フジノが行なった市議会での質問とその成果

 ●07年9月議会 被害者の人権を侵害するマスコミ報道に対する市がとるべき姿勢
 ●06年6月議会 犯罪被害者支援条例の検討状況について。
 ●06年3月議会 犯罪被害者支援条例を制定すべきではないか。

 平成19年第3回定例会(9月28日)











 被害者の人権を侵害するマスコミ報道に対して

 犯罪被害者支援として、
 人権を侵害する報道には市として正式に抗議すべきではないか。

 マスメディアには報道の自由がありますが、
 それが明らかに市民の人権を侵害する場合には
 市として正式に抗議すべきです。

 今回の事件を報道した新聞各紙を読み比べると
 問題を感じる点がありました。

 まず、実名か匿名かの点です。

 容疑者である夫と被害者である妻の
 どちらの名前も記さなかった新聞がある一方で、
 夫婦の名前を実名で報道した新聞がありました。

 次に、住所を横須賀市A地区B丁目と、
 何丁目とまで書いた新聞とそうでない新聞がありました。

 本市のような街の場合、
 何丁目とまで書かれればすぐに実際の住所が特定されてしまいます。

 さらに、最も問題だと感じたのは、
 夫婦の間にいる子どもの存在を報道した新聞があったことです。

 この殺人事件に子どもはかかわっておらず、
 そもそも報道する必要性はないものです。

 しかし、性別と年齢と学年までも記しているために
 この新聞を読んだ市民の多くには
 どの学校に通う誰なのか特定できてしまったはずです。

 また、テレビ局の中には
 学校をカメラで映し出した番組もあったようです。

 こうした報道には、市として正式に抗議するべきです。

 父親が母親を殺したという事件の悲惨さだけでも
 残された子どもは
 とても大きな痛みを負っているのに、
 報道によってその事実を他人に広く知られてしまう必要は
 無かったはずです。

 今後もこの地域で暮らしていくことができるのでしょうか。

 僕は、この事件報道を受けて、個人として
 本市の記者クラブと子どもの存在を報道した新聞社に
 抗議しました。

 その対話の中で、ある記者の方から、
 「抗議は本来被害者が行うべきものだ」との反論もありましたが、
 「今回のように遺された子どもには抗議などできないケースでは、
 第三者である僕や市が抗議することは
 趣旨に反しないはず」と述べると理解していただけました。

 こうしたマスメディアとの対話は
 コミュニケーション戦略として非常に重要で、
 まさに広報課の仕事のはずです。

 正式な市の抗議とすることによって、
 マスメディアに本市の人権擁護の姿勢を示すべきです。

 また、犯罪被害者支援の観点からも必ずこの対応は行うべきです。

 しかし、本市の対応は何もなしでした。

 市として抗議すべきだと僕は提案しましたが、
 広報課も犯罪被害者支援担当もどちらも抗議はしていません。

 このような対応でよいのでしょうか。

 そこで市長に伺います。

 本事件の報道において、事件の趣旨を外れて
 子どもの存在が特定されかねない報道があった点について、
 犯罪被害者支援を進める立場からも、
 人権擁護施策を進める立場からも、
 市として正式な抗議を行うべきだったのではないでしょうか。

 市長の考えをお聞かせください。









 人権を侵害する報道には、
 市として正式に抗議すべきではないかという点でございます。

 報道につきましては人権尊重に十分配慮すべきと、
 このように認識をしております。

 しかしながら、
 報道の自由と被害者等の人権とのバランスについて、
 行政が立ち入るべきではないと考えております。











 市として報道に対して
 人権を侵害するような報道に対して抗議すべきではなかったか
 という点に対して、

 行政が報道に対して関与すべきではない
 というお話でした。

 では、今回の事件の場合、
 明らかに子どもが不利益をこうむっているわけです。

 そして、市も当事者として
 かたや児童相談所で子どもを守っていく。

 一方で、広報課や被害者支援窓口もありながら、
 子どもの人権が失われかけるような事態に対して何もしない。

 これは矛盾していると思うのです。

 片方で守りながら、片方で何もしない。
 これはやはり問題だと思うのです。

 中立を守るのは大事ですが、守るべきものは守る。

 そして、今回の点で言うならば、
 市として正式に抗議するのが本市の筋ではなかったか
 と思います。

 改めてこの点について、
 中立ということは大事であるけれども、
 人権や、あるいは犯罪被害者支援ということを考えた時に、

 本当にそれでよかったのか
 という点を再度お聞かせください。










 報道に関することでございますが、
 確かに人権の擁護あるいは犯罪の被害者の支援というものは、
 これは市としてやるべき事柄ではありますが、

 だからといって
 個々具体的な報道のあり方について

 市が報道機関を指導したり、
 あるいは適切でないといって抗議したり、
 そういう立場には私はない

 と思っております。













 犯罪被害者支援あるいは人権の立場から
 報道に抗議すべきではなかったかと申し上げましたが、

 僕が申し上げているのは
 検閲ではありません。

 報道に対しておかしいことがあれば、
 それに対して反論をしていくというのは
 当然市がなすべきことだと思います。

 企業のコミュニケーション部門では、
 当然のように毎日行っていることであります。

 議会事務局でも毎日
 新聞には市の報道があればチェックペンで印をつけてあって、
 それを見ることができるわけです。

 本市だってそういう活動を行っているはずなのです。

 その中で余りにも不適切な報道があれば、
 反論していくというのは
 決して検閲ではないというふうに考えています。

 こうしたメディアに対する対応というのは、
 改めて取り組んでいくべき課題として受けとめていただきたい

 と思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。








 報道機関については全く繰り返しになります。

 市としては、具体的な報道について
 別に検閲をするとか、そういう意味ではなくて、

 人権と、それから報道の自由の
 非常に難しいバランスの問題でありますが、

 それについて市が直接に報道機関に抗議したり指導したり、
 そういう立場にはないと思っております。

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 (後日談:07年10月3日)

 残念ながら市長との質疑は全くかみあいませんでした。

 しかし、こうしたやりとりを受けて
 この質問でとりあげた記事を書いたA社の責任者の方が
 市議会控え室にフジノを訪ねて
 話し合ってくれました。

 こちらをご覧下さい。

 メディアとこうしたやりとりをするのは
 本来、政治家であるフジノの仕事ではなくて
 市の広報課がやるべきコミュニケーション戦略の1つのはずです。

 横須賀市にはもっとしっかりしてほしいと願います。


               


 平成18年第2回定例会(5月30日)











 犯罪被害者支援条例の検討状況について。
 
 他都市と違ってアメリカ軍基地があるために
 アメリカ軍兵士絡みの事件が起こり、
 被害者は非常に困難な状況に追い込まれるのが
 本市に特有の状況です。

 そこで、総合的かつ積極的な被害者支援の必要があるとの思いから、
 僕は平成18年第1回定例会にて
 犯罪被害者支援条例の制定を提案しました。

 それに対して、市長は
 具体的な支援策の内容や
 犯罪被害者支援条例の必要性については検討を進めていくと答弁しました。

 そこで市長にうかがいます。

 現在の検討状況はどのようなものでしょうか、
 ぜひお聞かせください。









 犯罪被害者への具体的な支援策と
 犯罪被害者支援条例の現在の検討状況について
 お尋ねがございました。

 現在、県と市におきまして、
 国が定めた犯罪被害者等基本計画に示された施策について、
 それぞれどのような対応がとれるのか
 調査を開始したところ
であります。

 今後、国の動向を見据えながら、
 調査結果等に基づいて
 県と市との間で各施策の実施主体についての調整を行った後、
 具体的施策を検討していく予定です。

 また、条例につきましても
 県との調整後に検討を開始したい
と考えております。












 犯罪被害者支援条例の検討状況についての質問については、
 県と市で連携をしながら国の計画等を見据えて
 調整をしていくということだったのですけれども、

 僕は素早い対応が本当に必要になってくると思います。

 そこで、現在把握しているスケジュール、
 可能な限り早く動くことが必要だと思うのですけれども、
 現在把握しているスケジュールについて
 わかる範囲でぜひ教えていただきたいというふうに思っております。




調










 今後のスケジュールはどうかということでございますが、
 今月中旬に県主催の主管課長会議において
 調査の依頼があったところでございます。

 これを受けまして、
 今後6月21日までにその結果を
 県の方に報告をすることになってございます。

 それをもとに、今後、県との調整を済ませ、
 その後に具体的な施策あるいはその条例について
 検討を始めてまいりたい、
 今のところはそういったスケジュールでございます。

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 (後日談:07年7月1日)

 07年度から横須賀市は
 『犯罪被害者等支援相談窓口』をスタートしました。

 広報よこすか2007年7月号(防犯特集)では
 このように紹介されました。

 犯罪被害者などの相談受け付け、情報提供、
 具体的な支援を担当する関係部署・機関との調整を実施します


                          


 平成18年第1回定例会(3月2日)











 犯罪被害者支援条例を制定すべきではないか。

 安全・安心のまちづくりを実現するには
 予防的な防犯対策と同時に
 発生してしまった犯罪の被害者の方々を支援していく必要があります。

 2005年4月、国は犯罪被害者等基本法を施行し、
 市町村の責務が定められました。

 犯罪被害者が被害を受けた時から
 再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、
 必要な支援を途切れることなく受けることができるよう
 施策を講じることとされました。

 すでに多くの自治体が
 犯罪被害者等の支援を目的とする条例を制定していますが、
 本市も法の責務に従い条例化を検討すべきです。

 また、単に見舞金を出すだけの条例もありますが
 そうではなく、特に東京都日野市や杉並区、宮城県が定めたような
 総合的な支援条例を本市は制定すべきです。

 何故ならば、他の市町村とは異なり
 アメリカ軍基地があるからです。

 アメリカ兵絡みの犯罪は被害者が泣き寝入りすることも多く
 警察に訴え出ることもないままの被害もあります。

 僕が受けた複数の市民相談の中には
 警察も十分な捜査をせずにあいまいなまま、
 被害から12年たった今も
 PTSDの症状に悩まされている方がいます。

 犯罪の直接の被害に加え、
 事件後も長く続く恐怖や生活上の困難に苦しめられている
 被害者の方々に必要なことは、
 単に見舞金ではなく、
 適切な名誉の回復と実質的な心身のケアとサポートです。

 すでにある市の医療・福祉サービス等の適用や
 関係機関との調整、
 例えば刑事手続などに関する相談を希望する人への
 弁護士などの情報提供や行政手続の代行、
 裁判所などへ付き添いなどが行われるべきです。

 また、民間団体との連携も行いながら
 経済的な支援、一時避難所的な場の提供、
 日常生活全般を長期的に支援することが必要です。

 そこで、市長にうかがいます。

 安全・安心なまちづくりを実現するためにも、
 総合的な支援を目指す
 犯罪被害者支援条例を制定すべきではないでしょうか。

 市長の考えをお聞かせください。









 犯罪被害者支援条例を制定すべきではないか
 というお話でございます。

 平成16年に犯罪被害者等基本法が成立して、
 平成17年4月から施行されたところです。

 また、同法に規定されている
 国が定める犯罪被害者基本計画が昨年12月に閣議決定され、
 去る2月23日に地方公共団体に対する説明会が開催されました。

 同法において、国及び地方公共団体は、
 相談及び情報の提供、損害賠償の請求についての援助、
 給付金の支給に係る制度の充実、
 保健医療サービス及び福祉サービスの提供、
 安全の確保などについての施策を講じることとされております。

 今後、本市としましては、国・県との役割分担を考慮し、
 具体的にどのような施策が必要か、
 またその施策を展開するに当たって、
 条例の必要性についてもあわせて検討を進めてまいります。








 犯罪被害者支援条例についての
 前向きな答弁をいただきました。

 ぜひ今後、積極的に検討をしていっていただきたいと思います。


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 (後日談:08年4月1日)

  本日から『犯罪のない安全で安心なまちづくり条例』
  施行されました。
  この条例の中に、被害者支援が盛り込まれました!

  文章はこちらです。


   第5章 犯罪被害者等に対する支援
   (犯罪被害者等に対する支援)

   第23条
   市は、犯罪により被害を受けた者
   及びその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)を
   支援する活動を行う者と連携して、
   犯罪被害者等に対し、
   必要な情報の提供、
   助言及び相談に応じる窓口を設置するなど
   必要な支援の措置を講ずるよう努めるものとする。


  これだけでは十分とは言えないのですが、
  具体的な支援策をさらに提案し続けていきます!)


                   




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