予算議会の1ヶ月間が終わりました。
最後の本会議において、フジノは当初予算案をはじめとする3つの議案への反対討論を行ないました。
その全文をこちらに掲載します。
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議案第17号・平成25年度横須賀市一般会計予算、第47号・長井海の手公園あり方検討委員会条例制定について、第67号・芸術劇場及びベイスクエア・パーキングの指定管理者の指定について
以上の3つの議案に反対する立場から討論を行ないます。
反対の最も大きな理由は、予算決算常任委員会と各常任委員会の審議を経て、美術館・芸術劇場・ソレイユの丘、
いわゆるハコモノ3兄弟に対する吉田市長の4年間の改革は失敗に終わったことがはっきりしたからです。
僕にとってハコモノ3兄弟との闘いは、「過去の政治」との決別の闘いでした。
こうしたハコモノ改革さえ実現できなければ、これから先の社会保障制度を守り継続していくというもっと大きな課題を実現することはできないことを意味しています。
かつては高度経済成長に支えられて税収も右肩上がりで、政治の仕事は「いかに利益を分配していくか」というものでした。
しかし今の時代は、政治の仕事はかつてとは違います。
どうしても防ぐことができない痛みが、常に市民のみなさまの目の前にあります。
その痛みをどうやったら少しでも減らせるか、一部の方々だけに大きな痛みが集中しないように、みんなでその痛みを分け合うことで、なんとか1人1人の痛みを減らせるように知恵を絞ることが政治の仕事です。
社会保障制度はかつてのように安心を与えてくれません。
医療も介護も年金も少しずつ受けられるサービスは減らされていき、逆に医療保険料、介護保険料は急激に値上がりしていきます。
そんな厳しい状況を少しでも改善するには、政治と行政には「やらなければならないこと」があります。
第1に、これから2025年と2050年までに2回の大きな厳しい時期がやってくるという現実を市民のみなさまに率直にお伝えすることです。
第2に、その先に必ずある希望をしっかりとお示しすることです。
ここから先はまだまだつらく暗く苦しく厳しい道のりが続くけれど、その長いトンネルを僕達の世代が乗り越えれば、
こどもたち孫たちの世代には今よりもっとまともな社会に必ず変えることができると、明確なビジョンを市民のみなさまに語りかけることです。
第3に、可能な限りの事業のカットを行なっていくことです。
例えば、かつて財政に余裕がある時代であれば、文化を守り、維持し、発展させていく為に、政治・行政が手厚い財政措置を行なうことができました。
けれども、今はもはやそのような財政的余裕はありません。
したがって、僕やかつての吉田市議がターゲットにしたように、美術館・芸術劇場などに対して行政はその関与をゼロにする、つまり撤退を含めた決定的なカットを行なわなければなりません。
こうした対応は決して政治・行政が「文化」を否定するものではなく、あくまでも財政的な余裕が無いという理由だけのものであって、いつか将来に財政が回復した暁には再びサポートを再開できますし、再開すべきものです。
ただし、それは2013年の今では不可能です。
同じく、長井海の手公園ソレイユの丘のような事業は、市民のみなさまの税金を財源として行政が行なうべきものではありません。
ここでカットした事業によって財源を生み出し、社会保障の維持に充てるのです。
第4に、市民のみなさまに対して、社会保障制度を守る為に保険料や使用料や料金などの負担の増加、つまり値上げをさせていただくことです。
事業のカットだけでは財源が足りることはなく、値上げしなければ、もはや制度そのものが守れないことから、率直に値上げの必要性をお伝えしていくべきなのは言うまでもありません。
残念ながら、この4つの「やらなければならないこと」は当初予算案にも市長の施政方針にも存在しませんでした。
まず第1に、市長は財政危機の現実をきちんとは語ろうとせずに、むしろ財政基本計画の目標が全て実現できたことを誇るような間違ったことを行なって来ました。
第2に、財政危機を乗り越えた先の未来にはどのような横須賀を次の世代に引き継ぐ事ができるのか、その希望やビジョンも明確に示すことはありませんでした。
第3に、ハコモノ3兄弟の改革も実現できず、今までの行政手法をただ継続することと小手先の新規事業に取り組むことだけを続けて来ました。
時には、大手広告会社の口先の旨さに踊らされているのに気づかず、まるで改革を行なっているかのように錯覚さえしてきました。
芸術劇場への指定管理者を新たに決めるにあたって、今までと違って「競争を取り入れた」と高らかに宣言しても、選ぶのは結局今まで通りの市の外郭団体でした。
ソレイユの丘のあり方を議論する検討会は、合計わずか4回だけしか開かれる予定はなく、業者に事業提案をさせて民間委託をするだけのことですでに結果は見えています。
吉田市長には、抜本的に変えることはできません。
そして何よりも慎重かつ丁寧に取り組むべきにもかかわらず、対応を誤ったのは、第4、値上げについての市長の姿勢です。
第3のハコモノ改革を徹底的に行なった上で、生涯を通して切れ目の無い健康づくり支援体制づくりを行なった上で、あるいは値上げせざるをえない理由を長い時間をかけてしっかりと市民のみなさまにご説明した上で値上げを行なわなければならないのに
そうした丁寧な取り組みは全く行なわず、唐突な提案によって市民の受けるダメージが大きい値上げでした。
これでは値上げの必要性をご理解いただくどころか、拒否感と反感を市民のみなさまに抱かせるだけです。
こうした政治行政がやるべきことを行なわないままに、提案された当初予算案、そして市長の施政方針も含めて、賛成できる部分はありませんでした。
同じ改革を目指したかつての同志として、あまりにも残念な4年間でした。
以上のことから、議案第17号・47号・67号の3つの議案に反対します。
これで僕の討論を終わります。