監査結果を受け取った翌日、
監査請求代表者としての僕たちの見解を記者発表しました。
これが僕たちの見解です。
長井海の手公園建設に係わる事務監査請求結果について
平成16年8月25日、標記監査結果が公表されました。
この結果を見て、次のような印象を受けました。
まず、全体を見て、請求8項目について、
各項目とも経過の事実については非常によく調査されているが、
せっかくその経過が明らかになっていながら
請求趣旨の結論に
それが生かされていないと思う。
このことは、思うに
監査委員事務局職員の役割の努力は高く評価されるものの、
肝心の監査委員評価にはそのように感じられない。
具体的には、請求項目ごとに次の通り。
<@ について>
基本構想・基本計画策定にあたっては
市職員を含めた広範囲の市民参加で作成したにも係わらず、
基本設計の作成は「市職員のみ」で行われ、
明らかに基本構想・基本計画と大幅な違いとなっている。
(雨水調整池の設置、駐車場の拡大等)
基本構想・基本計画の策定には
関係する各部長が委員となっており、
そういう中で作成されたものを
「担当部だけ」で変更したことに大きな問題があり、
このことは木村市議が平成12年の本会議で指摘したにもかかわらず
市長は大幅な変更ではないと答弁している。
さらに、平成11年に
市長を含めた関係職員がファ―ムの施設を何度も視察をしており、
明らかにこれらの結果がその後のモデルとなっている。
このことは、ファームの既存の施設をみれば明白と思われる。
茨城県のポティロンの森(ファームの既存の施設)との相似性を見ると、
基本計画との整合性を
提案事業者であるファームがどれだけ意識したのか、
全く理解することができない。
監査委員はまさにその点を監査するべきである。
<A について>
PFI手法の導入について、
「約24億円の経費削減効果」があると導入の正当性を述べているが、
PFII事業の場合は59億円と設定したにも係わらず
実際の契約は76億円となった。
長井海の手公園建設と同様、
美術館建設についても
当時PFI手法の導入が言われていたが、採用されなかった。
今回の美術館の契約を見れば、
設計価格が約33億8千万円と言われながら、
市の希望価格は25億7千万円となっており、
設計価格に対する希望価格の率は約76.3%となっている。
これを長井海の手公園に当てはめると、
83億円の76.3%は約63億3千万円となり
価格においては、間違った判断と言わざるを得ない。
また、PFI法の目的にのっとれば、
価格の評価点が30%に過ぎないこと自体が
今回のPFI手法の拙い運用のあり方として
監査の際に指摘されるべきである。
さらに、PFI手法による提案内容の評価というが、
基本構想・基本計画で公園の計画内容の骨子はできあがっており、
重ねて今回採用されたファームの内容は
すでに造られているファームのポティロンの森のコピーと言える。
<B について>
外部委員と内部委員の評価が異常なほどの開きがあり
しかも、価格においても約2億9千万円の大きな差がある。
このことについての監査委員の判断は
事実関係の追認のみで
評価や価格の違いについて何ら触れておらず
選定委員会での形式的な正当性を主張するだけとなっている。
まず外部委員と内部委員の
評価の開きについての見解や判断があって
はじめて選定プロセスの適切性を問えるのではないか。
<C について>
当初からファームが事業参加することは予想されており
そのことを考慮すれば、
入札参加業者とこのような関係を持つことは
決して許されることではない。
本市は、入札制度について
公平・公正について異常なほどの取り扱いをしており
また職員の倫理規定についても同様であるにも係わらず
これらの配慮が著しく欠けていると言わざるをえず
市民や事業者に対する指導は厳しく
行政自身の行動はあらゆる理由を述べ正当化しようとしていることは
顕著である。
ここでも事実の追認をするのみで
・何故、特定の1社だけを視察したのか
・何故、市長が特別に
会議の帰りに立ち寄らなければいけなかったのか
などに関する監査がなされていないことは
はなはだ残念である。
<D について>
議事録で確認できないことを
たぶん緑政部長の言い分と思われるが
「開封状態で提出することについては、
選定委員会で了解を得ているとのことであった。」
と述べているが、
このことは
「第7回選定委員会の中で
各委員が集計表と各自の審査表を見比べ、
誤りがないかを確認したとのことであった」
と言っているように、
提出時とその後の集計表作成時との違いのみに観点をおいており、
事業者選定に当たっての審査表の取り扱いの重要性について
まったく考慮してないと言える。
9名の内の4名が市の部長であり、
外部委員の審査点と内部委員の審査点の関連が
事業者選定に大きく係わるわけで、
外部と内部委員の大きな差が
このことに疑惑を持たれてもやむを得ない状況と言える。
内部委員が審査表を記入する前に
外部委員の審査表が封の開いた状態で職員の手に渡っているとしたら、
それだけでも審査結果に影響を及ぼす恐れがある。
監査委員がこの点について
なんら指摘をしていないことは「重大な監査もれ」である。
<E について>
通常、市議会に請願が提出された場合は
その関連事務事業については
請願の審査が行われて成り行きが見えるまで待つべきである。
このことは民間による土地の開発行為等に対する
請願の取り扱いについて見られる。
今回は市が事業主であり、
本来ならば率先して市民の声を聞く立場にあると思われるが、
住民説明会等の実績のみを考慮し、
新しい道路が完成しない中での
目に見える渋滞等の地元の混乱について
監査委員としての判断が示されていない。
事業実施にあたって公園建設予定地の長井住民は
基本的に市の事業計画は
十分住民に配慮した計画と受け止めている。
また、長井地区は行政に対する協力度は特に高いものがあり、
そのことは、本市のごみ行政の中で
焼却処分能力が著しく低下した際に
生ごみ等混合されたごみをごみ埋立地を提供し処分したこと等に
表れていると思われる。
この協力度が高い長井地区の全ての町内会長らがあえて提出した
市長に対する要望・議会に対する請願の
「重み」を考慮すべきである。
平成17年4月開園後に
著しい交通渋滞や
交通事故等が発生した場合に誰が責任を取るのか。
監査請求代表者として苦汁の思いである。
<F について>
このことは、「開いた口がふさがらない」というほど
常識に外れた行為と言われると思われる。
それにも係わらず、
監査結果のこの項、3の(2)
「一般の商取引等との比較の中で、
一般的な商取引において、
代表取締役印等の持ち出しが現実的でない場合など
郵送による契約書の取交しは行われている」
また、
「契約規則において、
契約書に記載すべき事項等は規定されているものの、
契約書に記名押印する方法までの規定は特段ない。」
などと、あたかもこのことを正当化しようとするように思われる。
監査委員の判断の中では
「契約書を宅急便でやり取りしたことは、
法律等に抵触するものではない。
事実関係を調査したところ、
事業者に特別の取扱いをした事実は認められなかった。
したがって、特別の便宜を図ったものではないと判断する」
と述べており、その後段で
「事務処理上適切であったとはいいがい」
とは言うものの、
通常、本市の契約事務等と総合的に比較した場合
こんな監査委員の判断でよろしいのか。
市と契約に係わっている関係者がこのことをどのように判断するのか。
その影響を考慮すべきと思われ、
監査委員の見識を疑わざるを得ない。
<Gについて>
今回の事業について
基本構想・基本計画を策定するにあたって
多くの市民・各種業界・行政が知恵を出しあってこれらを作成した。
にも係わらず、基本設計は担当部が決定し、
契約手法についても
あたかも経済的・効率的なP F I手法といいながら
特定の事業者を選定するための手法のように思われる。
さらには事業者を選定することについても
公平・公正な外部委員の評価が生かされることなく
しかも価格の面でも約2億9千万円も高い業者が選定されている。
このような一連の状況を見た場合、
市民の立場に立った基本構想で
「跡地の持つ優れた自然環境と眺望、広々とした空間を生かし、
市民がくつろぎ、交流する場として
本市で初めての総合公園として整備する」
との方向性を示し、
基本計画は
「基本構想における土地利用の基本的な考え方を踏まえて、
公園整備に当たっての指針として策定しており、
本市の財政状況を考慮しつつ、
アクセス道路と公園整備との整合性を図ること、
整備を段階的に実施していくこと」
を定めたことがまったく生かされていない。
工事前の優れた自然環境を破壊し、
多額の費用を投じることが
市民にどれほどの損害を与えたことになるのか計り知れない。
<むすび>
長井海の手公園建設について
多くの市民が期待し、
事業希望者も本市の表向きの行政姿勢を信頼して
事業に応募されたにも係わらず、
一連の経過を見た時、
その信頼を裏切ったと言わざるををえない。
現にこの事業に参画し、
選定されなかった事業者に結果についてうかがったところ
各グループ同様に
横須賀市に対する今後の思いを考え直す発言をされた。
また、あるグループの責任ある方は、
この件で職を離れたように聞いています。
それくらい体を張って提案された事業者に比べ
選定された事業者の提案は図面に設計者の名前もなく、
既存施設のコピーと思われるようなもので、
総合的に見た場合、
ファームが当初から選定されるように仕組まれていた
と思われても仕方ないと思います。
今回の件で
多くの方々が複雑な思いを持ったまま
このままの形で終わるのは
今後の行政運営を考えた時決して良いことではなく、
今後違った形で引き続き検証し、
正すべきところを正していきたいと思います。
平成16年8月26日
請求代表者一同
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そもそも僕たちが
「内部監査ではなく、外部監査」を求めた理由は
このような結果が出ることが予想されたからでした。
そして、外部監査が市議会で否決され
内部監査になることが決定した時に
「結果は見えたな」
そう予想した通りの、情けない結果が現実のものとなりました。
誰のための監査委員なのか。
誰のための行政なのか。
答えは1つ。市民のためであるべきです。
したがって、今回の監査結果に全く納得がいかない以上、
長井海の手公園の問題については
裁判で争うことも含め
今後も正すべき点は正すべく行動していきます。
当然、来年6月の市長選挙でも
このような行政の在り方は
争点としていくべきだと考えています。
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