議会では、こんなやりとりしています


2004年・6月議会での討論「個別外部監査を行なうべき」







 『長井海の手公園』の建設について
 問題があると感じてきた人々はとても多く存在しています。

 そこで、これまで機会があるたびに
 この問題をとりあげてきました。
 (詳しい経緯はこちらをご覧下さい)

 そして、2004年6月8日、
 ついに『外部監査』についての結論を出す時が来ました。

 「今回の長井海の手公園には問題が無い」と信じているならば
 45人の市議会議員は全員これを賛成すべきです。

 しかし、本会議の前に行なわれた
 『総務常任委員会』では
 原島議員以外は全員反対、という信じられない結果になりました。

 (反対した委員メンバー:
  青木哲正さん、森義隆さん、松井哲三さん、板橋衛さん、
  高橋敏明さん、岩ア絵美さん)

 フジノは傍聴をしていましたが
 反対の根拠は非常にうすく、
 総務常任委員会の決定には納得ができませんでした。

 そこで、本会議場で討論をすることに決めました。

 『この国の主権者は誰であるのか』
 『直接請求の重み』
 『監査制度の意味』
 『外部監査の意義』

 これらについて説明をして、
 1人でも多くの議員に賛成をしてもらうためです。

 下の文章が
 本会議場でおこなった討論です。


























 議案第74号
 『個別外部監査契約に基づく監査によることについて』に対して
 賛成の立場から討論をいたします。

 まずはじめに申し上げたいのは
 議員は市民であり
 議員が請求代表者になることは全く問題が無いことを
 監査事務局長が先ほどの委員会でも申し上げていたことを
 お伝えしたいと思います。

 3つの理由から、僕はこの議案に賛成します。

 まず第1に『主権在民』という
 日本国憲法の原則に基づいた理由から
です。

 そもそも、日本国憲法では
 主権は国民にあると定めています。

 つまり、この国の主人公は国民である、ということです。

 国民とは、言い換えるならば
 市民であり、このまちに暮らす人々です。

 本来ならば、何か物事を決めていく時には
 主権者である市民が
 全員で集まって話し合い、決めていく、という
 『直接民主主義』を取ることが望ましい姿です。

 けれども、それではコストがかかりすぎるということから
 選挙というしくみで
 市民の代理人である政治家を選ぶ、という
 『代表制民主主義』を取っているのがわが国です。

 政治家は、あくまでも市民につかえる代理人です。

 決して『選良』と呼ばれるような
 特殊な地位をしめる人間ではなく
 あくまでも主権者である市民のかわりに
 この議場にいるだけです。

 また、行政も市民につかえる公僕なのです。

 主権者である市民が
 地域サービスを実現するために
 行政機関を設けているのであって
 決してその逆ではありません。

 つまり、市民は行政機関の統治の対象ではありません。
 市民は政治家の下にある存在ではありません。

 憲法によって定められているとおり
 この国は市民のためにあるものであり
 議会や行政よりも市民こそが、主人公なのです。

 したがって、もしも行政機関のしていることに
 不服がある場合、
 主権者である市民は
 それに対して問題提起をすることができます。

 その方法の1つが、今回おこなわれた
 『事務の監査請求』です。

 主権者である市民からの直接請求があった場合、
 その意思は最重視されなければいけません。


 わが国は残念ながら
 直接民主主義から代表制民主主義へ、という
 歴史的な経過をたどっていません。

 だから、ややもすると
 市民が主権者である、という大前提に対する意識が
 希薄なのかもしれません。

 しかし、本来ならば
 主権者の意思にしたがって働かなければならない、というのが
 憲法に忠実な在り方だと僕は信じています。

 したがって、今回、主権者である市民から
 「外部監査をしてほしい」という
 正規な手続きにのっとった請求があったのですから、
 主権者につかえる政治家として
 これに賛成するのは
 当然のことではないでしょうか。


 第2に、地方公共団体の
 議会と行政のチェックアンドバランスが
 構造的に完全では無い
ことから
 積極的に外部監査を利用すべきだと考えます。

 国では、政治と行政と司法を分立させて
 三権分立の体制を採用しています。

 これによって、お互いに抑制と均衡関係を保ち
 権力の一極集中を避けて
 独裁体制が現れないようにしています。

 しかし、地方公共団体では
 司法が無くて
 首長(市長)と議会の二権分立になっています。

 このような二権分立体制で
 健全な抑制と均衡の関係になるためには
 議会側が徹底して
 首長をチェックしていかなければなりません。

 しかし、それでも行政の事務はあまりにも多く
 議会が監視しなければならない対象は散在しています。

 横須賀市について言うならば、
 45人の議員が必死になって監視機能を働かせても
 行政の事務行為すべてを追うことは
 必ずしもできないものなのです。

 それを補うためにいくつかの仕組みがあり、
 その1つが監査委員という制度です。

 この監査制度を利用することは
 決して議会の尊厳をおとしめるものではなく
 主権者である市民から請求があった場合には
 進んで我々議員はそれを認めて
 議会のチェックが行き届かなかったものとして
 監査委員によるチェックを行なってもらうべきなのです。

 これによって
 チェックアンドバランスの健全な姿が実現に近づく、と
 僕は信じています。


 最後に申し上げたいのは、
 市民が外部監査制度の意義を信じているからです。

 1997年に地方自治法が改正されたのにともなって
 この制度は創設されました。
 そして1999年から施行されています。

 これが作られたという意義を
 ぜひ議員のみなさまには
 理解していただきたいと思うのです。

 これは民間企業に対する監査と同様のチェック機能、
 つまり、独立性と専門性の高さが求められているが故に
 作られた制度なのです。

 『外部監査』が行なわれることと
 『監査委員』と
 監査をすることのできる存在が2つあることは
 決して矛盾していません。

 それぞれが存在することで
 より深い監査が行なわれていくものなのです。

 そして今回、1万5605名の有権者の方々は
 外部監査によって
 事務監査をしてほしい、と考えたのですから
 その意思は徹底して尊重されなければいけません。

 市民は2つの監査のうち
 今回は外部監査を選んだのです。

 こうやって主権者である市民から依頼があった時に
 どちらも利用することができる。

 外部監査という形をとることで
 独立性と専門性の高さを確信できる。

 この意義を
 ぜひご理解いただけたらと思います。


 以上、3つの理由から
 今回の議案第74号に賛成したいと思います。

 ぜひ、同僚・先輩議員のみなさまにも
 ご賛同いただきますよう
 よろしくお願いします。



フジノの賛成討論もむなしく
結果は、反対多数で決まってしまいました。

本会議場には大きなヤジがとどろいていました。
壇上の僕には、誰がそのヤジを飛ばしているのかが
ハッキリと見えていました。

もしも反論があるのなら
壇上でやればいい。
議会はそのような仕組みを持っています。

けれども、その議員は
ヤジという形でわめくことしかしませんでした。

議会制民主主義を否定している。
一体何のために政治家になったのかも分からない。
恥を知れ、とその議員に対して強く思いました。


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