはなりますけれども、『高齢者等住宅相談事業』というのを年に12回行っています。
そういう中で吸い上げてきた声というようなものは、ぜひ、そうした介護保険の運用に反映させていきたいというふうに思っています。
フジノの再質問
高齢者、そして、障害がある方向けの『住宅相談事業』は、非常に有効です。
ただ、これは先ほど申し上げた意識の高い一部の方だけが参加しているものです。
これまでどれぐらい参加されたか、ぜひ後で都市部長に統計を教えてもらってほしいのですけれども、僕が申し上げているのは、あまねく情報を提供していくこと。
今、その問題をわからない人であっても、早目の住みかえが実は後期高齢者になって重くなってから嫌なところに移るかのように『リロケーション』しなくてもいいのだよ、ということを伝えていかなければいけない。
早い住みかえこそが、実は地域で最後まで暮らしていかれる。
そういう新しいあり方があるということをアナウンスしてほしいという意味で申し上げました。
その意味で、『住宅相談会』の有効性は認めつつも「それだけは足りない」というふうに申し上げたいと思います。
そして、時間がありませんので、2点だけ最後に伺います。
まず、「再開発に岐阜シティタワー方式の導入を」という提案をしましたが、市長の答弁を確認させてください。もう1度、お願いします。
市長の答弁
岐阜は、保留床を行政なり外郭団体が確保するというような手法だったと思いますが、市としては、特に大滝町二丁目の再開発事業に関しては、都市機能の更新という意味で、商業や業務、そして、医療の施設というのを、まず民間活力をベースに入れていこうと。
その上で、バリアフリーに配慮した都市住宅の供給を行っていただこう、そのように考えています。
フジノの再質問
そこに横須賀市のお願いとして、要望として、「『高齢者向けの住まい』の供給も考えていただけないか」というような御意見を伝えることはできないのでしょうか。
市長の答弁
現在の段階ではありますけれども、既に、大滝町二丁目の再開発事業で供給される住宅には、高齢者向けの優良賃貸住宅と同等のバリアフリー設備があるというふうに聞いていますので、その点については御安心いただけるかと思います。
フジノの再質問
現状の大滝町二丁目再開発事業だけでなく、今後の再開発事業全般について、市からのお願いとして、そういった提案を行っていくことはできるのでしょうか。
市長の答弁
再開発といっても、いろいろな種類がありまして、さいか屋の跡地の開発と大滝町二丁目の再開発は、法的には別の枠組みで動いています。
そういう意味で、市の関与がある再開発事業については、そうしたお願いをできるかどうか、検討はしていきたいと思います。
フジノの再質問
最後に、アフォーダビリティについて、改めて市長に意識を持っていただきたいと思います。
新たな格差として、『高齢者向け住宅』に入れる人と入れない人が生まれては絶対にいけません。
本市だけでできないことがあれば、ぜひ国に意見を申し上げていっていただきたいと思いますが、最後に御答弁をいただきたいと思います。
市長の答弁
アフォーダビリティに関しては、家賃が払えない方々への配慮ということで、市としては、まず、『市営住宅の存在』というのが一番にあると思います。
また、それ以外という意味では、福祉政策、特に最後の最後では『生活保護』の制度というのが出てくると思います。
その上で、国に何か申し上げなければいけないことというのが出てくれば、現状は想定していませんが、それは国に対しても要望していきたいと思います。