2012年予算議会・本会議(3月1日)、市長への質疑 | ||
1.これまでの取り組みの成果と課題の分析を踏まえた 『新たな自殺対策』の必要性について 自殺対策基本法の施行から6年間が経過して、 ようやく全国的に取り組みが普及してきました。 東日本大震災が無ければ昨年は 自殺の犠牲者は3万人を下回ったはずというのが 関係者の共通認識になっています。 わが国の自殺対策は新たな段階に進もうとしています。 本市でもここ3年間は100人台を下回る成果を得ています。 ここからさらに犠牲者を減らしていく為に、 本市も『新たな自殺対策』に取り組む必要があります。 そこで3つの提案をします。 (1)自殺対策の目標値に「自殺未遂者の減少」を 新たに加えるべきではないか。 2月に発表された 『自殺総合対策大綱の見直しに向けての提言・第2次案』において 自殺未遂者数などを指標として導入することが 新たに提案されました。 もともといち市町村の犠牲者数の規模は小さい為、 「既遂」のみを指標にすると 対策の効果が判断しづらくなっていきます。 そこで「既遂」の10倍の「規模」の存在がある 「未遂」を指標とすることで 対策の効果を評価可能にする仕組みを取ろうという提案です。 本市でも新健康増進計画『よこすか元気アップ21』において 「自殺による死亡者数を減らすこと」を目標値としています。 そこで市長にうかがいます。 (質問) 『よこすか元気アップ21』の改定に合わせて、 新たに「自殺未遂者数の減少」を 指標として加えるべきではないでしょうか。 お答えください。 (→市長の答弁へ) |
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(2)自殺対策連絡協議会の在り方を見直すべきではないか 関係機関の連携強化と対策の協議を目的とする 自殺対策連絡協議会は、設立から丸5年が経過しましたが より効果の高い対策を推進する為に在り方を見直すべきです。 ア.現在の運営方法を見直すべきではないか 第1に「開催回数を少なくとも四半期に1回へと増やすべき」です。 5年前には1年経たなければ得られなかったデータが 今では毎月入手できるようになりました。 季節ごとの変動を分析して次の四半期に向けて きめ細かな対策に反映するのです。 第2に「既遂・未遂事例検討」を導入すべきです。 以前、事例検討を試行して頂きましたが メンバーそれぞれが自分の社会資源を活かせば 自殺へと至らずに済んだのではないか、と熱心に取り組まれていました。 第3に「メンバーそれぞれの持ち場の取り組みを お互いに訪れて視察すべき」です。 実際には精神科に足を踏み入れたことの無いメンバーが 街頭キャンペーンの時に「苦しい時は相談を」と訴えても 現実味が沸きません。 メンバー相互の取り組みをお互いに視察するのです。 多重債務特別相談会を担当する弁護士、 生活保護のケースワーカー、 自殺未遂の方を搬送する救急隊員、 独り暮らし高齢者と向き合う民生委員にお話をうかがうなど ぜひ行うべきです。 そこで市長にうかがいます。 (質問) 協議会のさらなる活性化の為に 運営方法を見直すべきではないでしょうか。 お答えください。 (→市長の答弁へ) イ.協議会に以下の新たなメンバーを加えるべきではないか。 @自死遺族。 「GKB47宣言」というキャッチコピー問題などは 自死遺族の声を聴こうとしない為に起こったものです。 善意であるはずの自殺対策が持つ副作用について 自死遺族の声に耳を傾けるべきです。 Aマスメディアなど報道関係者。 県の『かながわ自殺対策会議』には 報道関係者がメンバーに入っています。 報道の仕方しだいで自殺が増えてしまうこともある中 実態を知ってもらうべきです。 B現場の教職員・養護教諭。 日常的に思春期のこどもたちの自傷行為に直面している 教職員・養護教諭の方々の存在は、 新たな指標として自殺未遂を設定する上で不可欠です。 C地域包括支援センターなど地域の高齢福祉関係者。 本市の自殺に占める高齢者の割合が増えている中で 地域で活動する高齢福祉関係者の協力が不可欠です。 D僧侶など宗教関係者。 宗派を超えた『自殺対策に取り組む僧侶の会』の活動が知られていますが 本市の僧侶の方もこの会で活動しておられます。 日常的に生死と向き合っておられる僧侶など宗教関係者は 対策に貢献していただける存在です。 E司法書士会・弁護士会。 どちらの組織も全国的に自殺対策に熱心に取り組んでおり 身近な事例にもたくさん出会っている為、不可欠です。 他にも自殺未遂から立ち直ったサバイバーの方など 現場の方々の存在が新しい協議会には必要です。 そこで市長にうかがいます。 (質問) 自殺対策連絡協議会に 新たなメンバーを加えるべきではないでしょうか。 お答え下さい。 (→市長の答弁へ) |
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(3)従来の対策の継続と共に、高齢者層をターゲットとした取り組みを より強めていくべきではないか ここ数年間の傾向として、 60代以上の犠牲者の割合が増えつつあります。 その理由は、これまでの本市が行なってきた対策が 若年層と中年層の犠牲者を減らすことに効果があった為、 結果的に高齢者の割合が増えてきているのだ と僕は考えています。 本市の高齢化率は今後さらに高くなっていく一方で 独り暮らし、老老介護、慢性的な疾患や精神障がい、 生活困窮などの多重困難を抱える ハイリスクな高齢者が増えていきます。 本市では、毎年3000人の高齢者に「うつスクリーニング」を行ない、 支援の必要がある方々を訪問するなどの取り組みを行っていますが さらに取り組みを強めていくべきです。 そこで、市長にうかがいます。 (質問) これまでの対策はしっかりと継続しながらも 高齢者層をターゲットとした自殺対策の取り組みを より強化して進めていくべきではないでしょうか。 お答えください。 (→市長の答弁へ) |
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2.本市が進める「医療と福祉の連携強化」と新たな「福祉計画」を 神奈川県の新たな「医療計画」と積極的に連動させていく必要性について すでに高齢化率25%を超える本市は、 地域包括ケアシステムを実現することが最重要課題ですが、 その実現には『医療と福祉の連携強化』が不可欠です。 本市では『地域療養連携会議』を立ち上げて、 在宅療養支援関係者の「顔の見える関係」作りや 介護関係者を対象にした「医療に関する研修」などを進めています。 また、4月から法改正により介護職員らが たん吸引などの医療的ケアを実施できるようになりますが 本市は積極的な支援を打ち出しています。 こうした取り組みを僕は高く評価していますが さらにもう1つ、取り組むべきことがあります。 それは県が今年策定する『医療計画』に 本市の取り組みを積極的に連動させていくことです。 新たな『医療計画』ではこれまでの「4疾病5事業」に 「精神疾患」が加えられて「5疾病5事業」になり、 特にうつ病と認知症に重点が置かれる方針となりました。 また「在宅医療」の充実強化も打ち出されるなど 「医療と福祉の連携強化」がさらに必要になります。 これを実効性のあるものにするには 医療・福祉の現場を持つ市町村との緊密な連携が不可欠です。 そこで、2つの提案をします。 (1)神奈川県が策定している「医療のグランドデザイン」に 本市をはじめとする県内各市町の意見を 反映させるべきではないか 黒岩県知事によって、 神奈川県は全国初の『医療のグランドデザイン』を策定する為に プロジェクトチームを立ち上げて 2月24日に最終報告書案をまとめました。 これは単なる理念ではなく、 できることからすぐに予算化をすることと 新たな『医療計画』に反映することを前提に作られ、 事実上の『医療計画・原案』の策定作業と言えるものでした。 しかし、メンバーに市町村関係者はおらず 県内市町が意見を述べる場は全くありませんでした。 市町村は毎日、厳しい福祉の現場と向き合っています。 最終報告書案には こうした現場の声が足りないと僕は感じました。 『グランドデザイン』は 『医療計画』のさらに上位の位置付けですから ここには絶対に市町の意見が反映されなければならないはずです。 そこで市長にうかがいます。 (質問) 県の『医療のグランドデザイン』を実効性あるものとする為に、 本市をはじめとする県内各市町の意見を反映させるように 県知事に提案すべきではないでしょうか。 お答えください。 (→市長の答弁へ) |
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(2)県の新たな『医療計画』を 本市の進める「医療と福祉の連携強化」と新たな「福祉計画」に 連動させる為に本市から 積極的なアクションをとるべきではないか。 続いて、『医療計画』そのものについても 積極的に関わるべきだと提案します。 過去の『医療計画』を策定したプロセスを見ても、 また策定後の進行管理を見ても、 市町村は積極的に加わることはできていません。 『地区計画』を策定する際には 『三浦半島地区保健医療福祉推進会議』が開かれて 本市からも健康部長・保健所長が 数回の会議に出席することにはなりますが もっと実務者レベルの職員が 継続的に参加する場こそ必要です。 本市の施策や複数の福祉計画の数値目標に連動して 県の『医療計画』本体の施策や達成すべき数値目標に記されるように より積極的に関わるべきです。 また策定後の進行管理にも継続して関わることで 『医療計画』の実効性が高まるように促すことも必要です。 そこで、市長に伺います。 (質問) 県の新たな『医療計画』を 本市の進める「医療と福祉の連携強化」の取り組みと、 高齢者保健福祉計画(第5期介護保険事業計画) あるいは第3期障害福祉計画などの 「福祉計画」の数値目標などに しっかりと連動させるように、 本市は積極的にアクションを起こしていくべきではないでしょうか。 お答えください。 (→市長の答弁へ) |
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3.全国に「横須賀方式」として知られるようになった 学校給食の放射線量測定の今後について 学校給食の安心安全を高める上で、 東京大学の早野龍吾教授が提唱した 「実際に提供された食材への測定方式」を 本市は全国で初めて導入しました。 これは「横須賀方式」として全国に知られるようになり、 他都市の取り組みにも大きな影響を与えています。 こどもたちの健康を守りたいと願う全国の方々から 本市が今後どのように取り組んでいくのか注目されています。 そこで2点、うかがいます。 (1)来年度も測定を継続実施していくことを明言すべきではないか 今年度の学校給食の放射線量測定は 『予備費』から50万円を流用することで対応しました。 来年度については予算書を見てもどこにも事業は載っておらず、 新たな費目を設けて計上するなどの対応は 特になされていませんでした。 しかし全国をリードする立場の本市がやめるとは考えにくく、 再び『予備費』からの流用で対応を継続するのだろう、と推測しています。 ただ、プレスリリースなどもされていないので 「来年度はどうするんですか?」と 他都市から問い合わせを僕は受けています。 そこで教育長にうかがいます。 (質問) 本市の取り組みが実質的に 他都市の動きを牽引している立場である以上、 来年度も本市は「横須賀方式」の測定を 継続実施していくことを明言すべきではないでしょうか。 お答え下さい。 |
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(2)学校給食の放射線量測定などに国が積極的に取り組むように 他都市と連携して働きかけていくべきではないか。 本来であれば、全国一律に「横須賀方式」を実施できるように 国が取り組まなければなりません。 昨年12月、森ゆうこ文部科学副大臣が本市へ視察に訪れました。 測定の現場を実際に見て市長・教育長と意見交換をしたのですが 本市の取り組みを高く評価して、 「国としてもできるだけ早く学校給食の丸ごと検査を実施したい。 3学期をスタートに支援できる部分を詰める。 横須賀市の取り組みはスタートに向けて参考になった」 と述べました。 この言葉がさっそく実現するものとして 2011年度3次補正予算に文部科学省が盛り込んだ 測定機器設置への補助制度に期待していたのですが 残念ながらうまく進んでいません。 17の都県が補助対象になっていますが 市町村で実際に活用を始めたという報告は 3月1日現在まだ1ヵ所も無く、とてももどかしい想いです。 さらに僕がもどかしい想いを募らせているのは、 副大臣の視察後に、文部科学省の事務方から 本市へのヒアリングが1度も行われていないことです。 本来、副大臣に横須賀へ来ていただいたのは、 本市が取り組んできた経験から得られた 課題や要望を文部科学省がヒアリングして 実施に向けた国の要綱の策定に反映してほしかったからです。 現場に1度来ただけのパフォーマンスになりつつある現状を 副大臣はどうもご存知無いようで残念です。 これから測定の取り組みが全国に広がっていくにつれて 必ず起こるであろう高い線量が検出された場合に 「どの食材が汚染されているのか」を 市町村が特定することは技術的にも立場的にも不可能です。 汚染された食材を特定して出荷停止などの対応を取ることは 政府にしか実施できないことですから こうした「防御」の取り組みを政府がしっかり行なわねばなりません。 それにも関わらず、 本市へのヒアリングも無いことからも明らかですが 政府が主体的に「防御」の取り組みに乗り出す姿勢が見受けられません。 もう1度、政府に働きかける必要を感じています。 そこで、市長と教育長ともにうかがいます。 (質問) 本市を始めとする現場の声を政府の取り組みに反映させる為に 同様の取り組みを行なっている他都市と連携するなど あらゆるチャンネルを駆使して 積極的に政府へ働きかけていくべきではないでしょうか。 お答え下さい。 |
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4.美術館の抜本的な改革の必要性について 財政が厳しい横須賀市は、あらゆる事業をカットしてきました。 例えば、来年度予算案においても ご高齢の方々の交通手段として運行されてきた 福祉バス「ルシア号」を3月末で廃止すると発表しました。 (2012年2月25日・神奈川新聞より) 予算はわずか3000万円、 外出するご高齢の方々の貴重な交通手段として愛され、 1年間の利用者は3万5000人にのぼりました。 その一方で、横須賀美術館は来年度予算案においても 3億6476万円の赤字を垂れ流します。 毎年3000万円あれば運行できる福祉バスと 毎年3億5000万円の赤字を垂れ流す美術館。 市民のみなさまにとって、どちらが本当に大切なものでしょうか。 財政危機の横須賀だからこそ僕はムダなハコモノをカットして 医療と福祉の財源を生み出さねばならないのです。 だから美術館には、抜本的な改革が必要です。 横須賀市は 昨年4月に『美術館運営方法検討委員会』を立ち上げ、 8月には若手職員による『美術館事業発案ミーティング』を開き、 10月からは『美術館運営改革プロジェクトチーム』を 立ち上げました。 いずれも市役所の内部組織で会議は一般に公開されず ただ結論だけが昨年12月議会で報告されました。 その結果うちだされたのが、 美術館の一部業務を 来年4月から指定管理者制度に移行する というものです。 その目的は「効率的な施設維持管理及びサービスの向上と経費削減」 と報告されましたが 建物修繕、清掃、警備、保守管理、受付・展示監視、 電気水道光熱水費その他事務などの『管理業務』だけを切り替えても 見込める経費削減は、 美術館管理事業費2億円のうちわずか5%で 1000万円しか削減が見込めません。 毎年3億5000万円の赤字が 3億4000万円の赤字になるだけです。 こんな赤字体質は、小手先の改革では改善できません。 僕が目指す美術館改革は、まずは公設民営化して、 最終的には売却して完全に民間に移行することです。 そうした想いから2点、市長にうかがいます。 (1)「博物館類似施設」として市長部局へ移管することを とりやめると結論づけた議論の内容を説明すべきではないか 2010年6月議会での一般質問で僕は市長に対して、 『博物館法に基づく施設』として教育委員会が所管している美術館を 『博物館類似施設』として市長部局へ移管することを提案しました。 市長部局へ移すことでもっと大胆に柔軟な経営ができるからです。 市長はそれも含めて検討すると答弁しました。 しかし、それから1年半が経った 昨年12月議会の教育福祉常任委員会で その後の経過を質問すると 先ほど述べた市役所内部の組織を立ち上げる前に このことについても議論はしたが移管はしないとの結論に至った と教育総務部長から答弁がなされました。 移管も含めて検討すると市長は明言したにも関わらず、 方針転換された理由や議論の中身は、全く示されていません。 これでは市民の理解は得られません。 そこで市長にうかがいます。 (質問) 「博物館類似施設」として市長部局へ移管することをとりやめた 具体的な理由は何故でしょうか。 ご説明ください。 |
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(2)直営を残した管理業務のみの指定管理者導入ではなく、 企画など全ての業務を民間による運営に移行すべきではないか 美術館の支出は大きく3つにわかれており、 第1に職員給与で1億円、 第2に運営事業費で1億円、 第3に管理事業費で2億円です。 この3つ全てに切りこまなければ 赤字体質は変えられないとの観点から僕は 昨年12月議会の教育福祉常任委員会の質疑において、 美術館運営課の学芸員・事務員15人を中心に 横須賀市から独立していただいて 非公務員型の新たな民間組織を設立して、 展覧会の企画から管理運営まで全ての美術館業務を 指定管理者制度へ完全に移行すべきではないか と提案しました。 教育総務部長は、それによって運営の自由度が増すことを認めつつも、 公務員を退職することへの抵抗が強く 新組織への移行には長い期間を要することがネックで 実現できない、と答弁しました。 しかし、僕はそうは考えません。 本市ではすでに市民病院への指定管理者制度導入によって 公務員であった医師・看護師・検査技師らに退職していただき 非公務員である地域医療振興協会に 転職していただいています。 その市民病院の公設民営化は 議論から実施までわずか3年間で実現させています。 さらに財政赤字を理由として振りかざして、 市職員組合との合意も無いままに 指定管理者導入の議案を提出した経緯さえあります。 市民のいのちを守る最たる場である 病院の民営化にはどんなに反対があっても 踏み切ったのが横須賀市です。 市民病院は民営化できて 美術館を民営化できないはずがありません。 財政危機の本市が 毎年3億5000万円の赤字を出し続ける組織を あえて公務員型の組織として直営で延命させ続ける理由がありません。 そこで市長にうかがいます。 (質問) 美術館は、企画から運営までの全てを 指定管理者制度へ移行すべきではないでしょうか。 お答え下さい。 以上で壇上からの質問を終わります。 |