「政治にはカネがかかる」ってほんとかな?
  おカネのこと、報告します


2004/04/23更新
2003年の政務調査費について(その1)

 政務調査費、というものを知ってますか?

 政治家に認められている
 『経費』のことです。

 サラリーマンでも自営業でも
 文房具を買ったり、
 出張した時の交通費だとか、
 『経費』で落としますよね?

 一般的に『経費』とは、法律で認められているもので
 その仕事を成し遂げるために
 必要不可欠だった『費用』なのです。

 だから、お給料とはカンケーありません。

 あなたがファイルを20冊とか買ったとします。
 そしたら、領収書と
 買った必要性を経理部に説明して、
 もしお金をたてかえてたりしたら、その金額を会社からもらいます。

 政治家の場合もしくみは同じ。

 報酬は『お給料』です。
 政務調査費は『経費』です。

 政治家としての仕事を全うするために必要な『経費』を
 みなさんの税金から『政務調査費』として
 使わせていただいているのです。

 地方自治法で定められている
 政治家にとって正式な経費が政務調査費です。


● どんな時につかえるの?

 横須賀市の場合、
 政務調査費を『どんな時につかってよいのか』の基準
 条例で決めています。

 例えば、研究研修費、調査旅費、資料作成費、
 広報費、広聴費、人件費、事務所費、
 その他の経費、です。

 政治家としての公約を実現するための
 いろいろな資料を買ったり
 視察してまわったり
 活動報告チラシを作ったり
 講師を呼んで勉強会をおこなったりする『費用』です。


● 一体いくらなの?

 政務調査費がいくらか、というのは
 それぞれの市町村ごとで違うんですね。

 横須賀市の場合は、
 『政務調査費の交付に関する条例』第3条で決められています。

 現在は、月額11万4000円です。

 (でも今年の4月1日からは13万9000円にアップします。
  去年の12月議会で決まりました)

 平成15年度は、
 6月から3月までの10か月分が支給されましたので
 合計して114万4000円でした。


● 報告の義務があります

 さて、政務調査費は
 毎年4月30日までに『収支報告書』を提出する義務があります。

 一体いくら何に使ったか。
 また、残ったお金は返さなくてはいけません。

 フジノは今日(2004年4月23日)、
 収支報告書を提出してきました。

 これが実物です。

政務調査費収支報告書


 支出なし、としました。

 つまり、114万4000円を全て返すことにしました。

 これは、フジノ個人の信念に基づいています。
 その理由を次に説明します。


● フジノが政務調査費を全て返す理由

 「政治家としてあれだけ働いているなら経費は使うべきだよ」

 「法律で認められている権利なのだから必要なお金は使いなよ」

 いろいろな方に相談するたびに
 みなさんがアドバイスしてくれた言葉は、これでした。

 僕も「確かにそのとおりだ」と思いました。

 けれども、最終的に
 フジノが出した結論は『全額を返す』でした。

 その理由は、こうです。

 (1)政務調査費とは、
   政治家としての『公約を実現するため』の費用である、
   フジノはそう考えています。

 (注)これは政治家フジノの個人としての見解です。
  地方自治法では「議員の調査研究に資するため必要な経費の一部を負担する」のが
  政務調査費である、と定義しています。

 (2)確かに1年間の政治家としての活動に
   かかった費用はものすごい金額になっていて、生活はとても苦しいです。
   もし政務調査費を使ったとしても赤字です。

 (3)けれども、フジノは
   『美術館建設をストップする』という公約を守れませんでした。

 (4)政務調査費を
   公約を実現するための『費用』だと考えているフジノは、
   公約が実現できなかった以上は、その費用は認められない
   
と判断しました。

 (5)つまり、日頃あれだけ厳しく行政側を批判して
   「税金をきちんと使え!費用にみあった効果を出せ!」と
   フジノは言っているのです。

   他人を批判する立場の人間は、自らにはもっと厳しくあるべき
   だとフジノは考えています。

 (6)だから、政治家として結果を出せなかった以上は
   政務調査費をつかうことは間違っている
、と
   フジノは判断しました。

 このような理由から
 フジノは平成15年度政務調査費を全額返却することにしました。

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 フジノのこの判断に対して、
 いろいろな批判があがるのは承知のうえです。

 美術館問題の公約を守れなかったことに対して
 1ヶ月間にわたって
 お詫びの演説をしてまわってきました。

 また、活動報告チラシを
 僕にとって過去最大の枚数を印刷して配ってきました。

 けれども、どうしても自分自身が
 納得できませんでした。

 お詫びの演説をすると

 「よくがんばったよ!」
 「次はがんばれ!」

 と、温かく拍手されたりするのがイヤでした。

 フジノはプロの政治家として
 美術館ストップという公約=市民との契約を守れなかった。

 契約違反をしたのに謝れば済むのか、なんて
 どうしてもフジノには納得できませんでした。

 政治家としての『責任の取り方』の1つとして
 謝罪をするだけではなくて
 実際に『痛み』を示さなければならない、と思いました。

 結果を出せなければ、
 民間企業では評価が下がって給与も下がります。

 自営業の場合は会社自体がつぶれます。

 年俸制の外資系企業であれば
 来期は会社に残れない可能性もあります。

 だから、そういう当たり前の感覚に立つと
 フジノは政務調査費を返すことが
 責任の取り方の1つだと判断したのです。

 政治家として本気で活動すれば
 現在の政務調査費の金額では足りません。

 けれども、たとえ生活は苦しくても
 責任をきちんと取ること、
 それこそが大切だとフジノは判断しました。


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 意見や批判のある方は、メールをください。




04/05/06更新
全額返却の後日談

 今日、議会事務局に行って
 政務調査費(2003年度分)を全額返してきました。

 収支報告書の提出は4月23日に行ないましたが、
 お金は今日5月6日に返してきました。

114万円の現金  現金でなければならない、ということで
 横浜銀行のATMでおろした後
 封筒に入れて
 ヒヤヒヤしながら議会に持ってきました。

 議会事務局の方と一緒に数えて
 10枚1組の束が11束と4枚、
 合計114万円ぴったり。

 議会事務局を経由して
 市に『戻入(れいにゅう、と読みます)』されると
 領収書が来るそうです。

 フジノはよく吉野屋のカレー丼(並)350円を食べるのですが、
 114万円あれば、3257杯も食べれるのですね。
 1日3回食べても1085日分、
 つまり3年分です。

 政務調査費を返す、と決心してから
 本当にいろいろな意見をもらいました。

 「政治家ってカネがあるから、114万円くらい返しても
  別にたいしたことないんだろう」


 そんなことないよ。

 本当はもう遣ってしまった114万円をあえて返したのだから
 そのお金を工面するのは本当に大変だったよ。
 借金生活だよ。

 これからますます節約して暮らさないといけない。

 けれども、そういう『痛み』を政治家みずからが示すことが
 税金からお給料をいただいている立場の人間の
 役目だとフジノは信じています。

 「フジノくんが政務調査費を全額返すと聞いて
  初めて『政務調査費』というものの存在を知りました。
  がんばってください!」


 ありがとうございます。

 政治とおカネのカンケーを
 もっともっとみんなに知ってもらえたらいいなあと思います。

 さて、メールもたくさんもらいましたけれど
 さらに新聞記事にもなりました。


● 毎日新聞にどでかく載りました!

 5月5日付けの毎日新聞(朝刊)の
 湘南版にどでかくこんな記事が載りました。


 毎日新聞2004年5月5日湘南版


 他会派は
 
「反対派住民受けを狙ったパフォーマンス」と批判

 だそうです(笑)。

 こういう発想しかできない人たちって
 かわいそう...。

 114万円もかけて
パフォーマンスなんかしねえよ(笑)

 だって、フジノは
 Yデッキにメガフォン1つ持って
 通り過ぎていく人たちに話しかければ、
 中学生から高齢者の方々までたくさんの人が話を聞いてくれる。

 立ちどまって話を聞いてくれる人がいる。
 拍手してくれる人だっている。
 話かけてきてくれる人がいてくれる。

 それに、このHPだって
 毎日ものすごい数の人が見てくれてる。

 このまちだけでなく、他の国々の人だって見てくれている。

 だから、わざわざパフォーマンスなんて
 何もする必要は一切無いんだよ。


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 何度もくりかえしになりますけれど、
 フジノが今回114万円の政務調査費を全額返したのは、

 
美術館ストップの公約を果たせなかった責任を
 痛みをもってきちんと取りたかったから


 です。

 美術館問題では、本当にたくさんの方々に
 協力をしていただきました。

 文化会館でイベントを行なった時には
 あんなにたくさんの人が来てくれました。

 他の議員と共に
 いくつかの組合にもお邪魔させてもらって
 「ハンガーストライキをしてでも美術館を止めます」と宣言しました。

 たくさんの有志がボランティアとして
 夏の暑い中に署名集めにかけまわってくれました。

 さらに、約7万人もの署名が集まりました。

 こういうものすごくたくさんの方々に
 フジノは期待をしてもらって
 絶対に美術館をストップできると信じて活動してきたのです。

 選挙の時に投票してくれた約5000人の方々へだけでなく、
 約7万人の署名をしてくれた方々や
 全ての関係者のみんなへ
 予算が通ってしまったことをどう納得してもらえるのか?

 フジノは、美術館ストップの
 活動の先頭に立ってきたという自覚があります。

 先頭に立ってきた人間が
 責任を取るのは当然のことです。

 駅前での演説での謝罪だけでなく、
 6000枚配ったチラシでのお詫びの言葉だけでなく、
 HPの表紙でお詫びを記すだけでなく、
 言葉じゃなくて
 きちんと責任を取りたかったのです。

 美術館が建つことになってしまったので
 横須賀市民は、
 50億円の借金と毎年3億円の赤字を背負わされます。

 それを止められなかった責任の取り方として
 そんなに今回のフジノの行動は
 おかしなものですか?

 むしろ、フジノを批判する人たちにこそ

 「じゃあ、誰が責任を取るのか」
 「どう落とし前をつけるのか」

 政治家としての在り方を見せて欲しいです。

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 もちろん、今後のフジノのけじめのつけ方として
 美術館の運営方法には
 徹底的にしつこく口を出し続けます。

 少しでも運営費の赤字を減らすために。

 そして、「福祉のためにも美術館は必要だ」と言ってた奴らがいるから
 本当に『福祉的な観点』が導入される美術館になるかを
 フジノはむかつかれるぐらいに
 しつこく追及します。

 けれども、それはこれからの話。

 まずはこの1年間をふりかえって
 フジノの公約の中で
 とても大きなものであった美術館ストップを果たせなかったことを
 きちんと形としてけじめをつけたのが
 今回の政務調査費全額返却です。

 
そんなにおかしな話ですか?

 このまちで30年間暮らしてきたフツーの市民で
 丸5年間サラリーマンとして働いてきたフジノにとっては
 これが当たり前に感じています。


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