同性パートナーの婚姻届の不受理証明の発行について他、2015年度予算案を通じた性的マイノリティ支援に関する質疑/2015年予算議会での質疑

フジノの質問

では、予算説明書の前から順番に質問させていただきます。
 
まず歳入の中で、窓口サービス課に以前も伺ったことなのですが、戸籍手数料の中に『受理証明書』という欄がありまして、これは婚姻届などの受理に対して証明書を発行する訳ですが、昨年6月議会と同じ趣旨の質問をさせて下さい。
 
現在の憲法24条第1項に照らして、基本的に異性カップルのみを受理する、そして『受理証明書』も異性カップルにのみ発行するという立場を今後もとられるということでよろしいのでしょうか。



窓口サービス課長の答弁

 
戸籍法上の婚姻につきましては、男女の異性の婚姻を前提としております。



フジノの質問

 
それから、以前青森市が『不受理証明書』を出したという話を僕は質疑で申し上げたのですが、横須賀市は『不受理証明書』というものを発行する準備はあるのでしょうか。



窓口サービス課長の答弁

 
『受理』の証明はいたしておりますが、『不受理』の証明はしておりません。



フジノの質問

 
『不受理証明書の発行』というのも1つ提案させていただきたい、というのが正直な気持ちとしてあります。
 
『婚姻届』を同性パートナーが出す。

それは本気の想いで『不受理』になるのは憲法24条でみんなわかっているのです。

でも、『婚姻届』を出したということを『不受理届』をもって、逆の意味で証明できることにもなるのです。
 
ごめんなさい。ひねくれた質問ですが、ですから「横須賀市が『不受理証明書』を発行するぐらいに、私たちは同性パートナーとして本気なのだ」ということで、逆の意味で民間の事業者、例えば不動産屋業者には有効だと僕は考えているのです。
 
条例をつくったりするのは本当に難しいけれども、こういう細やかな、少し知恵をひねってみたら、実は同性パートナーを応援する仕組みになるのではないか、というふうに思っております。

実は市長との質疑の間にも言うかは悩んでいたのですが、市長よりも市民部と直にお話しした方が分かっていただけるのではないかなと思って、今質問させていただいているのです。

横須賀市の現行の仕組みでは、『不受理証明書』というものは存在しないけれども、今後そういうもの(不受理証明書)を発行してほしいという人が現れた場合、発行できる可能性はあるのでしょうか。



窓口サービス課長の答弁

 
方法に規定がありませんので、可能性としては無いと思います。

あくまでも『受理証明書』は戸籍法の48条という条文に基づくものでありまして、『不受理証明』という規定はありませんので、ですからもし検討するとしたら、法とは別の制度の中で、実際に実施しているところなど、照会などして研究してみたいと思います。(*後日訂正がありました)



フジノの質問

 
ありがとうございます。
 
青森市が求められて『不受理の証明』を出した、という事例があるので、ぜひそれはお調べいただきたいなというふうに思います。
 
続いて、人権・男女共同参画課長、よろしくお願いいたします。
 
『人権施策推進会議』委員会出席報酬として4回が計上されています。

これは本年度定めた「翌年度やるよ」というテーマを議論するための予算というふうに受けとめています。
 
今回、市長に対して質疑を行わせていただいて、『同性パートナーシップ制度』や『婚姻に相当する関係と認める証明書の発行』に関する先行事例を研究してほしいというふうに、2つの場について言及したのですが、『人権施策推進会議』と『性的マイノリティ関係課長会議』を提案したのですが、市長はあえて『人権施策推進会議』の場については、言及していただけなかったのですね。
 
この『人権施策推進会議』を定期的に定められているテーマ以外に、今、全国的に話題になっている問題なのだから、追加でもう1回開催して取り上げるということはできないものなのでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
来年度につきましては、予算で4回と定めさせていただいております。

また、今年度の最終回で、例年そうなのですけれども、来年度のテーマを何にしましょうかという形で議論させていただいた中で、来年度は『男女共同参画』についてぜひ議論をしたい、というふうなお話になっておりますので、現段階では4回をその議論に費やす、そのような心積もりでおります。
 
市長が答弁させていただきましたように、『関係課長会議』は、セクシュアルマイノリティに特化した会議ですので、そちらのほうで十分にさまざまな課題についての議論を尽くしていきたいというふうに考えております。



フジノの質問

 
続いて、『性的マイノリティ関係事業』の実施についてお伺いします。
 
拡大事業というマークをつけていただいているので、かなりいろいろなことを熱心にやっていただいていることは承知しております。
 
市長への質疑の中で、『同性パートナー』が現在被っている実質的な不利益とか、実質的な人権侵害をなくすための対応策についての検討状況と具体的取り組みをお伺いしたところ、「まずは人権課題であるということを知ってもらうことがゆくゆくは不利益や人権侵害を減らすことにつながると考えている」というふうにお答えになったのです。
 
ただ、僕は世の中の人権課題について、『解消されたという状態』になったことを見たことがない。

アフリカ系アメリカ人の問題について公民権運動が起こったけれども、いまだに差別は残っていて、何かが解決されたという状態を見たことがない。
 
その解決をもって、次に同性パートナーシップを認めるかどうかについての議論を始めていこうなどと言っていたら、永遠に待つしかないのではないかというふうに僕は正直感じたのです。
 
その中で、市長に「検討した結果、平成27年度どんな事業をやるか」というのを聞いたところ、ここに掲載されている『市民向け講演会』、『職員向け研修会』『啓発リーフレットの作成』『展示パネルの作成』というふうにお答えになりました。
 
この4つでそのゴールにどれだけ近づけるというふうに想定した上で、今回予算に計上されておられるのか、市長がおっしゃっているのは、物すごい遠い道のりだと思うのですけれども、百歩のうち0.何歩進めるのかなというような気がしているのですが、答弁を実際に書かれたのは課長だと思われるので、どんなふうにお考えの上で、この事業を挙げて、あのような答弁になったのか、お聞かせいただければと思います。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
確かに、人権課題というものは奥深くて、ゴールというものはきっとないと思います。
 
例えば、直近にあるものが解決を仮にできたとしても、またさらに新たな課題が出てきたりして、ゴールというものは永遠にないので、一つ一つの取り組みをしっかりと行いながら、目前の課題を1つ1つクリアしていくことも重要だとは思っています。
 
例えば、渋谷区の証明の話を例に取り上げさせていただきますと、証明書を仮に行政が発行したとしても、その証明書を提示された側の方たちがその課題について、全く理解がされてないということであれば、それは全くと言ったら少し語弊があるかもしれませんが、意義が薄いものになってしまうのではないかと思います。
 
そのためにも、まだセクシュアルマイノリティが人権課題だということがなかなか多くの方に認知されていないような状況があるのではないかというところに思いを寄せまして、来年度は特に市の職員、それから市民の皆様に「人権課題であるのだ」ということを十分に理解をしていただく。

そういったところに力を入れて取り組みたいというような思いで、来年度の事業を計画させていただいたというところでございます。



フジノの質問

 
ありがとうございます。
 
おっしゃる意味はとても共感できることばかりなのですけれども、どこかで踏み切らなければならないのだろうなというのも、同時に感じております。
 
予算に戻りまして、具体的な質問なのですが、これまでも横須賀市は本当に全国に先駆けて、研修をずっと繰り返してきて下さった。

研修にも終わりはないことも承知しています。
 
ただ、平成27年度さらにどんなことをやるのだろう。全職員に順番にやっていくというのも、もちろん大事だけれども、一体この先さらに何をやるのだろうというふうに、すごく関心があります。

市民向け講演会、職員向け研修会、それぞれにどんな内容を想定しておられるのか、お話ししていただければと思います。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
まず、『市民向け講演会』ですけれども、昨年生涯学習課主催の人権セミナーで講師を務められたセクシュアルヘルスアドバイザーの方、これは当事者の方になりますが、この方のお話というものは私も拝聴しておりまして、セクシュアルマイノリティを理解するのに、とてもふさわしい内容だと思いましたので、できればその方にお願いをして、市民の方約200人ぐらいの方を対象に、講演会を開催したいというふうに思っております。
 
それから、職員研修につきましては、セクシュアルマイノリティに横須賀市が取り組み始めて以来ずっとお世話になっておりますNPO法人で、今年も職員向けの研修会で講師を務めてくださった方、そちらの方に御依頼をしまして、市の職員としてどのような心構えで、例えば来庁される市民の方等々に対応していくかというような視点でのお話をしていただきたいというふうに考えているところでございます。



フジノの質問

 
『市民向け講演会』については、よく承知しました。

講師の方も承知しておりますし、講演会にも一緒に出席させていただいたので、すばらしい内容だったというのも承知しております。
 
『職員向け講演会』なのですが、どんな職員を対象にして行うか、既に横須賀市は相談業務に従事する職員向けにもやっていますし、学童保育、保育園、幼稚園、小学校、あらゆる立場の職員向けにもやっておりますし、この間は課長職向けにもやっていただいた。人権擁護委員向けにもやっていただいた。新年度はどんな職員向けに研修を行うのか、お聞かせください。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
来年度も端的に申し上げますと「課長を対象に実施したい」というふうに考えております。
 
今年度、課長は研修室等々の関係で30名ほどしか出席できませんでしたので、また逆に相談業務を担っているような所属の課長、それから『セクシュアルマイノリティ関係課長会議』の課長等々は、それなりに理解が進んでいると思いますが、まだこれまでそういったところになじみの薄かったような組織、そういったところの課長に来年度はぜひ積極的に参加していただく、そのような形で進めたいと思っております。



フジノの質問

 
ささやかな望み、希望ではあるのですが、以前健康部といろいろ質疑をしたときに、自殺対策の研修を受けてくれた方、ゲートキーパー研修と呼んでいるのですが、終わった方はこのカタバミの横須賀市の自殺対策のピンバッジをプレゼントするというふうになっていて、実際にこういう研修を終えた方には、レインボーの何らかのピンバッジがいいのか、シールがいいのか、わかりませんが、お渡しするようなことをやっていただけないかなというふうに、それがその同じ研修を受けたあかしというか、市長もゲートキーパーのバッジをつけてくれていて、上下水道局長もつけてくれていて、お互い同士しかわからないのですけれども、「あの人は理解をしてくれる人なのだな」というのがわかるのですね。
 
その研修を受けたあかしみたいな、同時に対外的な発信にもなる何かをお考えいただけないものでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
とても重要な視点だと思いますので、今後ぜひ検討させていただければと思います。



フジノの質問

 
続いて、『展示パネル』の作成について伺います。
 
これまでは『いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン』からパネルをお借りするという形だったと思うのですが、今回あえて『展示パネル』を作成する理由というのは、なぜなのでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
今までも、お借りしていたA4のものを自前で拡大コピーをして張るという形をとらせていただいていました。
 
そうすると、どうしても鮮明さだったり、見栄えで見劣るところがございましたので、今回予算を計上させていただきましたのは、専門の業者にお願いをして、拡大印刷をしていただきたいというような、そんな思いで計上させていただいた予算ということになります。



フジノの質問

 
これも予算自体は1万5,000円と小さいものではあるのですが、全国で見たら過去にこれをやったのは、東京都の自殺対策の交付金か何かで『いのちリスペクト、ホワイトリボン・キャンペーン』をやって、多分全国で2例目だと思うのですよね。

だから、本当に誇るべき取り組みだと思うのです。
 
ただ、それがなかなか知られないのが残念だなという思いでいます。
 
それで、市長との質疑の中で『パネル展示』を子どもに実際に目に触れる場所でやらせてもらえないか、それから展示場所も公共施設では拡大してもらえないかという御質問をしたところ、学校についてはほぼノータッチの御答弁だったのですね。
 
それは教育委員会から市民部に「開催は無理だよ」というふうに言われてしまったのでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

  
そういったお話は、直接的にはいただいておりません。



フジノの質問

 
市長部局への質問であった展示場所の拡充については、市長は満額回答というか、まだやっていない図書館でやっていきたい。それから、行政センターなどでやっていきたい。市が手を出せるところは、それぐらいだと思うのです。
 
上下水道局に展示してもしようがないというか、少し趣旨が違うので、次の狙いというか、本当に必要な相手というのは子どもたちだと思うのですけれども、例えば『青少年の家』ですとか、子どもたちが実際に目に触れる場所に展示をするというのは、他部局からは理解はなかなか得られなかったというような感じなのでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

 
まずは、子どもたちということもあるのですけれども、多くの市民の方の目に触れてほしいという思いで、来年度は行政センターというのを1つ考えたところです。
 
あと図書館での拡充というのは、図書館ですと『展示パネル』と同時に、『関係図書のコーナー』を設けて、そういったものを手にとっていただけるというようなこともあろうかと思いますので、まずはそこから始めたいというのが来年度の思いでございます。



フジノの質問

 
そうすると、僕が最も危惧している市役所の中で市民部だけがきちんと理解をしていて差別もなく、けれども、教育委員会もこども育成部も拒否をしたと、そういうことではないのですね。



人権・男女共同参画課長の答弁

  
そういったことではございません。



フジノの質問

ありがとうございます。
 
ぜひ課長向けの研修などがさらに繰り広げられていって、再来年度には学校や子どもたちが直に目に触れる場所で、そういった『パネル展示』が見られる、自分のセクシュアリティに悩んでいる子どもが自分は別におかしくないのだと思えるような取り組みに拡充されていくといいなというふうに願っています。
 
続いての質問なのですが、『当事者との意見交換会』の開催について伺います。
 
これは大体年2回ほど開催されていますが、新年度はどの程度の開催を予定しておられるでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

  
これにつきましても、毎年たしか5月ぐらいに関係NPO法人の御尽力で開催させていただいていると思いますが、平成27年度も同じような形で開催できればというふうに考えております。



フジノの質問

 
実は今回市長との質疑の中で、市長に御答弁いただいたのですが、『同性パートナーシップ制度』などについても話題として取り上げて、当事者の方の御意見も聞いてほしいと、意見交換会の場でもぜひ聞いてほしいということに対して、「ぜひ聞いてみたい」ということは御答弁いただきました。
 
これまでは、NPO法人や僕が声をかけさせていただいた横須賀市民のセクシュアリティが多様な方に来ていただいていたのですが、どこかで僕は『広報よこすか』などで、実際に公募をかけて、

「セクシュアリティの悩みがある方、大人でも子どもでも構いません。来て、生の声を聞かせていただけませんか」

という、かちっと決まった10数名と決まった場ではなくて、一度御意見を聞けるような場を設けられないのかというのを特に感じるのです。
 
障がい福祉関係の部署の質疑では、障がいのある当事者の方や御家族が集まって、一斉に意見を言える場というのがかなりたくさんある。
 
でも、まだセクシュアルマイノリティとされる方々については、そういった場がなかなかなく、顔見知りの人だけが毎回来る。

そして、同じ意見が繰り返されるというふうになっているのですけれども、だんだん敷居が下がってきて、しかも横須賀市が取り組みをやっているのだということも知られてきた。
 
この意見交換会をせめて2回にして、1回は今までどおり5月に開催してもいいと思うのですが、もう一回ぐらいは本当に広くノーガードで「集まってください。ぜひ来てください。この場のプライバシーは絶対に守られます」と時間帯だけ明示して、場所は後日御本人にだけお伝えしますみたいな形で、お願いできないものなのか、そういった検討というのはできないものでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

  
今までそういったところに思いが及んでいなかった部分もありますので、また『関係課長会議』等々でも検討の俎上に載せさせていただければと思います。
 
おっしゃるように、センシティブな問題だと思いますので、行政がそうやってやることで、また当事者の方々がどのように感じられるかというようなところも、まだまだ勉強が不十分ですので、そういったところをまず自分の中できちんと考え方を固めて、行動に移せるような状況になったら、ぜひ移していきたい。そんな思いを持っております。



フジノの質問

 
『性的マイノリティ関係事業』の実施については、最後の質問なのですが、『啓発リーフレット』を作成して配布するということを市長とも質疑をしたのですが、御答弁聞き取れなくて、どういう機会に配布をするのかを改めてお聞きしたいと思います。



人権・男女共同参画課長の答弁

  
市長も答弁させていただきましたように、まずはこちらで開催しております『市民向けの講演会』、それから学校の先生方、これは部数に限りがあるので、一部の先生方というか、何部ずつかになってしまいますが、そういったところや、あとは『パネル展示』に来られた方、立ちどまって見てくださる方は、一定の御理解を示してくださっている方だと思いますので、そういった方により理解を深めていただくために、パネル展示での、それは配るというよりも、配架になろうと思いますけれども、そういったことを今のところは考えているところでございます。



フジノの質問

 
やはり自殺対策と絡めて考えてしまうのですが、自殺対策は『街頭キャンペーン』をやったり、ずっと続けてきたのですね。
 
昨年横須賀市では5月17日の『国際反ホモフォビアデー』に初めて正式に横須賀市でも街頭キャンペーンができた。
 
これは民間主導でというか、有志で集まってやったわけですが、こういう場に市が後援をしていただく、あるいはリーフレットを提供していただく。

「市の行事とせよ」とは決して申しませんが、そのリーフレットを提供していただけて、そこで配布ができるようなこと、そういうような使い方というのは、できないものでしょうか。



人権・男女共同参画課長の答弁

  
そういった活用も、ぜひ進めていきたいと思いますが、何分来年度は予算の関係で1,500部しか用意できませんし、また初年度ということですので、内容についても、かなりこれは吟味しなければなりませんので、5月のそちらの活動(やっぱ愛ダホ!)では配ることは来年度に関しては難しいのかなというような印象は持ちました。
 
ただ、それもぜひ今後考えていきたいというふうに思っております。