2010年10月1日・本会議での討論(決算へ不認定の立場から)

藤野英明です。

議案87号・88号・94号の3つの決算議案の認定に対して、反対の立場から討論を行ないます。

決算に不認定の立場から討論するフジノ


3つの議案に反対する理由は全て共通しています。

この決算のもととなる平成21年度当初予算案に対して、平成21年3月5日の本会議の場で反対の立場から討論で僕はこのように述べました。

地方分権の時代においては、国や県よりも横須賀市がやるべきことは、横須賀市に権限と予算を返してもらう。

より市民の皆様に近い存在である横須賀市が行うほうが、もっとスピーディーに、もっと柔軟に、もっとよい取り組みができることは、国でも県でもなく、我が横須賀市が行うのです。

このように述べた立場から今回の決算審議に臨みましたが、その想いを強くせざるをえず、特に3議案に反対します。

それは、

政府によって決められた制度や財政支出であるとは言え、横須賀市がそれにくみして事務執行をすることは市民の利益を大きく損なうことにつながる

という点です。

国が決めた制度、国が決めた緊急経済対策、国が決めた補助金、それらを政府が決めたことだからといって、横須賀市が反論せずにただ受け入れ続けていけば、最終的には市民のみなさまが大きなダメージを受けることがあります。

これが決算審議を通して今回強く感じたことでした。

本会議場にて反対討論に立つフジノ



特別会計「後期高齢者医療費歳入歳出決算」への反対討論

まず、議案第94号『特別会計の後期高齢者医療費歳入歳出決算』についてです。

後期高齢者医療制度を導入した目的は、

これからの超高齢社会において、高齢者に一定の保険料を負担してもらうことで医療費を安定的に支えること、高齢者と若い世代が公平に医療費を負担することによって、高齢者に対する医療介護サービスの質を維持・向上させることだ

と政府は説明してきました。

しかし、実際に導入から2年間の決算を見てきましたが、そのまま『老人保健制度』を継続してきた場合を想定した推計と比べても、導入の目的であった効果が得られたとは全く言えません。

特に、高齢者に対する医療・介護サービスの質が維持・向上されたと感じている方はいるでしょうか。

むしろ、不十分だと感じておられる方々が大半ではないのでしょうか。

制度そのものに疑問を抱いてその導入に反対してきましたが、決算の結果からも改めてその想いを強めました。

したがって、決算議案も不認定とします。

後期高齢者医療費決算に反対討論を行ないました



特別会計「国民健康保険費歳入歳出決算」への反対討論

続いて、議案第88号『特別会計国民健康保険費歳入歳出決算』についてです。

政府がすすめてきた『療養病床』の廃止をすすめる為に、国民健康保険からも『病床転換支援金』を支出することが求められており、本市もこの決算において424万4638円を支払いました。

医療が高度に発展したことで長寿が可能となった日本ではありますが

「どのように生きるか」
 
「どのように死ぬのか」

という議論は、いまだ熟していません。

例え、脳こうそくなどによる全身の麻痺などから全介助が必要で、気管切開・経管栄養によって何とか命をながらえている状態だとしても、

ご家族は精神的・肉体的・金銭的にも重い負担に苦しみつつも見捨てることはできません。

現実には、『療養病床』での暮らしが唯一の生きる場である方々は非常に多く、また、入院や転院を待っている待機者もとても多く存在しています。

介護するご家族も大変に苦しんでいます。
 
『療養病床』はとても大切なライフラインになっています。

そのような中で、受け皿の整備が全く不十分なままに財政の観点からのみで『療養病床』の廃止をすすめるということは、政治と行政が高齢者とそのご家族を見殺しにすることと同じです。

したがって、『療養病床』の廃止をすすめる為の支出である『病床転換支援金』が計上される限り、僕は国民健康保険会計の予算決算の全てに反対します。


国民健康保険費歳入歳出決算に不認定の討論をしました

一般会計歳入歳出決算を不認定とする立場からの討論

続いて、議案第87号、平成21年度の『一般会計歳入歳出決算』を不認定とする理由を申し上げます。

平成21年度中は非常に厳しい経済危機に襲われました。

そこで政府は様々な緊急経済対策を補正予算で打ち出しました。

横須賀市にも国から何種類もの補助金が交付されました。
 
例えば、

  

  • 地域活性化・生活対策臨時交付金が2億4068万3000円

  • 地域活性化・経済危機対策臨時交付金が3億6670万円

  • 地域活性化・公共投資臨時交付金が1億9442万3000円

などです。

本市は財政がとても厳しい折ですから、「少しでも多くの財源を確保する為には国からの補助は受けられる限り多く受けるように」という方針をとっています。

しかし、政府が打ち出したメニューのほとんどが「場当たり的」で、「経済対策」にもならなければ「雇用対策」にもなっていません。

具体例を挙げれば、『緊急雇用創出事業』という名前の補助があります。

あらゆる部署で使われた補助金ですが、市民の方々数十名を『臨時職員』として6か月以内の間だけ雇用するものです。

雇用されたとしてもそのほとんどが「単純作業」をこなすだけで、今後の就職に役立つような「スキル」が身に着くことはなく、『雇用を創出する』という目的とは異なって、効果は「極めて限定的」でした。

こうした国からの補助金というのは、結局は『市民のみなさまの税金』です。

『国税』か『地方税』かの違いは法的なものに過ぎず、全て税金であることに変わりはありません。

こうした効果のない補助金をうけとって横須賀市がそれを垂れ流していれば、政府と同じく税金のムダづかいです。

もう1つ具体例を挙げれば、『グリーンニューディール基金』の創設です。

中核市である横須賀市は8780万円の国庫補助を受けました。

しかし、政府の無理なスケジュールで作られた基金なので、平成21年度は補助をうけとって貯金しただけです。

経済というのはおカネが循環しなければ意味がありませんが、この8780万円というのは政府がただ横須賀市に渡しただけで、生きたおカネの使われ方では全くありませんでした。

こうした補助の垂れ流しが全国で行なわれているのですから、最終的な税金の無駄づかいは相当な額にのぼるはずです。

決算審査を通してすでに申し上げたことですが、これらをはねかえせるのは『現場に最も近い市町村の生の声だけ』です。

本当に役に立つ税金の使い道は何なのか、どのような補助であれば本当に効果的なものとなるのか、横須賀市はそれを政府にぶつけていかなければなりません。

「国が示したメニューだから」「財源は国だから」「国が使えと言ったから」という発想で横須賀市がムダな補助を使いつづけていれば、それは大きな損失を市民のみなさまに与えます。

ここでは例を挙げきれないほどに、今回の一般会計においてもそうしたケースが非常に多く見られました。

特別会計で指摘した後期高齢者医療制度や『療養病床の廃止』についても全く同じです。

何が本当に市民の利益になるかは政府ではなく、横須賀市のことは横須賀市こそが知っているはずです。

横須賀市はそれを実行しなければいけません。

一般会計歳入歳出決算へ不認定の立場から討論しました


ぜひこの点を改善していくべきだと強く指摘して、僕の反対討論とします。


(フジノの反対討論は以上です)



横須賀市議会の採決の結果

これらの決算議案はフジノと想いとは逆に、市議会で「認定」とされました。

大変に残念です。