議会では、こんなやりとりしています


2004年・決算議会での討論「この決算には反対です」







 毎年、会社は
 (1)予算をつくり
 (2)活動をして
 (3)決算をします。

 (1)は、1年間の行動の方針を決めるものですね。
 (2)で、実際に毎日の仕事をしていきます。

 (3)は、その活動の結果を確認するために行います。
 決算というものはものすごく大切なものです。

 会社で働く人々にとっては
 目標が達成できたのかどうかを知るためにも大切です。

 株主のみなさんにとっては
 自分が投資したお金に見合う企業かどうかを判断する
 「ものさし」みたいなものですね。

 経営陣にとっては
 その1年間の経営判断が正しかったかどうかを
 株主のみなさまの承認を得るために
 株主総会というものを開きます。

 そこで承認してもらえない限り、ダメなのですね。

 市も当然ながら
 (1)〜(3)の手続きを取っています。

 そして、今回の議会は(3)についてでした。

 僕は、今回、決算を認めることができませんでした。
 その反対の理由を述べるために
 発言をしました。

 1人でも多くの議員に
 一緒に反対をしてもらうためです。

 下の文章が
 本会議場でおこなった発言(反対討論)です。




























 藤野英明です。よろしくお願いします。

 議案第95号「平成15年度横須賀市一般会計歳入歳出決算」に
 反対する立場からの討論を行ないます。

 まず、今回の議案への反対理由が
 「執行状況のチェック」という観点だけではなく
 「横須賀市にとって本当にそれが必要だったのか」という
 政策的な観点からでもあることについて
 その理由を述べさせていただきたいと思います。

 この議案95号の元となっている
 平成15年度一般会計の「当初予算」は
 新人議員である僕にとっては
 市議会議員に選ばれる前の議会で議決されたものです。

 そもそも「決算」とは、
 予算の執行が「議会の議決」に従っているかどうか
 つまり、予算の議決を担保するために審査されるものですから
 その当初予算の議決に関わっていない議員である僕が
 本決算を認定できない判断基準は
 決算審査の留意点の1つである
 「執行状況のチェック」という観点だけではなくて
 「横須賀市にとって何が必要だったのか」という
 ある意味、予算審議的な、政策的な観点からも
 判断せざるをえませんでした。

 先輩議員のみなさまにおかれましては
 この観点が決算を認定しない理由になりうるのかという声が
 あがってもしかたがないと僕は感じますが
 そうせざるを得ないというのが僕の考え方です。

 反対する理由は、3つです。

 第1に、実質収支60億円の黒字になったというが
 その内容に大きな疑問があることから。


 第2に、予算編成は「生活者重視の視点に立った」と言いながら
 実際はそうでは無かったことから。


 第3に、予算編成時の危機感が、
 その後の予算編成に強くはいかされていないから。



 (1) 実質収支60億円の黒字になったというが
 その内容に大きな疑問があることから。

 市長は先日9月30日の議案提出の説明時に
 「平成15年度の実質収支は約60億円の黒字となりました」
 と述べていますが
 これは黒字だからといって
 手放しで褒めるべきことではない、
と僕は考えています。

 何故ならば、市長は平成15年1月9日の定例記者会見で
 平成15年度予算編成のみとおしについて
 「大変な財政難だ」と述べています。

 また、平成15年3月議会での磯崎議員の質問に対しては
 こう答弁しています。

 「平成15年度の予算編成においては市長査定の前、
  およそ100億円の財源不足が見込まれ
  予算編成の前途は極めて厳しいものがありました」

 これらの発言は、長期的視野にたった財政運営を
 計画的に行なっていないことを市長自らが認める発言です。

 こうして、財源不足を補うために市の財産であった
 北口駐車場を売却して15億円をつくりだし、
 加えて臨時財政対策債を発行し、
 さらには基金から75億円あまりも取り崩しを行いました。

 しかし、決算では実質収支60億円もの黒字を出している。

 歳入における突発的な8億円の収入増は仕方が無いにしても
 歳出における52億円もの不要額を出したことについて
 行政改革の実施によるものと市長が言うならば
 予算編成時にある程度、
 予想できたことでは無いのでしょうか。

 それならば、北口駐車場は売却しなくとも済んだはずであり、
 基金の取り崩し額も少額で済んだはずではないでしょうか。

 結局、黒字と市長が呼んでいる60億円は
 その半分を基金に戻し、
 半分は補正予算の財源にする方針だと聞きました。
 サイフからお金をあらかじめ多めに出しておけば
 節約した金額も結果的に多く見える、という
 数字のトリックではないでしょうか。

 結局残ったお金は元のサイフに戻す訳ですから、
 基金の取り崩しを大きくしてしまっただけになります。

 これでは計画性を持った財政運営がなされたとは言えません。

 売却せずとも済んだ資産や
 取り崩さなくても済んだ基金があったことは
 この決算を認定しない大きな理由の第1です。


 (2)予算編成は生活者重視の視点に立った、と言いながら
 実際はそうでは無かったことから。

 議事録によると、市長は
 「生活者重視の視点に立った予算編成に努めた」とのことです。
 しかし本当にそうだったでしょうか。1つ、例を挙げてみます。
 開国祭と名づけられたイベントです。

 かたや「大変な財政難だ」と嘆く一方で
 開国祭というイベントには2億円もの税金を使っている。

 しかもその内容は「横須賀独自のものにしたい」と言いながら
 引田天功のマジックショーや、
 よさこいソーラン祭りの踊りを焼きなおした開国ダンシング、
 独自性がどこにあったのでしょうか。
 確かにかつて浦賀で造られたレンガは珍しいですが
 大八車でレンガを運ぶレースをやる意味があるのでしょうか。
 引田天功を呼び、他のまちを真似たダンスを踊り、
 レンガ運びレースをやって
 市民には一体どんな行政サービスが与えられたのでしょうか。
 そもそもこのイベントの目的は達成されたのでしょうか。

 一瞬の花火に市民は喜びますが
 お祭り騒ぎに大切な税金を使って、
 その後に何が残ったのでしょうか。
 ペリーが来襲して150年だったということを覚えている市民が
 一体、今、今年、何人いるでしょうか。

 これだけの税金を使うならば
 もっと行なうべき行政サービスがあったのではないでしょうか。

 もしも生活者重視の視点に立った予算編成が
 本当になされたのであれば、
 すでに平成15年当時も「自殺」は
 5年連続で3万人を超えて社会問題となっていましたが
 市は「自殺予防対策」を行なっていたはずなのです。

 こうして1年でも早くから対策をとっていれば、
 今月12日に武山で起きたネット心中事件、
 今年7月に浦賀で起きた介護苦からの心中事件のような、
 本当は行政の責任において防げたはずの
 自殺などは起きなかったのではないでしょうか。

 事業の優先順位が間違っていたからこそ
 こういう事件が起きてしまったのではないかと
 切実に感じます。これが反対の第2です。


 (3)予算編成時の危機感が、
 その後の予算編成に強くはいかされていないから

 最後に理由として挙げたいのは
 この平成15年度予算編成時の危機感が
 今年度予算には強くは反映されていない事が
 明らかだからです。

 市長は決算の議案を説明する時に
 普通会計の経常収支比率をあげてみたり、
 起債制限比率を挙げてみたり、
 いずれも県内他都市と比べればマシだというようなことを述べて
 財政運営を正当化しようとします。

 しかし、これらは詭弁です。

 何故なら市長自らが昨年の記者会見や予算説明で
 「大変な財政難だ」と述べているからです。
 平成15年は大変な財政難だった、
 それを乗り切った今年平成16年度の予算には、
 その反省が生かされるべきなのに
 それどころか美術館建設や長井海の手公園建設と
 大型事業が計上されています。

 市長は財政難だったという反省に立って
 長期的視野に立ち、安定した財政運営を行なうならば、
 平成16年度予算はもっと違うものになっていたはずです。

 決算とは財政運営について
 これで本当に良かったのかを総合的に判断するのが
 議員のなすべきことです。これが反対理由の第3です。


 以上、3つの視点に立つと
 「総合的」に判断してこの決算を認定することはできません。

 加えて、個別的な視点ではありますが
 美術館建設みなおしを
 市民のみなさまと共に進めてきた立場からは
 美術館建設にかかわる費用が計上されている
 全ての予算決算には反対する立場をとらざるをえません。

 決算を議会が認定することは、
 市長と収入役の執行責任を
 「市民」に向かって解除することです。

 この決算における市長の責任を解除することは
 「市民」に対して責任をおしつけることだと思います。


 以上のことから今回の
 議案第95号には反対いたします。
 これで討論を終わります。


フジノの反対討論もむなしく
結果は、賛成多数で可決されてしまいました。


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