議会では、こんなやりとりしています


動画で質問の様子をみることができます。
市議会HPの日程平成17年9月15日をご覧下さい。

05/09/18更新
2005年・9月議会、市長の所信表明への質問






















 <はじめに>

 藤野英明です。よろしくお願いします。

 これまでの予定調和の市長選挙とは異なり、
 4人の候補者による激しい選挙によって
 接戦の末に選ばれたのが蒲谷市長です。

 この市長選挙で、対立候補を最前線で応援した1人として
 これから4年間の蒲谷市長の在り方を
 真摯な姿勢でチェックしていきたいと思います。

 壇上で質問するフジノその1


 <質問1.選挙結果の受け止め方について>

 今回は大きく8つの質問をします。

 まず第1に、今回の市長選挙の投票結果で示された
 市民のみなさんの想いをどのように受け止めているのか、
 蒲谷市長の考えを率直に聞かせてほしいと思います。

 選挙結果を改めて申し上げると、

 投票した方の総数14万942票、
 得票数は、
 蒲谷市長は6万4545票、
 木村正孝さんは5万7862票、
 有谷たかとしさんは9850票、
 小堀徹さんは5928票、でした。
 当選した蒲谷市長と2位の木村正孝さんとの得票差は
 わずか6683票でした。

 得票率も蒲谷市長46.71%に対して
 木村さんが41.87%とわずか4.84%の差です。

 つまり、非常に接戦であり、
 投票した方々の半分ずつが
 蒲谷市長と木村候補に投票をした訳です。

 さらに言えば、残り2候補の得票数を合計すれば
 7万3,640票となり、蒲谷市長の6万4,545票を
 大きく9,095票も上回ります。

 これをふつうに受け止めれば、

 「蒲谷市長は選挙には勝ったが
  実際は蒲谷市長を選ばなかった市民の方が多い」

 と言えるでしょう。

 市長選挙にあたって、蒲谷市長は、
 沢田前市長の後継者として立候補をし、
 沢田前市長の路線を継承するという立場でした。

 僕はこの選挙結果を見る限り、市民の半分以上の方々が
 市民の声を聞かずにハコモノ事業を進めていく
 沢田市政をこれ以上続けてほしくない、
 その後継者には「ノー」だ、と意思表示をしたのだと思います。

 蒲谷市長ご自身も7月11日の就任記者会見の場で、

 「結局、横須賀市政に対する不満の声が、
  私に対する反対票だったのではないか」

 と述べています。

 つまり「蒲谷候補そのものへの反対票」というよりも、
 「沢田市政」の後継者に対する大きな批判と
 変化を望む声が今回の選挙結果だと思います。

 質問(1)
 このような投票結果によって示された市民の想いを
 蒲谷市長はどのように受け止めていますか。
 率直にお答え下さい。

 また、現在の日本全体を覆うたくさんの問題に対して
 このまちも1つになって進んでいかねばならないと思います。

 そんな状況の中、
 市民の半数があなたに投票しなかったという事実を前に
 広く市民のこころを1つにしていく
 「融和の努力」が必要だと思います。

 質問(2)
 蒲谷市長はいまだ半分にちぎれている市民のこころを
 どのように1つにしていく努力をするのでしょうか?

 以上、2点についてお答え下さい。























 <質問2.美術館反対派への説明責任について>

 次の質問に移ります。

 市長選挙の大きな争点は「美術館建設問題について」でした。
 沢田前市長はこの問題を矮小化して
 哲学がどうとか話を必死でそらしていましたが
 そんなことはこの問題の本質ではありませんでした。

 この問題の本質は、2つです。

 まず、財政状況の厳しい現在の横須賀市で
 今やらねばならない問題がたくさんあるのに
 何故ハコモノを優先させるのか、
 もっとやるべきことはあるだろう、という
 「当たり前の市民感覚に根づいた怒りの声」だ、ということです。

 第2に、美術館建設だけでなく、長井海の手公園建設をはじめ、
 平成町への高級リゾートホテル誘致問題など
 たくさんの署名や反対の声があがっているにも関わらず
 市民の声には一切耳を傾けようとしなかった、
 「市長の姿勢に対する怒りの声」だ、ということです。

 美術館問題について語る時には
 この2つの本質を見つめ、それらを語らなければ、
 決して市民の理解は得られません。
 しかし、蒲谷市長は所信表明の中でどのように扱ったか。

 「重要な課題」としてとりあげはしたものの、
 8つの課題のうちの7番目として、
 工事の進み具合や運営などの表面的なことがらを
 わずか30秒程度、述べたに過ぎません。

 そこで市長にうかがいます。

 質問(3)
 このようなわずかな言葉で、
 美術館問題に対して見直し派・反対派の多くの人々の
 理解が得られたと思っているのですか。

 少なくともまちを1つの方向へ結集していこうと考えるならば
 市長は理解を求めるためにこの問題について、
 もっと丁寧にきちんと語りかけるべきではありませんか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。

 壇上で質問するフジノその2





















 <質問3.市民の声を聞く方法について>

 次の質問は、岩崎議員への答弁で理解できましたので、
 質問としては割愛して、コメントにとどめます。

 繰り返しになりますが、沢田前市長の最も良くなかった点は、
 市民の声に耳を傾ける姿勢を持たなかったことです。

 これに対して蒲谷市長は、所信表明の中で
 「私自身が積極的に街に出て市民の声を聞きたい」と
 市民の声に耳を傾ける姿勢を打ち出し、
 本日の答弁の中でも「タウンミーティングを行なう」と
 明言されたことは高く評価に値します。

 この点は市民の多くが期待をしていると思います。

 今後、実施される
 実際のタウンミーティングをチェックしていきたいと
 思います。



















 <質問4.「元気な横須賀」とは何か?>

 答弁についてブレが見られますので
 改めて、市長が政策の基本目標として掲げた
 キャッチコピーである「元気な横須賀」について質問します。

 選挙前のマニフェストから、選挙期間を通じて
 「元気な横須賀」を一貫して訴えてきた蒲谷市長ですが
 この基本目標そのものを否定する人は誰もいないでしょう。

 しかし、人の数だけその解釈が全く異なるのも事実です。

 「元気な横須賀」がキャッチコピーなら
 解釈がバラバラでも良いでしょう。

 しかし、これは目標である、と市長は所信表明で述べました。

 市長は、行政経営の意味で経営者であり、リーダーです。
 また、「元気な横須賀」は政策の基本目標です。

 市長はこのまちを経営していく上で、
 目標を立てたのです。

 その重みをしっかりと認識してください。

 何をもって「元気な横須賀」が達成されたとするかという
 その方向付けをきちんと説明していかねばならないと思います。

 またその達成の度合いを示す指標を設定しなければ
 議論をスタートすることさえできません。

 質問(4)
 そこで質問です。

 蒲谷市長は、
 さきほど嶋田議員の質問に対して
 「重視する4分野の実現が『元気な横須賀』の実現だ」と
 述べたように思います。

 吉田議員には
 「新世紀ビジョンの中に位置づける」と答えました。

 確認なのですが、
 操作的定義として、「元気な横須賀」という当面の目標の達成は
 重視する4分野の実現による、ということで
 よろしいですか?































 <質問5.数値目標の設定とマニフェストの進行管理>

 続いても「リーダーとしての市長」の観点からの質問です。

 何故、蒲谷市長は
 所信表明で「数値目標」を挙げなかったのですか。

 現在、民間企業では新しく社長が就任すれば
 社員を前にして、期限を区切り、数値目標を掲げて、
 社長としてその企業が実行していくことを説明するのが
 常識になりつつあります。

 また、社長就任時の長期目標のみならず
 四半期決算ごとに数値目標を示していきます。

 そして、その目標が達成できなければ
 社長として不適格だったということで降格もありえます。

 これが経営ということですが、
 このまちもこれまで「行政経営」ということで
 自治体にも経営の感覚が当然のこととして求められる、との
 方針で進んできたはずです。

 数値目標をかかげて、それをもとに
 市民のみなさまも、市議会も、マスコミも、
 検証を行なって、実績の評価をするのです。

 しかし、市長の所信表明をうかがうと
 数値目標が全くありませんでした。

 数値目標が無ければ
 それは「マニフェスト」ではなく
 ただの「ウィッシュリスト」でしかありません。

 所信表明ではかろうじて1つだけ、市長は
 保育待機児童ゼロと数値目標を挙げましたが
 いつまでに達成するのか、
 また駅前保育所の整備などの財源をどうするのか、には
 全く触れられていません。

 本日の質疑でいくつかの数値目標が明らかになりましたが
 尋ねられてから答えるのでは
 リーダーとしては弱いです。

 具体的にどんなことを、いつまでに、
 どのような財源の裏づけで、どのような工程で行うのか。

 少なくとも市長が特に重視している4分野である、
 地域産業の活性化、
 次世代育成支援、
 高齢者の支援、
 安全なまちづくり、について、
 可能な限り、数値目標をかかげるべきでした。

 また、重視する4分野を実現する基礎条件として取り組むと
 市長が述べた「行財政改革の推進」についても
 検証可能な数値目標を掲げるべきでした。

 質問(5)
 今述べた重視する4つの分野と行財政改革について
 市長は具体的な数値目標を示すべきではないでしょうか。

 また、選挙でマニフェストを掲げて当選した
 松沢県知事をはじめとする多くの首長たちは、
 マニフェストが実現されているかを
 きちんとチェックする体制を自らつくっています。

 質問(6)
 もちろん市議会としてチェックを行っていきますが
 蒲谷市長は自らのマニフェストの進行管理を
 どのように行っていくのでしょうか。

 以上2点についてお答え下さい。



















 <質問6.有料化の拡大なのか?>

 次の質問です。

 横須賀を元気にするためには、

 「財源の確保・拡大は必要不可欠な基礎条件であり、
  勇気をもって遂行しなければならないものと考えています」

 と市長は述べました。

 この「財源の確保・拡大」について質問します。

 財政改革をしていくためには、
 増えていく支払いをなるべくカットすることと、
 何とかして収入を増やしていくこと、が必要です。

 この収入を増やす手立ての1つとして、
 沢田前市長は、これまで無料だった文化会館駐車場をはじめ
 多くの公共施設の、駐車場の有料化を行ないました。

 蒲谷市長の言う「財源の確保・拡大」とは
 このような新たな市民負担を求める
 有料化の範囲拡大を意味しているのでしょうか?


 徹底的に行政のスリム化を行なってもなお財政赤字の場合、
 財源の拡大を行なわねばならないことは、
 基本的に理解しています。

 また、受けている市民サービスの量に対して
 支払っている税金との関係がアンバランスである場合には、
 受益と負担の関係を正していく為にも
 ある程度の負担増は当然ですし、
 きちんと説明責任を果たすことも
 自治体と市民の関係を正す行政の役割だと思います。

 ただ、蒲谷市長が所信表明で述べた言葉では
 説明があまりにも少なく分かりません。

 質問(7)
 蒲谷市長の述べた「財源の確保・拡大」とは
 具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。
 お答え下さい。

 壇上で質問するフジノその3





















 <質問7.市政100周年事業の方針>

 次に、市政100周年事業について質問します。

 「重要な課題」「その5」として
 来たる市政100周年を「盛大に祝い」

 「魅力的なイベントの開催をはじめとして集客の拡大を図り、
 産業の活性化にもつなげたい」

 と市長は述べました。

 また100周年事業の目的は
 横須賀市に対する「誇り」や「愛着心」をさらに高めること、
 とのことで、目的自体は非常に正しいと思います。

 しかし、この目的がきちんと果たされるでしょうか。

 例えば、開国祭というイベントがかつて盛大に祝われましたが
 その目的や意味を
 今も覚えている市民がいるでしょうか。

 引田天功を呼んで行なったイベントや
 Yデッキですさまじい数の人々が危険な状態になるほどに
 集客されたあの年の花火大会が
 いったい何の目的で行なわれたか、
 そもそも当時でさえ、市民は理解していたと言えるでしょうか。

 また、あのような大規模なイベントに税金をつかうことは
 明らかに財政改革に反しています。

 税金の投入に見合った経済効果が得られれば良い
 という反論がありますが、
 そもそも「経済効果」という概念は
 何を指標に置くかで数値が大きく変わりうるもので
 基本的に信憑性は低いものです。

 たくさんの人々を集客したとしても
 それが定住人口につながるかどうかという点についても
 前市長との最後の一般質問で議論をしましたが
 集客が即、定住人口につながるとも考えられません。

 このような財政状況のもとでは
 短期的に集客を増やす豪華なイベントを単発で行なうよりも
 長期的に横須賀市の価値を内外で高める
 地道な努力こそが必要だと思います。

 質問(8)
 そこで市長にうかがいます。
 市政100周年事業が単なるイベントの羅列で
 その目的が何だったのかさえ
 記憶に残らないようなものにしない為に、
 また、「行財政改革」に逆行しないようにする為に、
 市長はどのような方針を考えていますか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。



















 <質問8.触れられなかった障がいのある方々の福祉>

 最後に、所信表明では全く触れられなかった
 障がいのある方々の福祉について質問します。

 現在この国では、障がいのある方々の福祉は
 大きな転換期を迎えています。

 政府により再提出が予定されている
 障がい者自立支援法案が国会で成立すれば、
 「応益負担」が導入されることになります。

 憲法で本来保障されているはずの福祉サービスが
 今後は「益」だと見なされて
 料金を支払わねばならなくなります。

 地域で当たり前に暮らしていくことを目指して
 進められてきたこれまでの福祉が損なわれて、
 自立が阻害される状況が起こるでしょう。

 障がいのある方々、ご家族、福祉関係者の誰もが
 現在も障がい者自立支援法案の行方を
 不安をもって注視しています。

 そんな社会福祉が激変しかけている時期に
 横須賀市長が新しく変わりました。

 蒲谷市長がどんな言葉で障がいのある方々の福祉を
 語るのかと期待していましたが
 所信表明の中で一言も述べられることはありませんでした。

 所信表明の中で、
 「そもそも全く触れられなかった」ということ自体が
 障がい者福祉に対する新市長の認識なのか、と
 非常に不安を感じました。

 質問(9)
 そこで市長に伺います。

 障がいのある方々の福祉について、
 市長は今後どのような方針を持って取り組んでいくのでしょうか。

 また、市長の目指す「元気な横須賀」の中で、
 障がいのある方々の福祉は
 どのような位置づけになっているのでしょうか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。


 以上で、第1回目の質問を終わります。


 壇上で質問するフジノその4


市長の答弁、2回目・3回目の質疑については
後日、掲載します。

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