まちの政治家は、こんなことしてます新人議員の活動日記


2004年2月29日(日)のフジノ
● 議会での、発言時間が制限されていることのバカバカしさ

 昨日今日とずっとパソコンに向かいきりで
 予算議会の質問原稿を作っている。

 質問を作るのには毎回苦労しているけれど
 今回は、別の意味で苦労している。

 それは、質問を20分以内におさまるように
 音読してはカットして、
 音読してはカットして、という作業をしているからだ。

 時計を見ながらチェックする作業は
 はっきり言って、時間のムダだ。

 こんなくだらないことをしなくてはならないのなら
 もっと大切な調査に時間を使いたい。

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今回読んだ資料の半分   質問をつくるためには
 毎回1つの話題ごとに5冊くらいは本を読む。

 今回は大きく7つの質問だから
 20冊以上は確実に本を読んだ。

 いくつものHPをチェックして、
 情報を手に入れる。視察にも何ヶ所も行くし、
 人にもたくさん会う。
 市の職員にもヒアリングしにいく。


 たくさんのお金と、
 たくさんの自分の時間と、
 たくさんの他人の時間とが費やされるのだ。

 これだけたくさんのコストを払って
 やっと議会での質問にたどりつく。

 けれども、きちんと議会で質問ができなければ
 これらのコストは全てムダになる。

 僕は今回、横須賀市の来年度予算に関する質問を
 20分間で全て片づけなければならない。


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 僕の場合、質問にはたくさんの時間が必要になる。

 理由は、分かりやすい言葉遣いを
 めざしているから。

 このまちに暮らしている人々にとって
 議事録を初めて読んでも
 議会で何が問題とされているのか
 すぐに分かる言葉でいなくちゃいけない。

 議会に傍聴しに来てくれた人が
 たとえ中学生であっても
 理解できる話し方でなくてはいけない。

 そうすると、政治行政の業界人しか分からない単語は
 全て言い換えなければいけない。専門用語はダメだ。

 それから、漢字もなるべくつかわない。
 文章ではなくて話し言葉であっても
 漢字をなるべくつかわないようにするという意識は大切だ。

 だから、必然的に時間が長くなる。

 長くなると言っても
 例えば前回の一般質問は1回あたり50分くらい。

 質問が長くなって困る人なんて
 このまちに暮らしている市民の中には誰もいない。
 あなただって別に困らないよね。

 だって、議会は議論をする場なのだから。
 ろくな議論もしないで終わる議会なら
 そんなものは必要ないよね。

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 では、何故発言時間が制限されたのだろうか。
 困るのは誰だろう?

 僕たちが議会で長く話したら困る人々がいなければ
 発言時間を制限する動きなんて起こらないよね?

 では、誰が発言時間に制限を作ったのか?

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 これまで横須賀市議会では
 議会で発言する時間が制限されてこなかった。

 議会は議論をする場だ。
 議会では深い議論が求められるはず。

 スピード経営が求められる時代だけれど
 必要があればどれだけ時間をかけて話し合いがなされても
 誰もとがめる人はいないはず。

 けれども、今回の議会から
 発言時間の制限が決められてしまった。

 ぜひ、このまちに暮らしているみなさんに
 考えてほしいことがあります。

 選挙の時のいろんなスローガンばかりだけでなくて
 当選した後の議会でどんなことが行なわれているかについて。

 あなたが投票して選んだ政治家は
 発言を制限した側ではありませんか?

 もしそうならば、
 あなたはあなたの利益を損ねている政治家を
 選んでしまったということなのです。

 どうか、考えてください。

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 僕はまたバカみたいに
 質問の下書きを音読しては時間をチェックする
 くだらない作業に戻ります。

 このまちに暮らしている人々は
 こんなことのために
 政治家であるフジノに
 給料として税金を払っているはずじゃないのに。

 すごくバカバカしい。



2004年2月27日(金)のフジノ
● 僕の何倍もの激しさ

 今日から、予算議会が本格的にスタート。

 10時から17時まで、びっちりと
 演説、答弁、演説、答弁、演説、答弁。

 研政21を代表して
 内藤さん(内藤治明議員)が質問に立った。

 これが、僕にはすごく楽しかった。

 内藤さんは、現在8期目の大ベテランなのだけれど
 実は、僕は内藤さんと比べられることが多い。
 よく言われるのは、こんな感じだ。

 「今の議会ではフジノが1番過激かもしれないけれど
  若い頃の内藤さんは今のフジノより何倍もすごかった」

 そう言われても、僕は昔の内藤さんを知らない。
 そう言われるたびに、なんかウズウズした。

 議会HPで議事録が読めるのはつい最近(平成9年)の分からだし
 もちろん映像の記録も残っていない。

 だから、一体、内藤さんがどんな風なのか、
 実際に市長とやりあうところを
 以前から観たくてしかたがなかった。

 それがついに
 今日は実際に見れたのだ。

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 市長の施政方針に対する内藤さんの批判は、
 聞いていて、かなりわくわくした。

 今まで3回の本会議を体験したけど
 無所属以外の議員が
 市長を批判するのを初めて見た。

 「みんなが言うのは、こんな感じだったのか。
  やっぱ内藤さんはすげえな」

 けっこう興奮して、休憩時間に無所属控え室に戻って
 先輩の議員さんたちに話しかけると

 「いや、若い頃はもっとすごかった」

 と、みんなに言われた。

 人は年齢を重ねれば絶対に丸くなる。
 実際、今日の内藤さんの質問の口調は
 穏やかだった。

 けれども、穏やかな口調なのに
 わくわくさせられるような質問ができるということは
 やっぱり若き日の内藤さんはすさまじく激しかったのだろう。

 横山・前市長の頃の
 激しい議論を見てみたかった。

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 激しければ良い訳じゃないんだけど、
 ひそかに僕は内藤さんに負けないぐらい
 『激しく闘う政治家』になりたいと思っている。

 何故なら、市長と徹底的に激しく闘えるようになるには
 徹底的な勉強と調査に基づいた莫大なデータと
 天性のひらめきが必要だからだ。

 もっとがんばりたい。
 改めてそう思った。


● まずは市役所からだ

 内藤さんの質問によって今回明らかになったのが
 『障がいを持つ方々』の雇用の問題です。

 企業は、障がいを持つ人を
 全社員の1.8%以上雇わなければならないという
 決まりがあります。

 これを『法定雇用率』と言います。

 この『雇用率』の決まりの中には
 精神障がいを持つ方々は含まれていません。

 国の雇用率の中に
 精神障がいを持つ方々も含めるべきだ、と僕は思います。

 そして、市の『よこすか障がい者福祉計画』にも
 「法定雇用率に精神障がい者も適用するように国に要望します」と
 書いてあるのですね。

 それなのに...。

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 内藤さんの質問
 「市役所では、障がいを持つ方々を何人雇用していますか?」

 市の回答
 「50人です」

 内藤さんの質問
 「50人の内訳を教えて下さい。
  ほとんどが身体障がいを持つ方々ばかりではありませんか?
  知的障がい・精神障がいを持つ方々は
  何人雇用していますか?」

 市の回答
 「知的障がい・精神障がいを持つ方々の雇用は、ゼロです」

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 これは、はっきり言って、おかしいです。

 市役所ができていないのに
 国に要望するなんて、本末転倒ではありませんか。

 もともと僕は民生常任委員会で
 法定雇用率の件について質問をするつもりでしたが
 「市役所がまず率先して見本を示すべきではないか」という主旨に
 変更をして、質問をしたいと思います。


● 僕にとっての、当たり前のくらし

 議会が終わっての帰り道、
 Yデッキで、知らない人にいきなり話しかけられた。

 20代前半の女性で、
 美術館みなおしの署名をしてくれたのだと言う。

 署名を市長に提出した経過などを話すために
 30分くらい、立ち話をした。

 彼女には2人の子どもがいる。
 シングルマザーだ。

 子どもを預けながら
 仕事をがんばっている。

 外見だけ見たら、そのへんの20代の女のコだ。
 まさか6才と3才の子どもがいるなんて見えない。
 とてもかわいらしい人だ。

 だけど、毎日子どもと暮らしていくために
 昼も夜も仕事をしていて、すごくがんばっている。

 子どものことや仕事のことを話す彼女は
 笑顔がサイコーに素敵だった。

 僕はこういう人のために
 政治家になったのだ、と改めて思った。

 僕は時々、守られている人々を見ると
 腹が立つときがある。

 めぐまれた環境にいるのに努力しない人を見ると
 怒りを覚えることがある。

 それは、僕のまわりにいる人たちの多くが
 いろんな大変な状況に生きているのに
 笑顔で努力して困難をのりきろうとがんばっているからだ。

 僕はよく他人から「性格が厳しい」と言われる。

 だから、近よってきた人の中には
 しばらくして僕の性格を知るにつれて
 離れていく人も多い。

 そう、僕は厳しい。

 健康なのに努力しない人が大キライだ。
 恵まれている環境にいるのにがんばらない人が大キライだ。
 組織に守られてのほほんとしている人は特にキライだ。

 がんばっている人が好きだ。
 自分の置かれている状況の中で
 精一杯に生きている人が好きだ。

 それは外資系で働くとかそんなことじゃない。
 偏差値の高い学校に通うことなんかとも全くカンケーない。
 社会的な評価なんてくだらない。
 そんなことはどうだっていいんだ。

 ひきこもりだろうとシングルマザーだろうと
 障がいを持っていようと精神病にかかっていようと
 そんなことも別にかまわない。

 与えられた今の暮らしの中で
 笑顔で暮らせるように
 自分のできるベストを尽くして前に進もうと努力する。

 そういう生き方の人が大好きだ。
 人として本当に素晴らしいと思う。

 そういう人の暮らしを目の当たりにするたびに
 それが僕にとっての
 目指すべき暮らしなんだなあと、よく思う。

 この数日間、疲れきってたけれど
 また努力しようという気持ちになった。

 ありがとう。どこの誰かも知らない人。
 小さな子どものためにも
 どうか体だけは気をつけて。

 あなたの努力だけではのりきれないような状況になっても
 その時は行政がサポートできるようなしくみを
 必ずつくっていくからね。

 明日もがんばろう。

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