2005年12月議会での討論 | |
フ ジ ノ の 討 論 |
藤野英明です。よろしくお願いします。 議案第139号と143号に反対する立場から、 議案第152、153、162、165から169、172、175、176号 は賛成する立場からの討論を行ないます。 議案139号「行政組織条例中改正について」は、 緑政部を土木部に統合し、土木みどり部とするというものです。 行政の効率化・スリム化という観点に立てば この議案は正しいことかもしれません。 また、豊かな自然を このまちのアイデンティティとして誇るべき横須賀市にとって、 統合に際しても「みどり」という名前が 残されたことそのものは評価に値するとは思います。 ただ、これまで、行政組織条例の事務分掌の中では 緑政部には2つの事務が掲げられていました。 (1)緑化推進に関すること (2)緑地及び公園に関すること この2つのうち、(2)緑地及び公園に関すること については、土木みどり部の事務分掌に 引き継がれることになりました。 しかし、(1)緑化推進に関することは 緑政部の消滅と共に無くなってしまいました。 事務分掌から「緑化推進」という言葉が消えてしまったのです。 緑化推進の仕事そのものは 都市部景観推進課の仕事へと統合されて 仕事としては当然ながら今後も続けていくことになります。 とはいうものの、行政組織のつかさどる仕事を 条例として明らかにした事務分掌から 「緑化の推進」という言葉が消えてしまったことは 横須賀市としてのアイデンティティを自ら失ったように思われ、 非常に残念でなりません。 都市部景観推進課に業務がひきつがれ、 緑化も含めたトータルな都市景観をすすめていく、 という発想そのものは理解できるものですが このまちにとって緑化は都市景観の下位概念ではありえません。 まず自然が最上位の概念としてあって、 それから都市景観を考えていくべきだ、と信じる立場からも 今回の議案139号には反対します。 |
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次に、議案143号「横須賀市市税条例中改正について」は、 国が行なった地方税法の改正(平成17年法律第5号)に伴って 65才以上の方々を対象に これまで非課税であった 年金収入212万円から245万円の方々に対する 非課税をとりやめる、つまり税金を課していくというものです。 この地方税法の改正にあたって 政府が出した『地方税法等の一部を改正する法律要綱』によると 「現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の 活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革」 として、これを行なうのだと記されています。 そして、今回の非課税廃止が 第1項目の第1番目に掲げられています。 2005年には高齢化率が19.1%を超えて 超高齢社会へと移行していくわが国で 財源を維持するには高齢の方々からも広く 税の負担をしていただかざるを得ないことは 十分理解しています。 しかし、一方で新たに税負担を行なう場合には その負担をお願いするに足る、 十分な信頼関係が構築されていなければいけません。 つまり、税金を支払わなければならなくともそれは 適切な行政運営・行政サービスに 使われるのであれば仕方が無い、 あるいは、当然の負担なんだ、と納税者の方々に 信頼を持っていただけなければいけません。 しかし、現在の日本において、 スウェーデンのように高齢になっても安心して暮らせる、と 介護やケアに対する不安が無く暮らしていかれるという 安心と期待を持てる方がどれだけいるでしょうか。 安心も信頼も与えられないのに税金だけあがる、 それが今回の地方税法の改正であった、 つまり、誤った法改正であったと僕は考えています。 したがって、誤った国の法改正に 地方分権の時代に横須賀市が それに引きずられる条例改正をする必要はありません。 経過措置を終えた平成20年度でも横須賀市が 今回の措置で得られる税収入はわずか4538万円です。 4538万円の税収が増えることよりも 市民の不安と不信が増えることの方が 横須賀市の行政経営にとっては大きなマイナスだと思います。 以上のことから、議案143号には反対します。 |
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議案152号、162号、165号から169号、 172号、175号については 議案には賛成しますが 指定管理者の選定委員会の委員構成について 2つの問題点を指摘して今後の改善を求めたいと思います。 指定管理者制度が新しく始まり、 その選定は選定委員会によって行なわれますが、 第1に、委員メンバー構成が 市の職員による内部委員と 有識者などの外部委員とが同数である、または 内部委員の数が多いという構成で行なわれてしまいました。 総務省によると、指定管理者制度とは、 「公の施設の管理に民間事業者の手法を活用することにより、 管理に要する経費を減縮することが可能になり、 その結果、当該公の施設の利用用の低料金化が図られたり、 利用者の満足度を上げ、より多くの利用者を確保しようとする 民間経営者の発想をとりいれることで、 利用者に対するサービスの向上が期待できる」 とされています。 これまでの行政には無い 民間の発想を取り入れるのが目的であるならば、 選ぶ側もその発想を柔軟に受け入れられるようにするために 行政側の内部委員の数は減らして、 外部委員の数を 過半数以上に多くすべきだったのではないでしょうか。 第2に、選定委員メンバーの中に 利用者や当事者がいないということも改善すべきです。 特に、障がいのある方の施設、 あるいは高齢の方の為の施設などは 施設を利用されている障がいのある当事者の方、 またはご家族などを選定委員として生の声を反映してもらい よりよいサービスを提供できる事業者は どういうものなのかを挙げてもらうべきでした。 以上の2点に対する選定委員会の構成への改善を求めて これらの議案には賛成します。 |
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議案第153号と第176号は、 議案そのものには賛成しますが 次の理由から 指定管理者に指定された2つの財団の理事長を 蒲谷市長からすみやかに変更すべきであることを申し上げます。 議案第153号「芸術劇場の指定管理者の指定について」で 指定されている財団法人横須賀芸術文化財団は 理事長が蒲谷市長です。 議案第176号 「生涯学習センターの指定管理者の指定について」で 指定されている財団法人横須賀市生涯学習財団も 理事長が蒲谷市長です。 指定管理者という新しい制度は、 民法上の契約ではなく、 行政処分という措置によって 公の施設の管理運営を指定した業者に行なわせるものです。 したがって、地方自治法の契約に関する規定は 適用されていません。 つまり、地方自治法第92条の2「議員の兼業禁止」、 第142条の「長の兼業禁止」が適用されず、 市長や市議会議員が関係する団体であっても 兼業禁止規定が適用されず指定管理者になることができます。 しかし、指定管理者には複数年にわたって 公の施設の管理を任せることになるという観点から たとえ法的に問題は無くとも、 自治体みずからが 入札・契約制度よりも より厳しい基準とより高い透明性をもって 制度運営を行なっていくべきだと僕は考えています。 指定管理者の指定を行ない議案として提案する立場の市長が その指定管理者の理事長職を兼業していることは 明らかに道義的に問題です。 すでに千代田区や多摩市や国分寺市では 議員や市長が関係する団体は 指定管理者に応募・指定することができない、とする 兼業禁止規定が条例で定められています。 したがって、指定管理者となる2つの財団は すみやかに理事長を市長から別の人間に 交代させるべきだと思います。 この点を強く指摘して、すみやかにその措置が成されるように 今後も厳しくチェックしていくことを申し上げて 今回の議案には賛成します。 以上で、討論を終わります。 ありがとうございました。 |
フジノの討論もむなしく
結果は、フジノの意見とは
逆の結果で決まってしまいました。