特別会計・公園墓地事業費補正予算への反対討論
議案第4号・平成23年度横須賀市特別会計公園墓地事業費補正予算(第1号)に反対する立場で討論を行ないます。
この補正予算案の内訳を申し上げますと、職員給与費や墓地使用料など年度末に発生する整理補正に加えて、土地開発公社に先行取得させたまま19年間塩漬けにし続けてきた土地を土地開発公社の解散に向けて一刻も早く債務解消を図ることを目的に『公園墓地基金』を取り崩して財源に充て、3億2542万円を支出して購入するというものです。
昨年12月議会における総務常任委員会での審議を経て、矢島委員長が土地開発公社保有の「事業展開が見込めない土地」を市が早急に買い戻すように強く要望する報告を行なってようやくこの塩漬けの土地の買い戻しが実現しました。
僕はこの総務委員長報告の方向性を強く支持しています。
しかし、今回、僕がこの議案第4号に反対する理由は、この支出の前提条件であるべき『第5期公園墓地建設事業計画の廃止』を吉田市長が明言していないからです。
総務常任委員長報告では「事業展開の見込めない土地」の買い戻しを求めているのですから、第5期計画の廃止決定も市長はセットで打ち出されなければなりません。
今回買い戻す「事業展開の見込めない土地」は第5期墓地建設計画の事業用地です。
新たに1万区画を増設する計画が立てられましたが、計画を実現するにはさらに民有地の買収を行なわねばならず、丘陵地である為に整地などに多額の事業費がかかります。
新たな墓地を求める市民の需要は減っている中で、この計画には採算がとれる見込みが全くありません。
時代のニーズに合わない第5期計画を廃止すべきことはすでに公明党のみなさんをはじめ、自由民主党の田辺議員らによって何年も前から市議会で繰り返し提案されてきました。
行政側も、歴代の担当部課長に加えて財政部長も議会側の提案が正しいことを認める答弁を行なってきました。
吉田市長自身も2009年の時点で「今すぐに第5期事業に着手することは困難と考えている」と答弁しています。
第5期計画を即刻廃止すべきなのは、すでに市議会でのこれまでの議論からも明らかです。
にも関わらず、市長が廃止を決断せずに先延ばししてきた為に塩漬け土地の金利400万円がムダに支払われ続けてきました。
昨年12月議会において総務常任委員長報告によって市議会側が市に土地の買い戻しを強く要望しなければ市はこの先もずるずると金利だけを払い続けていたはずです。
今回の議案4号を審議した予算決算常任委員会・都市整備分科会においても木下委員から今後のスケジュールについて質疑がなされました。
担当部局の答弁としては、「2011年度に実施した今後の横須賀市の墓地需要アンケートを現在は集計・解析中」とのことでした。
さらに今後については「2012年度の早い時期、およそ第2回定例会には官民を問わない横須賀市の墓地の今後の在り方についての方向性は示したい」とのことです。
まだ方向性を示すことが決まっているだけで「第5期計画の廃止うんぬんについては述べられない」とのことでした。
市長の政治決断が無ければ事務方は動けません。
これは明らかに市長の意思決定が遅い。
予算を使って墓地需要アンケートを実施するまでもなく、すでに市内の事業型墓地は、南葉山霊園を含め、約4600基余っている現状があります。
さらに、ありえない予測ではありますが、今後もし万が一新たな墓地需要が発生した時には
「墓地等の経営の許可等に関する条例」を改正すれば、民間事業者によって、十二分に対応することができます。
本市では条例によって民間事業者を墓地経営から制限しており、現在は横須賀市だけが独占的に行なえることに定めています。
しかし、昨年3月議会に請願が出された通りで意欲のある民間事業者は存在しており、他の市町村のように横須賀市でも墓地経営を公益法人に許可するように条例を改正すれば良いのです。
将来需要の変化があっても十分に民間で対応できます。横須賀市が行なう必然性はありません。
このように、あらゆる条件が整っている以上、あらかじめ廃止の結論が議案提出に併せてなされるべきでした。
結論をいまだ先延ばしにしたままで事業用地を取得するだけの補正予算には賛成できません。
先輩・同僚議員のみなさまは、何よりも土地開発公社の債務解消に一刻も早く取り組むべきという立場からこの議案には賛成されることと思います。
しかし、「一刻も早く第5期計画の廃止を決定すべきだ」との想いはみな同じだと考えています。
したがって、これまで結論を先延ばししてきた市長に猛省を促すと共に今後は第2回定例会を待たずに第5期計画の廃止取りやめを決断するように強く要望して、僕の反対討論とします。
以上です。