大好き、横須賀
(いつもみてる風景)


2002/07/26
 大きな、大きな、縁側 〜宇東川緑道〜

 川の流れにふたをして、道にしてしまった。

 そういう工事って、
 聞くだけでゆううつな気持ちになってくる。

 だけど、この道はすごく暮らしに溶け込んでいる。
 それが佐野にある『宇東川緑道』だ。

 2002年夏の現在、かつてここに流れていた川のことを
 果たしてどれだけの人が憶えているだろうか。
 それくらい、この道=『緑道』は
 確立された存在として、生活の中に馴染んでいる。


 昔からこの近所に住んでる友達に聞くと、
 ふたをされてしまった川の名前が『宇東川』という名前で、
 この緑道の下を人知れず今も流れているらしい。
 だからこそ『緑道』の正式な名前は
 『宇東川緑道』なのだという。


 ふだんこの道を通っているあなた、知ってました?


宇東川緑道


 僕はこの道がすごく好きだ。

 かれこれ15年にわたってこの緑道を通っているけれど、
 つくづくそうと感じる。 

 通り過ぎていくだけの者の
 勝手な思い込みなのかもしれないけれど、
 この緑道は、佐野の人々の暮らしの中にとてもなじんでいる。

 それはまるで、大きな、大きな、縁側のようなのだ。


 縁側、という言葉さえも今はあまり聞かれないし
 僕も実体験として縁側のある家に住んだことは、全く無い。

 でも昭和をめぐる本をひらけば、
 縁側は暮らしの中にいつもあったように思える。

 庭先にある縁側。
 そこで子どもたちは遊んだり、
 母親は隣の家の奥さんと近所の話をしてみたり、
 おじいさんは番茶をすすりながらひなたぼっこをしたり...。

 宇東川緑道は、縁側が姿を消しつつある今、
 縁側のそんな役割を果たしているように僕は思う。


緑道に咲くひまわり



 夕方の緑道の光景はすてきだ。

 犬を散歩する人。部活動で走る高校生たち。
 なわとびをしたり、チョークで地面に絵を描いている子どもたち。
 近所の母親たちが集まって、楽しそうに何か話している。
 幼稚園の子どもたちは手を引かれて帰っていく。
 おじいさんはそんな光景を眺めながら、座っている。

 そんなすべてが、オレンジ色の光の中にある。
 とても平和な気持ちになる。

 そして僕は思う。これがきっと縁側なのだろう、と。
 緑道は、大きな、大きな、縁側なのだろう。


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