フ
ジ
ノ
か
ら
質
問
1
回
目
|
被害者の人権を侵害するマスコミ報道に対して
犯罪被害者支援として、
人権を侵害する報道には市として正式に抗議すべきではないか。
マスメディアには報道の自由がありますが、
それが明らかに市民の人権を侵害する場合には
市として正式に抗議すべきです。
今回の事件を報道した新聞各紙を読み比べると
問題を感じる点がありました。
まず、実名か匿名かの点です。
容疑者である夫と被害者である妻の
どちらの名前も記さなかった新聞がある一方で、
夫婦の名前を実名で報道した新聞がありました。
次に、住所を横須賀市A地区B丁目と、
何丁目とまで書いた新聞とそうでない新聞がありました。
本市のような街の場合、
何丁目とまで書かれればすぐに実際の住所が特定されてしまいます。
さらに、最も問題だと感じたのは、
夫婦の間にいる子どもの存在を報道した新聞があったことです。
この殺人事件に子どもはかかわっておらず、
そもそも報道する必要性はないものです。
しかし、性別と年齢と学年までも記しているために
この新聞を読んだ市民の多くには
どの学校に通う誰なのか特定できてしまったはずです。
また、テレビ局の中には
学校をカメラで映し出した番組もあったようです。
こうした報道には、市として正式に抗議するべきです。
父親が母親を殺したという事件の悲惨さだけでも
残された子どもは
とても大きな痛みを負っているのに、
報道によってその事実を他人に広く知られてしまう必要は
無かったはずです。
今後もこの地域で暮らしていくことができるのでしょうか。
僕は、この事件報道を受けて、個人として
本市の記者クラブと子どもの存在を報道した新聞社に
抗議しました。
その対話の中で、ある記者の方から、
「抗議は本来被害者が行うべきものだ」との反論もありましたが、
「今回のように遺された子どもには抗議などできないケースでは、
第三者である僕や市が抗議することは
趣旨に反しないはず」と述べると理解していただけました。
こうしたマスメディアとの対話は
コミュニケーション戦略として非常に重要で、
まさに広報課の仕事のはずです。
正式な市の抗議とすることによって、
マスメディアに本市の人権擁護の姿勢を示すべきです。
また、犯罪被害者支援の観点からも必ずこの対応は行うべきです。
しかし、本市の対応は何もなしでした。
市として抗議すべきだと僕は提案しましたが、
広報課も犯罪被害者支援担当もどちらも抗議はしていません。
このような対応でよいのでしょうか。
そこで市長に伺います。
本事件の報道において、事件の趣旨を外れて
子どもの存在が特定されかねない報道があった点について、
犯罪被害者支援を進める立場からも、
人権擁護施策を進める立場からも、
市として正式な抗議を行うべきだったのではないでしょうか。
市長の考えをお聞かせください。
|
市
長
か
ら
の
答
弁 |
人権を侵害する報道には、
市として正式に抗議すべきではないかという点でございます。
報道につきましては人権尊重に十分配慮すべきと、
このように認識をしております。
しかしながら、
報道の自由と被害者等の人権とのバランスについて、
行政が立ち入るべきではないと考えております。
|
フ
ジ
ノ
の
再
質
問
|
市として報道に対して
人権を侵害するような報道に対して抗議すべきではなかったか
という点に対して、
行政が報道に対して関与すべきではない
というお話でした。
では、今回の事件の場合、
明らかに子どもが不利益をこうむっているわけです。
そして、市も当事者として
かたや児童相談所で子どもを守っていく。
一方で、広報課や被害者支援窓口もありながら、
子どもの人権が失われかけるような事態に対して何もしない。
これは矛盾していると思うのです。
片方で守りながら、片方で何もしない。
これはやはり問題だと思うのです。
中立を守るのは大事ですが、守るべきものは守る。
そして、今回の点で言うならば、
市として正式に抗議するのが本市の筋ではなかったか
と思います。
改めてこの点について、
中立ということは大事であるけれども、
人権や、あるいは犯罪被害者支援ということを考えた時に、
本当にそれでよかったのか
という点を再度お聞かせください。
|
市
長
か
ら
の
再
答
弁 |
報道に関することでございますが、
確かに人権の擁護あるいは犯罪の被害者の支援というものは、
これは市としてやるべき事柄ではありますが、
だからといって
個々具体的な報道のあり方について
市が報道機関を指導したり、
あるいは適切でないといって抗議したり、
そういう立場には私はない
と思っております。
|
フ
ジ
ノ
の
最
後
の
質
問
|
犯罪被害者支援あるいは人権の立場から
報道に抗議すべきではなかったかと申し上げましたが、
僕が申し上げているのは
検閲ではありません。
報道に対しておかしいことがあれば、
それに対して反論をしていくというのは
当然市がなすべきことだと思います。
企業のコミュニケーション部門では、
当然のように毎日行っていることであります。
議会事務局でも毎日
新聞には市の報道があればチェックペンで印をつけてあって、
それを見ることができるわけです。
本市だってそういう活動を行っているはずなのです。
その中で余りにも不適切な報道があれば、
反論していくというのは
決して検閲ではないというふうに考えています。
こうしたメディアに対する対応というのは、
改めて取り組んでいくべき課題として受けとめていただきたい
と思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。
|
市
長
の
再
答
弁 |
報道機関については全く繰り返しになります。
市としては、具体的な報道について
別に検閲をするとか、そういう意味ではなくて、
人権と、それから報道の自由の
非常に難しいバランスの問題でありますが、
それについて市が直接に報道機関に抗議したり指導したり、
そういう立場にはないと思っております。
---------------------------------------------
(後日談:07年10月3日)
残念ながら市長との質疑は全くかみあいませんでした。
しかし、こうしたやりとりを受けて
この質問でとりあげた記事を書いたA社の責任者の方が
市議会控え室にフジノを訪ねて
話し合ってくれました。
こちらをご覧下さい。
メディアとこうしたやりとりをするのは
本来、政治家であるフジノの仕事ではなくて
市の広報課がやるべきコミュニケーション戦略の1つのはずです。
横須賀市にはもっとしっかりしてほしいと願います。
|