議会では、こんなやりとりしています


2004年・6月議会での一般質問(2)



















 <質問1(1)イ>公的保証人制度の導入について

 次に、アパートなど民間住宅については
 『公的保証人制度の導入』を提案します。

 ● 現状の分析(1)

 現状では、たとえ家賃を払える収入があっても
 高齢者や障がいを持つ方々は
 保証人がいなければ
 不動産屋さんで断られることがたくさんあります。

 高齢者に家を貸して、やがて亡くなってしまった場合、
 残された家財道具をどう処理するか。
 障がいを持つ方々への偏見から
 家を貸して何か問題が起こったらどうすべきか。

 こんなことを理由にして、不動産屋さんは
 保証人をたてることを強く望み、
 保証人がいなければ契約を拒否します。

 これでは暮らす場を確保できないので、
 例えば作業所の所長さんが
 何人もの方の保証人を
 たった1人で引き受けたりしているのが現状です。

 ●現状の分析(2)

 地域で暮らす障がいを持つ方々は今後も増えていきます。

 例えば、厚生労働省では、
 本来なら退院できる
 社会的入院をさせられている精神障がいを持つ方々を
 7万2000人退院させて
 地域で暮らせるようにするとの数値目標を
 2002年に発表しました。

 10年以内の達成をめざしていますが
 実際は地域で暮らす場の整備は遅れています。

 これではかつてのアメリカのように
 退院する政策を進めて地域に戻れたのは良いけれど
 結局みんなホームレスになってしまった、
 ということになりかねません。

 ●現状の分析(3)

 そんな現状の一方で、横須賀市では住宅が余っています。

 最新の『住宅土地調査結果』によると
 横須賀には16万4200戸の住宅がありますが
 そのうち、1万8460戸が空き家です。

 つまり、空き家率が11.2%、10軒に1軒もあるわけです。
 にもかかわらず毎年5000戸の割合で
 新しく建設も進められていて
 空き家率はこの10年間で1.8倍にも増えてしまいました。

 横須賀には家が余っているのです。

 これだけの数の家を「需要」があるにもかかわらず
 空き家のままにしておくのは経済的にも大きな損失です。

 需要がある、そしてそれに答えられる住宅ストックもあるのに
 供給をしない、というのは
 本来あるべき健全な市場の姿ではありません。

 福祉的に見ても、経済的に見ても、
 現在はとても不健全な状態にあるわけです。

 ●改善策

 そこで提案したいのが『公的保証人制度』の導入です。

 保証人が見つからない高齢者や障がいを持つ方々のために
 保証人の役割を市が、かわりに担うことで
 家賃の滞納や入居後の病気・事故などの
 大家さんが抱く不安を減らします。

 そして入居する機会を確保して
 安定した暮らしを続けられるように支援するのです。

 すでにこの制度を導入しているまちの代表である
 川崎市世田谷区を視察してきましたが
 非常に見事な取組みでした。

 ●メリット(1)リスクの分散

 家を借りたい方と行政と不動産業界と保証会社とが連携しあって
 共に助けあい、リスクを分担するシステムを作っています。

 従来はリスクの度合いが推定できないことが
 民間企業にとって、事業化へのネックになっていましたが
 行政があいだに入ることでリスクを分散させているのです。

 こうして保証会社も取り組みやすくなり、
 不動産業界も住まいを貸すことに積極的になり、
 行政的には空き家率を低下させることができます。

 ●メリット(2)リスク分散による費用の低下

 リスクの分担は費用を低下させるので
 行政も、低いコストで高い効果の
 福祉政策と住宅政策を行なうことができます。

 例えば、川崎市では、利用者が保証金を支払う仕組みをとることで
 市の予算はわずか500万円程度です。

 ●メリット(3)交流による偏見の低下

 こうして高齢者や障がいを持つ方々が住まいを得て
 大家さんやご近所とのつながりや交流もできる。
 高齢者の安否確認が自然と成されたり、
 障がいを持つ方々への偏見が減っていくという効果も期待できます。

 ●メリット(4)補助金福祉からの脱却と住宅市場の近代化

 この仕組みは、ただの弱者救済的な
 福祉政策ではありません。
 経済的な意味からも行政が政策誘導をおこなって
 住宅市場を健全化・近代化するという意味合いを持っています。

 調査によれば
 今後も高齢者単独の世帯は増えていく傾向ですから
 常に住宅への需要は高くありつづけます。

 行政の参加でリスクを減らすことによって
 民間企業は100%ビジネスになる。
 そして、住宅市場の健全化と活性化をはかることができ、
 ひいては地場産業の支援にもなります。

 公的保証人制度の導入は、
 『横須賀市住宅マスタープラン』
 基本目標2と3にも合致していて、非常に有効な政策です。

 神奈川県では川崎市につづき
 横浜市でも今年10月からこの制度が導入予定であり、
 この2市につぐ中核市・横須賀も
 ぜひ導入していくべきだと僕は考えています。
 市長のご見解をお聞かせ下さい。






 次に『公的保証人制度』の導入について
 お尋ねがありました。

 本市では、今年度から
 生活保護所帯に
 住み替え支援のための
 保証料の法外扶助をおこなっているほか
 『高齢者居住安定事業』をたちあげるべく検討をおこなっています。

 今後は障がいを持った方や
 1人親家庭等への
 対応についても
 あわせて検討してまいりたいと存じます。









 <この制度は、全ての方々へ拡大してください> 

 『公的保証人制度』については
 まずは高齢者に関して導入を検討している、という
 ほぼ提案どおりの回答を頂き
 ありがとうございます。

 僕は今後の長寿社会に向けて
 この制度を導入する意義はとても大きいと思います。
 市長の姿勢を強く評価したいと思います。

 ただ、1点だけ付け加えたいのは
 市長ももうおっしゃっていましたが
 この制度は、
 さらに「障がいを持つ方々」そして全ての方々に
 拡大されるべきだ、
ということです。

 高齢者に比較すれば
 障がいを持つ方々の人数は少ないですけれども
 住まいの問題の深刻さは
 より高いと思っています。

 したがって、
 公的保証人制度をまず高齢者に対して導入して
 ノウハウをどんどん蓄積していくことで
 ぜひ障がいをもつ方々にも
 制度の網を広げていくように検討をお願いします。






 それから公的保証人については
 高齢者に限らず広げていくべきだ、とのご要望として
 お聞きしたのですが

 高齢者についての実績を得た上で
 広げていくべきだろうと思います。


 

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