議会では、こんなやりとりしています


動画で質問の様子をみることができます。
市議会HPの日程平成22年9月15日をご覧下さい。

2010年9月議会・本会議(9月15日)、市長への質疑






























 おはようございます。
 藤野英明です。よろしくお願いします。



 1.記録的猛暑での熱中症被害を防止する即効性ある対策について

 この夏は本当にすさまじい暑さでした。

 今年6月から8月の平均気温は、
 統計を取り始めた1898年以降で最も高かった、と気象庁が発表しました。

 そして、全国で熱中症による被害が多発しました。
 9月7日現在、救急搬送者は5万2017人に上りました。
 搬送直後に死亡が確認された方は168人です。

 9月以降も毎日約700人が搬送されていることもあり、
 消防庁は今も熱中症対策を取るよう呼びかけています。

 死者こそ出なかったものの、本市でも救急搬送は多数にのぼりました。

 今年の猛暑が深刻だったのは死亡や搬送された方々の急増は
 単に猛暑だけが原因ではなく

 深刻化する無縁社会や孤独死の問題や
 ワーキングプアの増加などの貧困の問題も深くかかわっていることが
 強く浮き彫りになりました。

 搬送された人のうち65歳以上が46.6%でしたが
 もともと高齢の方々は暑さに弱いという原因に加えて

 クーラーが無かったり電気代を節約せざるをえないといった
 ひとり暮らしの高齢者や低所得の方々の姿が見えてきました。

 生活様式や経済社会状況の急激な変化が起こっている中で
 個人ができる工夫を行なって涼をとるという従来の手段だけでは、
 市民が健康で安全な暮らしを守ることはできない状況になりつつあります。

 社会問題として、政治と行政の対応が必要ではないでしょうか。

 長期的には無縁社会や貧困の問題への対応が必要ですが、
 家族や地域のつながりを取り戻すといったことでは間に合いません。

 今すぐ全ての家庭にクーラーを設置して
 スイッチを入れるのと同じくらいの即効性のある対策が必要です。

 そこで4つの提案を行ないます。



 (1)猛暑被害へのハード面での即効性ある対策強化について

 本市ではこれまでヒートアイランド対策として
 屋上や壁面緑化(緑のカーテン)などを推進してきました。

 こうした長期的視点で地球温暖化を止めることも重要なのかもしれませんが
 暑くても暑くても家の中でクーラーも無く
 電気代を節約する為に冷房も入れずにいる方々を前に
 政治と行政はゴーヤの緑のカーテンが育っていくのを待つ余裕はありません。

 一方、技術の進歩によって、緑化などに比べて割安で
 施工も容易な手段が少しずつ生まれてきています。

 例えば、建物の外壁やアスファルトの路面に、
 太陽光を高反射したり、熱を遮断する塗料(遮熱・断熱塗料)を使う事で
 10度近く温度を低減できるようになってきました。

 官民問わず、建物の新築やリフォームは日常的に行なわれていますし
 老朽化によって道路の舗装を直すことは定期的に行なわれています。
 そこに遮熱・断熱塗料を使うようにするのです。

 東京都では新築や建て替えの際の建物の屋根や外壁に
 こうした塗料を使用する事業者に補助を出す
 「クールルーフ事業」を行なっています。

 (質問1)
 猛暑が来年も続けば犠牲者は増えるでしょう。
 今後に備えて、こうした即効性ある新たなハード面の対策が
 必要ではないでしょうか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。






























 (2)猛暑被害へのソフト面での即効性ある対策について

 「暑くておカネが無い時には図書館や博物館に行けば
  涼しく過ごせる」

 という会話を冗談ですることがありますが、

 冷房が設置されている公の施設は身近にたくさんありますし、
 実際に活用して頂ければ、新たな財源もいりません。

 けれども、暑いから1日図書館で過ごす、
 1日行政センターへ行く、ということを
 本当に実行する方は、ほとんどいません。

 長い時間いればいるほどいづらくなりますし、
 そもそも用事が無いのに公の施設を訪れることはまずありません。
 それが市民の方々の本音であって、
 利用には強い心理的なバリアがあります。



 それでもこの夏のような猛暑の際には、
 本来の施設の利用目的だけでなく、

 猛暑の中で健康を守る為の「避難先」として
 実際にぜひ利活用していただくべきではないでしょうか。

 コミュニティセンターなどの施設に用事が無くとも誰でも安心して
 予約なしで無料で長時間避暑できるように
 スペースやイスをあらかじめ用意しておく。

 さらに、

 「市民のみなさま、猛暑を避ける為には市の施設をどうぞご利用ください」

 「市の施設でお気軽にどうぞ涼んでいってください」

 といったことを
 市が自ら積極的にアナウンスする。

 高熱水費もかからずに水分も補給できて
 日中を過ごすことができる場所として提供するのです。

 (質問2)
 即効性のある対策としてこうした試みを
 ぜひ実行して頂きたいと思いますが、市長の考えをお聞かせください。























 (3)熱中症注意情報の積極的な発信について

 この夏、本市では保健所がポスター制作をおこなって
 ウェルシティなどに掲示を行ないましたが、
 公の施設を訪れることが無い方々に効果はありません。

 その時々で変化していく天気や気温などの状況に応じて
 熱中症を予防する為に具体的にどのような行動をとることが必要なのか
 わかりやすくより積極的な情報発信が必要ではないでしょうか。



 気温やWBGT(暑熱指数)などの指標に基づいて
 注意を呼びかける熱中症注意情報はすでに全国で行なわれています。

 例えば、日本で一番暑い町として知られる岐阜県多治見市では、
 自動計測の「定置型熱中症指標計」にて
 気温が31度を超えてWBGTが28度を超えた場合は、
 市内の公共施設や携帯電話のメールによって
 「熱中症注意情報」を発信しています。

 本市もこうしたリアルタイムでの情報発信を行なうべきです。

 さらにその手段は、節約の為に自宅にとじこもっている方々にも、
 あるいは、ふだん誰ともつきあいの無い方々にも、
 新聞もとらないしテレビも観ないというような方々にも
 ダイレクトに届くやり方が必要です。

 例えば、市内405か所に設置されている
 防災行政無線を活用することは
 最もダイレクトに個人へ届く発信方法でしょう。

 公共施設はもちろんのこと、民間の協力もえて情報を記した看板を設置する。
 毎日の暮らしの中で訪れる可能性が高い場所、
 スーパーやコンビニなどの商業施設、
 年金をおろす為に訪れる郵便局や信用金庫、あるいは駅等にも
 看板を設置していくべきです。

 また、新聞はとらなくともケータイは必ず持っている方が多い時代ですから
 携帯電話で利用可能なメールマガジンを発行したり、

 新たにツイッターで本市の公式アカウントをつくってツイートしたり、
 市民の方からのリプライにリアルタイムで対応するなど、
 ICT利用をどんどん行なっていくべきです。

 (質問3)
 こうした情報の積極的な発信の必要性について
 市長はどのようにお考えでしょうか。お聞かせ下さい。
































 (4)ワーキングプア世帯への新たな支援制度の必要性について

 実は、今回の問題で最も重要だと僕が考えていることは
 ワーキングプア世帯の方々への新たな支援制度の必要性です。

 すでに退職をしている高齢の方々であれば
 昼間に公の施設へ滞在することも可能ですし、
 孤立を防ぐ為の様々な取り組みが始まりつつあります。

 また、生活保護世帯の方々については、
 冬期加算に準じて新たに「夏期加算」を創るという方針が
 国会の審議の中ですでに出ています。

 けれども、生活保護は受けておらず
 働いているけれども実質的に貧困の状態にある
 ワーキングプアの方々には
 何も支援がありません。

 昼夜を問わずに働きづめですから、公の施設にも行かれませんし、
 生活保護のようなサポートの仕組みも全くありません。

 僕がこの夏にこの問題に本気で強い関心を持った理由は

 市民の方々からお話を聞いてきた中で
 吉田市長や僕とまさに同世代の方々が

 本当に真夏の暑い室内で冷房も無く、
 電気代がもったいないからと扇風機もつけずに
 仕事に行く時間以外はただ寝転んでテレビの音を聴く以外何もせず
 もうろうとしながら耐えている姿を目の当たりにしたからです。

 確かにそんな姿を見て最初は僕も

 「働いているんだから冷房をつけるくらいのお金はないのか」とか

 「健康よりもおカネをとるなんてあべこべじゃないのか」

 と思いました。

 しかし、詳しく事情を聴くと、働いても働いてもとにかく収入が低い。
 だから、生活費を確保する為に数千円の電気代をカットして、
 猛暑の中で健康を害しているのです。

 これは自己責任ではありません。



 (質問4)
 こうしたワーキングプア世帯が確実にあり、
 その暮らしを改善するには、
 新たな支援制度を創りだす以外にないと僕は考えています。

 例えば、

 一定の基準(気温やWBGTなどの客観的な指標)を超えた日数に応じて
 生活保護の冬期加算程度の金額を支給するなどの導入を
 本気で検討すべきではないでしょうか。

 もちろん、これは永久に続ける制度ではなく緊急の一時的な対策です。
 また、その対象となる方々も決して多くはありません。

 市長の考えをお聞かせください。









































 2.市内学校で発生したいじめ問題について

 6月から7月にかけて市内の小学校で
 4名の児童が障がいのある児童をトイレにつれこんで
 衣服をぬがせて水をかけるなどのいじめをおこなっていた問題が
 7月31日、神奈川新聞によって報道されました。

 6月に川崎市で14歳の児童が複数の同級生によって
 衣服をぬがされるなどのいじめを受けた末に
 遺書を残して自殺をしました。

 本市のいじめ事件はその直後に起こっただけに
 全国で大きな衝撃をもって受け止められました。

 僕はこの件について
 市内外から何通ものメールをいただきました。

 障がいのある児童へのいじめ、しかも悪質な内容であることから
 いじめた側を厳しく責める内容がほとんどでした。

 けれども、いじめの問題はこの件に限らず、
 いじめた側のこどもたちを加害=悪と決めつけて断罪するだけで
 解決するものではありません。

 「現代のいじめ」の背景には、加害側の児童にもまた家庭環境を含めて
 様々な要因が複雑に絡み合っているからです。

 例えば、いじめる側のこどもも家庭に帰れば虐待を受けていたり、
 そのこどもの親もまた自分がこども時代に
 親から虐待を受けてきた背景があったりします。

 あるいは、十代で出産してすぐ離婚をしてしまい
 祖父母のサポートも全くなく地域でも孤立している家庭であったり、

 発達や知的な障がいがあったり、
 精神科の治療が必要な方々もいたり、

 教職員だけでは関わりきれないような問題が
 こどもにも家庭にも深く存在していることがあります。

 したがって、そもそもいじめの発生そのものを防ぐことは
 あらゆる意味で困難なことであり、
 むしろ発生した後の「早期の介入」と「長期的な対応」こそが重要です。

 特に、家庭や地域へとあえて入り込んでいって、
 何年も継続的に関わりを保ち続けるような
 長期的な環境調整こそが必要だと僕は考えています。

 そこで今回のいじめ問題に関連してまず提案したいのは、
 スクールソーシャルワーカーの配置の拡大です。




 (1) スクールソーシャルワーカーの配置拡大の必要性について

 まさに先ほどの活動を行なう存在がスクールソーシャルワーカーですが
 本市では現在、研究委託として中学3校に導入されています。

 すでに効果があがりつつあることは、
 昨年の教育経済常任委員会でも答弁がありました。

 不登校、暴力行為、いじめなど、あらわれる現象は異なっても
 その根っこにある解決すべき病理は共通しています。

 いじめ問題に対してもソーシャルワークの技法が
 重要な役割を果たしていくはずです。

 そこで教育長にうかがいます。

 (質問5)
 「現代のいじめ」の背景にある家庭環境を含めた
 学校内外の様々な要因を調整し、
 小中学校などの区分に限定されない長期的な関わりが可能となるよう、

 スクールソーシャルワーカーを、
 今後、拡大して配置していくべきではないでしょうか。

































 (2)報道発表の在り方の基準(ガイドライン)を検討する必要性について

 いじめ発生後の早期の対応が必要だと申し上げましたが
 その1つがマスメディアへの対応です。

 今は、どれだけ情報を隠しておきたくとも不可能な時代になりました。

 すでにインターネットなどで噂になって知られていることを
 配慮によって中途半端に隠そうとすれば、
 むしろ問題は大きくなってしまいます。

 したがって、いじめのようなセンシティブな問題であっても
 積極的に自ら説明責任を果たすことが危機管理へとつながります。

 外部へどのように発表するかによって
 例えば、個人名が特定されるようなことがあれば
 加害者・被害者の両者の未来に悪影響を及ぼすことがあります。

 それでも公的な発表よりも
 マスメディアの報道が先行する形で情報が流れていけば
 教員や学校や教育委員会に対して
 世間が不信感を持つようになるのもまた事実です。

 例えば、今回のいじめでは7月21日には関係者が謝罪を終えていたものの、
 神奈川新聞が7月30日に教育委員会に取材をするまでは
 対外的な発表や報告はありませんでした。

 決して隠したりするような意図はなくとも
 結果的にメディア対応は後手に回ってしまいました。

 8月2日になって市議会議員あてにも報告を行なわれましたが
 すでに報道で知った内容の後追いに過ぎませんでした。



 前市長時代から提案してきたことですが、ネガティブな情報こそ
 積極的に説明責任を果たすことこそが危機管理になります。

 (質問6)
 いじめの問題については今後も起こらざるをえない以上は
 あらかじめ、報道各社との信頼関係のもとで、
 市民への説明責任と、当事者に与える影響との両者を考慮した
 報道発表の在り方の基準(ガイドライン)を
 検討する必要があるのではないでしょうか。

 そうして、いじめが発生した時には
 そのガイドラインに基づいて迅速に報告や発表を行なうことで、
 関係者の方々への配慮もなされながらも
 世間からも不必要な不信感を持たれずに済むのではないかと僕は考えます。

 この点について、市長または教育長の考えをお聞かせください。





 以上で僕の1問目を終わります。



市長の答弁は後日掲載します。

→本会議での質問のページへ
→はじめのページにもどる