新型コロナウイルス対策で第8次補正予算案が組まれました
わずか1年間に補正予算が8回も組まれるのは極めて異例なことで、フジノの18年目となる議員生活では初めてのことです。
それほどまでに新型コロナウイルス感染症は人々と社会に大きなダメージを与えており、政治・行政のやれることは全部やるというのが上地市長の姿勢だと受け止めています。
こうして組まれた第8次補正予算案ですが、たくさんの事業から構成されています。
そのほとんどに賛成するものの、目指しているゴールに対して、その方法論・手段をもう少し改善したらより良い結果が得られるのにとフジノは感じました。
その中から『高齢者への新型コロナウイルス検査助成事業』について取り上げて、本会議場で討論を行ない、改善点を指摘しました。
高齢者への新型コロナウイルス検査助成事業とは・・・
議会への説明資料では以下のように記されています。
(1)補正の理由
国の予備費で措置された疾病予防対策事業費等補助金等を活用し、新型コロナウイルス感染症に関する本人希望による検査費用(保険適用外)を助成するため、増額補正を行います。
濃厚接触者等ではなく、無症状であるが自らの感染状況に不安を持ち、活動を控えている高齢者が安心して活動を再開できるように検査費用を助成することで、コロナ禍に起因する高齢者のひきこもり状態を解消するとともに、フレイル予防に寄与します。
(2)事業の概要等
①概要
協力医療機関でPCR検査等を受けた際の費用の一部を助成します。
検査については、一般社団法人横須賀市医師会に委託し実施します。
②対象者
受検日時点で65歳以上の無症状高齢者で、新型コロナウイルス感染症に関する検査を希望した人
③対象となる検査
感染症法に基づく行政検査以外の本人希望により行う以下の検査
・ PCR検査
・ 抗原定量検査
※ 抗原定性検査は対象外
⑤対象医療機関
市内の協力医療機関(市医師会に登録する医療機関と調整中)
なお、行政検査体制を確保する観点から、県内の行政検査実施数が一日当たり3,000件を超えた場合には事業を中断します。
横須賀市がご高齢の方々にアンケートを取ったところ、感染を恐れて外出を控えるようになった方々が多いことが分かったとのことです。
このままではコロナ感染は防げても、介護が必要な状態になったり、今よりも心身の状態が悪化してしまいます。
その為、PCR検査・抗原定量検査を受けやすくすることを通じてご高齢の方々を外出や活動に誘いたい、というのがこの事業の目的です。
この事業に対して、フジノは次のように改善点を指摘しました。
フジノが行なった討論の全文です
藤野英明です。
議案第119号令和2年度一般会計補正予算第8号中、福祉部による『高齢者への新型コロナウイルス検査助成』835万8000円の増額補正について、賛成の立場から討論を行ないます。
本事業は、濃厚接触者等ではなく無症状であるが、自らの感染状況に不安を持ち、活動を控えておられるご高齢の方々が安心して活動を再開できるように検査費用を助成することで、コロナ禍に起因する高齢者のひきこもり状態を解消するとともに、フレイル予防に寄与することを目的としています。
分科会での質疑を受けて、事業の執行にあたって、2点申し上げたいことがあります。
まず第1に、自己負担の金額についてです。
本事業では、PCR検査と抗原定量検査の2つが選択肢として存在しますが、「PCR検査を受けたい」と希望される方(こちらの方が圧倒的に多いと思われますが)への対応について特に申し上げたいことがあります。
補正予算案が可決すれば、ご高齢の方のうち生活保護世帯ではない方は自己負担が1万円で、生活保護世帯は無料で検査が受けられるようになります。
生活保護を受給しておられない圧倒的多数のご高齢の方々は利用者負担が1万円という価格設定となっています。
本日、具体的なデータを議会のみなさまにお示しできないのが大変申し訳ないのですが、率直に申し上げて、本市の人口の約4割近くを占めているご高齢の方々の中には裕福な方もおられれば、1万円を新たに捻出することが難しい方々もたくさんおられます。
本来でしたらおひとりおひとりの所得に応じて補助金額に段階を設けていただきたかったです。
例えば、所得によっては自己負担が5000円でPCR検査を受けられる、また3000円で受けられるといったようにしていただきたかったです。
現在のままでは、1万円を払うことができる人だけが、つまり比較的裕福なご高齢の方だけがPCR検査を受けられるといった格差が生まれるような取り組みになってしまっています。
こういうあり方は大変に残念です。
そこで執行に際しての対応として強く要望したいことがあります。
検査にはもう一方の選択肢として抗原定量検査があります。
こちらは生活保護を受けておられないご高齢の方々は自己負担1500円で受けることができます。
執行にあたっては、所得によって1万円を支出することは難しいが1500円ならば支出することができる。PCR法による検査を受けたいという方々については抗原定量検査についてその検査の内容や得られる結果についてぜひ丁寧にご説明をしていただきたいです。
PCR検査とは方法は異なるけれども、感染について陽性・陰性の一定の結果を得られるものだということ、このことをご理解いただき、抗原定量検査についてもぜひ受けていただけるように
つまりPCR検査を1万円支払うことができない方々であってもご不安をお感じの方々には抗原定量検査を受けていただけるようにぜひ丁寧な対応をしていただきたい。
このことを強く要望します。
第2に、生活保護世帯の方々についてです。
生活保護世帯については分科会質疑によると希望者全員が誰もが検査を受けられるというのではなく、「ケースワーカーと協議しながら本当に必要な方に対して調整していく」との答弁がありました。
本当に必要な方というのをケースワーカーが判断できるのか、大変に疑問を感じましたので、この点については、分科会終了後に改めて健康長寿課と生活福祉課にお話を伺い、
「いわゆる生活パターンや健康そのものな方についてはお控えいただく」
という趣旨とのことでした。
これによって検査を無尽蔵に誰もが受けられることによって検査体制が崩壊することを防ぐことも目指しているとのことでした。
この点についても指摘したいことがあります。
外見的には健康にみえても、精神疾患・精神障がいのある方については、ご高齢の方々に限らず、新型コロナウイルス感染症に対して強い不安を抱えていて、すでにひきこもり状態となっている方々が多数おられます。
フレイル予防や要支援・要介護度が悪化するのを防ぐのと同様に、ケースワーカーによる協議においては精神疾患・精神障がいのある方々のひきこもりを防ぐ為にもぜひ対象として頂きたいと申し上げます。
繰り返しになりますが、毎日のご相談の中ではご高齢の方に限らず精神疾患・精神障がいのある方の新型コロナウイルス感染症への不安感の高さは、病気からくるものもあり、とても高いものがあります。
こうした方々の不安を少しでも取り除いて、再びデイケアや、障がい福祉サービスにアクセスできるようにする為にもケースワーカーによる協議においては精神疾患・精神障がいのある方々もぜひ対象に含めていただけるように強く要望します。
事業目的を実現する為にも、執行に際して以上2点の要望を申し上げました。
以上をもちまして賛成討論を終わります。ありがとうございました。
補正予算は可決されました
採決の結果、多数の賛成(反対2名)で可決されました。
実際に予算が執行されるにあたって、フジノの提案が取り入れられることを強く望みます。