藤野英明です。
2つの議案に賛成の立場から、3つの議案に反対の立場から討論を行ないます。
まずは賛成討論です。
病院事業会計予算への賛成討論
「議案第25号・平成26年度横須賀市病院事業会計予算」への賛成討論です。
今回の予算案には、市民病院の小児科入院診療を廃止してうわまち病院に集約・統合する内容が計上されています。
僕は、医師不足に苦しむ「横須賀三浦2次保健医療圏」において、小児科を含めた周産期医療を守る為にはどう対応すべきかを考え続けてきました。
やはり医師の招聘が難しい以上、1ヶ所に集約をして高度な医療を守るしかないと政策判断をしました。
したがって、今回うわまち病院に集約する事そのものは正しいと考えています。
西地区のみなさまにはご不安とご負担をおかけすることになり、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ、この集約によって「横須賀三浦2次保健医療圏」の小児科医療そのものが何とか守られると信じていますので、予算案そのものには賛成します。
しかし、ここに至るまで横須賀市がとったプロセスは、最低・最悪なものでした。
本来、医療環境の大きな変化はきちんと長期的な「ビジョン」をあらかじめお示しして取り組むものです。
特に住民のみなさまに大きなご不安やご負担をおかけするような変化が起こる場合には1年以上かけてしっかりと説明を尽くして、話し合いを重ねることで、みんなの合意を得ることが絶対に必要です。
本来であれば、市民病院の小児科入院診療の廃止にも1年間の猶予がありました。
そもそも指定管理者である地域医療振興協会から小児科を集約したいという話が最初にあったのは、昨年の3月でした。
しかし、市長はこの話を市民のみなさまにも市議会にも一切知らせませんでした。
何故ならば、6月の市長選挙の直前だったからです。
「自分の選挙に不利になることだから情報を隠したのだ」と僕は受け止めています。
そして、地域医療振興協会に「とにかく現状を維持するように」と伝えて、指定管理者に市民病院の小児科入院を1年間維持させました。
けれども吉田市長のせいで、この1年間、小児科ドクターの疲弊はさらに高まったのだと断じざるをえません。
「もはやこれ以上、現状を維持できない」という地域医療振興協会からの今回の申し出によって、「もはや限界だ」という現実に引きづられる形で『ビジョン』も何もないままに、うわまち病院に集約することになりました。
西地区をはじめ、市民病院を利用してこられた方々のコンセンサスなどは全く得られていません。話し合いもゼロ、説明も全く不十分で、誰が納得できるでしょうか。
西地区の方々から陳情が出されたことは当然のことだと思います。
吉田市長によって、小児科医師の方々、西地区をはじめとする市民病院を利用してこられたみなさんは犠牲になったのです。
2025年を前に、医療環境は今後全く変わります。
今後、うわまち病院の建て替えをはじめ、市民のみなさまのご不安やご負担が大きくなることはいくつも起こります。
その時に、吉田市長は2度と今回のような情報隠しや先延ばしはしないで下さい。
どんなに細かな情報でもすぐに出して、広く市民のみなさまに説明して、議論を尽くすべきです。
市長に強く猛省を促して賛成討論とします。
医療費助成条例中改正への賛成討論
次に、「議案第34号医療費助成条例中改正について」の賛成討論です。
これは、
という内容です。
そもそも県が全額補助でスタートしたこの制度でしたが、県が補助をどんどん減らしていく中で、横須賀市は市単独の財源でこの制度を守ろうとがんばってきました。
しかし、その後も県は補助を減らし続けて、一部負担金の導入、年齢による適用除外、所得制限の導入などさらに厳しい見直しを行ないました。
また本市として今まで制度の対象になっていなかった重度の精神障害のある方々を新たに対象に加えたことなどから、今後も制度そのものを維持していく為には、財政的な理由からやむなく本市でも年齢による適用除外を行なうことになりました。
僕はこの条例改正に賛成の立場ではありますが、10月からの執行にあたってひとこと要望を申し上げます。
僕の父と母は、2人とも障害者1級です。
この両親を長男として僕は経済的に支えてきました。
世間では政治家の収入は多いとみられていますが、この数年間、特に父の医療費を捻出する為に毎日必死でした。貯金も底をつき、キャッシュカードで借金をして、医療費と生活費を工面せざるをえない暮らしでした。
父がこの重度障害者医療費助成制度の対象になって助成がいただけたことは本当にありがたかったのですが、「それでも焼け石に水だった」というのが我が家の家計の実態でした。
このような自らの体験に則して語ると、年齢制限が導入されることできっと同じように経済的に苦しい想いをする市民の方が、ご本人ご家族それぞれの立場で増えるのだろうと思います。
けれども、より重度の方を守り、制度そのものを守ることが今『最優先の課題』である以上、年齢制限の導入に賛成せざるをえない、苦しい気持ちです。
今後、横須賀市としては、重度障害者医療費助成制度を65才以上で初めて障害者手帳を取得した方は、
「今後は後期高齢者医療制度によって本人と同一世帯の方の収入により医療費の事故負担割合が1割になるので活用してほしい、などの他の制度をきめ細かく丁寧に案内することで精神的・経済的な不安が少なくなるよに努めていく」
と述べています。
10月からの執行にあたっては、絶対にこの約束を守って、他の制度による支援をきちんと丁寧にお伝えすること、また、ご本人ご家族の精神的な支援をしっかり行なっていくように強く要望し、賛成討論とします。
ここからは反対討論です。
職員定数条例中改正についてへの反対討論
「議案第29号・職員定数条例中改正について」は、反対です。
市民のみなさまの健康を守る為に、国民健康保険を担当する部署に新たに保健師らを配置するという対応をとったわけですが、くりかえしくりかえし提案してきた管理栄養士の配置が行なわれませんでした。
そもそも生活習慣病予防、生活不活発予防の為には『食生活の改善』が極めて大きな位置をしめています。
にもかかわらず今回の本市の対応では不十分です。
「今後、補正予算を組んででも必ず管理栄養士の配置を行なうべきだ」と強く要請して反対討論とします。
長井海の手公園ソレイユの丘と荒崎公園の一体管理への反対討論
「議案37号・指定管理者選考委員会等条例中改正について」「議案38号・都市公園条例中改正について」の2議案は、
長井海の手公園ソレイユの丘と荒崎公園を一体にして指定管理に出す、という内容が含まれています。
かねてから、テーマパークであるソレイユの丘と、全く性質の異なる荒崎公園を一体的に扱うことに僕は反対してきました。
特に、市民のみなさまに愛されてきた荒崎公園の管理が二の次にされてしまうおそれがあります。
したがって今回の両議案に反対します。
一般会計予算への反対討論
最後に「議案第16号横須賀市一般会計予算」についてです。
これは、本当に問題の多い予算案でしたので、当初、僕は1つずつその問題点を指摘する討論原稿を用意していました。
でも、やめました。
今、議場におられる市議会のみなさまにお聞きしたいのです。
この原案に本当にこころから納得して、賛成をなさるのでしょうか。
本会議での代表質問、各委員会での質疑、全てを観ました。
会派を超えて、誰もが「おかしい」と感じた問題点がいくつもあったはずです。
今回、初めて僕は予算の修正に主体的に関われるかもしれない機会がありました。
けれどもそれはいろいろな圧力や懐柔策があって、潰れてしまいました。こんなことが起こるのかと大きなショックでした。
何故ならば、どんなにダメな予算案であっても、今日、市議会がこれを認めて可決すればそれは『市議会の予算』になるのです。
もはや「市長が提案した予算はダメだ」というような批判はできず、今日からは『市議会が承認した予算』になるのです。
市議会のみなさま、この予算案は本当に胸をはって「僕たち市議会が認めた予算なのだ」と市民のみなさまにお伝えできるものでしょうか。
2025年問題、人口減少、谷戸にお住まいの方々、横須賀に住み続けたくても離れていかざるをえない方々、悩みながらも一生懸命に子育てをしている方々、低所得や貧困の家庭に生まれてもなんとか暮らし続けているこどもたち。
この予算案で良いのでしょうか。
みなさん、本当は良いと思っていないじゃないですか。
僕は、みなさんと一緒に修正案が作りたかったです。
市議会には、あらゆる形で圧力もあれば、懐柔策もあると思います。
でも、それらをはねのけて、正しいと信じる政策の為に、信念をどうかみなさまには貫いていただきたいのです。
こどもたちは、親を選べません。そして、親たちもまたその親を選ぶことができませんでした。
だから、貧しい暮らしに生まれれば、そこで必死にあがきながら生きていくしかありません。
それを本人の努力で変えることもできるかもしれません。
けれどもそれは本当にごく一部の優れた能力や才能を持つ方々だけです。
ほとんどのこどもたち、貧困や低所得世帯に生まれたこどもたちの未来をなかなか良い方向に変えることはできません。
それを変えることができるのは、政治の力しかありません。
僕たち政治家には、こどもたちを守る為にもっとできることがたくさんあります。
今回の予算では、一致団結して修正をすることができませんでした。
けれども、どうかこれから先はみんなで一致団結して、正すべきところは正していきたいのです。
「2期目に当選したばかりの市長の予算案を修正することは、予算に傷がつくことだ」
と僕は言われました。
でも、市長のメンツとかそんなものは市民のみなさまの暮らしとは全く関係がありません。
僕たちが守るべきものは、市民のみなさまです。
どうか市議会のみなさま、市民のみなさまの暮らしを守る為の市議会であり続けて下さい。
そのことを議場のみなさまに深くお願いして、僕の討論を終わります。
ありがとうございました。