議会では、こんなやりとりしています


第1問目(その3)

























 第5番目に
 財政の関係から質問をしたいと思います。

 市長、あなたは
 「単年度の収支均衡への道のりは遠い」と述べていらっしゃいます。

 つまり、毎年入ってくるお金よりも
 使ってしまうお金の方が多いわけです。

 要するに、現在の状況は借金経営であるというわけです。

 これを収支均衡の状態にすることができない、
 借金経営をやめるということができないのは
 一体なぜだろう、と市長はお考えですか。

 ここ最近の経済状況を見てみれば、
 今、美術館の建設という巨大な計画を実現に移してしまうことこそが、
 市債の発行をふやし、
 収支均衡をさらに妨げることである
 と僕は考えています。

 地方財政は、過去最大の財源不足が見込まれる。

 そして横須賀市についても市税が減っている、
 つまり自主財源が減っている
 という状況にあります。

 だから、美術館づくりの費用をつくるために
 『地域総合整備事業債』という種類の債権を使って
 お金を調達しようとしているわけです。

 これは専門家の目で見れば
 確かにうまいテクニックではあります。

 何故なら、このやり方なら
 国からたくさんの補助を受けられるからです。

 しかし、そのテクニックが有効なのは、
 あくまでも「この国の経済がまともであれば」という
 前提条件
がつきます。

 若い人たちは今、この国を見捨てて
 どんどん海外に出ていっています。

 高校時代・大学時代の仲間たちはこの国を離れている、
 あるいは外資系企業に勤めています。

 全てはこの国の経済がもうまともではない、
 そういう考えを
 若い人ほど敏感に感じているからなのです。

 この先行きが不透明な日本経済の状況の中で、
 国からの援助にしがみついて
 借金をしても国が何とかしてくれる、
 そんな考えで本当によいのでしょうか。

 この国はもっと財政がひどくなるかもしれない。

 そして地方分権の流れの中で、
 自分のまちの経営は自分たちがやらなければいけない、
 もう国は助けてはくれなくなります。

 だからこそ、これからの横須賀市の財政を
 万が一に備えて厳しくコントロールしていかねばならないのです。

 そんな中、美術館の建設に約45億円もかける、
 また、美術館の運営には毎年3億円の赤字が見込まれている、
 その赤字は市がまかなうことになっている。

 こんなことは一般企業の経営では考えられません。

 市長、美術館の建設が
 これからの横須賀市の財政に与えるマイナスの影響を
 あなたはどのようにお考えでしょうか。

 ぜひお答えください。
























 最後に質問をしたいのは
 美術館の話になると
 いつもすぐに取りあげられる『まちづくりアンケート』についてです。

 美術館をつくることを横須賀市民が望んでいるという根拠として、
 市の関係者はいつも
 過去に行われた
 『まちづくりアンケート』の結果を挙げてきました。

 けれども、社会学や社会心理学を学べばわかるのですが
 社会調査法としての妥当性という観点に立った時、
 この『まちづくりアンケート』をもって
 今、美術館を市民が望んでいる、
 そう判断するのは正しいこととは僕にはとても思えません。

 まず第1に、
 このアンケートの中には
 美術館についての項目には、
 思いの強さや現在の横須賀市の財政状況などの情報が
 何にもないからです。

 人は一切の情報を与えられないままに
 「欲しいですか、欲しくないですか」と尋ねられれば、
 「欲しい」と答えるものです。

 何も情報がないままに
 「美術館が欲しいですか、欲しくないですか」と尋ねられたならば、
 答えはみな「欲しい」になります。

 けれども、今の横須賀市の状況や
 美術館を作ったことで生まれる借金の情報を知れば、
 誰もが簡単には「欲しい」なんて答えません。

 例えば、平成11年のアンケートが、
 今、僕が言ったことをはっきりと証明しています。

 「横須賀市の文化施設として
  新しく整備してほしいものは何ですか」

 という質問には、美術館は2位で29.5%です。

 「文化の施設として欲しいものは何?」

 そう聞かれたら、誰もが単純に
 今、自分の周りにない文化施設を考えて、
 単純にこの中で挙げられている選択肢の中にあるものを選ぶ。
 つまり聞かれたから答えているだけです。

 しかし、同じこのアンケートの
 別の質問ではこういう質問があります。

 「今、住んでいる地域に
  不足していると感じているものは何ですか」

 より現実の生活に根づいた質問があります。

 今住んでいる地域、そういう言葉によって
 アンケートに答える人々は
 自分が毎日暮らしていて本当に感じていることを
 判断の中に取り入れます。

 だから、この質問への回答の
 1位は老人ホームなどの社会福祉施設28.6%です。

 2位はバスや電車などの交通23.5%です。

 3位は病院などの医療施設22.4%です。

 美術館や科学館などの文化施設は
 4位になってやっと出てきます。

 けれども、「美術館や科学館などの文化施設」という選択肢では、
 地域に不足しているのは
 本当は「美術館」なのか「科学館」なのか、
 それとも「文化施設」なのか、
 それとも「その全て」なのかを判断することは全くできません。

 したがって、このアンケートから
 美術館が求められていると判断するのは
 社会調査法の基本の観点から正しくありません。


 このアンケートの第2の問題点は、
 回答数が極めて少ないことです。

 まちづくりアンケートは、
 横須賀市民の中から2000人を選んで答えてもらっています。

 2000人全てが答えてくれることは無くて、
 大体平均すると半分の1000人程度が
 毎回答えています。

 その1000人のうち、
 美術館をつくることを望んでいる人は何人でしょうか。

 昭和59年は334人です。
 43万人の都市ですよ。

 平成元年は352人です。
 平成6年は441人です。
 平成11年は最も数が少なくて、わずかに252人の計算になります。

 これを平均すると345人です。

 横須賀市民全体のわずか0.08%でしかありません。

 
これが本当に横須賀市の43万人の声を
 反映しているアンケートなのでしょうか。



 僕は心理学を学んできました。

 心理学を学ぶ人間はみな社会調査法を学びますから
 アンケートについても勉強します。

 その観点に立つと、
 この『まちづくりアンケート』は
 このまちに暮らしている人の声を反映しているとは
 なかなか考えられません。

 特に、今、美術館を観音崎につくることを望んでいる、
 そういう分析をするのは
 とても無理があります。

 はじめに「美術館をつくりたい」という考えがあって
 そしてその後からアンケートの結果をこじつけた、
 そう指摘されてもおかしくありません。






















 もしも、本当にこのアンケートが
 まちに暮らしている人の声だと主張するのならば、
 僕もあえてこう言いたいと思います。

 市長は先ほど井坂議員の質問への回答として、
 美術館建設は市民への約束だと言いました。

 ならば僕はこう言います。

 僕は、美術館反対を
 『市民への約束』である選挙公約として、
 4967人に賛成され、45人の市議会議員の中で
 第4位という圧倒的な成績で当選をしました。

 つまり43万人の1.22%に支持されている。

 少なくともこのまちの100人に1人は
 美術館づくりに反対して僕に投票したというわけです。

 僕もまた市民との約束をしたわけです。

 これこそが1番新しい
 まちの人々の「今の生の声」をあらわしている、
 そう思いませんか?

 市長、統計というものは
 意図的に結果を分析することがいくらでもできるものです。

 そうやってきちんと結果を考えてみたときに、
 この『まちづくりアンケート』から、
 美術館を今、観音崎に欲しいと横須賀市民は望んでいると
 あなたは本当に言い切ることができるのですか。

 僕はそのことに強い疑問を抱いています。
 このアンケートからは、
 美術館が必要だという結論は導けません。

 市長、あなたはこのことをどうお考えでしょうか。

 どうかお答えください。

 以上が僕の1問目の質問です。よろしくお願いいたします。


市長の答弁はいかに?
こちらをクリックしてください。


→「議会ではこんな発言しています」にもどる
→はじめのページにもどる