政治家としても個人としてもフジノの最大のテーマです
フジノが市議会で行なった自殺予防の質問


学校教育の現場での『自殺予防教育』の必要性について

(平成15年第4回定例会・本会議:03年12月8日)



 学校教育の現場での自殺予防教育の必要性について
 教育長に質問します。

 まず、このようなデータがあります。

 1.これまでに手首を切る等何らかの自傷行動をした高校生は
   1割ほどもいる。

 2.深刻に自殺を考えたことのある高校生は半数を超えている。

 3.同じ世代の仲間から、自殺について
   相談をもちかけられた青少年もやはり半数を超えている。

 そもそも思春期とは、
 誰もがこころ悩む時期で、精神的な危機を迎えます。
 15才から19才の死亡原因の中で
 自殺は第2位という高さです。

 しかも死因の第1位は『不慮の死』というものであり
 この中には実際は「自殺」が含まれている可能性が
 とても高いです。

 さらに、1件の自殺の背後にある自殺未遂者の数は
 青少年の場合では、100倍から200倍にも及びます。
 つまり、青少年の場合、
 1件の自殺があれば、100人から200人もの
 自殺未遂者が存在している、というのが現実です。
 くわえて現在ではインターネットで
 誰もがカンタンに、自殺をすすめるようなHP、
 いわゆる『自殺サイト』を見ることができます。

 『完全自殺マニュアル』という本が
 かつてベストセラーになったことがありますが
 テレビをはじめ、あらゆるメディアから
 自殺についての圧倒的な量の
 「不正確な情報」に子どもたちはさらされています。

 こんな現状に対して強く不安を抱いた私は、
 6月20日付けで教育委員会に対して質問書を出しました。

 「現在の横須賀市では
  自殺予防教育をおこなっているか」という内容です。

 学校教育課、学校保健課、教育研究所の連名で
 頂いた回答によると、
 現在の学校教育の中では
 具体的に自殺についてとりあげた自殺予防教育は
 おこなっていない
、ということでした。

 けれども、総合学習や道徳や生活科などの時間を利用して
 「生命がかけがえのないものであることを知り、
  自他の生命を尊重するこころや態度を育てる」教育、
 つまり「命の大切さ」の理解をすすめる授業が
 生徒に対して日常的に行なわれている、ということでした。

 あるいは、スクールカウンセラーの配置や
 教育研究所の教育相談なども行なわれているとのことでした。
 これは確かに良いことだと思います。

 また、学校保健課の尽力によって
 小中学校に配られている健康手帳の来年度改訂版からは
 こころの健康についてのページが
 新たにつくられることになった、ということも
 高く評価しています。

 しかし、こういった取組みを高く評価はしているのですが
 物事には全て長期的視野でなされる行動と
 目の前にある問題に対してなされる行動とがあります。

 生命の大切さを教える現在の学校教育は
 長期的視野で「こころを豊かにしていこう」という行動であって
 いつの日にかは自殺予防にもつながるものでしょう。

 今年の3月には文部科学省が
 『心の健康と生活習慣に関する指導』という
 実践事例集を発行しました。
 このような国の対応も長期的視野での取り組みです。

 けれども、今この瞬間に迫っている危機に対しては
 それだけでは足りません。

 同時に「直接的な対策も必要だ」と私は考えています。

 つまり、自殺予防を直接の目的とする教育に
 取組む必要があると私は思います。

 交通事故から身を守る安全教育は
 幼稚園の頃からくりかえしくりかえし行なわれるのに
 何故、自殺予防教育は
 これまで全くおこなわれてこなかったのでしょうか。
 大きな疑問を感じます。

 学齢期の子どもたちが
 苦しみや悩みを相談する相手の第1位は
 同じクラスメートや友達です。

 けれども、子どもたちは
 自殺の相談をうちあけられたとしても
 どう対応してよいか、全く分からないのが現状なのです。

 そこに正しい知識を与えて
 どう対処すべきかを教えてあげるべきなのです。

 平成15年第2回定例会での
 原島浩子議員の質問におけるCAPプログラムと同様に
 アメリカやヨーロッパでは
 自殺予防教育が子どもの段階から
 学校で行なわれている国々があります。

 例えば、

 (1)自殺の実態について知る

 (2)自殺につながるような危険な状態が
    人生の中で起こりうることを知る

 (3)友人の自殺の危険に気づいた時の対処法を
    ロールプレイ等の手法を用いて考える

 (4)地域にどのような社会資源があるかを知る
、などです。

 こういった取組みを実践的に行なっていくことが
 必要だと私は考えています。

 そもそも子どもたちに行なうだけではなく、
 まずは教員に対してより積極的に
 自殺予防教育をおこなうことが実践的で
 必要なことだとも私は考えています。

 教育長はこの点についてどのようにお考えでしょうか。





 学校教育の現場での自殺予防教育につきまして、
 1点、御質問がございました。

 学校教育では、
 理科や道徳・生活科・総合的な学習の時間を初め、
 各教科領域等、すべての教育活動を通して、

 「命がかけがえのないものであることを知り、
  自他の命を尊重する心や態度を育てる」

 教育を従来から推進しております。

 子どもたちに心の問題が生じた場合、
 また生じる可能性のある場合には、
 各担任や養護教諭、
 スクールカウンセラーや心の相談員などによる
 相談や支援体制の充実を図っております。

 また、教育研究所の教育相談室では、
 面談や電話相談という
 直接の対話方式やEメールによる相談も行っております。

 学校教育において、直接的に「自殺」を取り上げた
 画一的な「自殺予防のための教育」は
 なかなか難しい問題であると思いますが、
 青少年の自殺が社会問題化している今日、
 さまざまな実践事例を検討し、
 今後の自殺予防教育の強化に努めていきたいと、
 このように考えております。

 以上でございます。





 教育委員会については、
 従来どおりのお答えをいただきまして非常に残念でございます。

 教諭の方の頑張りは本当に理解しております。

 けれども、その頑張りを支えるためにも
 学校の先生方に自殺予防教育、つまり、
 子どもが自殺の現場に立ち会ったときにどうしたらいいのか、
 地域の連携機関を知ってもらう、
 そういったことを進めていくことが必要だと
 私は感じております。

 難しい問題ではあるけれども今後の検討課題である
 というふうに言っていただきましたので、
 ぜひその点だけは把握をしてください。





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